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第8話 エミュと冒険(エミュの追憶)#5

書いてたら長くなりました。指がノってしまいました(笑)。

「エミュって実はすごい人?」


「あんた、自分の相方なのにそんなことも知らなかったの?」


「いやー、エミュがあんまり詮索してほしくない様子だったので。」


「ふーん。ねぇエミュちゃん、悩みがあるならこのお姉さんが聞いて、解決してあげようか。」


「........。」


 ウンディーネはそう提案するが、エミュは依然として暗い表情をしている。しかし、しばらくしてエミュはそっと口を開いた。


「私は昔、竜化ができていたんです。」


「竜化?」


「竜化ってのはね、竜人が竜になるための魔法よ。これは竜人が竜人であるための証とも言われてるし、龍神の眷属である証とも言われてるのよ。」


「なるほど。」


 大輝の疑問にウンディーネはそっと答えてくれた。......ということは、エミュの言い方から察するに今は出来ないということになるが、なるほどエミュが竜人という話題を出してほしくなかったのはそういうことだったんだと大輝は理解した。

 それからエミュは自分の過去を語り始めた。


**********************************************

 エミュは竜王国ドラグニルの長女として生まれた。幼少期から天真爛漫な性格で、なにかとイタズラすることもあったが、エミュは人々から愛されて育った。

 竜人族は100歳から150歳(人の年齢に換算するなら、5歳または6歳)の間に親から竜化という魔法を覚えるのだが、その当時のエミュは何の問題もなく使うことができ、それはそれは美しい白竜であった。


 それから数十年(人年齢では、14歳になった時)経ったある日、エミュは親には内緒で同い年の友達と竜王国から少し離れた森に遊びに出かけた。この当時のエミュは竜王の娘としての立場からなにかと制限が多く、特に単独での森へ向かうこと禁止されていた。近くの森に向かっても護衛がつく。もちろん、エミュの身を案じてのことだ。


 竜王とは竜人族に  ‶力″の象徴。絶対的な存在。それがたとえ娘であっても下級の存在に傷つけられることさえ許されない。これはだいぶ昔の考えでエミュが生まれたころはもう少し緩くなっているが、それが代々受け継がれてきた王者としての育ち方という。


  エミュとて、そんなことは分かっている、分かっているが......それでも自分と同い年の子が大空を自由に飛んでるのは羨ましいし、毎日毎日やることが決まって退屈であった。そんなある日、息の詰まり具合に耐えかねたエミュは、王城から抜け出したことがあった。しかし、みんなに迷惑はかけたくないとすぐに戻ってきたが。だが、その時感じた新鮮な空気と一人である自由。それはエミュを虜にした。それからエミュは誰にもバレないようにたびたび抜け出すことが多くなった。その時のスリルもまたエミュを魅了した。


 森の中を歩くエミュは瞳を輝かせていた。森の様子は竜王国近くの森とほとんど変わらない。しかし、森の空気、木の匂い、小鳥のさえずり、その他にもいろいろあるがそれら全てがエミュにとっては新鮮で違っていた。夢中で歩き続けていると友達とははぐれてしまった。だが、不安などは無かった。好奇心がすべてを満たしていた。


 歩いているとどこかから声が聞こえた。これは......泣き声であろうか、ひとまずエミュはその声のする方に向かった。向かうと一人の男の子がうずくまっていた。4、5歳ぐらいであろうか。エミュは天性の人懐っこさで男の子に話しかけた。


「僕、どうしたの大丈夫?」


「うぅ......グスン、おねえちゃん、だあれ?」


「お姉ちゃんはね、エミュって言うんだよ。森の中をお散歩してるんだ。」


「......えみゅおねえちゃん?」


「うん!そうだよ。僕のお名前は?」


「......ラミット、僕の名前はラミット。」


「そっか、それじゃあラミット君だね。」


 エミュはラミットに目線を合わせるとラミット対して丁寧な受け答えをした。それから不安を与えないようにエミュは常に笑顔を絶やさなかった。そんなエミュにラミットは安心感を覚えたのか泣き止んだ。


「ところでラミット君、ラミット君はもしかして迷子になっちゃったのかな?」


「......うん、見たことないキレイな蝶がいてそれを追いかけてたら、お父さんとお母さんとはぐれちゃって。」


「そっか、ならお姉ちゃんと一緒に探そっか。」


「え?」


「お姉ちゃんがラミット君の両親を探すのを手伝ってあげる。」


「......うん!」


 エミュはそっと手を差し伸べる。ラミットは嬉しそうに返事をすると差し伸べられた手を握る。エミュとラミットは仲良く手を繋ぎながら森の中を歩き始めた。


 エミュとラミットは知らない植物、珍しい虫、面白い声で鳴く鳥と見たり、聞いたりしながらそれを話題に笑顔と笑い声が絶えないほど仲良くなったいた。そしてそんな時間がしばらく続きいたある時、エミュが竜化できなくなる出来事が起こってしまった。

