コテコテの水着回
「海だ!砂だ!やることはこれだ!」
バシャンと海の中に入る。海が綺麗なのである。こんなに綺麗なのは中々見ないからね。空気を吐き出すために顔を出す。ジョニーが近づいていた。
「そんなことをしている場合ですの」
「そうだね」
空気を吸って潜る。
「あ!ちょっと!」
バジャンと海の中に沈む。しょうがないじゃん。みんなの機体はボロボロ、新しいのだってすぐには来ないしな。先生は優しさで自由時間をくれたけど。揺れる太陽をみながら、思いふける。太陽を隠す人影が見えた。ロングの金髪がその場で回る。珍しくポニーテールなんだね。そんな言葉を言うと思ったが、水の中では喋れない。ジョニーは怪訝そうな顔でこちらを見ている。そんな顔で見る?水から顔を出す。それにジョニーも顔を出す。
「いやぁ、いいね。海に入るのは」
「それもいいですけどね、焦りませんの」
「すぐにはどうにもならないからね。今は楽しむしかないよ」
「あら、意外と考えてますのね」
陸の方から手を振る姿が見える。
「もう出来たみたいだって」
「ではいきましょうか」
二人と一緒に潜り陸に戻る。
ー
「じゃあご飯食うぞ」
先生がパンと手を叩き、全員を振り向かせる。
「まぁ、昨日は色々あったが一応合宿だからな。今日からは各々の強化、自己研鑽に注ぎ込んでくれ」
「「「はい!」」」
食堂に声が響き渡り、食べ始める。
「どうするんだろう、ボクたち」
「そうですわね、量産されたのだってここにはないですしね」
「彼もどうするのかね」
「まぁ、朝から海に入るくらい元気でしたからね」
「ボク達が考えても仕方ないか」
ため息を吐いてしまう。
「え?入ったの?」
「そうですわね、たまたま」
「ほんとに??」
「う、疑うんですの」
「いや、それにしては朝からソワソワしていたなって」
目を瞑ってジョニーは話す。
「そうですわね、白状しますわ。彼が心配で見ていただけですわ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「あの彼がいつの間に昨日の変わっていた彼女になったら分かるのだろうかな」
「わたくしは見てますから。分かります」
えっへんと胸を張る。
「そう、ボクだって分かっているつもりだけどね」
「負けませんわ、そこは」
ー
「バチバチしてんね」
「え?」
「いや、こっちのセリフ」
放は界の目を見る。あそこの二人には興味なさげな感じである。
「ごめん、おかわりもらいに行くわ」
口元を拭いて席を立つ。
「界ってあんな食べてたっけ?」
隣にいる花に声をかける。
「え?」
「気のせいかな」
「成長期なんじゃない」
「適当だな」
「まぁね、人の食事とかあんま見るの行儀悪いじゃん」
「そうなんだけどね」
「でも、あれはネタになるよ」
「なんの?」
「大食いキャラとかいなかったからさ」
「そうかな」
「誰と組み合わせによるかってまた変わりますからね」
早口になっていく花。
「何の話?」
ドンと皿を置く界。
「いや、なんでも、なんでもないです」
音量が下がっていく花。
「趣味の話だよ」
「そうなんだ」
また食べ出す界。
ー
「私が来たぞ!!」
会長が高笑いをしながら船を使ってやってくる。
「なんであんなテンション高いですの」
「さぁ?」
「良く聞いてくれたな!答えてあげよう!」
「元気すぎるね」
「あまりにも状況が酷だからな、来てやった」
「そ、それはありがとうございます」
「見てくれ、これが持ってきたやつだ」
船から煙を吹いて機体が見える。
「わたくし用にチューンしてますの」
刀を持った量産機が鎮座していた。
「そしたらこれはボクのでいいんだよね」
肩にキャノンが背負っている量産機。
「そうだ、ジョニーは戦い方が分かっているからな。問題はお前だ」
「ボクですか?」
「意外と射撃出来るだろ」
「それは、、、そうですけど」
「だから持ってきた。サポートに向いてるかどうかは今日で決める」
「では手合わせを願えるということですか」
「そうだ。それと界についてもだ」
