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第91話 暑いのは苦手

砂漠って実際はどんな感じなんでしょうね?


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*'ω'*)

「皆様、ありがとうございます。皆様のおかげで、女神様の能力が少し回復して少し先の未来が読めるようになりました」


「おお!マジか!」


 大輝はそのことに思わず嬉しくなった。それは自分達の頑張りが報われたような気がしたから。もちろん、全てが終わったわけではないので浮かれてはいけないだろうが、それでも喜ぶぐらいはしても罰は当たらないだろう。罰を当てるのも女神だし。


 そんな大輝達を見てミリアも嬉しそうな顔をしながら、言葉を続ける。


「そして、女神様から新たな神託が下りました。次なる場所は砂漠の国【グランフルール】です。それから、女神様からの未来予知でその次の災悪が現れるまでかなりのスパンがあるという事ですので、その国から近い海上国家に行ってみたらいかがでしょう?良いリフレッシュになると思いますよ?」


「いや、そう言われてもな......」


 ミリアの言葉で大輝たちは思わず困惑の表情を浮かべる。正直、ミリアの提案は凄く嬉しい。しかし、そんなことをしても本当にいいのかと思ってしまう。災悪が現れるまで何もできないわけじゃない。現れることがわかればそれに対して対策が出来る可能性もある。


 するとミリアは大輝達に告げた。


「皆様。皆様が頑張っておられるから、私達は頑張ることができるんです。そんな皆様ばかりが無理をなされて、しんどい思いをするのは私達はとても悲しいのです。それにこれはこの国の総意でもあります。勇者様方がいない間はこれまで通り厳重に結界を張っておきますので、たまにの休暇を楽しんでいってください」


「......わかった。ありがたく、その言葉に甘えさせてもらうよ」


 大輝達も「そこまで言われれば仕方がない」といった感じで、ミリアの言葉に同意する。そして、大輝達が大聖堂をでようとすると大輝だけがミリアに呼び止められた。


「大輝様、これを」


「これって......」


 ミリアが大輝に渡したのは色のついた糸で編まれたミサンガであった。これは前にミリアにもとの世界に関しての話でたまたま話題に出したものである。しかし、言ってしまえばそれだけ。大輝自身がその実物をもっていないので、それがどんなものかミリアはわからないと思うのだが......それは予想外なほどの完成度の高いものであった。しかも、それは6人分あり、それにそれぞれ一人一人の名前が編まれている。


 これにはたまらず大輝は驚いた。そして、ミリアに渡されるがままに手に取るとそれをまじまじと見つめた。そんな大輝に対して、ミリアは恥ずかしそうな顔をする。


「ど、どうですか?聞いた話のイメージ通りならこれでいいと思うのですが......」


「ああ、これで合ってる。しかも俺が良く知っているもの以上の出来だ。これは凄い!」


「ほんとですか!?」


「ああ、嘘はつかねぇよ。ただ、俺のだけ小さなアクセサリーみたいなのがついているけど......これは?」


「あ、えーと......そうだ、じゃない。それはおまじないの一つですよ!そのミサンガが大輝様達の世界でそうであるならば、それが私達の世界ではそうなんです!」


 ミリアは顔を赤らめながら大輝を無理やり納得させるように、強い口調で言い放った。大輝はそんなミリアに押され気味になりながら同意するように頷いた。そして、ミリアに追い出されるように大聖堂を出ると出立の準備に向かった。


 ミリアはそんな大輝の後ろ姿を見ると安心したような、されど残念そうなため息を吐く。するとミリアの近くにシスター達がやってきた。


「聖女様、あんな渡し方で良かったのですか?」


「そうですよ。ああいうときはガツンといかないと。ただでさえ勇者様なんて存在は人気なのに」


「案外、この子の言うことは的を射ているかもしれませんよ?聖女様は少し奥手すぎると思われます」


 シスターは先ほどのやり取りをどこかで見ていたのか各々意見を述べてきた。それもやたらニヤニヤしながら。ユリスはそれを見ると思わずため息を吐いて言い返す。


「なんだかその言い方、私が大輝様に好意があるように聞こえるのですが?」


「「「違うんですか!?」」」


「どうしてそちらが驚くんですか!?そ、そんなわけないじゃないですか!ただ、回数を重ねるごとに災悪の強さが強大になってきているため、心配で作ったのです!」


「そうなんでしょうけど~」


「それで作ったのが勇者様の世界にあったおまじないで~」


「しかも、勇者様にだけ特別仕様~」


「な、なにが言いたいんですか?」


 シスター達のなにやらもったいぶった言い方にミリアは思わず息を飲んで聞いた。するとシスター達は一度互いの顔を合わせると声を揃えていった。


「「「絶っっっっっ対それだけじゃないですよね?」」」


「そ・れ・だ・け・で・す!一片たりともそのような感情は抱いておりません。本当ですからね!嘘はついてませんよ!ですから、そんな『嘘つかなくても』という顔をしないでください!」


