第64話 反省会?
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「「はぁ.......」」
大輝と香蓮に一悶着あった後、ある一室では三人の男女が集まっていた。そして、その内の二人が大きくため息を吐いた。実に「やっちまったー」といった雰囲気を醸し出して。
「これってどうすればいいのかしら?」
「どうすればって言われてもなぁ......」
「さすがに今は経過観察じゃないかな~」
茉莉は苦笑いを浮かべながらそう言った。その言葉に俊哉はよっぽどだと感じていた。茉莉はこういった感情に疎い部分があると自分で言っていた。そして、それは前に会話したときに本当のことだとわかった。そんな茉莉が空気を察した言い方をしているのだ。事態はそれだけ深刻化している。
「まあ、二人ともやることはやってくれるからまだいいんでけどな」
「全然良くないわよ。あんな状態で集中できると思ってんの?気が散って仕方ないわ」
セレネは俊哉の意見を真っ向から否定した。言わんとしていることはわかる。案外人ってのは余計なことを言うもんだし。そう考えると今の発言はさすがに不味かったな。
すると茉莉がパンッと一回手を叩いて二人の注目を集めると発言した。
「それじゃあ、もう一回話合わせればいいんじゃないかな~」
「茉莉?あんた、言ってる意味わかってんの?そういって私たちが二人の関係を焚きつけたからこうなってるんでしょ?」
「でも、解決も二人しかできないよね~?すると必ずどこか再び話し合う必要があるわけだし~」
「それはそうだけど......」
セレネは思わず口ごもる。だが、その顔は納得していなくて、言いたいことがいろいろとありそうな感じであった。
俊哉は茉莉の意見もわかった。二人の問題、簡単に片づけるならば結局のところそうである。だが、散々振り回しておいて気持ちもなにもバラバラにしておいて解決は二人にさせる。二人にしか出来ないとは分かっているが、それほど無責任な話はあるだろうか。しかし、今の南に共感できるほど俺はその気持ちを理解してはいない。
「セレネ、茉莉、二人は南になにか伝えることは出来そうか?」
「無理ね」
「さすがに難しいかな~」
......まあ、結果はわかっていた。だからこその八方塞がり。こういう時に話せる相手は......
その時、ドアが突然ノックされた。三人は訪ねてきたのが香蓮だと思って思わずビクッとした反応をする。しかし、ドア越しに話された声は香蓮のものではなかった。
「少し入ってもいいかな?」
「ははは、タイムリーすぎね?」
「こういう奴よ、エミュは」
「でも、もしかしたら打開策が出るかもね」
茉莉の言葉にセレネはあまりいい表情を浮かべなかったが、そもそも一番最初に香蓮に大輝を焚きつけたのはエミュである。なので、こう言ってはなんだが、打開策ぐらいはあってもらわなきゃ困る。
そして、エミュがその部屋に入ってくると三人のいるテーブルに向かった。そして、そこにある椅子に座ると三人を見据える。
「で、どこまで話してたの?」
「あいかわらず理解が早くて怖いぐらいだわ。それでどこかまで話してたかってことだけど、正直な話どこまでも話せてはいないわよ。スタートラインすら立ててないような感じ」
「なるほど」
エミュはセレネの意見に納得すると少し考えてから三人に言った。
「私もわかんないかな」
「ちょっと、エミュ?あんたがそれを言うのは無責任じゃないの?」
「言いたいことはわかるよ。でも、もう関わってはいけないところまで来てるし。二人とももう答えは持っている。そして、その答えをどうするかは二人次第。だから、やっぱ無責任な話だけど様子見ってのがベストじゃないかな?」
「ここまでか」と俊哉は思わずため息を吐いた。大輝と南のどちらとも近い位置にいるのはエミュしかいない。そのエミュが様子見って言っているのだ。もうこれ以上は二人を刺激してはいけない。だが、関わり過ぎないのも良くない。ああ、なんという疲れる立ち位置だ。俺にも癒しが欲しい。......あとでレオをモフるか。
するとセレネがエミュに話題を振った。その内容は俊哉にとっても気になる内容だった。
「それで、あんたは本当にそれでいいの?」
「大ちゃんと香蓮ちゃんの距離が近くなるってこと?」
「はあ......あえて濁してやったのに。まあ、気にしないならいいわ。そういうことよ」
セレネは言い終わるともう一度ため息を吐いた。もうこれまででどれだけため息を吐いただろうか。もうだいぶ更けるぐらいには吐いているのではなかろうか。......後で鏡でチェックしなければ。
