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第98話 実体を捕らえよ

日々暑さを増しておりますので、こまめな水分補給を行うようにしてください。


評価、ブックマークありがとうございます。復活源になります(*'ω'*)

「こいつは偽物、こいつも偽物、こっちも偽物、あれも偽物、そっちも偽物、そんでこれも......」


「本物だ、ボケ」


「あいたっ!」


 大輝はが偽物だと思っていた俊哉はどうやら本物のようで、その俊哉に「気づけ」という意味を込めたチョップをされた。大輝は思わず額を抑えながら、<精霊の瞳>で見てみるとゴブリンの姿はしていなかった。大輝はそのことに思わず安堵の息を吐く。


「良かった~。やっと本物に会えた~」


「まあ、何があったかはなんとなく察したけど.....」


「何があったのか教えてくれる~?」


 茉莉にそう聞かれた大輝は正直にそのことを放し始めた。まずはいくつものわかれみちがあったこと。そして、宝石を得る前の最後の分かれ道で仲間と分断される罠にかかったこと。


そして、罠を解除してエミュと香蓮に再会したかと思えば、それが二体のゴブリンであったこと。それから、二人を探しながら分かれ道をさまよい歩いていたこと。


 大輝はそれらを一気に話して、改めてその時のことを思い出したのか疲れたようなため息を吐く。そして、同時に俊哉達の数個の宝石を見せた。


これは大輝がさまよっている間に他の場所で見つけた場所だ。もちろん、その時にいろいろと罠に襲われたが、この時ばかり最初にウンディーネに会ったことが喜ばしく思うことはなかった。


 そして、同時に気付いたこともある。それはこの道が繋がっているということ。最初は初めにいた場所のいくつかに分かれている道がそれぞれ個々で完結しているものかと思っていたが、その道はそれぞれどこかで繋がっていてるようで.......だから、こうしてさまよっている。そして、分かれ道が多すぎてどこを取ってきたのかわからないため、最初にいた場所に戻れなくなっている。


 大輝の説明を聞いた俊哉達は総じて気の毒そうな顔をした。そして、そんな感情の籠った手で大輝の肩を叩く。


「まあ、とりあえず俺達についてこい。俺達も戻るところだかな。それから、なぜかさっきからセレネに睨まれてるし」


「え、そうなのか?先ほどまで機嫌が良いとは言わないが、それでも悪くはなかったぞ?」


 大輝はそう言いながらセレネを見ると確かに睨んだような目をしているような......デフォが釣り目なもんで随分とわかりづらい。すると大輝の視線に気づいたセレネが大輝に向かってはしゃいだような顔をしながらバシバシと叩き始める。......やっぱ、俺の勘違いだったか?


 そうは思いながらももう深くは考えないようにした。今は二人の安否の方が大事だ。そして、俊哉の精霊の導きでなんとかもとの場所へと戻ってくるとその場にはエミュと香蓮がすでにいた。大輝の存在に気付いたエミュは一目散に大輝へと向かって来る。


「大ちゃーん!」


 だが、エミュが大輝に近づいた途端、大輝に距離を取られた。その行動は鋼のメンタリティを持つエミュに確かなダメージを与えた。


「大ちゃん、どうして......」


「あ、いや、そういう意味じゃないんだ。ここに来る前にエミュのような幻想を纏わせたゴブリンに何体も会って来てな。それで思わず本物だとどこかわかっていながらも疑っちまったというか」


「......なるほど」


 エミュは拳を握りしめるともう大輝によってお亡くなりになっているゴブリンに怒りの矛先を向けた。そして、一発でもぶちかませないことにイラ立ちを募らせている。こんな姿を見たのは初めてだった大輝は思わず驚きの顔を見せる。


 すると香蓮がその空気に一旦区切りをつけるように二回ほど手を叩く。そして、どこかで回収してきたであろう宝石を見せた。


「これってあの台座にはめるものよね?私達は二個ほどしか見つけられなかったんだけど」


「俺達は三個だな」


「俺も同じ数だ。で、見た所ここにはめる数は八つある。ちょうど同じ数だ。ということは......」


 大輝は香蓮と俊哉から宝石を受け取ると一つ一つ台座へとはめていく。するとゴゴゴゴッと鈍い音を立てながら台座は横にスライドした。そして、その台座のもとあった位置には地下へと続く階段がある。そこに光はなく先は見えない。しかし、気配がする。それは他の魔物ではなく、災悪特有の強大な気配。


 大輝は先ほどの茶番のような空気を一瞬で霧散させた。そして、その階段したにいるであろう災悪に確かな強い目を向ける。


「行くぞ」


 大輝は後ろに振り返ると静かにそう言った。そのたった三文字は全員の心を引き付けた。もう四度も災悪と戦ってきたからか勇者らしい顔つきになっている。その言葉に頷くように全員が大輝のもとへ近づくと大輝を筆頭に階段を降り始めた。


「!」


 大輝が階段を降り終わってもその空間は真っ暗であった。まるで黒い災悪の姿を隠すかのように。大輝は手のひらに出した炎の火力を上げて周囲に明りの範囲を広げた瞬間、一つの短剣が大輝の顔面に向かって跳んできた。


 大輝は避けることも出来たが、それでは後ろの仲間に被害が及ぶ可能性がある。咄嗟にそう考えた大輝は左手を短剣の軌道上より少し逸れた場所に突き出した。そして、そのすぐさまに左手を動かして、その短剣の柄を手に取って止めた。


「......全員、迎撃態勢」


 大輝はその瞬間、一つの未来を見た。それは前方から咄嗟にでは避け切れない無数の剣が飛んでくる光景を。そして、その剣で突き刺さる自分を含めた全員の光景を。この<先見の瞳>はまだ自在に使えるわけではない。だが、自分が死ぬ場合に限っては発動するみたいだ。


