魔法植物(下)
出来たマジックアイテムは微妙な性能で、数日間は普通に使えたけどその後の保障は一切ない不安定な代物。
わざわざ温度保護をかけつつガラスコーティングなんて離れ業をやってみせたにもかかわらず、得られた結果が微妙では面白くないのも当然だろう。
可能なら浄水器やコンロになりそうなものが見つかってくれればよかったのに。そう思ってしまう。
無い物ねだりをしてもしょうがないので、この魔法植物に名を与え、増やすところからスタートしようと思う。
余談ではあるが、見た目がスズラン――毒草――の為、食べようという気はない。実際に毒があるし。
サヴと少し話をしたけど、魔法植物の名前は「湖影草」とする事にした。スズランの別名が君影草だったので、それに因んでみた。
まずこの湖影草、キメラ化すると魔法植物としての性質が失われるようだ。魔力に一切の反応を示さなくなる。加わった特性は毒だけだ。
作った時に使った湖影草の素材をケチったのが問題なのかもしれないけど、そこはもうしょうがない。あんまり傷つけると回復魔法を使っても枯らしかねないので、あまり実験ができないのだ。種の方に期待するしかない。
次に環境を似せて同じように魔法植物が生えないかの確認。
村から離れた所にもう二つ丘を作り、同じように地底湖を用意する。二つ作ったのは、経過を含めて再現するのと仮定をすっ飛ばして今の地底湖を再現するのと、二パターンを比較するためだ。
どちらも失敗する可能性が有るけど、もしダメでも湖影草の種を蒔くぐらいはしようと思う。
最後に地底湖周辺の調査だな。
地底湖周辺に魔力が濃いとか薄いとかそういう事実は無い。ごく一般的な場所だ。グラメ村以北は魔境などと呼ばれているが、本当に魔力で凶化されたモンスターが出現するという訳ではない。単純に人の手が入っていないエリアという意味でそう呼ばれているだけだった。
それなのに魔法植物が突然生えたのはどういう事なのか。地底湖の周辺に特異点が無いかを山菜探しのついでに探して回っている。
可能性としては俺がここに赴任してきたことが湖影草が生えた最大の理由かもしれないが、それとは別の理由があるかもしれないし。とにかく今は少しでも情報が欲しいのだ。
湖影草とは別に、集めた情報が無駄になる事も無いからな。やる価値はある。
これらはいきなり結果が出る類の話ではないので、ゆっくり時間をかけて推し進めていこうと思う。