「「「嘘つかなくても」」」


「どうしてわざわざ声に出して言う必要があったんですか!?その気持ちはもうすでに伝わってましたよ!」


 そうやってミリアが言い返す言葉にシスターはどんどんと嬉しそうな表情を浮かべていく。それはもちろん、ミリアの反応を見てだ。若干煽っているのもあるが、それでも少し過剰な反応を見せている。なので、ミリアの言葉も否定すればするほど、「本当は違うんじゃないか」と聞こえて仕方がない。


 加えて、もしそれが本当であるならば.......この国のためにも聖女様には是非とも頑張ってもらわなければならない。良し、ここは人肌脱ぐべきだ。


 そして、シスター達はアイコンタクトで誓いあうとミリアに言葉で攻めにいった。


**********************************************

 それから一週間が経ち、大輝達は砂漠のど真ん中を歩いていた。全員、吹き出た汗もすぐに乾くような暑さにさらされながら。


「あ、あぢぃ~」


「日差しが強すぎるんだ~」


「あんた達もう少しシャキッとしなさいよ。暑いのは皆一緒でしょ?あんた達がそうも暑そうに感じているとこっちまで余計に暑く感じるのよ」


 大輝と俊哉の暑そうといった感じを前面に押し出すような体勢にセレネは思わず苦言を呈した。だが、そのような体勢になるのもよくわかる。このような場所は来ることもなければ、行く理由もない。なので、こんな場所があると知ってはいても一生関わりはないと思っていたんだが......まさかこのような形でかかわるようになるとは。


「ねぇ、あんた。もう少し風を吹かせなさいよ。これじゃあ、あってもないようなもんだわ」


「そうね。大輝、私からもお願いできるかしら?私も氷を作って体感でも冷やせるように配慮するから」


「......はあ、俺の魔力も有限だってことを忘れないでくれよ?」


 そう言うと大輝は自分達を中心として半円状に纏わせていた風の強さを強くした。実はこれは先ほどからも行っていたのだ。だが、それすらも無視するような強い日差しと熱気で全然意味を成していなかった。加えて、大輝に至っては先ほどから無駄に魔力を消費し続けていて、倦怠感を感じている。


 だから、香蓮はそんな大輝を助けるように自身も氷を作り出し、仲間達に配った。それから、自信も空気を冷たくするように冷気を放った。だが、それは十数分と持たなかった。単純に暑さで集中力が続かないのだ。一旦休憩して、すぐに再開しても先ほどより短い時間でしか冷気を放てない。


 しかし、大輝は気だるそうにしながらもそれを軽く数時間とこなしている。それも私達が気づく前から。やはり大輝は凄い。今は自慢の幼馴染だ。そんな大輝の横を堂々と歩いていけるように頑張らなければ。すると香蓮は軽く深呼吸し、もう一度冷気を放ち始めた。


 それからしばらくすると大輝が思わず顔を歪めながら呟く。


「あー、やばい。これは不味い」


「どうしたの、大ちゃん?顔色が悪いような気もするけど」


「それがな、敵だ」


「ギャシャアアアアア!」


 すると大輝達を見下すように砂漠から現れたのは巨大なワームであった。サンドワームと言ったところか。そのサンドワームは大きな口を開けて飲み込まんとばかりに真上から襲ってきた。


「大ちゃん、香蓮ちゃん。二人は動かなくていいよ」


「そうね。私も頑張ってくれている二人に戦闘させるほど鬼じゃないから、ここは任せなさい」


「それじゃあ、とっとと終わらせてまた涼もうか」


「賛成~」


「キャン」


 するとエミュはその場から離れると白竜の姿となってサンドワームの胴体にタックルした。それによってサンドワームは体勢を崩す。そこに茉莉と俊哉を乗せて大きくったレオが走り出す。そして、茉莉が構えた弓から一本の矢を射出するとその矢はさらに数十本の矢へと分散して、サンドワームを襲った。


「ギュィイイイイイイイイイイ!」


「うっさいわよ.......影の獣牙(シャドウファング)


 サンドワームの耳をつんざくような叫びにセレネは思わず顔をしかめながら、サンドワームの顔に向かって羽を出して飛んでいく。そして、両腕を大きく広げてその手に影を纏わせ、オオカミの頭のようなものを作り出すとサンドワームの顔に影を伸ばして噛みつかせた。


「そのままにしとけよ......光滅閃(レイブロウ)


 そして、セレネが固定しているサンドワームの顔に向かって、俊哉がレオ(大)の背から跳び出す。それから両手で握った剣を光で瞬かせると下から上へと切り上げた。


「おー、お見事」


「こう改めて思うとあんな巨大な生物に臆せずに戦えるようになったものね。なんだか慣れって恐ろしいわね」


大輝と香蓮は討伐されたサンドワームを見ながら各々の感想を口にした。確かに香蓮の言った通り随分と慣れたものである。それだけこの世界に染まってきたということか。まあ、慣れなければいけなかったというのもあるが。


そう思うと実に考え深いものである。そして、これからもこの考え深さを実感していくのだろう。まあ、それはそうと......


「あっつー」


大輝は気だるそうにそう言うと香蓮とともに仲間の帰りを待った。

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