表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
94/550

製鉄③

 溶鉱炉を実際に使ってみる。

 俺は監督兼保護者枠で付いてきた。やるのは皆だ。俺は指示以外の事をしない。



 まず、火種を入れる。火をつけた木炭だね。それを平らに並べる。

 次に、鉄鉱石を入れる。これも平らに並べる。

 たまに石灰を撒く。


 それを繰り返しながら溶鉱炉いっぱいまで入れたら蓋をする。蓋は完全に密閉するわけではなく、発生する高温ガスを抜くための、そのガスを再利用するためのパイプがつながっている。

 あと、鉄鉱石や石炭を追加する穴もある。



 送風口にフイゴを使って新鮮な空気を送り込む。1人でやると大変なので、3人がかりだ。

 溶鉱炉内に送り込まれた空気が火種の熱を周囲に伝播し、溶鉱炉内の温度を高めていく。


 炉の内部温度がどんどんと高まっていく。

 透明なボーキサイトでは中で発生した光が漏れて何かと危険なので、ボーキサイト二重構造の外に石でできた壁を2枚設置してあるが。この2枚の壁を貫いて中の熱さが漏れ出てくる。今は真夏という事もあって、参加者は全員フンドシ以外の着衣をしていない。



「出てきたぞ!」


 空気を送り込み始めてから1時間。溶鉱炉から鉄が出てきたらしい。


 熔けた鉄は直視できない。そんな事をしたら目が潰れる。

 しかし、熔けた鉄を運び出さないと、鉄が冷えて固まり、出銑口が塞がってしまう。ついでに、最初の方に出てくる鉄は純度が低いスラグ(ゴミ)混じりの鉄でしかない。これをできるだけ意識して分離しないと駄目だ。

 目視してはいけないものを、どうやって見て判断するというのか。


 しょうがないので最初から作る量を決めておき、専用の穴に落とすに任せることにしている。熔けた鉄が通る穴とそこまでのルートはほぼ完全に石で覆われていて、目視できないようにしてある。

 スラグ混じりの鉄用に、真っ直ぐなルートで落とす小さな穴を一つ。

 本命の鉄用に、駄目な鉄の穴の奥にもう一つ大きな穴を作った。


 一つ目の穴にスラグが混じった鉄が落ちる。落ちた先には氷水が張ってあり、熔けた鉄に触れて水蒸気爆発をする。先ほどの「出てきたぞ!」という発言は、その水蒸気爆発を確認したという意味だ。穴のある方に目を向ければ、もうもうと立ちこめる湯気が見えた。

 穴をふさぐために、係の者がどんどん水を流し込む。入れた端から水蒸気になってしまうが、それでも水を足す。一つ目の穴を塞ぐためにも。



「本命、入ります!!」


 立ちこめる湯気が太くなった。本命の鉄用の穴に溶けた鉄が辿り着いたらしい。周囲からわっと歓声が上がる。

 一つ目の穴に落ちた鉄が穴を満たし、屑鉄が冷やされ固まったその上を通り、本命の鉄が次の穴に流し込まれているのだ。そちらの穴にも水が少し入れてあって、再び爆発した事で穴に鉄が入ったことが分かったのだ。


 そうなると、もう一つ目の穴に水を流し込まなくてもいい。

 忙しいのはフイゴ担当者ぐらいだ。



「あとは出来次第かな」


 ここまで出来るのは、予想通り。そこまで難しい話ではない。

 残るは鉄の状態である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >最初の方に出てくる鉄は純度が低いスラグ混じりの鉄 それって、炉を傾けて上から流し込んだ場合ですよね? 見たところ、固定式の高炉だと思うので、鉄は下から流す構造だと思っていたのですが?…
[気になる点] コランダムをボーキサイトって言う人は初めて見ました。 これだと炉に入れている「鉄鉱石」というのも純鉄のことかもしれませんね 普通のボーキサイトは透明ではありません
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