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第八話〜九話「花の女の子とギルドの問題児は兄妹らしいです!」

お読みくださってありがとうございます!第9話まできました

 


 ♪

 ♪


 ♪


 花冠を付け、灰の髪をした少女がログハウスの中で兄を看病していた。温くなってしまった額のタオルを真水に付けて絞っては、また額へとおく。


 少女は、兄の手をぎゅっと握りしめ、ここにいるよと想いを込める。

 熱が下がるわけではないが、病人の時に兄が同じようにしてくれたことを少女はぼんやりと思い出した。


 自分の手に重なった兄の手が、どれほど心強かったか。

 少女は、自分の手に、お兄ちゃんが早く、よくなってくれたいいのにと願いと祈りも込めた。


「……お兄ちゃん……熱が下がらないです……」


 だが、目の前には息苦しそうに呼吸をする兄。

 少女は、居ても立っても居られなくなってしまって。


「待ってて下さいお兄ちゃん!オフィーが薬草を積んできますから!」


 近くの街まで行くにも、道中で魔物が出るために、一人で外に出てはいけないという約束が少女にあった。けれどそれ破って、少女は家から出ては森の中へ駆け出した。


「っ……。う、……。オフィー……リア?」


 家のドアが閉じる音に反応した青年が、熱にうなされながらぼんやりと目を開けた。


「オフィーリア?」


 だるい体をのろのろと起き上がらせる。だが、見渡せるくらいの広さしかない家の中には人影も気配もない。


「……まさか!!外に出たのか!?」


 青年は剣を杖代わりに握り、ふらふらと家を出ようとした。


「っ……う……」


 病人がそう易々と動けるわけもなく。青年は数歩で力尽きては、その場に倒れ込んでしまった。

 青年の意識が遠のいていった。




           △▼




 少女たちは街を出て、草原の中に作られた土の道を歩いていた。

 今日もいい天気で風が気持ちいい。


「ぷんぷー!!」


「やぁ!《炎魔法(ファイヤー)》」


「ぷんぷんぷん!」


「えい……」


「がう!」


 スライムが少女たちを襲うも、魔法と矢と獣によってあっさり撃退されていく。


「ぷんぷんぷーん」


 スライムは仲間を呼んだ!

 ピラミッド状に積み重なったスライムが出現する。


「ルーくん!やっちゃえ!!」


「がう!!」


 不敵に笑った黒髪の少女が、ピラミッド状に積み重なったスライムに向けて指をさす。一匹の狼が頼もしく吠え、モンスターへと突進していく。あっという間にモンスターが蹴散らされて消えてしまった。


「お疲れ様ひのちゃん!」


「お姉ちゃんもおつかれさま」


 戦闘が終わった甘い茶色の髪の少女、いのりが、妹のひのりの元へ駆け寄る。


「それで、あの森の中を抜けた先にある木のお家だっけ?ひのちゃん地図持ってる?」


「ん、受付のお姉さんが言うには……。ただ、モンスターは出るから気をつけて欲しいって……」


 姉の言葉に頷いたひのりは、地図を見ながら草原から森の中へと続く道を指さす。

 森はその向こうの山道へ続いているのか、森の先に山が見えていた。


「それにしても……。こんなに街から離れたのは初めてだね!街の門近くでしか討伐していなかったから。わくわくしちゃう!ね!ひのちゃん!」


「私としては、もうちょっとお姉ちゃんのレベルを上げておきたかったけど……。お姉ちゃんも魔法を使って討伐できるようになったのは昨日のことだし…」



 むぅ……と唇を窄めるひのり。だが、ギルドのお姉さんに頼まれてしまったものは仕方がない。


 そう、二人が今こうしているのはギルドのお姉さんに頼まれたからであった。


 昨日お姉さんから頼まれたお願い。それは、森の中に家を建てている人の様子を見にいって欲しい、ついでに届け物をして欲しいということ。


 お姉さんは、その人物にギルドに来ると約束をしていた日をすっぽかされてしまったらしい。ちょうど いのりの魔法が暴走した日が昨日であれば、一昨日のことだ。その人物も冒険者だ。もしかして何かあったのではと、いうことだった。


