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荒れた大地に花添えて  作者: たむーん


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2/2

仕事の内容

 日の出とともに街が温かさに包まれる少し前に俺は起床した。

二人はぐっすりと寝ており俺が起きたことには気づいていないようだった。

二人の寝顔はとても愛おしく、今すぐにでも抱きしめてやりたかった。

その気持ちをぐっと抑え、気持ちを切り替える。

クローゼットから一つの仮面とローブを取り出す。

縦一線に深く傷が付けられた年季のある仮面。

その仮面を顔に嵌め、落ちないように調整をする。

ローブを着こなし、身なりを整える。


「......ちゃん、おにぃちゃん...。」


 寝ぼけているのだろう、寂しそうに手を動かし俺を探している。

やはりここに居すぎるのは危険だ。

音を立てないよう静かに扉を開けその場から離れた。

空気がひんやりとしているこの時間帯には昼間と違い人は少ない。

家を離れ、さらに街から出る。

先日の仕事場とは真逆の北の方から仕事の要請が来たため本日はそちらの対処に向かう。


「よぉ、朝早くから大変だな?」

「...、背後を取るのは止めていただきたい。」

「ははっ!それは悪かったな、今日の仕事はこっちなのか?」


 後ろを振り返ると俺と同じ仮面をした男が立っていた。

男の仮面には縦一線ではなく丸の傷跡が描かれていた。

こいつは特務0、【隠匿の因子】持ちの俺の同僚だ。

いちいち背後を取ってくるので正直うざい。

特務の奴らは皆仮面をしているのでその下の顔は知らないが声や身長、体格などである程度の推測はできる。

こいつは俺より少しばかり身長が高く、好青年のような声質、筋肉質な体格である。

【隠匿】と言う様に隠密行動を好む奴で情報や諜報などが本来の役目なのだが、性格上そのようなことをしている所を聞いたことがない。


「何ぼーっとしてるんだ?朝日が昇っちまうぞ!?」

「言われなくても分かっている、0もこっちか?」

「ん?いやいや俺はあっちだ!」


 ビシッと腕を伸ばし指した方向は真逆の南。


「君がいるのを見つけたから挨拶しようと思ってね。

後特務に緊急の連絡もね。」

「要件は?」

「君も知ってはいると思うが1と4が魔法学校で俺らの後輩にあたる人物を探し出しているらしい。

王から直々に下された王令の事なんだけど内容はしっているかな?」

「知らん。」

「だと思ったよ、特務が情報に疎いのはいつも通りだからツッコまないけどね。

北方の領土にて魔(・)人(・)が発見されたらしい。

君の仕事は間違いなくこれが関わっているだろうね。」

「それは本当に魔人なのか?」

「それも含めて君に仕事が回ってきたのだと思うよ。

特務の中でも強い方だとは思うけど、決して一人では戦わないことだ。」

「肝に銘じておく。

王令が出されたのはいつだ?」

「えーっと、確か二日前だったと思うな。」

「分かった、では行ってくる。」


 喋っている間に日が昇ってきてしまっていたのであっという間に街が見えなくなる勢いで走った。

走っている間、身体中を薄い魔力の膜で覆う。

こうすることで空気抵抗を受けることもなく、さらに足跡を残さずに走ることが出来る。


「魔人が発見された...か。」


 魔人とは”魔法使い”の祖であり、今この世界に存在する魔石、魔法、【因子】の生みの親である。

魔人は6人存在しており、魔人は死ぬこと、衰えることが無い生き物だ。

今現在姿を確認されているのは二人。

一人はアルガルマ王国の特別区画にてくつろいでいる。

もう一人は王国から遠く離れた地のアシュガルム帝国にて存在を確認された。

今回の北方で発見されたのが正しかった場合正式に三人となるだろう。

魔人の力は凄まじく、一人暴れれば国が滅び、二人合わされば大地が悲鳴を上げ、三人以上は世界が終末を迎えるとまで言われている。

王国にいる魔人のように温厚なタイプの魔人もいれば帝国にて大暴れしていた魔人もいる。

北方にある街は王国近隣の国家が保有している領土であり、本来ならば俺は部外者として入れない。

だが、特務と言う立場を利用してならどこの国の国境を超えることが出来る。

アルガルマ王国最高戦力と謳われているものの、世界ではその力を必要としている場所が多々あり特務は世界各地に己の使命を果たしに動いてる。

そんなこんなであっという間に北方の街、メガルに着いた。

普段ならメガル名物のメガル温泉で街は賑わっていると言うのに、今日は静まり返っている。

鉄の門は閉ざされており近くに二人の鎧を着た人物が立っていた。


「ここから先は通ることを禁ずる。」

「メガルは現在立ち入り禁止だ。」

「アルガルマ王国から王令を受け馳せ参じた、特務1である。

この地に魔人が出現したと聞き、調査をしに来た。」

「はっ!貴方様が特務1様でございますね!

先ほどの無礼をお詫び申し上げたい。」

「王はこのメガルの温泉に入ることが至極の時間だと仰せられている。」

「近衛騎士である我らはこのことを王へ伝えるべく失礼させていただく!」

「メガルをお救いしてください!」


 適当に嘘を付きながらも門の鍵を手に入れ、早速街の中へ入る。

温泉街であるメガルは世界的にも有名であり高温の湿気が街中を包み込んでいる。

門を開くと同時に煙のような水蒸気があふれ出てきた。

しっかりと施錠したことを確認し、魔人を見たとされる広場へ向かう。

先が見えないほど視界の悪い中進んでいくと噴水の縁に座る人影を発見した。


「私と対等な者がやってきたのでしょうか?」

「貴様は何者だ?」

「またですか...、人間は挨拶よりも先に名乗れと強制なさるのですか?」


 両手を左右に広げゆっくりと立つと街に覆われていた水蒸気が霧散した。

杖を片手に紳士服を着た魔人がそこに立っていた。

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