読書/織田作之助著 『髪』
コメディー小説『夫婦善哉』で知られる作家・織田作之助は35歳で亡くなる。終戦から少し経った、この人が33歳のときに著した作品。私小説というか、エッセイのようでもある。
三部構成で、第一部は前置き、第二部は戦間期・学生時代。第三部は作家となってから、戦時中のエピソド。
第一部は、この人の反骨精神というか矜持というものが、戦時下、長髪をしていたことで表されている。
第二部は自由寮という名の学生寮がある学園の生活。その名を冠する学生寮で、長髪をしていたら、丸刈りを強要され、退寮。学校側からも、そのことを理由に留年させられる。そんな学園生活に失望し、学校をやめ、作家になる。
第三部は、作家として名を成したが、戦争も終盤となり、兵士適正度数:甲・乙・丙となっているうち、学生のころ健康を害した述者は丙。丙ランクの兵士である、述者も定期訓練に駆り出される。そこで下士官に、不当な体罰を受ける。戦争が終わり、市電で、例の下士官を見つける。下士官は復讐を恐れたのか、述者との目が合うと、視線を背けた。
長髪を愛した述者。思うように生きるということは、面倒なことだ。ごく普通の戦争体験者論。――著者の友人・坂口安吾の『堕落論』『続堕落論』で、戦時中の国民は連帯感を楽しんでいたと指摘しているが、これは極論か?
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