こっちにこいと言わんばかりに手を振る。少し背を丸めて目線を合わせる。それが悪かった。会長が彼にキスをしたのだ。全員目が丸になるぐらい驚いている。
「な、なんでここにいるですか」
「やっぱり、変わってたか」
何を言っているのかわからない。
「しかもムッツリだな。お前の中にいるやつ」
「あの、何でキスしたんですか?」
「いやいつもと違う感じがしたからな。あとは感だな」
「わ、わたくし、一緒に海に入りましたのに」
あわあわと震えている。
「まぁ、目覚めたのならやろうか」
「いや、俺が状況飲み込めないですけど」
「まぁファーストをやれるくらい頑張ってくれたからな」
「へ?」
トンと彼の腹を軽く叩いた。
「さぁ、やるぞ」
その顔は真っ赤であった。
ー
「ありえませんわ」
片足をトントンと地面につきながら、考える。
「彼はいつから変わりましたの」
海に入っていた時でさえ、彼の姿は変わってなかった。性格だってそうだ。
「あぁ、何となくだよ」
そんなふうにカラッと言う会長。砂の上で刀と槍を構えながら話す。
「それでは納得できませんわ」
刀を上から振り下ろす。
「意外と勘がいいらしいからな、私は」
華麗に避けられる。どうすれば彼女みたいに勘が良くなるのだろう。
「わたくしだって彼と一緒にいるのに」
槍を刀で弾く。
「まぁ、そんな時もあるわな」
「他人事だと思いまして!」
横に振り切る。
「なんだ、じゃあ裸の付き合いとかしたらどうだ」
「はぁ?!」
一瞬で顔が沸騰する。
「油断すんな」
ガツンと頭に衝撃が走る。いつのまにか蹴られていたみたい。
「いや、流石にですわ!」
「そうか」
「わたくしは怒っていますわ!」
「おう」
「キス、、、キスだってわたくしが一番先にしたかったの!」
「お、おう」
「そしたらあなたが先を越してしまいましたわ!」
「別にしてるだろ、あいつは」
「それは、わたくしが知らないだけで、してないかもしれませんわ」
「い〜や、あのタイプは。大分手を出してるよな」
「違いますわ!」
「じゃあ、私を倒して証明してみろよ」
「そうですか、では全力でやらせてもらいます」
ー
「それでそんなボロボロなんだ」
ジョニーの髪を見てボクはそう思う。
「えぇ、そうですわ!」
スプーンを持つ手に力が入るのが分かる。
「あの人は酷いですわ。こっちが量産機なのがいいことにおちょくりまくってますわ」
「怖いな、昼からボクなんだけど」
「気をつけてくださいわね。結構ボコボコにやられますわよ」
「よし、頑張りますよ」
「いい心意気ですわ」
ー
あの人には申し訳ありませんが、この時間だけは譲れませんわ。朝も時間を貰いましたが、それはそれ。鏡で自分の姿を見る。朝とは水着を新調した甲斐がありますわ。赤色のフレアトップと黒色のボトムス、これで彼を悩殺しますわ。悩殺とか思ったより古すぎましたわね。でもきっと振り向きますわねよ。ふぅ〜と息を吐きながら彼の元に歩き出す。すると衝撃の光景が飛び出る。女の子を侍らせながら、横になっているではないか。会長の言っていることはあっていましたの?花が本を読みながら、彼に話をかけている。彼女の水着姿はシマウマみたいな白黒のドレスであった。なんというか似合っている、彼との雰囲気も。すごく楽しそうに見える。心にチクっと何かが刺さる。わたくしではいけませんの。ブンブンと頭を振り、思いを振り切る。
「待たせましたわ」
金髪の髪を自分で靡かせて彼の横に立つ。
「え、うん」
「いや〜、すごいね」
「なんでそんなおじさんみたいなこと言うの」
花がわたくしの身体をじっと見る。
「別にいいですわ、わたくしだって好きでやってるのですから」
「これ!いいよね、こういう娘!」
「あの、落ち着いて。ねぇ、花」
ポンと肩を叩いて落ちかせようとする放。
「いやいや、落ち着けますか?!君のために新調した水着を見せるためにわざわざ時間を作るなんて!」
「あの、、、」
「そうだとしても、言わないで」
「ではお邪魔虫みたいなので、私はこれで」
ホホホと笑いながらその場を去っていく花。
「いいですの、あの子は」
「いいよ、別に。一応監視しているらしいし」
「監視?」