 

 エミュがラミットを連れて歩いていると、近くに小さな気配があることに気づいた。その気配もこちらの存在に気付いたらしくこっちに向かってくる。だが、エミュは冷静だった。このくらいの気配ならいざとなれば自分で対処できる。


 そしてこちらに向かってきたのは一匹の子熊であった。子熊は警戒心など見せず、好奇心のみでこちらに向かってきたようだ。エミュは「可愛いね、ラミット君も触ってみなよ。」と言いながら足元にすり寄ってきた子熊を撫でる。ラミットは少し戸惑いながらもエミュが撫でても何もしてこない様子を見て、子熊を撫でる。子熊が目を細めて気持ちよさそうにしている表情を見て、エミュもラミットも笑みがこぼれる。


 エミュは子熊を撫でているとあることを思い出した。それは幼少期に両親と近くの森に出かけた時のこと、この時も一匹の熊を見つけた時があった。そんな時エミュの父、竜王がこんなことを言っていた。


『お、でけぇ熊だな実に美味そうだ。』


『なら、はやく仕留めようよ。』


『まあまあ、落ち着けエミュ。あんな奴はすぐに仕留められるから安心しな。......ああでもな、こんな時はお前も用心しな。』


『どんな時?』


『それはな、子連れの時だ。どんな生き物であれ、子を守るときには強くなる。それこそ死に物狂いでな。......お前もいずれ狩りをする時が来るだろう。そん時はわざわざ正面から戦おうとするな。これを肝に銘じておけ。』


『うん、わかった。確かに、パパは強いもんね。』


『はは、そうだろそうだろ。』


『でも、ママの方が強いけどね。』


『......そうだな。』


 「ふふっ。」と思わず笑ってしまった。こんなこともあったなと少し懐かしくなった。そんな時後方から強い気配がもうスピードでこちらに向かって来る。エミュは咄嗟にラミットを抱きかかえると横に飛んだ。その直後元いた場所に鋭い爪が地面へと突き刺さる。現れたのは大きな熊だった。おそらく母熊だろう。急に横っ飛びしたせいで上手く着地できずに少し地面に引きずられてしまった。


 『正面から戦おうとするな。』父の言葉が蘇る。今まで数々の熊を仕留めてきたがそれはどれも単独だった、だが確かにこの母熊はどの熊よりも強い。


 エミュはラミットに少し離れてと言うとすぐさま竜化した。油断しないために。そしてエミュと母熊は戦った。もちろんエミュが勝った。エミュは父の言う通りだと思った。父の言う通り母熊は強かった。


 するとすぐ近くからラミットを呼ぶ声が聞こえた。おそらくラミットの両親だろう。そして現れたのは二人の大人の男女、ラミットの両親だ。二人ともラミットを見つけると安堵の表情をしながら、ラミットを思いっきり抱きしめる。ラミットも安心したのか思わず泣き出してしまった。エミュはその様子を見て嬉しそうな表情をした。


 ラミットの父親はラミットが怪我をしてることに気がついた。


「この怪我どうした?大丈夫なのか?」


「うん、大丈夫だよ。だってお姉ちゃんが助けてくれたもん。」


 そう言ってラミットはエミュの方を指さす。ラミットの両親はエミュを見ると途端に青白い顔をして、すぐさまラミットを自分たちの背に隠した。そしてそのまま一歩一歩後ずさりをする。


「お、お前がラミットを......。」


「ち、違う......私、――――――。」


「近寄るな化け物!!」


「!!」


「お前、ラミットを食うつもりだった!」


「違う!そんなことは考えてない!」


「その血を見て信じられると思ってるのか!!」


「!」


 エミュは自分の顔が赤く濡れていることに気が付いた。おそらくさっきの母熊の返り血だろう。エミュは何も言えなくなった。エミュは悲しい顔になる。「そんな顔しても無駄だ。」ラミットの両親はラミットを連れてその場を逃げるように去っていった。エミュの瞳に連れていかれながらもエミュの方を見るラミットの姿が焼き付けられる。


 エミュはうなだれながら元の姿に戻る。自分があんな姿でなければこんなことにならなかったんだろうか。


 エミュはふと子熊がどうなっているか気になった。子熊は倒れて起き上がろうとしない母熊を鳴き声を上げながら必死に起こそうとしていた。‶母親を奪った″そんな言葉が脳裏を過る。エミュは大声で泣きながら崩れ落ちた。そもそも自分がこの子熊から距離を取っていればこんなことにはならなかったんではないか。さまざまな可能性が脳内を駆け巡る。だがもう遅い、すべて終わって結果は決まってしまった。


 その時以来エミュは竜化ができなくなってしまった。

私事ですが、実写キングダムを見に行きました。すごい面白かったです。それから、映画見るときに食べるポップコーンのレギュラーサイズをなめていました(笑)。映画見てからお昼で何か食べようとしていたのですが何もいらなかったです(笑)。

それではまた次回

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