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第0話 プロローグ

大陸は、数多の戦争を経て発展した。

そしてその戦乱を最も巧みに利用したのが、我らフワンシア王国である。


長き戦乱の果てに、諸侯たちの権力は削がれ、

王権はかつてないほど強大になった。

絶対王政は完成し、王の命令は大陸西部の果てにまで届く。

他国を圧倒する力を、我らはついに手にしたのだ。


だが、我が国の隣に広がる帝国は、まったく異なる姿をしている。


帝国は未だ統一とは程遠い。

三百を超える諸侯が勝手に軍を動かし、

都市は独自の法を敷き、

皇帝は名ばかりの調停者にすぎない。


その姿は、まるで――

中世の残骸がそのまま大陸の中央に残っているかのようだった。


帝国は弱体だ。

だが、弱いからといって侮れない。


三百の諸侯が持つ軍勢と富を合わせれば、

その潜在力は大陸のどの国家をも圧倒しうる。

フワンシアの宮廷では、帝国を軽蔑しながらも、

その底知れぬ力を誰もが恐れていた。


さらに脅威は陸だけではない。


海を渡った先にあるプランタジネット王国――

歴史的に幾度も戦争を繰り返してきた宿敵である。

奴らもまた、我らフワンシアの覇権を阻止しようと、

密かに策を巡らせている。


フワンシア王国は栄光の頂点に立ちながら、

その周囲は不穏に満ちていた。


そんな時代のただ中で、

王家に新たな命が誕生した。


父は 覇王ルイ9世。

大陸に覇を唱えた強王であり、

その治世こそフワンシアの黄金期を築いた男である。


兄は 突進公レオポルド。

若くして武勇を示し、

“突進公”の異名で知られる王太子だ。


そして――

その二人の影と光を受け継ぐように生まれた第2王子。


名は、シャルル。


後に「光の王子」と呼ばれ、

激動の大陸を照らす存在となる少年である。

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