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ドワーフは頑固者?

工房街に着いた二人は驚いていた。


見える範囲、全て何かしらの工房の様で凄い数だ。


「こんなにあると、どこに頼むか迷うな」


「一番有名なとこでいいんじゃない?」


「どれだよ?」


「建物が一番大きいのとかじゃない?」


「・・・分からん時は聞くべしッ!!・・・あの~すいません」


通りすがりの人に話かける。


「?・・・何か?」


「この辺りで一番腕の良い工房ってどこか教えてもらえませんか?」


「そりゃあ一番は工房・モンブラントだろ?」


「工房・モンブラントですね?ありがとうございます」


「あんた、この街は初めてかい?」


「はい。そうですけど」


「・・・頑張んな」


そう言って去っていった。


「・・・何なんだ?」


首を傾げながらも教えられた工房に向かう。


「あっ!アレじゃない」


少し歩き、エルネが見つけた。


扉を開けて中に入る。


「スイマセェ~ン!」


誰も居なかったので大声で呼び掛けた。


「デケェ声出すんじゃねぇよ!」


ひとりのドワーフがカウンターから出てきた。小さくて見えなかった。


「すいません・・・それで作って欲しい物がいくつかあるんですが」


「その前に紹介状は?」


「はっ?」


「紹介状だよッ!紹介状ッ」


「紹介状が必要なんですか?」


「話になんねぇな!帰んなッ!」


そう言って追い出されてしまった。


「頑張んなってこう言う事だったのか?話すら聞いてもらえ無かった・・・」


「コウスケの言った通り頑固だったね?どうする?」


「アレは頑固って言うのか?・・・まぁ情報を集めてみよう」


「情報ってどうやって集めるの?怪しい人に聞いとけばよかった・・・」


懐かしい名前?が出てきたと思いながらも


「大丈夫!情報集めと言ったら・・・酒場だッ!」


「ッ!!宴会ねッ」


「違うッ!酒は飲まないからな?」


「えぇ~」


膨れっ面のエルネを連れて酒場に向かった。


適当に入った酒場は客がほとんど居なかった。どうするかと見回すとカウンターで一人で飲んでいるドワーフを見つけた。


(ちょうどいいな)


そのドワーフの隣に座る。


「水を貰えますか?」


店員に声をかけると


「酒場で酒以外を頼むヤツがあるかッ」


隣のドワーフの方から話かけて来た。


(仕方ないか・・・)


「じゃあエールを」


そこでエルネの方を見ると、目を輝かせていた。


「・・・二つ」


「ガキに酒を飲ませるヤツがあるかッ」


またも隣のドワーフが言った。これにはエルネも頬を膨らませて


「ガキじゃないよッ!」


と言い返した。エルネの方を見たドワーフは少しして前に向き直り


「森の捻くれ者がこんな所で何しとる?」


一気に空気が険悪になった事を感じ、コウスケがすかさず間に入る。


「まぁまぁ・・・エルネは向こうで水でも飲んでろ」


納得行かないと言う表情をしながら少し離れた席に移動するエルネ。


「何であんなの連れてんだ?」


ドワーフが聞いてきた。


「まぁ成り行きってやつですよ・・・それに多分エルネは普通のエルフとは違いますよ?」


「何が違うってんだ?アイツらはワシらドワーフの事を下に見てバカにしよる」


「それがエルフとドワーフの仲が悪い理由ですか?」


「まぁな。一緒に居ると大抵ドワーフが嫌な思いをするから、皆避けとるよ」


積極的に絡みに行くのはエルフの方らしい。


自然至上主義的な所のあるエルフは、人工物で周りを固めがちなドワーフの事を野蛮だとバカにしているのだと言う。


「エルネは大丈夫だと思いますよ?」


「どうだかなッ」


「アイツこの街に着いてすぐ、宴会してるドワーフを見て楽しそうだからって参加しようとしたんですよ」


「・・・確かに変わってるな」


「しかも、酔い潰されると思って止めたらスゲー機嫌悪くなっちゃって」


「フッ、酒が飲めなくて不機嫌になるなんてドワーフみてぇだな?」


「なだめるの苦労しましたよ。・・・だから、エルネは大丈夫だと思うんです」


「エルフに対する気持ちは変わらねぇ!が、・・・あの嬢ちゃんには謝らなきゃな」


分かってくれた様だ。少し嬉しくなった。


「そうしてあげて下さい」


そう言ってエルネを呼んだ。ドワーフはエルネに謝り、エルネもそれを素直に受け入れた。


そうして三人で話始める。


「嬢ちゃんが変わってるのは分かったが、そんな変わったエルフを連れてるにぃちゃんは何者だ?」


「俺は・・・まぁ一応商人ですかね?」


「一応ぅ?なんだハッキリしねぇな」


「コウスケはねぇ、戦っても強いし、物作りも得意なんだよっ」


何故かエルネが自慢気に言う。


「ほぅ、ドワーフの前で物作りを自慢するか?」


「イヤイヤ。そんなつもり無いですよ。俺のは魔法を使ってチョット作る位ですから」


「あぁ魔道具ってヤツか?確かにワシらの物作りとはちょいと違うな」


「でもコウスケ、弓も作って無かった?」


(またコイツ要らん事を!張り合ってどうすんだ?)


「ん?ってぇ事は魔法鍛冶師の方か?」


「そんな大層なモンじゃ無いですよ。エルネも俺もこの街で色々作ってもらおうと思ってるくらいですし」


「なんだ?そうだったのか?・・・どうだ、満足の行く物は出来たか?」


「それが・・・」


言い淀んでいると、エルネが割って入ってきた。


「ヒドイんだよッ!紹介状が無いからって追い返されちゃったんだよっ」


「俺らが知らなかったのが悪いんだよ」


「ガハハッ苦労しとるな?ワシらの中には頑固者も多いからな」


ツボに入ったのか機嫌よく笑っている。


その時一人のドワーフが酒場に入って来た。


「・・・!モン爺ッここに居たんですかッ?そろそろ仕事してくださいッ!」


そう隣で笑っているドワーフを見て言った。


「なんだ?もうそんな時間か?」


そう言って席を立つ。帰るのかと見ていると、振り返った。


「折角来たのに手ぶらで帰るのもナンじゃろ?ワシが紹介してやろう!「モン爺の紹介」って言やぁどこでも作ってくれるわい。追い返された店に戻ってそう言ってやりゃええ」


そう言って去って行った。


「ありがとうございます」と言って見送った。


「これで何とかなりそうだね」


「あぁそうだな。・・・それにしても何時も名前を聞き忘れちまう。気を付けないと」


「そうだね。でもモン爺って呼ばれてたよ?」


「それだけで探せっかなぁ?ちゃんと礼もしたいんだよなぁ」


「・・・そうだッ!宴会をハシゴしてれば見つかるんじゃない?」


「宴会に行きたいだけだろ?」


「・・・チガウヨ?モンジイヲサガスタメダヨ」


呆れてしまうコウスケ。そのまま黙って歩き出す。


「チョットッ!何か言ってよ?黙って行かないで?ねぇってば!」


五月蝿いエルネを引き連れ、先程の工房に向かった。


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