エミュはセレネの問いに先ほどは違って考えることもなく言った。
「うん、これでいいんだよ。セレネちゃんには前にもいったと思うんだけど」
「知ってるわよ。『香蓮が好きだから』でしょ?でも、普通は好きでもそこまではしないんじゃない?」
セレネの言うことは当然のことであった。例えば、自分の大親友が自分が好きな人と同じ人を好きになったとして、身を引こうとしてる親友を引き留めてまでその人に近づけようとするだろうか。普通はしない。そこには欲が働くから。好きな人に近づきたい。好きな人と一緒にいたい。好きな人に自分を見て欲しい。好きな人が自分を好きになって欲しい。そして、好きな人を独り占めしたい。その心理が普通のはずで、あたりまえのはずだ。わざわざ好きな人が親友に振り向くリスクを負う必要はない。なのにエミュはそれをやる。その意味がセレネにはわからない。
するとセレネの質問にあっけらかんとした様子でエミュは答えた。
「これも前に言ったけど、私は香蓮ちゃんに後悔して欲しくないんだ。それにどこかで吐き出さないと香蓮ちゃんの心は潰れてしまっていた。だから、そう意味ではこれはいい機会だったかなって」
「それ本気で言ってるの?」
セレネはエミュの言葉に怒気を込めて言った。エミュが何を考えているかはわからない。けど、その言葉はエミュが言ってはいけないものだということはわかる。それもあまりに無責任だ。見方を変えれば、香蓮の気持ちを弄んでいるようにしか見えない。だが、エミュはその言葉にどこか冷ややかな表情で答えた。
「私......嘘ついたことないけど?」
「......!」
セレネはその言葉に衝撃を受けた。確かに、エミュは黙っていたことはあるが、これまで嘘をついたことはなかった。ということはこれまでの発言は全て本気で言っていることなる。エミュは本気で香蓮を大輝に惚れさせようとしている。いや、もともと惚れてはいるのだが、それを考慮したうえで大輝に近づけさせている。もうセレネにはエミュという人物が測れないでいた。
そんなセレネにエミュは朗らかな表情を浮かべると告げた。
「今のセレネちゃんに私を理解することは難しいかな」
「ちょっと、心を読まないでくれる?」
「ははは、ごめんね」
そう言いながらエミュは立ち上がるとドアに向かって歩いていく。そして、ドアノブに手をかけると顔だけ振り返ってセレネに告げた。
「でも、安心してそう遠くないうちに私の行動がセレネちゃんになら理解できるから」
それだけ言うとエミュは部屋を出た。しばらくして、セレネが「頭が痛いから少し休む」といって部屋を出た。そして、現在呆気に取られていた俊哉とただ黙って聞いていた茉莉の二人だけになった。
「......で、あれが感情というもんだ」
「なかなか難しいね~。話の内容はなんとなくわかったんだけど、その内容に対する感情の理解が追いつかないよ~」
「なるほどな、まあ追々ってとこだな」
俊哉は茉莉の発言の意味がわかっていた。なぜならこれが茉莉が「付き合おう」と言ったわけなのだから。前にも言ったが茉莉は自分に疎い部分がある。それは特に感情の部分にでだ。前にあのダンジョンで話した時も「どうして南はハッキリ言わないのか」と言っていた。これは香蓮が言いたくても言えないという感情を理解しきれていないからああいう発言になったのだ。そして、その感情を理解するために俺に偽の恋人になってくれと頼んだ。そんなので理解できるとはあまり思えないが、まあ手伝ってやるのもやぶさかではない。だが......
「はぁ~~~~~~」
「?」
俊哉は思わず机に突っ伏した。初めて付き合うのが偽の恋人役とは、いかんせん未だに理解が追いついていない。どうして俺なのかとは言わないが(俺しか他に男がいないしな)、どうしてその思考結果に至るのかは是非とも教えて欲しい。これも頭が良い故の弊害なのか。
「どうしてそこまで感情を理解したいんだ?」
俊哉は姿勢を起こすとそっと聞いてみた。偽の恋人なんて形式上付き合ってるだけと同じでそれはなんか自分にとって気分が良くない。なら期限やら目標を定めて早くことを済ませるに限る。
その質問に茉莉は少し考えると答えた。
「あの二人のことが理解できるぐらいとか~?」
「うっそだぁ~~~~~~~」
俊哉は再び突っ伏した。これはつまり大輝と香蓮の問題が解決したとしてもそこで終わらないということを意味していた。全ては茉莉次第。今のままでは終わる気がしない。
「本気?」
「ほぼね~」
俊哉は全力でその数パーセントになることを願いながら大きく疲れたため息を吐いた。
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