「そう、俺がまたあの子になったら困るからね」
「そうですわね」
小岩で手を振る花。
「申し訳ありませんね」
「へ?」
「いえ、朝はわたくしが気づいていれば」
「えぇ、ああ、朝ね」
返事があまりにもフワフワしている。
「覚えてませんの?」
「いや、海に入った記憶はあるんだけどさ」
「分かりませんね、彼女のタイミングが」
「そうだね」
青空に手を伸ばして太陽を彼は掴もうとする。
「ロマンチストですね」
「え?いや、なんだか彼女がやりたいことかなって」
「またキスされたいのですか?」
自分でも何を言っているのだろう。
「ち、ちがうから。そんなつもりで言ってないから」
「では冗談でもそんなことを言わないでくださいね」
わたくしだって彼にキスをしたいはずなのに。でもそれは、段階だって踏みたい。あの人みたいに突発的なことはできない。もどかしい気持ちはある。
「その、分かんなくてさ」
「何がですか」
「どうして話をしてくれるだろうって」
「はぁ?」
呆れるようなことを彼は言う。
「わたくし!昨日!あなたに何をしたと思ってるのですの!」
「だからその、ボロボロに「違いますわ!」
「へ?」
そういえば、そうでしたわ。この人は思ったよりも鈍感なのを忘れてましたわ。
「手の甲にキスしましたわよね」
「あぁ、ああいうのは好きな人にすべきだよ」
青筋が頭にきそう。この人は、前回のお風呂の時だってそんなことを言ってはぐらかされましたわね。
「そう、そうですわね」
海の近くまで移動し、水が足首まで浸かる。
「変なこと言ったかな?」
彼は悪気が無さそうな顔をしている。
「こちらに来てくださいまし」
「いいけど」
「では、遊びましょうか」
足元の水を彼にかける。急に水がかかったのかびっくりとした顔をしていた。
「つ、冷た!」
「反撃しませんとこちらの一方的になりますわよ」
「何を!」
意外と彼は子供でしたわね。でもわたくしも子供ですので楽しい時間を過ごすことができましたわ。
ー
「お前、器用だな」
ボクは会長からそんな言葉を言われる。量産型の射撃特化を使わせてもらっている。だけどピーキーがすぎるものばっかりである。肩のキャノンだって球によって変化するし、サーベルも最低限の火力しか出ない。極め付けはこのライフルである。説明にはなんでもできる射撃と書いてあった。マルチプル仕様でバズーカや散弾、攘夷榴弾も撃てる素敵仕様であった。いや、無理!頭が足りないし、使いにくい。こういうのって慣らさないの。
「この私にここまで使わせるのは彼以来だな」
そんな会長はとても平気そうな顔をしている。槍を振り下ろしついてる砂を払う。
「じゃあ、その盾を外してくださいよ」
「いやだ。だってこれがないと私は倒されてしまうかもしれないだろ」
「適当なことを」
「そうかな」
槍を投げてくる。投げるのか?!槍を!
「なんで?」
「気は散っただろう」
目の前に盾が迫る。突っ込んできたのか、この人は!
「でも」
左肩のキャノンを炸裂させる。盾に当たり煙が上がる。
「自爆には火力が足りなかったな」
槍が煙を切る。その場には誰もいなかった。
「何?!」
センサーが上を反応する。
「フルアーマーはこういうことができる!」
左腕からサーベルを出す。
「いいな」
会長は口角が上がる。
「でもまだ甘い」
盾を投げ、そのまま蹴り付ける。
「え?」
ガチャンと大きな音を立て、ぶつかる。大きな音をたてて地面にぶつかる。
「どうだ。強いだろ、私」
私の背中に乗っかってくる会長。機械つけてるから重たいだけど。
「そうですね、でもまだまだお願いします」
「いいね、その向上心」
「強くならないと彼を守れないんで」
「じゃあなるか、生徒会長に」
「せいと、はぁ?!」
驚いた、急に。
「飛ばし過ぎでは!」
「まぁ、これは誘いだ」
「え」
「生徒会長は強くならないといけない。だが私にも時間がある」
「はい?」
「だから目をつけないといけないのだ」
「じゃあ、彼とかは」
会長は悩む顔をしている。
「いや、その、私はいいんだかな、周りが納得しないからな」
「そんなことあるんですか」