 この魔法はやはり凄いと思いながらも意識をすぐに正面へと変える。そして、前方に向かって右手をかざすとこの空間を照らすように魔法を放った。


「「「「「!!!」」」」」


 すると目の前の光景に全員が驚いた。それは、無数の剣が空中に浮いているのだ。魔法で出来た剣ならば、話はわかる。しかし、大輝が掴んだ短剣も、宙に浮かんでいる光沢のある剣も全て実物だ。それを浮かばせているのは魔法か、それとも全く別のゴースト故の力か。それともう一つそれに加え厄介なことに気付いた。


 それはこの場が宝物庫であったことだ。まるで漫画やゲームでしか見ないような金銀財宝が山のようになっている。そして、その中にはいくつもの宝飾が施された剣やなにかは業物とも思われる剣もある。その何が問題かと言うとそれらの財宝が全て相手の武器であるということだ。


『ククク.......』


 目の前にいるゴーストは神経を逆なでるような笑い方をすると剣を一斉に射出させた。大輝は左手に持っていた短剣をゴーストに投げると腰に移動させていた剣を引き抜いた。そして、向かって来る剣を引き抜きながらゴーストに向かって直進していく。


『ククククク.......』


「チッ!」


 ゴーストはそれで止められないとわかれば、すぐさま財宝からコインや王冠やらの何から何まで発射した。これに対し大輝は思わず舌打ちして立ち止まった。なんせ的があまりに小さいからだ。コインなんて特にそうだ。しかも、速度がかなり速い。銃弾ほどではないであろうが。それでも当たれば、かなりのダメージを出るであろう。


「しゃらくせえぇ!」


 大輝は気合一発前方に風魔法を放って、向かって来る武器全ての軌道を無理やり捻じ曲げた。そして、大輝の横をエミュ、香蓮、俊哉が通り抜けると一気に攻撃を仕掛けた。


 俊哉は上から下に袈裟切りに、エミュは横から顔面に向かって拳を、香蓮はエミュと反対側から刀を突き刺した。


「「「!!!」」」


 だが、その攻撃は全て通用しなかった。攻撃が届かなかったという訳ではない、攻撃はちゃんと届いた。だが、その全てが通り抜けるようにして捕えられなかったのだ。すると、そのゴーストは三人それぞれに自らの黒い何かで針のようなものを作り出すと一気に突き出した。


「がはっ!」


「あだっ!」


「ぐっ!」


 三人はそれぞれ動ける範囲で最大限の避けをした。だが、それはあくまで致命傷を避けるため。近づきすぎた時点で当たらないわけがない。そして、俊哉は脇腹を、エミュは左肩を、香蓮は踏み込んだ右足を貫かれた。


「何をやってるの~!」


 茉莉は怒ったように声を張り上げると魔力の矢を三本ずつ連続射出した。だが、それの全ても通り抜ける。だが、当たらないとわかっていればそれでいい。今の目的は攻撃された三人の保護だ。するとゴーストがこちらへ意識を向けている間にレオ(大)が三人を確保して戻ってきた。


炎消刃(バンスラッシュ)!」


 代わりに大輝が突っ込んだ。実体のない攻撃が効かない。なら、魔法ならばどうだとばかりに炎の斬撃を放った。だが、それすらも通り抜ける。そして、ゴーストは自らの姿を変え、無数の針と化すと大輝へと突き出した。


 だがその時、大輝は理解していた。逃げ場はないとなぜなら大輝を全方位から囲むように剣やら宝石が向けられている。これが当たればひとたまりもない。そして、何より今自分の背にはセレネが居る。


 しかし、この状況に対してセレネは冷静に全てを見ていた。そして、全ての剣や宝石の位置を確認すると大輝に告げた。


「......前だけ見て。後ろは任せて」


「え?......わかった。ドリィ、少しだけ魔力を解放してくれ。切り抜ける」


「了解なの」


 大輝は自分に魔力を流れ込んでくるのがわかると両剣をゴーストの突きに合わせて横なぎに振るった。すると先ほどとは違い。確かな感触があった。一方、大輝の背後ではセレネが<影の手腕(ゲンガーハンズ)>で一斉に襲いかかってくる剣や宝石を払い落としていた。


 大輝は前方で全ての突きは捌いていく、背後ではセレネが全ての攻撃を捌いていく。するとゴーストが大輝から距離を取り始めた。


「主様は少し前にわらわを突き出してくれ」


 大輝はフランからの突然の申し出に乗ると聖剣をゴーストに向かって突き出した。その瞬間、フランの意思で輝く銃弾のごとき魔力が発射された。そして、その魔弾がゴーストに当たった。


『ギギギギギギッ!』


 そのゴーストは初めて苦しんだような声を出した。その光景を見て大輝はフランに話しかける。


「何をしたんだ?」


「簡単なことじゃ、神聖属性を付与した魔力を放ったまで。やはり、実体のないゴーストと言えど災悪には変わりない」


「つまりは効くということだな」


「そうじゃ。じゃが、試すとはいえ今のは不味ったのじゃ......」


 大輝はその言葉を疑問に思ったが、すぐに訳が分かった。それはゴーストが財宝の山を使って自身を覆うように装着し始めたのだ。そして、同時に自分の分身のような財宝でできた魔物をも作り出す。それも何十体と。


「全員、時間をかけるとジリ貧になるのはこっちだ。だから、少しだけでいい。仕留めるぞ!」


「うん!」


「わかったわ!」


「おうよ!」


「やるよ〜!」


「ウォン!」


 そして、セレネも同意するように大輝の頭を軽く叩くと大輝は剣を構えた。

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