読書/コナン・ドイル 著 シャーロック・ホームズ 『サセックスの吸血鬼』(短編)
サセックスに屋敷を構えるボブ・ファーガソンの仲介者から、彼の妻が吸血鬼かもしれない。真相を調査して欲しいとの依頼があり、ホームズとワトソンは現地に赴く。
屋敷に住んでいるのはボブとペルー出身の後妻、前妻の子ジャック、後妻との間にできた赤ん坊、メイドのドローレス、同居しているボブの叔母メイソン。スパニエル犬。
ファーガソン夫人の異常さに気づいたのは、メイドのドローレスだった。彼女が主人のボブに訴えた話しによると、夫人は、障害のある夫の連れ子を(前妻への嫉妬から)鞭で叩いたことがある。それから何と、夫との間にできた美麗な赤ん坊の首筋から血をすすった。その瞬間を見た。
屋敷の主人から話しを聞いたホームズは、愛犬のスパニエル犬の様子がおかしいことに着目する。
犬は、主人の部屋の隅のかごで横になっていた。のろのろと主人へと近づくが、うまく歩けていない。後ろ足の動きが不自然で、尾は床についたままだ。ファーガソンの手をなめる。そうなったのは、四ヶ月ほど前だという。
ホームズは、屋敷の主人の障害ある息子ジャックに会ったとき、ガラスに映った憎悪に歪む彼の顔を見て全てを悟る。
ホームズは時系列を整理して、ワトソンと屋敷の主人に次のように説明する。
屋敷の主人ファーガソンは、前妻との間にできた息子ジャックを溺愛していた。当のジャックは障害があって容姿にコンプレックスを持っていた。そこに南米ペルーからきた華麗な継母が嫁いできて、美麗な赤ん坊を生む。ジャックは美麗な異母弟に嫉妬して、吹き矢で首筋を傷つける。そして毒の効果を確かめさせるのに犬に傷口を舐めさせた。その光景をファーガソン夫人が目撃し、毒矢の血を吸って吐き出す。それから継子を鞭で打つ。――実子の血を吸い、継子を鞭打つ姿をメイドが目撃し、吸血鬼だと誤解する。
ホームズは歪んだ継子を反省させるため、1年ばかり海外渡航でもさせるように、屋敷の主人に提案し、ワトソンとロンドンへ帰り、事件は解決した。
ノート20211014