表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/550

家畜の話(下)

「なら、ウチんとこから人を出すさ!」


 漁業チームから数名、人を出してもらえる事になった。



 漁業・農業・林業と、ある程度は本人の希望するチーム編成を行っているのだが、やっているうちに人間関係や適性の問題で別のチームに移動したい人間が出てくる事がある。

 漁業リーダーから見てその連中はやる気の低減が見られたが、いちいち俺に報告するほどの問題とは思っていなかった。だが、こうやって配置変更できるならその方が良いと考えたわけだ。


 念の為に他のリーダー達にも話を聞いてみたが、ちょっとやる気が無い奴はどんな時にもいるものだし、いない方が不自然だと言われた。

 ノルマをこなさない、こなせない。人間関係にヒビを入れる。

 そういった問題行動を起こさない以上、受け入れてやればいいと笑っていた。


 つまり漁業チームのはみ出し者どもは、あとちょっとでそこに引っかかる可能性があった訳ね。

 そいつらの仕事ぶりには注意が必要か?

 頑張れば畜産リーダーの地位を約束すると言えばやる気を出すか?

 って、ああ。そういう事ね。

 出世欲があっても上になれないと知ってしまえばやる気が下がるわけか。金銭以外の報酬、地位や名誉が必要な奴もいる訳ね。

 部隊をもう少し小分けにして、役職数を増やすか?





 話し合いを終えて兎を見に行くと、兎は既にお肉になっていた。

 (ひも)で近くに繋いでおいた兎が消えていたので周りの者に確認してみたら、「解体しておきましたよ」と言う素敵な回答を頂いたのだ。


 おお、うさぎよ。おにくになってしまうとはなさけない。


 どうやら兎を見た誰かが気を利かせて解体したらしい。

 まぁ、畜産は普段からやっている朝礼でも計画に出てこない突発的な話だったし。ペットを飼うといった発想は貴族的な発想だから、肉にする以外の考えが出てこなかったのだろう。


 本格的に人を動かすのだ、2羽から始めるわけにもいかないので補充は計画通りなんだけど。

 突発的な行動に対する対処としては、解体はNGかな。

 決められた作業手順から外れる状況のうち、緊急性を要さない事は上司の確認をするのが基本だし。



 こっちも生かして連れてきた事の異常性を指摘されたからって油断してたわ。

 もう少し慎重に、見張りを付けるぐらいはしないといけなかったな。

 俺も上司としてまだまだと言う事だろう。





 その後、畜産業は小規模ながらスタートした。

 今年は兎だけだが来年の春から猪も増やすと宣言しておき、それを見越した配置をする事に。


 農地は今後も北に向けて拡充するから、住居は南に増やすつもりで考えている。

 西の方、村から少し離れた場所に新しく囲いを作り、そこを畜産センターとして機能させる。距離を離したのは糞尿の臭いや、発生するだろうハエなどの害虫から住居エリアを守るため。

 住居エリアと畜産センターの間には臭気の強い木を植林をして、ミントじゃないけど爽やかな匂いのする香草を繁殖させて、壁を高めに設置し、少しでも悪影響が出ないように努力する。あまり効果が期待できないのは知っているが、それでもやらないよりはマシだと思う。


 一度始めてみれば、当初の計画に無かったあれやこれやが見付かり、いつの間にかやる事の規模が大きくなっていた。よくある事だが、もっと計画の段階で詰めておかなかった事を少し後悔。

 もしも来年の春から畜産をスタートしていれば、効果が見込めないか手間が大きすぎる事もあっただろう。人手の面では余裕がまた(・・)なくなったが、施設の面では前倒しで計画を進めたことがプラスの材料になったのは間違いない。



 兎の後ろ脚は幸運のお守りになるんだって。

 きっとお肉になった彼女らは、俺に幸運を運んで来てくれたのかもしれない。

 とても美味しゅう御座いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