 いのりもひのりも、なんとなく気がついていた。

 頬を赤らめて、もじもじと恥ずかしそうに「お二人だから頼めることで……」とか言う受付のお姉さんの様子は、あれは確実に恋をしていると。



「キューピッド大作戦だね!!」


 人の恋愛に協力できるとあってか、やたら いのりが気合を入れている。


 ひのりとしては、モンスターが出る森の中に住居を構えているような冒険者だ。どんな物騒な人物かわからない。

 いろんな男の人の姿を想像してしまっては、はわわっなんて話しかけようかとシュミレーションしていた。


 お昼ということもあって、森には太陽の光が差し込んでいる。灯りや足元には困らなさそうだ。上を見上げれば、木に生えた果物が光を反射して美味しそうに輝っていたし、小さな動物が木の上から姉妹を見下ろしていた。


 姉妹がゆるゆると歩いていると、蛇型のモンスターやスライム、虫型のモンスターなどが出現する。



「ひやぁぁぁ!!虫!!きもい!!いやぁぁぁぁ!!おね、おね、おねえちゃぁぁぁぁん!」



 虫嫌いのひのりが、やたら大きいサイズのモンスターに顔色を真っ青にする。計画的に使用しようと決めていたブレス。そのあまり連発ができない契約獣のブレスを連発させるほどに、少女は虫が嫌いだった。



「うぷ……気持ち悪い……」



「どっちの意味で!?」



 戦闘不能になりかける妹の代わりに、姉のいのりが、風魔法と火魔法などを駆使して討伐する。


 いのりも虫は好きではないのが、ひのりの方が尋常ではなく嫌いなのだ。いのりは、家に虫が出た時などに、退治されるまで騒ぎ続けるひのりの為に、虫を退治してやっている間に慣れてきてしまっていた。


 姉として、妹に頼られるのは悪くない気分で、いつも、ぎゃぁぁぁぁと本気の悲鳴を上げながらも格闘していたものだ。いのりは、家での暮らしを、懐かしくなってしみじみ思い出す。



「《風魔法(フーディア)・かまいたち》——!!」


「ギギッ」



「いーーーやーーーーーーーーー!!!むりいいいいいいいいいい!!!なんか血が出たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



「……ひのちゃん……やめて、お姉ちゃん悲しくなる……ごめんね」



 切れるところも見たくないのか、ひのりが絶叫しながらルーくんにしがみつく。ルーくんも流石にたじろいでしまっている様子だった。


「ふぇぇええん。お姉ちゃん……むりぃぃぃ……きもいい……やだぁあ」


「よしよーし。お姉ちゃんは無理じゃないでしょー?」


「むりじゃない……おねえちゃん……すき……」


「きゅん!」


 うちの妹、可愛い!!いのりのハートに矢が刺さった。ぐはっと胸を押さえる。


「わふ…」


 やれやれ。ルーくんはそんな顔になっていた。


「よし!じゃあ行っか!」


「う、うん……」



 ビクビクと虫に怯えるひのりは、いのりの腕にしがみついて、へっぴり腰で歩く。


 いのりは、魔法でモンスターたちを蹴散らしながら、怯えている妹に歩きにくいから離してくれとは言えずに歩いた。


「きゃあ!!」



 だから、その悲鳴を、いのりは最初、ひのりの声かと思ったのだ。ひのりの声よりも甘く清廉な声。それに聞こえてくる場所がおかしい。前方なのだ。


「や、やめてください!」


「「!!」」


 確かに助けを求めている声。姉妹はハッとして顔を見合わせた。考えていることは同じだ。


 助けなくちゃ!!



