第6話 エミュと冒険#3
新年号"令和”ですね。新たな時代を小説書いて楽しみたいと思います。頑張ります!
「「「「「ブギュアアアアアアアア!!」」」」」
「「わあああああああぁぁぁぁぁ!!」」
ある森の中で二人の男女が五つの木の魔物に追われるという奇妙な光景が行われている。もちろん、二人とも......否、一人は大絶叫で走っている。その人物はもちろん、大輝である。相方はというとまるで絶叫アトラクションに乗ってるかのように笑顔である。なんというメンタルであろうか、これが異世界クオリティとでもいうのだろうか。
「クソッ!なんで木のくせにこんなに無駄に速いんだよ。」
大輝の口から苦言が漏れる。そうなのだ、速いのだ、木のくせに。根っこをうねらせながら大輝の全力疾走でも振り切れない、加えて大輝はレベルアップして風属性の補助魔法をかけているのに振り切れない。大蛇より木の方が速いとはこれいかに。それから、大輝が苦言を呈したいことがもう一つ。
「ドゴーンドゴーンドゴーンドゴーン」
「うわぁ、あぶねぇって!振り落とすんじゃねぇ!」
そうこれだ。これが苦言を呈し―――――いや、もはやキレていることである。木の魔物が爆発物を振り落としながら後ろから追っかけてくるのだ。まるでハリウッド映画で出てきそうな大脱出シーンだ。どうにかして逃げ切りたいところだが、今のところ有効策が見つからない。大蛇戦とは違いこちらから攻撃したとして、それが一つのリンゴにでも当たって爆発し、そのとなりリンゴを誘爆したとしたら、そのまま次々と連鎖爆発を起こし大爆発を起こしたら、あまり距離を取れてない俺たちは確実に被爆する。
「どうすろどうする。」
とにもかくにも大爆発は避けたいし、エミュを巻き込むのを避けたい。......ん?大輝はスピードが落ちないように維持しながら、後ろをチラッと見る。現在、大輝とエミュは大輝が左側、エミュが右側で並走してるのだが、あの木の魔物が振り落とす爆発物は左側の方が多い気がする。......まあ、それもそうか怒らせたの俺だもんな......。大輝はあの時の自分の行動に後悔した。だが、今更しょうがない。とにかく自分だけが追われているのなら、エミュは自分から離れれば助かる。
「エミュ、やつらが追ってきてるのは俺だ。エミュは俺から離れろ!」
「!、分かった。」
エミュは大輝から離れ森のどこかへ消えていった。やっぱり俺を追ってんだな、よしこれでエミュの安全は保たれた。......さて、ここからどうするか。もはや助かるにはあいつらを爆破させるしかないような気がするんだよな。
すると、大輝は開けた道に出た。遠くの方に見えるのは湖だ。あそこに飛び込んだら助かったりしないか?もはやイチかバチかだ。大輝は進路を変え、湖に向かった。
「くっ!しつこいやつらだな!もぉいいって許してって!!」
「お~~~~~~~い、だ~~~~い~~~~ちゃ~~~~ん。」
「!!......エミュ!?」
大輝が若干メンタルが弱り始めたときに聞こえた天使の―――――もとい相方の声。あれ?なんで??「どうして戻ってきたんだ!」と大輝が言うと、エミュはなぜだか怪訝な顔をする。
「あれ?そういう作戦じゃなかったっけ?」
「?......作戦?」
「うん、大ちゃんが引き付けてる間になにか有効策を見つけて来てくれって意味だと思ったんだけど。」
「いや全然そういう意味じゃなくて、エミュだけ逃げろ的な意味だったんだけど。」
「そうなの?でもまあ、来ちゃったし仕方ないよね。それに仲間を見捨てるなんて竜人族の掟にはないよ、それに私自身が見捨てるなんて許さないし。」
大輝はエミュという人物を見誤っていたと思った。エミュは人を見捨てるような人ではなかった。いや、もう少し冷静ならこういうことが起き得ることもわかっていただろうか。なら、違う選択肢もあったかもしれない。まあ、確かにしかたない。今は仮定を考えてる暇はない。.......ところで
「エミュさん、エミュさん。それはいったいどこから持ってこられたんですか?」
「どうしたの?大ちゃん、急にかしこまっちゃって。」
大輝の目線はエミュが持ってきたものに視線が注がれていた。エミュが両手で頭上に持ち上げてるのは大きさが2メートル以上の大きいな石、否、‶岩″であった。大輝は思わず口をあんぐり。
「これね、大ちゃんから離れて少ししたところに埋まってたから引っこ抜いてきたの。」
「ひ、引っこ抜く!?」
「そう、引っこ抜く。」
自分と年の変わらなそうな少女が笑顔で大輝の全力疾走に並走している。これが竜人という種族の特性なのか。もはや大輝の常識では推し量れない、いや、大輝の常識の方がここでは間違っているか。
「ところで......エミュ?それをどうするんだ?......まさか。」
「そのまさかだよ、大ちゃん!これで殲滅だね。」
「いや待て、エミュ!はやま―――――。」
「そりゃああああああ!」
「「「「「ブギャアアアアアアアア!!!」」」」」
「わああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ドッゴ―――――――――――――――――ン!!」
エミュは大輝が言い切る前に岩を木の魔物にぶん投げた。まさかのことに木の魔物も絶叫。大輝は大絶叫。木の魔物に当たると大爆発を起こし、爆風によって大輝たちは思いっきり吹き飛ばされた。正しくハリウッド映画の大爆発シーンだ。
「「わあああああああぁぁぁぁぁ!!」」
「ドボォ――――――――――――――――――ン!」
大輝とエミュは飛ぶに飛ばされ湖の上までやってきてそのまま湖に落っこち、湖は大きな水柱をたてた。
青い世界の中で、大輝は息を止めながら地球にいたときのこと、この世界でのことをぼんやりと思い出した。退屈で、面白いことを探すでもなく、見つかったらいいなと思うだけで本気でもない。ただぼんやりと非日常的なことを思い眺めるだけ。そして、続いていく日常を当たり前のように過ごしていくそんな地球での思い出。そんなある日、運命が訪れた。どこからともなく現れた魔法陣。非日常的、それは俺を魅了し、掻き立てた。興味と好奇心によって飛びこんんだ俺は一人違う場所にいた。呼んだ......とは違うな、呼ばれてもないのに飛び込んだからか、誰からもこの世界の説明はなく俺はただただ一人だった。この世界を知るために探索をした。それから知ったこの世界の危険を、戦いを、出会いを、そして常識を。
大輝に向かって人の姿が近づいてくる。手が近づいてくる。ああ、俺はこの世界に来て怖いことばっかだったけど......。大輝はゆっくり手を伸ばす。手と手が繋がる。エミュの顔が大輝のすぐそばまでやってくる。大輝は思わず笑みがこぼれる。......俺、なんだかんだで楽しいんだな。......エミュ、出会ってまだ短い時間だけど......
「ありがとう、エミュ。」
大輝は口に含めた空気を漏らしながらも言わずにはいられなかった。もごもごとした声が青い世界に響き渡る。エミュには伝わったかどうかわからないが、エミュは嬉しそうに笑った。そして、大輝たちは水面に浮上した。
もう少しキャラの深層を書けるように頑張ります。
それではまた次回




