一転、参加
しばらくすると、去った時と同じ勢いで戻って来るエルネ。
しかし、その服装は、普段着から水着へと変わっていた。
そんなエルネに、ニヤリと笑みを深めるコウスケ以外は、皆一様に目を見開いていた。
息を切らせて駆け戻ってくるエルネ。
そんなエルネに
「どうしたんだ!?エルネ!何かコウスケに言われたのだろう?脅されたのか?」
そう心配そうに声をかけるミランダ。
ミランダの言いがかりの様な言葉に
「おい」
と、取り敢えずの様な抗議の声を上げるコウスケ。
「ううん。ミラちゃん違うの。私も皆とここで楽しみたいと思ったの。それに、良く考えてみれば皆も同じ格好なんだし、恥ずかしがる必要なんて無いかもって」
そう言って、はにかむ様に笑った。
エルネの言葉を真剣な表情で聞いたミランダは
「・・・そうか。・・・よしッ!そうだなッ!」
そう力強く言って、頷いた。
そして、優しく微笑むとエルネの手を取った。
「ヨシッ!これで全員揃った!皆で派手に遊ぶぞッ!!」
二人の様子に、話が纏まったと見たコウスケは、そんな気合いの声を上げる。
コウスケの掛け声に、皆一様に笑顔を見せ
「「「「おぉぉ~!」」」」
と、返す様に声を上げた。
そんな、盛り上がる四人を見たコウスケは嬉しそうに笑うと
「オラオラッ!モタモタしってと、一番乗りを逃すぞッ?野郎共!突撃だッ!!」
そう言って、人差し指を立てた右腕を、プールが並ぶ方へと振りかざす。
そんなコウスケの言葉に
「よし来たッ!一番に度胸を試すのは私だッ!」
そんな声を上げ、ミランダが飛び込み台へと駆け出す。
「あっ!じゃあ僕は、あのスライダーっていうのに行ってみようかな?・・・危なく無いよね?」
そう言って、エドもスライダーへと向かって行った。
「コウスケ。私は勝負の場で待っているぞ?」
コウスケにそう言い残したシャズは、ゆっくりとした足取りで競泳用のプールへと向かう。
楽しげに散っていく三人を見送ったコウスケは、隣に目をやる。
そこには、何故かどのプールにも向かう気配を見せないエルネが。
エルネは瞳を彷徨わせながら、何か言いたげにしていた。
「どうした?エルネは行かねぇのか?海だぞ?波だぞ?まぁプールだけど」
そう言って、エルネを促すコウスケ。
しかしエルネは、彷徨わせた瞳をコウスケに合わせない様にしながら
「さっきはあんな風に言ったけど・・・その・・・私、変じゃ無い?」
そう不安気に呟く。
それを聞いたコウスケは
「さっき?変?何がだ?」
そう首を傾げた。
「ッ!!私の水着姿よッ!!」
コウスケの言葉に焦れたのか、やや声量を増すエルネ。
突然語気を強められたコウスケは、思わず肩を竦めるが「成る程」という表情の後、エルネを足元から順に見上げていく。
エルネの足は、コウスケと比べれば幾分小さいが、形の良い綺麗な足だった。
その上にある、細く締まった足首。
ふくらはぎは、その足首の細さそのままに膝まで続いている。
太ももは、流石冒険者と言うべきか筋肉の発達が見られるが、不思議と太くは見えなかった。
その上には、今のエルネの心情を表したかの様に、不安気な淡い青色の水着が。
腰から腹部にかけてのクビレは、ミランダとは違い丸みを帯びた曲線を描いていた。
腹筋も割れているという事も無く、女性らしい丸みを帯びていた。
そんなエルネの体は、コウスケが思わず
「おぉ・・・」
と、声を漏らす程だった。
しかし、ここまでを見たコウスケは一旦視線を上げるのを止め、そして覚悟を決める様に目に力を入れると、再び視線を上げ始める。
そんなコウスケの目に、胸部の水着の下部が。
再び視線を止めたコウスケは、長めの息を吐くと
(うん。まぁエルネに下乳を期待するのが間違ってる。仕方無い、仕方無い)
そう内心で呟くと、視線を上げる。
(グッ・・・横乳まで全滅だと・・・いや!まだだッ!まだ、全ての男が目指すと言われる、大いなる谷が残っている!そこに望みを懸けるしか・・・無いッ!!)
内心で自らを激励すると、一思いにエルネの首元まで視線を上げるコウスケ。
そこには、僅かな膨らみが水着を押し上げていたものの、大いなる谷は存在してはいなかった。
(どこまでがクビレだッ!!)
そんな言葉を、何とか口を押さえる事で、寸での所で押し留めたコウスケ。
コウスケに舐める様に見られていたエルネだが、それが‘変’では無いかの確認の為だと分かっているからか、文句は言わない。
文句は言わないが、コウスケが自らの体を見て何かを言いたげに身悶えている様子に、徐々に眉を寄せ始める。
そして、下から上がってきたコウスケの目と、そんなコウスケを見ていたエルネの目が合ったところで
「変じゃ無い?」
再びそう尋ねるエルネ。
コウスケは、押さえていた手を口から離すと
「・・・うん。変じゃ無い。似合っていると思います。はい」
そう答えた。
そんなコウスケの目を、疑う様な眼差しで覗き込むエルネ。
コウスケも、ここは目を逸らしてはいけない、と思ったのか、そんなエルネの目を真っ直ぐに見詰め返す。
そんなコウスケの真っ直ぐな目に
「ホント?ウソじゃない?」
そう言って、僅かに表情を和らげるエルネ。
「心配すんなって!(水着は)似合ってるから。大丈夫!」
そう言って、笑顔を見せるコウスケ。
その言葉に、漸く笑顔を咲かせたエルネは
「よぉ~しッ!待ってろ海ぃ、待ってろ波ぃ!」
そう叫びを上げ、波の出るプールへと突撃して行く。
そんな、無邪気にはしゃぐエルネの後ろ姿を見送ったコウスケは
(俺には無理だ・・・小さ過ぎてカパカパしてるよ?なんて・・・言えねぇ!)
そんな内心を押し殺し、現実を知ってか知らずか健気に振る舞うエルネに、涙を拭うのだった。
短いです。すみません。