「ルーくん!!行くよ!!」


「がう!!」


 森の中を、ルーくんの背に乗った いのりとひのりがひとっ飛び。


「いた!!ひのちゃん!!あそこ!!」


 いのりが、モンスターに襲われている少女を指さした。


「ん!!」


 ひのりが、矢をセットした弓の弦をキリキリと引く。矢を打つのに丁度いい位置を考えながら、ルーくんに意識を伝達して走らせる。


「ふっ……!」


 ひのりが弦から手を離す。ビュンッと矢は風を切って、木々の間を通り抜けて飛んでいく。グングンと進んだ矢は見事にモンスターへと命中した。


「ギギッ」


 モンスターが一匹消える。


 少女が、誰か助けに来てくれたことに気がついて、ハッと顔を上げた。


「あの子は……!」


 少女の顔を見たひのりが、驚く横で、いのりが魔法を放つ。



「《炎魔法・弾丸(ファイヤー・バレット)》!!」



 指先から弾丸のように炎が飛ぶ。


「きゃあ!!」


 どかん!!と爆発するように魔法に当たったモンスターが四散した。少女がその風圧に灰色の髪を揺らしながら頭を抱えた。


「あなた!大丈夫!?って、あれ?どこかで見たような……」



 姉妹はルーくんの背から飛び降りて少女へと駆け寄った。いのりは、ふと見覚えのある少女の顔に首を捻り、ひのりが横からサポートした。


「お姉ちゃん、アイドルの子」


「ああ!!!アイドルの子!!」


「??あい、どる??」


 アイドルという言葉を知らない灰色の髪に花冠をつけた少女が、困惑気味に首を傾げた。


「ああ、えぇと気にしないで!こっちの話だから!」


「は、はい。……あの!オフィーを助けていただいてありがとうございます!お久しぶりですお二人とも」


 ツインテールの少女が、戸惑いながらも姉妹へと勢いよく頭を下げた。


「た、たびたび……ご迷惑をかけてしまって……はわわ、ごめんなさい……」


 あわわと申し訳なさそうに顔を青くする少女に、いのりは屈託なく笑いかける。


「あはは、偶然だから気にしないで!誰であっても、私たちは助けたから」


「は、はい……ありがとうございます」


 もう一度姉妹に頭を下げた少女にひのりは、尋ねた。


「ね、どうして……こんな森の中に?もしかして、モンスター討伐ですか?」


 ひのりからの質問に、少女はわたわたと手を左右に振って答える。


「い、いえ!モンスター討伐なんて……。その、オフィーはこの先の家に住んでいて……」


 ん?

 この先の家?


「私たち、ギルドからお使いを頼まれててこの先にある家に住んでる冒険者に会わなくちゃいけないんだけど……もしかしてそれって……」


 それなら、ギルドのお姉さんのは恋ではなかったのか。

 なんだ残念だな……という姉妹の思考が一致する中、不思議そうな顔をした少女が、口元に手を当ててうーんと言いながら、「それは多分……オフィーのことですが……」と。


「兄の事でもあるので。ギルドから依頼を受けたのならきっとお二人が御用があるのは、どちらかといえば、兄のことだと思います」


「「それだ!!!」」


「え………は、はい……」


 姉妹に詰め寄られてタジタジになってしまう少女。一歩ほど、後ろに足を下げた。


「あの……でも、お兄ちゃんの熱が下がらなくて……ギルドからの依頼はとても受けられそうにはなくて……」


 オフィーリアは「中々熱が下がらないので、こうして薬草を積んでいたんです」と言ってエプロンに包んでいた薬草を二人に見せる。

二人からすれば全くもって違いや効能がわからないものばかりだ。


「そっかぁ……それなら護衛ついでに、お兄さんのお見舞いもかねて私とひのちゃんも一緒にお家へ行ってもいいかな?」


「えっ。い、いいんですか?あの、今はお礼はご用意できなくて……」


「いいよ、いいよー!お礼なんて!いらないよ。私たちも丁度届け物を頼まれただけもん」


 家まで護衛するよという いのりの提案に、少女は遠慮してしまったが、最後にはおずおずと「それじゃあ、お願いします」と二人に護衛を頼むことにした。


「うん!じゃあよろしくね!私はいのり」


「妹のひのりです…」


「あ、えっと、こちらこそよろしくお願いします。オフィーは、オフィーリアといいます」


 オフィーリアが、花の精ような可憐さで、ふわりと微笑んだ。


 途中でモンスターを退治しながらオフィーリアと共に森の中を歩いた三人は山の中にぽっかりと空まで開けた空間へと出る、そこには小さな湖とその横に建てられた小さな木造の家、そして湖から水を引く小規模な自家用栽培の畑から成る、のどかな景色が広がっていた。


「ここが、オフィーとお兄ちゃんのお家で……ぴきゅう!!?」


 オフィーリアは家の中から飛び出してきた何とゴチンッと勢いよくぶつかった。


 痛む後頭部を押さえ、涙目になったオフィーリアが後ろを見れば、黒髪の好青年が額を赤くして、黄緑色の目を白黒させていた。


「だ、大丈夫ですか!お兄ちゃん!!」


「つぁぁぁ………。たぁぁぁぁ……。お、オフィー!?よかった無事だったんだな……って、後ろの人たちは?」


「えっとえっと、こちらは今日森に行ったオフィーのことを助けてくれた冒険者さんです!姉のいのりさんと、妹のひのりさんです!前にもギルドでお世話になって……」


「ああ、前にクエストボートでクエストを譲ってくれたって人か……。俺はエイン、オフィーが多々お世話になったみたいで。お詫びを……いや、ここはお礼を言うところだな。ありがとう二人とも」


