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もう一度妻をおとすレシピ 第11冊  作者: 奄美剣星(狼皮のスイーツマン)
覚書
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55/100

覚書/地球にぶつかるかもな小惑星「NEO」の件

挿絵(By みてみん)

挿図:Waifu Labsより

 ――祝「DART計画」成功――


 (65803/仮符号: 1996 GT)「ディディモス」は、後述する小惑星帯アポロ群-アモール群に属し、地球近傍小惑星 (NEO) で、潜在的に危険な小惑星 (PHA) にも分類される小惑星の一つだ。ギリシャ語「双子」の意で、直径は800m、1996年にキットピーク国立天文台で行われているスペースウォッチ計画による観測で発見され、2003年に直径160-170mの衛星「ディモルフォス」が公転していると判った。

 NASA(アメリカ航空宇宙局)は、地球から1千百万㎞離れた宇宙空間にある衛星ディモルフォスに、宇宙機探査機「DART」を時速2万2千㎞で衝突させ、軌道を変える実験「DART計画」を遂行。「DART」は、スペースX社のロケット「ファルコン9」によって、日本時間の2021年11月24日に打ち上げられ、2022年10月11日、衝突実験に成功した。

 さしあたりの目標は10億年に1回レベルとは言われるものの、恐竜世界を滅ぼした、直径10キロのチクシュルーブ衝突体クラスの小惑星だ。この手の危険な小惑星に探査機をぶつけることが計画され、今回の実験で軌道を32分遅らせることに成功した。今後、うまくいけば生物大量絶滅を防げるというものだ。

 ここで、少し前に書いた覚書「地球に危ない天体『NEO』の破壊力」を次に掲げておきたい。


引用・参考文献

〇ANNnewsCH【速報】NASA 小惑星の軌道を変える実験に成功(2022年10月12日)

https://www.youtube.com/watch?v=lKyj_NsCiVE

〇「〈解説〉NASA探査機DARTが小惑星ディモルフォスに命中、人類初の地球防衛実験」(Yahoo!JAPAN ニュース 9/28(水) 17:02配信)

https://news.yahoo.co.jp/articles/74faa623e04bc49e8714008d41ea746b41d33e6c 文=NADIA DRAKE/訳=北村京子

~※この記事では、日付が9月28日で、小惑星「ディモルフォス」に衝突させたとあるが、衛星の誤記だろうか。記事内容に混乱があるようだ。NHKほか多くの報道機関が10月11日としているので、12日の報道をもって、NASA実験成功日とする。

〇「ディディモス」「ディモルフォス」wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%A2%E3%82%B9_(%E5%B0%8F%E6%83%91%E6%98%9F)


 ノート20221014



          *



 ――地球に危ない天体「NEO」の破壊力――


要旨

 地球に近い宇宙空間に漂う小天体には隕石と彗星がある。隕石のうち、径50㎝未満のものを流星体、50㎝以上のものを小惑星という。流星体は地球に落下する際、大気圏で燃え尽きるので、ここでは取り上げない。問題があるのは、地球に接近し衝突する可能性のある小惑星や彗星で、これら小天体の総称を、地球近傍天体「NEO」(Near-Earth objec)という。「NEO」は、地球近傍小惑星(別称:地球接近小惑星、近地球小惑星))「NEA(ネア)」と、地球軌道をかすめる彗星「NEC」(Near-Earth Come)とに分かれる。このうち「NEA(ネア)」は、小惑星帯(メインベルト)にあった小惑星が、木星や土星との共鳴関係などの力学的な効果によって軌道の離心率が大きくなり、近日点距離が、火星軌道の内側1.3天文単位(1.3 au)を越えて、地球軌道に近づく軌道をもつものだ。「NEA」は、小惑星番号2062「アテン」、1221「アモール」、1862「アポロ」、163693「アティラ」にちなんで、アテン群、アモール群、アポロ群、アティラ群の4グループがあり、2013年時点で1万個、その後激増して、2019年5月時点で20,000個以上が発見されている。

 アティラ群は、比較的最近発見された「NEA」グループだ。163693「アティラ」は、金星-水星間にあり、径2kmの小惑星で、2003年2月11日、米国・サーベイのリンカーン研究所で発見された。北米先住民ポーニー族女神の名前をとっている。このアティラ群には、最大規模の「アティラ」の他に、2004 JG6と1998 DK36が属しているのだが、1998 DK36は軌道未確定のため、アティラ群に属さない可能性がある。