「まぁ、その、風向きがな」
「じゃあ、ジョニーは」
「いいんだけどな、でも遠距離が出来ないのはまずいからな」
どこからか音が聞こえた。
「ということで残っているのはお前だけだ」
「え、、、大丈夫です」
「そうか、え?」
驚いた顔をしている。
「いや、断るか、普通」
「まだまだ力はないですから」
「だから私が師匠してるんだろう」
「でもそれで会長にはなれませんよ」
「まぁ、そうだな。でも頭の片隅に入れといてくれよ」
「そうですね、考えときます」
ー
「とはいえ、そんなにボロボロにされます?」
「へ、そんなに」
自分の髪を触る。
「そうですわね、わたくしよりもですわね」
「部屋に戻ったら何とかしないとね」
「いいんですか、彼と会わなくて」
ボクは少し考える。会えるのなら会いたいけどこんな髪見せたら多分引かれる。
「正直、今はいいかな」
「あそこにいるのに」
目線でボクの後ろを指す。
「え?!」
咄嗟に頭を隠してしゃがむ。
「そんなことしたら目立ちません」
ジョニーが机の上から覗き込む。
「あ、そ、そうだね。うん、全然大丈夫」
「大丈夫?」
彼が来てしまった。いや来るだろ、そりゃ。
「あのさ、平気。もうね、平気」
「いや平気には見えないよ」
「全然気にしないで、うん、ごめん」
頭が回っていない。
「そうですわね、二人で海に入ったらどうですの?」
突然のジョニーの一言。
「「え?」」
ー
「だからって流されるかね!ボクは!」
「まぁ、いいんじゃない」
そんな彼に宥められてしまう。
日がまだ落ちてはいなかったが、周りは少し暗い。
ボクは白色の三角ビキニを着て彼の前に立っている。彼にとってはそんなことどうでもいいと思うけど。結構考えたんだけどな。鏡の前でどれだけ悩んだか彼には伝わらない。
「その、入ります、海」
彼が気まずそうに話しかける。
「いいよ、ちょっとまだ頭が混乱してるから」
「それはそれで大丈夫なの?」
「まぁ、大丈夫だよ」
海の中にボクは飛び込む。冷たい水が背中に張り付く。ちょっとスッキリする感覚がある。
「大変だよね」
彼も海に入っている。
「生徒会長になるのは」
「?!」
バジャンと顔から海に入る。
「ちがうよ!」
「え?違うの?」
「まだ考え中です!」
「会長は確定みたいな話し方をしてたけど」
「あの人、やばぁい」
「そうだね、やばいね」
「ねぇ、笑いすぎだよ」
彼は見たことないくらい笑っている。こんなの見たことない。ボクは知らなかった、こんな風に笑うだなんて。
「ち、ちょっと待って。ツボに入っちゃって」
「そんなに」
笑い声が止まらない。
「思ったより悩んでたからさ」
「だからってそんなに笑う?」
「それは、その、止まんなくて」
「そう」
水を思いっきり彼にかける。
「しょぱぇ!」
「結構気にしてるんだよ」
「それはごめんだけどさ」
彼も水を跳ねさせる。
「急には無いだろ」
「ボクだって悩んでるだよ!」
「それなら俺だってそうさ!」
「昨日はボコボコにやられたし、今日だってさ」
「俺は怖いよ、いつ彼女が出てくるのが」
「次があったらとか考えたく無い」
「もっと強くならないと」
彼の目はなんだか遠いところを見ていた。それを見てボクは彼の手を握り、そのまま海に投げつける。
「え?」
「もっとボクたちを頼れ。それがなんであれ、どんな結果になろうともだ」
「ありがとう」
「まだ足りない」
ボクは彼に飛び込む。
「いや、危ないよ」
「これで気づいて。君を心配するのはたくさんいるんだよ」
「そう、、、だね」
彼の手がボクを支える。星空は綺麗で、この瞬間が永遠だと思った。
ー
「崩しましょうか、あれ」
「ダメダメダメ」
私はジョニーを止める。
「いい雰囲気なんだから」
「だから水をさすのですわよ」
「え?なんで?」
普通に疑問が湧いてくる、
「だって、わたくしの時はあんなにいい雰囲気じゃなかったですわよ!」
逆ギレである。
「私も後ろから見てたけどさ、恋人には見えなかったよ」
「ほら、あなたもそんなことを言う!」
「気にするんだ、お嬢様は」