「エインってもしかして……ギルドの人が言ってた……ギルドを半壊させたりなんだりで問題児って噂の?」


「あ、あー………まぁ、うん。問題児とかって呼ばれてるのは本当だけど、そんなに噂になってるのか」


「大丈夫ですお兄ちゃん……!それでもお兄ちゃんは良いお兄ちゃんですよ」


「ははっ、ありがとなオフィー」


 爽やかに微笑む青年は、具合が悪そうには見えない。もう大丈夫なのかと尋ねたオフィーリアに、治療魔法が効いてきたから、気合いで治したと答えていた。


 姉妹はなんとなく問題児の片鱗が見た気がした。

 怖い人ではなさそうだと、ひのりは一人でホッとする。なんだ怖い人ではなくて、変な人だと心の中で失礼なことを考える。


「そうだ!私たち、お使いを頼まれていたんだった!はい、これ。ギルドのお姉さんからだよ。ギルドの受付のお姉さんに、貴方が約束の日に来なくて心配してるみたい」


 いのりが、受付のお姉さんから受け取ったクッキーと手紙の入った袋をエインに渡す。するとエインは、首に手を置きながら歯切れ悪く答えた。


「え……あ……あー………。そっか。約束。ちょうど熱があったからな……」


「………お兄ちゃん、約束ってなんですか?ギルドのお姉さんって、あの人ですか?あの人ですよね!?なにを約束してたんですか!!」


「い、いや。ただ食事に。ちょっとお礼をしようと……。ほら、お世話になってるわけだし?」


「それはお兄ちゃんが!修練場の結界を壊したりするからです!!」


 決まりが悪そうに頬をかく青年に、オフィーリアがぬぬんっと詰め寄った。

 青年のしどろもどろの弁解を傍で見ていた姉妹は、互いの目線を合わせる。

 ———修羅場かな?

 ———修羅場かも?


「おい、そこ、変なこと考えてるなよ……」


 エインに注意されてしまった。

 ……と、エインがいのりを見て目を細めた。

 睨まれているように見えて、いのりがたじろぎ、オフィーリアは怒ったまま兄の頭にチョップを打ち込む。


「お兄ちゃん、ダメですよ!オフィーの恩人に怖い顔をしないでください」


「痛てっ。違う違う……!悪い。えっと、いのりさん?の魔力がさ……なんか変っていうか……」


「あの……。姉を口説くとか、そういう新手の口説き文句ならやめてもらいたいです……エインさん……」


 ひのりが、姉の腕をぎゅっと握りしめて、ジトリとエインを睨む。姉を口説くなら、この人は嫌だ。いきなり初対面で女の子口説く人なんて、オフィーリアには悪いが姉はやれない。


「口説く?……あ!いや!!違う!!ちがう、ちがう!!オフィーもそんな目で見ないでくれ!」


 最初こそキョトンとしたエイン。どんな風に自分が捉えられてしまったのか理解しては、頬を真っ赤にして慌てて否定した。


「えっとー。それで、私の魔力が変って?」



「あ、えっと。なんか元々の魔力も多いとは思うんだけど、さらになんかあるような気がしてさ。潜在能力とかとはまた違う感じ。なんかこー……使っても使っても湧き出る水みたいな?」


 首を捻りながら自分の感覚を言葉にしていくエイン。その言葉を聞いて、ひのりは思い当たる節があった。魔石もしかり、魔法を使っている時もしかり。


「うーーん、こういう不思議な感じはスキルかな?どんなスキル持ってるんだ?」



 興味津々に いのりに聞いてくるエイン。そんな兄を呆れ半分で見るオフィーリアと、姉に近づく不届き者という目で見るひのりがいた。


「んーと……なんだっけ?」


「なんだっけ……って。自分で自覚して使ってないのか?その割には使いこなしている気がするけど」


 驚くエインに、いのりは、あははと苦笑いを返す。


「う、うん……。使い方もよくわからなくて……」


「なるほど……。さっき受け取った手紙に書いてあったけど、魔法が杖で使えなかったんだろ?魔法が使えなかったのもそれだな、多分」


 どういうこと?と首を傾げた姉妹に、エインがつまりと続ける。



「魔石には許容量があるだろ?いのりさんのはそれを超えていたから魔石が壊れるまで魔法が発動しなかったってこと。魔石にも魔力が宿っているから、余計に魔力が増えて扱えなくなってたんじゃないかな?」