 また、「NEA」のうち、距離0.05AU、径150m以上もあり、極めて高い確率で地球に衝突する危険性がある、「潜在的に危険な小惑星」を、「PHA」(Potentially Hazardous Asteroid)という。「PHA」の算出には、トリノスケールとパレルモスケールという2つの計算方法がある。第一は、簡単な計算で済むトリノスケール (Torino scale、第二は、複雑な計算を要するパレルモスケール (Palermo Technical Impact Hazard Scale)だ 。――2005年1月時点ではトリノスケール1以上の小惑星が2,053個あったがその後の観測で、2014年5月時点のNASAの「Sentry Risk Table」リストにあった小惑星はすべてトリノスケール0、パレルモスケールでも、ほぼ0となった。

 ところが、観測と計算に漏れがあり、2013年2月15日にロシア・チェリャビンスクでの小惑星衝突を事前に予測できなかった。


引用・参考文献

〇「地球静止小惑星の観測~小惑星衝突から地球を護る~」日本惑星学会 2016/10/31

(※高橋典嗣「情報科学」28号(札幌学院大学情報科学研究所研究誌, 1-10, 2008)を転載したもの)

Http://planetary.jp/future_sse/spaceguard/spaceguard_file/jsga_takahashi.html

〇地球近傍天体「NEO」、地球近傍小惑「NEA」、地球軌道をかすめる彗星「NEC」、163693「アティラ」、潜在的に危険な小惑星「PHA」:wiki


          *


02 近年の小惑星衝突

 2013年2月15日、ロシア・チェリャビンスク州に、径15m、7000tの小惑星が衝突。被害は同名州都を中心に、半径100㎞が被害に遭った。

 NASAによると、小惑星は、火星と木星の間にある小惑星帯から飛来し、秒速18㎞で大気圏に突入。ロシア南部の上空20~25㎞で爆発して幾つかの破片に分かれ、広島型原爆の20倍近い300キロトンのエネルギーが衝撃波として放出。州都チェリャビンスク市だけで、企業や商店などの建物3300棟窓ガラスが損壊した。


引用・参考文献

〇日本経済新聞【チェリャビンスク=共同】2013年2月16日

「ロシアの隕石、7000トン15メートル 半径100キロ被害」

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG16016_W3A210C1CR0000/


          *


 チェリャビンスクに落下した小惑星は、後に、直径17m、1万tに修正された。PERC 上席研究員・和田浩二氏は次のように述べている。突入速度18km/秒で落下した (NASA,2013年2月16日発表)、 直径が6mのクレーターが形成された。落下してきた天体の運動エネルギー=1/2×(質量)×(速度の2乗)で計算すると、TNT火薬量に換算値「キロトン」にして400-500キロトン、広島型原爆はTNT火薬換算で15キロトンだから、26-30倍の熱量だ。

 ロシアでは、1908年にも、ツングースカで、直径46mの小惑星が大気中で爆発している。直撃すれば、直径500-600mのクレーターが形成されていたと推定されているが、大気中で爆発・破砕したため、クレーターは形成されなかったものの、2000平方㎞にわたって樹木がなぎ倒された。


引用参考文献

〇和田浩二(千葉工業大学 惑星探査研究センター(PERC) 上席研究員)「2013年2月15日にロシア・チェリャビンスクに落下した小惑星(隕石)について」2013年2月20日 

http://www.perc.it-chiba.ac.jp/kiji/20130220-RussiaMeteor-wada/Russian_meteorite_FAQ_20130220.htm


          *


03 生物大量絶滅級の小惑星

 さて、もっとも有名な小惑星衝突事件は、恐竜を含む生物大量絶滅を引き起こしたものだろう。

 それは、6550万年前(※wiki「チクシュループ衝突体」では6600万年前、「チクシュルーブ・クレーター」では6604万年前)、メキシコ・ユカタン半島に落下し、地下1kmに埋もれている天体で、クレーター(隕石孔)は直径180kmに及んでいる。


 6550万年前の白亜紀末に恐竜を含む75%の生物を絶滅させた、10.6-80.9km(※1 wiki「チクシュープ衝突体」直径10-15㎞)あり小惑星「チクシュープ衝突体」、直径160㎞のチクシュルーブ(Chicxulub)クレーター(※wiki「チクシューブ衝突体」では177km)をつくった。通常、10km級小惑星では、これほどの被害をもたらさないのだが、運悪く、当時のチクシュルーブには、当時の地球上で13%のエリアにしかない、石油や石炭、天然ガスなどの炭化水素(hydrocarbons)が、地下の岩石や土中に、大量にあったためだという説もある。

 恐竜絶滅に関して、従来の説では、衝突によって細かいチリやガスが舞い上がり、それが大気をおおって寒冷化をもたらしたという説が有力だったが、昨今は、衝突時の熱線が地球上を吹き荒れ、各地で大火災が起きたのではないかという説、あるいは、大型の草食恐竜が種として終末的な状況だったのが、小惑星衝突で、種としての生存限界にとどめを刺したという説もある。

