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好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第5章 たとえ叶わないとわかっていても
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第83話 皮を被った悪魔

ふぅー、早く六章のストック書かないと不味いぜ(;^ω^)


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(>_<)

「おらああああ!風裂斬(グラムソーサー)!」


「ギャシャアアアアア!」


 大輝とユリスは一つの魔法陣のもとへ辿り着くと大輝が先制攻撃を仕掛けた。その風の斬撃は多くを魔物を切り払って進んでいく。そして、ユリスが魔法陣の中心に来れるように道を開けながら敵を倒していき、ユリスが魔法陣の解除を始めると無防備になるユリスを護るように大輝は魔物達と対峙した。


 大輝はユリスを覆い隠すように(呼吸できるぐらいの穴は開けつつ)土の壁張って、魔物達に突っ込んだ。大輝はまず一体の熊の魔物の懐に潜り込むと聖剣で下から上へと切り上げる。そして、その魔物を蹴り飛ばして後方にいる魔物を牽制。右から噛みつこうとしたオオカミの魔物には魔剣でその攻撃を防ぎ、聖剣を頭にぶっ刺して投げ飛ばす。


「邪魔くせぇ!」


「ウガァ―――――――――!」


 大輝は思わず吠えた。それは大輝からユリスを挟んで丁度反対側の位置に多数のゴブリンが武器を持って土の壁を破壊しようとしているのだ。大輝は今までにない魔物の数を一人で対応していて、さらに今いる場所でもギリギリ対応しきっているのが現状、当然全方向には目が回せない。だが、そんな言い訳は出来ない。全ての魔物がこっちに向いてくれれば大技で一掃できる可能性もある。しかし、魔法陣からほぼ無限に湧き出ているのでそれも考え物だが。


 大輝はそのゴブリン達に向かって<山針(アースニードル)>でユリスを覆い隠す土の壁から針を出現させて串刺しにしていく。すると後方に意識を向けていた大輝に虎の魔物が爪を立てて切り裂かんとばかりに襲ってきた。


 それに対し、大輝は冷静に両剣を逆手に持ち替えると地面に刺してサマーソルトキックをするような勢いで足を振り上げて虎の魔物の顎を撃ち抜いた。そして、足を揃えるとそこからドロップキック。その勢いで元の体勢に戻る。


「ガァアアアアアアア!」


炎裂刃(ファイアスレッド)


 大輝は斧を振り下ろしてきたオークの攻撃を半身で避け、さらに一端無視しながら半身で足を引いた方向に体を回転させてそのオークの横を通り過ぎ、そのオークの後ろにいて攻撃のタイミングを狙っていた蛇の魔物を焼き切った。それから後に振り返ったオークの目に蜘蛛糸を飛ばして目を潰し、両剣で切り裂く。


「!」


 その瞬間、そのオークの体を貫通して風の矢が飛び出してきた。大輝は驚きながらも反射的に上体を大きく仰け反らせてそれを避けるとその状態から剣を地面に突き刺してバク転しながら体勢を立て直す。そして、目線の先には土の壁の後ろにゴブリンメイジが。その周りには多くのゴブリン達が土の壁に向かって剣を振り上げていた。


「ユリス、まだか!」


「まだかかります」


 大輝の声にユリスは焦燥をにじませたような声で答えた。そして、ここに辿り着いて動いていないのに噴き出してくる大量の汗。それだけ召喚の魔法陣を解除するには根気が必要なのだ。ユリスは目を閉じながら魔法陣から感じる魔力の違い、量の差を解析して魔力を流し込んでいく。


 大輝はユリスの声を聞くと<超加速(ブースト)>でゴブリンメイジのもとへと急行する。そして、土の壁に近づくゴブリンを切り払いながらやってくるとそこからスライディングの体勢に移行して、ゴブリンメイジの足を蹴り払った。


「ガァッ!」


 瞬時に体勢を立て直すと空中で死に体になるゴブリンメイジの横っ腹を蹴り上げ、蜘蛛糸を飛ばして雁字搦(がんじがら)めにすると振り回しながら土の壁に近づく魔物にぶち当てた。さらに聖剣を逆手に持つと頭上に大きく振りかぶって投げた。その聖剣は多くの魔物の胴体を貫通しながら投げた方向に真っ直ぐと突き進んでいく。


「大輝さん、あとちょっとです!踏ん張ってください!」


「おうよ!」


 大輝はユリスの声に余裕な声で返した。だが、その声とは反対に大輝はやや呼吸を荒くしている。そして、汗が滴っている。いつもはこんな多くの魔物は少なくとも二人で倒していることが多かったので、常に周囲を警戒しながら戦うことはなかった。なのでこの現状が結構きつい。だが、ユリスが「あとちょっと」と言っていた。気張れよ、俺ぇ!


