第7話 エミュと冒険#4
若干終わり方が変ですが、このさきを書いていくと長くなりすぎてしまうような気がして一度切りました。それを承知の上でお読みいただければと思います。
「「ぷはぁ」」
「大丈夫だった?大ちゃん。」
「ああ、平気だ。......って、うわぁ、すまんエミュ。」
水面に上がってきた大輝とエミュはまるで抱き合っているような状態であった。大輝は思わずエミュから距離をとった。そして大輝はとりあえず陸に上がろうとエミュを促すとそれから岸に向かった。
岸を上がると燃えやすい枯れ木を集めてたき火を作った。それから、土魔法で簡単な壁を作り互いが見えないように立つと服を脱いで乾かし始めた。大輝とエミュは二人とも壁に寄り掛かるように座るとしばらく無言であった。静かな森の葉を鳴らす音が聞こえる。大輝とエミュは互いの姿がどうなっているのか分かっているので二人とも若干顔を赤らめている。そして最初に口火を切ったのはエミュであった。
「大ちゃんってどこからきたの?」
「!......どうしたんだ急に?」
「......なんとなくね、気になったの。やっぱ自分の記憶のどこを探ってもそんな服を着ている人は見たことないし、それに......私に対して恐怖心を抱いてなかった。」
エミュは淡々と話す。大輝にはどこか哀愁のあるように感じた。もちろん大輝がエミュに対して恐怖心を抱かなかったのは単に竜人という存在がどんなのか大体のイメージがついていたのもあるし、そもそもここの世界の人間ではないからという単純な話だ。
大輝は自分が異世界から来たと言うまい......とは思っていなかったが、積極的に信じてもらおうとは思わなかった。だが、これまでの旅でエミュになら話してもいいかと思うようになった。案外勝手に悩んでるだけで言ってしまえばどうでもいいことかもしれないし。それから大輝は簡単にここまでの経緯を話した。
「へ~~~~、そうだったんだ。」
エミュの反応はあっさりしていた。やっぱりかと大輝は自分の馬鹿さが加減に苦笑い。さらっと話せばいいだけの内容だったのだ。
「なるほどね。だから大ちゃんは不思議な感じがしたんだね。」
「不思議な感じってのは、恐怖心を抱いてないってことか?」
「......うん。」
エミュが静かにうなずいた感じがした。もちろん大輝には見えていない。想像の範疇だ。だが、なぜだか明確なイメージが湧いた。エミュは静かにしゅべり始める。
「竜人族はね、人族に恐れられているんだ。長い長い昔のわだかまりが原因でその原因はわかってないんだけどね......とにかく人族には竜人族に対する恐怖心が刻み込まれているらしいんだ。」
「........。」
「最近は良くなってきてるみたいなんだけどね。」と笑いながら後付けするが、大輝にはどこか寂しそうな笑いを感じた。もしかしたらだが、エミュが言えない何かはそこがかかわってたりするかもしれないと思った。だが、憶測で質問する気にはなれなかった。大輝は少し話題を変えることにした。
「エミュはさ、最近笑ってるか?」
「笑ってるか?うーん、そうだね......追われてる時がひさしぶり......かな。」
「おう、それは良かった。.........俺は大絶叫だったんだけどなぁ。」
少ししょんぼりする大輝だがやはりエミュがそれで良くなったんだとしたらそれで良かったんだと思うようにした。
「でもほんとひさしぶりだった。......ありがとね、大ちゃん。」
「どういたしまして。」
大輝は妙にむず痒い気持ちになった。あんまり人から感謝される経験がなかったし、あったとしても友達間でやるさらっとした感謝ぐらいだ。大輝は壁に掛けてある服の状態を確認する。もう大丈夫そうだ、十分乾いてる。
「それじゃ、エミュ―――――――。」
「ザッバァァァァァ――――――――――――――ン!!」
「誰じゃ!せっかく私の理想の人と夢の中でいい感じになっているときにぶち壊しにくる奴わぁぁぁぁ!!」
「「..........。」」
大輝が「エミュ、乾いたから服着よう。」という前に、突然湖の中心から大きな水柱が立ち、中から一人の女性現れた。その女性よく知る小さいサイズではなく女性の人のような体つきで、は金色の髪をし、水色っぽい服を着て、羽のようなものを生やしている。そして何より空中で立っている。その女性はなにやら激昂しているようだ。大輝とエミュは口をポカーンとして、水しぶきによる雨に打たれ、服は再び濡れてしまった。
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「なるほどね、そういう理由で普段人がいるはずがないのにいるわけね。」
「そんな感じですね、ウンディーネ様。」
大輝は湖から現れた女性に丁寧な受け答えをした。その女性の名前はウンディーネ、この湖に住む次期水の精霊王らしい。なんだか本来なら後半のイベントで会いそうな人物が冒険の序盤で間違って会ってるようなで変な感じだ。
大輝とエミュは目の前に置かれた料理にがっついていた。ウンディーネにこれまでの経緯を話すと不憫に思ったらしく料理をふるまってくれた。こんなおいしい料理はここに来てから初めてだ。それもこの料理に使われてる食材があのリンゴであるから驚きだ。ウンディーネ曰く、これは特殊な調理をしないといただけないらしく、少しでもミスるとお馴染みの爆発を起こすそうだ。大輝はどこのニトロ〇リーだと思わざるを得なかった。
「そういえば、ウンディーネ様はどうして調理できたんですか?」
「ん?ああそれね、ほら私ってさ今花嫁修業中じゃん?」
「いや、全く知りませんけど。」
「それでさ、次期精霊王には決まりはしてけどさ、それまで料理も家事も僕に任せっきりだったんだけど、現精霊王に『そんなに暇持て余してんだったら、花嫁修業の一つや二つやりなさい!』とか言われてやってんだよね。まあ、確かに私は尽くしたいタイプだから、いざという時のためにやってはいるんだけど、これまで見合いしてきた相手がどいつもこいつも権力にしか目がなくてさぁ.......ハァ、もう同じ種族でなくてもいいからどっかにいい人いないかなぁ。」
「「...............。」」
それからも花嫁修業中の苦労話や、現精霊王のいびりやお見合い相手の愚痴をつらつらと語っている。大輝とエミュはとにかく苦笑いで変に刺激しないように済ましている。どうやら精霊も人間と同じらしい。大輝はウンディーネがもはやOLに見えていた。
ウンディーネが自分語りを終えるとそのまま精霊の国から持参したという強めの酒をグイッと飲み干す。それからウンディーネは一回しゃっくりするとエミュの方を見た。
「そういえばエミュちゃん、なんか品格というかオーラというやつが他の竜人よりすごいね。......もしかして、竜王の娘だったりする?」
「.......え?.......(こくん)。」
「やっぱりね。」
「え!?、えええええええええええええええ!!!」
エミュはウンディーネの質問に面を食らったが、嘘をつける相手ではないらしく静かにうなずいた。ウンディーネは分かっていたように返事をしたが、大輝は自分の相方がとんでもない人物だとわかると顎が外れそうなほど驚いた。
私ごとですが、炊飯器で作れるチーズケーキというものを作ってみました。なかなかに美味しかったです。
それではまた次回




