108. 魔族襲来
俺が『大神官』であったことを全軍に伝える合図が上がった直後、大陸軍の陣営の各所で爆発や戦闘の喧騒が起きていた。
魔族による襲撃だ。
「ヒナコ! アユミ! お前たちは殿下と共にこの本陣に居ろ!」
「フミオ様は?!」
「敵の第一目標は間違いなく俺だ、しっかり囮になってくるさ。」
俺は本陣の丘の上で白い刀身の日本刀を掲げ、精霊フィオナに呼びかける。
「行くぞ! フィオナ!!」
---はい!! あるじさま!!
頭上に掲げたフィオナからは、閃光のような白い光があふれ、辺りを照らす!
一瞬、各所の魔族たちの動きが止まったのがわかる、確実に俺を認識したようだ。
「行くぞ! お前たち!」
「ああ! 行こうフミオさん!」
「うん! おじちゃん!」
「はい! 師匠!」「はい、ししょー!」「はい、フミオ様!」
「はいニャ! ご主人様!」
「「はい!! 先生!!」」
光り輝くフィオナを手にしたまま、丘をかけ下り、本陣前の広場で構える。
各所での喧騒をよそに、やがて俺の目の前に5体の黒い人影が現れた。
こいつら、、あちこちで暴れているやつらに比べ、明らかにレベルが高い。
≪オ前ガ 『大神官ヤマナ』 カ?≫
ひと際濃い黒紫の瘴気をまとった、中央のひょろっと高い背の魔族が俺に問いかける。
返事の代わりに、、
白い輝きをまとった横一文字を5体の魔族に放つ!!
≪フ、ン、、、≫
背の高い魔族が左手を前に出すと、細く節くれだった5本の黒い指が数メートルに伸びて広がり、横一文字を受けようとする。
バズン!
いばらの垣根の様に横に張った指に、横一文字が衝突して消え去った。
……ちっ 無傷かよ。
≪名乗リモセズニ、イキナリトハ、、野蛮ナヤツメ、 セントレオン、ハ、話、ガ、通ジタゾ。≫
「知るか、おれは『大神官』に興味ねーーよっ!」
大サービスだ、一人一発ずつくれてやるよ!
今度は更に小さく圧縮し、鋭さを増した横一文字を、、5本連続で放つ!
正面、右、左、上、いろんな方向からいろんな角度で魔族を襲う
中央の魔族は無傷、左右の魔族4体は、、直撃を受け黒い瘴気が払われた!
翼のある細身の魔族が2体、こいつらは闘技大会にいた奴と同タイプだな、多少なりともダメージが通ったようで体に一筋の傷がついている。
そして体のあちこちが楕円形の甲羅でおおわれた、マッチョタイプの魔族が2体、こっちはノーダメージか、、
≪我ガ名ハ『枯レタ指』、イクゾ『大神官』≫
「ああ! かかって来いやぁ! ヒョロ助!」
バキバギギキバギ!
『枯レタ指』が右手を前に出し、木の枝が急速に伸びるように襲い掛かってくる!
飛びのくと俺の居たところに奴の指が刺さっていた。
ギギギバギバギキギギ!
不快な音を出しながら、奴は指を伸ばしたり引っ込めたりしながら攻撃を始めた。
こいつらが師匠の言っていた、やべー奴らか、、
確かに、やばい匂いがプンプンする、、
「レオルにぃ、、こいつらのにおい、ヤダ、、」
「ああ、気を付けろ、ルル、、」
師匠の横一文字をくらって、取り巻きのような4匹が飛び出してきた!!
4匹とも師匠狙いだ!!
「うぉぉぉおおお!!」「ウニャァァァアアア!!」
ユウキさんとレパーラさんが素早く飛び出して、羽根の生えた魔族2匹の前に割り込んだ! それぞれ戦闘に入っていく!
遅れて、のろそうなゴツイ甲羅におおわれたでかい魔族が2匹、ドスンドスン音を立てながら出てきた。
「うわぁぁあああ!」
一番でかいやつにトモナリさんが斬りかかった! ギャリギャリ言わせて、でかい刀を甲羅の魔族に打ち付けている!
師匠は? ひょろ長い魔族と戦闘中だ、後一匹、甲羅の魔族が師匠の元へと回り込もうとしている!
「ルル! シェリー!」
俺は振り返り、ルルとシェリーに呼びかける!
「うん!」「行こう! レオル」
「ああ!!」
『ゴォァァアアア!!!!』
甲羅の魔族に『獅子の咆哮』で吠えかける!
こちらを向いた魔族は、ニマァ、と気持ち悪く笑って、向かってきた!
「ウォォォオオオ!」
師匠からもらった太刀で斬りかかる!
ガギン! ギギン!
くっ! 硬い!!!
甲羅の魔族はノーガードで立ってやがる! くそ! なめやがって!!
目が合った!
また、ニマァ、と笑いやがった!
そして、でかい裏拳で周りの土ごと薙ぎ払う!!
「ぐぁぁあああ!」
バギャン!
あ、、師匠からもらった太刀が、、折れ、た
「レオル!! 立って!!」
「え? うわぁぁあああ!!」
またあのヤロウの裏拳で吹き飛ばされる!!
痛ってェ、、
顔をあげると、、
シュババババ!
ルルが甲羅ヤロウに接近戦で斬りかかっている!
小太刀はすでに2本とも折れて転がっている。
師匠に祈りを込めてもらった宝剣で甲羅の隙間を狙って刺しているけど、浅い。
ケビンさんたちも加勢してくれているが、甲羅ヤロウが手足を動かすたびに吹き飛ばされている!
『稲妻ぁ!!』
シェリーが稲妻の矢を放つ! が、簡単に跳ね返された!!
≪ウマソウ、、≫
!! あのヤロウ! ルルを見てニンマリ笑いやがった!
冗談じゃない!!
「うわぁぁぁあああああ!」
王様にもらった宝剣で突きかかる!
バギン!!
簡単に折れた!
≪オマエ、アト、オイシソウナノカラ、タベル、、≫
そう言って甲羅ヤロウは張り手で地面ごと俺を吹き飛ばす。
立たなきゃ、立たなきゃ!
「う、ぐ、」
『、、おい、』
「行かなきゃ、ルルが、、」
『おい! レオル! 俺を無視すんな!』
「ルル、、は、俺、が、、」
『おい! ちっ、朦朧としてやがる! 無理やり引き込むぞ! レオル!!』
「え?」
俺は、、
まっ白い世界に引き込まれた、、
え? どこだここは!
元の場所に返してくれよ!! ルルが! ルルが!