「そうですわよ!恋人いうのは段階を踏むべきとは思ってますわよ!一歩リードしてたと思ってましたのに」
地にうなだれそうな勢いである。
「だからって壊す?」
「冷静になれば、そうですわね」
「あ、急に冷静」
「こんなことをしたら後からのしっぺ返しがありますからね」
「じゃあ、見守る?」
「それは、、、それでですわね」
「あ!キスしそう」
「何ですって!」
小岩から身を思いっきり乗り出すジョニー。
「な、何してるの?」
彼がこちらを見ていた。とても理解しているような顔には見えなかった。
「いえ、その、散歩ですわよ。散歩」
「無理がないかな、それは」
私はジョニーの隣に出る。
「花もいたんだ」
「うん、ちょっとね」
いや、その返事は怪しまれない。
「ありがとう」
照がジョニーに向かって言う。
「いいえ、関係が深まればよろしくてよ」
この子、さっきまでやる気だったのに。
「じゃあさ、なんか奢らせてよ」
「いいですわね、わたくしも払いますわよ」
「それって奢る意味なくない」
いつの間にか二人で話始めてしまった。
こう言う時、彼に何話せばいいのかな。昨日のことだって断片的にしか伝わってないし。
「ねぇ」
「何?」
彼はこちらを見る。ちょっと何話そうとしたか飛んでしまった。
「ごめん、飛んじゃった」
「別にいいよ。思い出したら話してよ、もしくはもっと他愛のない話でもする?」
「いいの、それは」
「ここぐらいしかないからさ」
「そうなんだ、じゃあさ名前つける?」
「名前?」
「そう、君の中のいる名前。名無しだとさ呼びにくいじゃん」
「それは、、、そうかも」
彼は自分の胸を触ってみる。鍛えているのか、カッチリとしているそんな印象を受ける。いや、いや私は変態なのか?
「君が眠った時に出てくるなら、バグとか夢の名前とかつける」
「それはそう、、、」
彼の目が落ちる。
『終末の鎮魂歌』
その瞬間、全員に緊張が入る。
「名前はレクイエムエンド」
思ったより厨二病が出てるな。
「エンドと呼んでほしいな」
「彼はどこに?」
「気絶させてるだけだから、安心して」
安心できない、また昨日の話みたいになってしまう。あれ?もしかして?私は彼の肩を掴む。
「へ?」
そのままの勢いで私は彼にキスをして地面につく。
周りの空気が凍りつく。彼の顔が真っ赤になり出す。
「どうなってんだ!今の子は!この、、、ハレンチ共が!」
「ねぇ、とんでもないことをしてない」
彼が戻った一言だった。
「いや、なんも」
「嘘じゃん」
地面についた砂を払いながら立ち上がる。彼は後ろを指差す。私は背中がゾワゾワしながら後ろを振り向く。
「やっぱりこの子もか」
「わたくしだってしたいですのに」
顔が凄く怒っている。後ろに後ずさってしまう。
ドンと彼にぶつかってしまう。
「逃げ場ない感じっすか?」
後ろの彼に投げかける。彼も諦めたような顔をしている。
「そうだね、二人で諦めよう」
落ち着いた声をしていた。
ー
「彼女、エンドはウブと」
放はタブレットにメモをしていた。
「色々あったけど、それでいいの?」
「いいよ、君を元に戻す方法の一つだからね」
「またなったら嫌だな」
「女の子にキスされるなんてご褒美でしょ」
「それは、、、そうだけどさ」
「君もウブと」
「書かなくていい、それは」
「ごめん」
「いや、こっちもごめん」
「反省が早いと」
「ねぇ!?」
タブレットを放は回す。
「まぁ、いいよ」
「よくないから」
「これもあること忘れないでよ」
鍵を見せてくる。
「それ何?」
「え?」
「知らないよ、全然」
「あれ〜?話してなかったけ?」
「知らない話かな?」
「この鍵はもし君がピンチになったら使って欲しい。どうせなら呼んで欲しいけどね」
「使うとどうなる?」
「まぁ、蛹から成虫になるかな」
「すごくフワッとしてるね」
「どうなるか使わないとわかんないしね」
肩をすくめて、鍵を投げようとする。
「いい、持ってていいから」
「じゃあ、呼んでよ絶対に」
「うん、ありがと」
鍵を見て思う、彼女にとってこれは大切なものかと思う。それを聞いたらまた変わってしまうから。
今はまだ待っていよう。




