覚書/初代「ゴジラ」年代観と地球史の相違について
初代ゴジラは、年代観がでたらめなので駄作だという書き込みが、少し前、SNS上にあった。理由は、映画の冒頭で、南方の離島で異変が生じたため、探査船で調査団がやってきた際、団長の博士が、6.6千万年以上前であるはずの、三葉虫・恐竜らしき生物の足跡を、750万年前に出現した人類が石器を使い始める「200万年前の化石生物」と断定したことによる。
――地球史――
45億年前、地球誕生:冥王代。
35億年前、原生代:単細胞生物・硫酸塩還元細菌発生。
16or12億年前、太古代:多細胞生物発生。
5.42億年前、顕生代:古・中・新生代からなる。6.6千万年前の恐竜絶滅が中生代末。以降より現在が新生代。
〇三葉虫:古生代カンブリア紀-ペルム紀末(5.4億年前-2.5億年前)
〇恐竜(鳥類を除く):中生代三畳紀中期-白亜紀末(2.4億年前-6.6千万年前)
地質学の相対年代は18世紀末に提唱された。対して絶対年代は、20世紀半ばに提唱された放射性炭素C14測定法の発明まで迷走していた。
相対年代:地層に特徴的な「標準化石」を挙げ、人間の骨がある層、恐竜の骨がある層、三葉虫遺骸がある層といった地層で、年代の新旧を決め、年代の物差しにする。
絶対年代:対象遺物に放射線などをぶつけ、半減期を参考に、何万年前の化石かを調べ、年代の物差しにする。
――絶対年代測定法の発明――
絶対年代測定法には、「放射性炭素C14」「ウラン‐鉛法」「カリュウム‐アルゴン法」「ルビジュウム‐ストロチュウム法」が挙げられる。これらのうち、「放射性炭素C14」が発明された。
炭素C14測定法(放射性炭素年代測定)は、1947年にシカゴ大学のウィラード・リビーが発明した。――地球上の生物の体内には、生きている間、炭素14が一定に保たれている。ところが死んでしまうと、遺骸から炭素C14の補給が断たれて、減少の一途をたどり、5730年で半減する。1950年を起点に、実年代を遡る。理論の証明には、歴史が長い古代エジプトの気象・災害の記録が参考にされた。その後、1961年 マリー・テーマーズらが液体シンチレーション法を開発。
1970年代末加速器を用いて炭素14を数える方法(AMS)が確立したのだが、それでもまだ6万年前まで遡るのが限界だった。
では、7万年以前の絶対年代の地層の放射性炭素年代測定は、どのようにするのか? ……「放射性炭素C14」に続き、「ウラン‐鉛法」「カリュウム‐アルゴン法」「ルビジュウム‐ストロチュウム法」の発明によって、解明されるようになった。
「ウラン‐鉛法」親元素半減期45億年、1000~46億年前の鉱物が対象。
「カリュウム‐アルゴン法」親元素半減期13億年、5万年から46億年前の鉱物が対象。
「ルビジュウム‐ストロチュウム法」親元素半減期470億年、1000万年から46億年前の鉱物が対象。
2022年最新情報では、以上の方法を使って地層年代を測定できるようになったのだが、1954年映画「ゴジラ」の制作時点においては、こうした絶対年代測定法が未確立だったためで、いたしかたのないところと言えるだろう。
ノート20220524