大輝は聖剣の柄に巻き付けていた蜘蛛糸を引いて、聖剣を右手に戻すと土の壁に向かった。そして、それを背にするように立つと聖剣と魔剣をそれぞれ前後に構え一気にその場で一回転した。


風炎竜旋(エニシングトルネード)!」


 その瞬間大輝と土の壁を中心にするように火災旋風に暴風が足されたような勢いの炎が魔物を一匹残らず襲っていく。多少森を焼いてしまうのがなんとも言えないが。この際仕方がないと許してもらおう。


 そして、その炎の竜巻が収まると同時にユリスから連絡が入った。


「大輝さん、無事終わりました。ありがとうございます」


「いいってそういうのは。それにまだ終わってないしな」


 そう言いながら大輝は一つのバカでかい気配がする方向に目を向ける。異様な気配だ。禍々しさの塊と言ってもいいほど。本来なら絶対に近づきたくないが、あれがほぼ災悪で間違いない以上向かうしかない。そして、その気配にユリスも気づいている。.......さて、ここからが問題だ。俺はユリスを連れていくべきなのか、それとも村へ戻るよう言うべきなのか。結局ここまで言えずに来てしまった。そして、これがラストチャンスであろう。だが、この討伐を開始する前にユリスはもう気づいているかのような言葉を言った。なら、もう隠す必要はないか


 そして、大輝が言おうとした瞬間、ユリスが先に話し始めた。


「大輝さん、私さっきの魔法陣を見て気づいたんです。一番近くでいたから気づけたんだと思います。これ......村長(師匠)のものなんですよね。だから、大輝さん、ハッキリ言ってください。災悪は村長なんですよね?」


 大輝は思わずユリスから顔を逸らした。そして、込み上げる悲しさを抑えつつも苦しそうに頷く。ユリスはそんな大輝の反応を見て「そうですか」というと言葉を続けた。


「......私、もう少し前からわかっていたんだと思います。この村を襲った魔法、それと同時に消えた師匠、そして決め手のこの魔法陣。けど、きっと信じたくなかったんでしょうね。それでもって大輝さんにも伝えられることがなかったですから、ただそのタイミングでたまたまどこかへ行っていたんだと」


 そんな言葉を聞くと大輝は苦しそうな顔をしながらもユリスに告げる。


「それが普通だ、リリス。普通はそんなこと信じない。自分の大事な人が災悪だなんて、俺だって信じない。けど、ユリスが言った通りユリスの師匠が災悪だ。ごめん、ずっと言えなくて。苦しいままにしてしまって」


 大輝は思わず肩を震わせ、唇を噛んだ。自分の優柔不断さがユリスを苦しめた。黙っていることが、必ずしも優しさになるとは限らない。伝えることもまた優しさになるときもある。それが今回だった。だが、俺は伝えることが出来なかった。ビビったんだ、ユリスが悲しむ想像をして。


 するとユリスは立ち上がると大輝を顔を手で押さえて無理やり自分の顔の方へと向けた。そして、悲しみとは反対に優しくどこか嬉しそうな笑みを浮かべて大輝に言う。


「そんなことないですよ。確かに苦しくはありました。ですが、大輝さんが私のことを思っていてくれたこともまた知っています。そんなに思っていたとはさすがに知りませんでしたけどね。......大輝さん、お願いがあります。私を師匠のもとへ連れてってくれませんか?もちろん、足手まといになる可能性はあるとわかっているつもりです。ですが、それでも私は師匠に伝えるべきことがあると思うんです。だからどうか私の同行を許可してくれませんか?」


「ユリス.....」


 大輝はユリスの意思の籠った瞳に釘付けになった。そして、もうビビることも、うやむやにすることも出来ない。ユリスが伝えたい思いがあることはわかる。それはあの女性から託してもらった思いと一緒だ。それからもうユリスを止めることは出来ないだろう。頬から伝わる手の熱さは言葉よりもその意思を伝えている。だから答えるべきことは一つだけ。


「わかった、俺からもよろしく頼む。村長(師匠)ユリス(師匠)の思いを伝えてこい。俺も手伝うからさ」


「ありがとうございます。この思いは必ず伝えます」


 ユリスは少し涙ぐむ。こんな場合ではないとわかっていても込み上げてくるものがある。それから大輝は気づいてないようだが、この言葉を二つの意味がある。一つ目は師匠に自分の思いを伝えること。そして、もう一つは.......