 もっとも興味深い説としては、小惑星衝突時の角度の問題だ。これは、英国の研究グループが、同国科学技術施設評議会スーパーコンピュータ(SiRAC)で、チクシュルーブ・クレーターやピークリング、岩石、地下の地質構造をデータ解析し、3Dシミュレーション化したことで得られた結果だ。それによると小惑星は、チクシュルーブ隕石は北東から60度の角度で地球に衝突したという。――従来の説、30度角では表面が波打つ程度で地殻への大きな影響はないが、60度角での衝突は、ボールを池に投げ込んだように、地球表面がまさに液状化し、地殻へ大きな影響を与え、地殻の成分を大気中へ舞上げるに至ったことが判った。


引用・参考文献

〇石田雅彦「恐竜を絶滅させた「隕石」は「凶悪な角度」で地球に突入した」YAHOO!ニュース 2020年6月2日(火)


※1 wiki「チクシューブ衝突体」:直径10-15km、衝突速度は約20km/s、衝突時のエネルギーは広島型原子爆弾の約10億倍(ツァーリ・ボンバの30万倍)、衝突地点付近で発生した地震の規模はマグニチュード11以上、生じた津波は高さ約300メートルと推定されている]。


          *


04 地球に危ない天体「NEO」の破壊力

 では本題。危ない小惑星・彗星「NEO」が、具体的に、どれほどの破壊力があるかだ。NASAやパデュー大学のシミュレータ「インパクト・アース」の結果だ。ほとんどの隕石は自動車(※レクサスLXで全長5.10m)より小さく、大気圏に突入して、無害なまま燃え尽きる。だがそれより大きいと、リスクが高くなる。とはいえ、比較的よく発生する小さな隕石でも、上空で空中爆発した場合、稀に、大きな被害を及ぼす場合がある。その衝撃波は、窓ガラスを割り、日焼けするくらいの光エネルギーを放出する。

 家くらいの大きさになると、核爆弾以上の爆発が起きる。落下地点から1.5マイル(約2.4キロ)以内の建物はほぼ壊滅。

 20階建てビルくらいになると、さらに悲惨。速度、角度などさまざまな条件が揃えば、パリの中心部を破壊する。

 サッカー場くらいになると、ニューヨークが消滅。マグニチュード7.7の地震に相当する衝撃で、1000マイル(1600㎞)以上離れた場所でも揺れを感じる。

 直径0.5マイル(800m)以上なら、地球規模での影響を引き起こす。バージニア州に相当する広さが壊滅。

 直径0.5マイル以上なら、吹き飛ばされた塵が太陽の光を遮り、気候が急速に変化する。

 エベレスト山の質量なら、周辺数マイルのすべてを消滅させ、隕石孔(クレーター)直径は100マイル(160キロ)以上となり、その後の環境変化で、地球上の生物がほぼ全滅する。実際、このサイズの隕石が恐竜を絶滅させた。

 最大直径の面積がロンドンと同じくらいなら、生物大量絶滅どころのレベルではなく、地球の自転を遅らせ、1日が約半日以上長くなってしまう。

 火星と木星の間の小惑星帯(メインベルト)に位置するケレス(orセレス)は、直径945 kmもある小惑星帯最大の天体だ。1801年1月1日、イタリア・シチリア島・パレルモ天文台で、ジュゼッペ・ピアッツィによって最初の小惑星として発見され、後に準惑星に昇格する。――最大直径を輪切りにしたとき、面積はテキサス州くらいの大きさになる。――でもご安心を、セレスが地球に衝突する可能性はない。


引用参考文献

〇翻訳:Hughes、編集:増田隆幸「七夕ですが、隕石の“破壊力”を大きさ別に解説」(Rod Ludacer/Business Insider)https://www.businessinsider.jp/post-170440

<原文>デイブ・モッシャー、 ロブ・リュダサー、 ケビン・ライリー「都市、州、国、または惑星を破壊するために必要な小惑星の大きさ」

〝How large asteroids must be to destroy a city, state, country, or the planet〟https://www.businessinsider.com/asteroid-sizes-that-can-damage-cities-states-planet-2018-6


          *


05 アース・インパクト・エフェクト・プログラム

 アース・インパクト・エフェクト・プログラム(Earth Impact Effects Program)は、地球への影響の地域的な環境への影響を推定する、計算プログラムだ。プログラムは、噴出物の分布、地盤の揺れ、大気の爆風、衝突の熱効果、および生成された隕石孔(クレーター)のサイズを推定。計測ボックスに値を入力して、選択した衝撃イベントと距離を説明。次に、衝撃の「効果の計算」をクリックすると、環境への影響が判るようになっている。


引用・参考文献

〇ロバート・マーカス、H・ジェイ・メロッシュ、ガレス・コリンズ 「アース・インパクト・エフェクト・プログラム(Earth Impact Effects Program)」

https://impact.ese.ic.ac.uk/ImpactEarth/ImpactEffects/


 ノート20220828

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