「な、なるほど!なら、やっぱり私には杖は要らないってことだ!」


「……ついでにステイタス見せてもらえない?」


「お兄ちゃん!!失礼ですよ!?」


「いいよ!」


「いいんですか!?」



 いのりもひのりも、何かダメなの?という表情だ。

 オフィーリアが、わたわたとしながらステータスは個人的なことなので、スキルなどを公表したくない人も多いんだと説明する。

 

 なるほど、ギルドでもスキルが明らかにならない理由はそういうことかと納得がいったひのりは、姉に「本当にいいの?」と尋ねた。



「え?うん!大丈夫だよ!!」


 あっけらかんと いのりは笑った。


 見せて欲しいと頼み込んだエインの方が、戸惑ってしまうほど。


「じゃ、じゃあ。スキル《鑑定》」


 そんなスキルあるんだ!!と感嘆したひのりに、オフィーリアが苦笑しながら、「お兄ちゃんはスキルバカなんです」と情報を加えた。


 一方のエインのスキルが見たものは、いのりのスキル欄。



【スキル:魔力の泉】



 そしてその先。

 その隠されていたスキルの効果までを表示させた。



【スキル:魔力の泉】

 …魔力の枯渇を防ぎ、魔力の中回復ができる。



「つまり?」


「自然の泉から水が湧き出すように魔力の中回復ができて、いのりさんの元の魔力量でこのスキルが常時続いているなら、連続で超魔法が打てる……かも?うわ!すご!!」



 つまり、激レアスキルなのだと判明した。

 希少なスキルに、エインは目を輝かせて興奮を抑えきれない。


「実際どうだ?魔力切れとか起こしたことは?それとも魔力操作がやりにくいとかあるのか?」



「え、えぇ……と。魔力切れとかはなくて……あは、あはは……」



「そうだ!こんなスキルがあるなら、ギルドのクエストをこなさないでダンジョンに潜っても、上の層くらいなら平気だと思うぞ」


「だ、ダンジョン?」


 いのりとひのりが聴き慣れない単語に聞き返した。

 なにそれ。


「そ!ダンジョン!レベル上げにはもってこいな場所だ。本当は個人のレベルが5くらいになって初めて行くもんだけど……。そっちの強そうな契約獣もいるんだし、下層に行かなければメキメキレベルが上がるぜ?」


 それに……と、エインは口を閉ざさずに続けた。


「ダンジョンだとそのダンジョンごとのスキルが貰えたりするんだ。便利なのもあるよ」


「ほう……なるほど」


 いのりがその話に食いついた。


「レベル上げすると、他の街にも行きやすいからいいと思うな。

 特に、テイマーはヒューマンだと希少な職業だし。西にある獣族が住むルペーニ島とか行くと、ひのりさんは勉強になると思うよ。あそこはテイマーだらけだから」


「獣族!!」


 ひのりが話に食いついた。


「そ、何がいたっけかな?猫族に……兎族、狐族、羊族……とかだっけ?」


「猫族、兎族、狐族、羊族!!」


 ひのりが、めちゃくちゃ食いついた。


「あ!お兄ちゃん、たしかルペーニ島に船を出しているルバルダン国は、魔導士学校がありませんでしたか?」


「あー、あったなぁ。そんなの」


 この兄妹は色んなところを冒険しているのだろうか。

 いのりは、そういう色んな場所を旅して回るのも面白そうだと兄妹の話を聞いて思っていた。


「もし気になる場所があったなら、今度行ってみるといいよ。ただしダンジョンでレベル上げは絶対してからの方がいいぜ。旅の途中にもモンスターは出現するからレベル上げは重要なんだ」


「うん、そうしてみる!ひのちゃん、ダンジョンに行ってレベル上げたらどこから行こうかぁ!お姉ちゃん的にはね、ルペーニ島?がいいと思うんだぁ」


 行動的な姉の提案に、大抵は振り回される側の ひのりだが、今回は珍しく姉の意見に異論はない。行き先がルペーニ島なら尚のことだ。


「私も、お姉ちゃんの意見に賛成……」


「よぉーーし!決まりだね!明日からダンジョンに行ってレベル上げ頑張ろうね!!」


「お、おーー……!」


 姉妹は揃って拳を上げて目標を定めた。

 すると——————、

 《ピロリン》と音が鳴って、【ダンジョンに挑戦して、旅ができるレベルにまで到達しよう!】という目標のクエストが発生した。



兄妹の家の横には畑があって、家庭菜園してます。

オフィーリアが人参が好きなので、人参育ててます。

が、トマトは2苗しか育ててません。嫌いな人がいるらしい。

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