「行くぞ」


「はい!」


 大輝の言葉に元気よく返事したユリスは走り出した大輝の後ろを追っていく。


 そして、大輝とユリスはその気配のもとに近づくと一人の老人を見つけた。それは見間違えのない村長の後ろ姿だった。それからすぐに二人の気配を感じた取った()()()()()人物は醜い笑みを浮かべながら振り返る。


「おう、やっと来たか。待ちくたびれちまったぜぇ」


 ユリスは言葉を聞いてなおショックを受けた。後ろ姿を見てもやはりそれなりに堪えたが、その言葉には村長の面影すら感じさせないことに心臓が締め付けられるようであった。まさに村長の姿をしたなにかだ。そのせいか上手く言葉が出てこない。


 その代わりに大輝が動き出す。


「お前が災悪だな。名はあったりするのか?」


「勇気ある者だなぁ、まさに勇者ってか?その勇気に敬意を払って答えてやろう。オレの名はベリアル。誇り高き高位悪魔の名だ」


「悪魔ねぇ、人の姿を奪って俺達を弄ぶ......まさに悪魔って感じだな」


「わかるかようだな、ボウズ」


「お前こそな、ベリアル」


「「ははははは」」


 大輝とベリアルはともに笑った。だが、違いがあるとすればベリアルはまさに愉悦といった表情に対し、大輝は目が微塵も笑っていない。むしろ溢れんばかりの怒りの炎が揺らめいている。そんなことを知ってか知らずかベリアルは話を進めていく。


「この体、使い心地が良いぜぇ。もともとこの体がもつ魔力、そして召喚魔法という知識。まあ、一部どうやってもこじ開けられないプロテクトがあるが、まあいいだろう。それにここ最近まで急に主導権を握り返してきたからなぁ。まあ、それもいいか。だが、この肉体年齢がなぁ。動きづらくて仕方がない」


「ふざけないでください!その体は私の師匠のものです、返してもらいます!」


「あ?ああ、このジジイの愛弟子かぁ。何言ってんだ?オレはただ有効活用してやっているだけだぞ?どうせ老い先短い人間の命をなぁ。肉体が滅びる前に命が滅びる。その前にオレがありがたく使ってやってんだ。むしろ褒められてしかるべきがと思うがぁ?」


「この何を――――――――」


「何言ってんだ?クソ野郎が。村長がそんなことを望んだのか?んなわけあるか。俺は知っている、お前が(たぶら)かし、体を奪える状況まで追い込んだことを」


 ユリスの言葉を遮るように大輝は告げた。ユリスは今激情にかられ注意力が散漫している。俺も怒っているので散漫してないとは言えないが、なぜか怒りを感じてる割に思考がクリアだ。


 ベリアルは大輝の言葉に怪訝な言葉を思い浮かべながらもすぐにわかったような顔をした。


「ああ、あの女の事か。さぞかし苦しんだことだろうなぁ、このジジイを演じるために見れなかったのが残念だ」


「安心しろ。その苦しみを俺が味あわせてやる」


「やってみろ、クソボウズ」


 ベリアルはそう言うと一度手のひらを合わせるとその両手を地面へと付けた。その瞬間、ベリアルの後方に大きな魔法陣が二つ出来上がり、その魔法陣から一体は杖を、もう一体は盾と剣を持った大きなゴーレムを出現させた。


「これは俺の死霊とジジイの召喚魔法を組み合わせた特性ゴーレムだ。とくと味わえ、クソボウズゥゥゥ!」


 そう言って手を大輝たちの方へ向けると二体のゴーレムが大輝とユリスの方へ向かった。それもゴーレムとは思えない速さで。


「ぐっ!」


「大輝さん!?」


「俺の目的ははなからお前似ねぇんだよ。全てが終わるまで失せろ」


 その速さに面を食らって咄嗟に動けなかったユリスの前に大輝が立つ。だが、それを見越していたかのように剣ゴーレムが大輝は雁字搦めに捉えるとそのまま杖ゴーレムと一緒にどこかへ飛んでいってしまった。


「さあ、殺し合おう(語り合おう)ぜ?愛弟子よ」

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