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描画具現者  作者: 綾瀬まひろ
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 その日の内に退院となったユリは、協会支部に戻った。

 ローランドは「協会のみんなでユリの退院祝いがしたい」と申し出たが、彼女の心情を踏まえて、適切では無いとクラークが判断し、お流れとなった。

 次の日から一週間、ユリには特別休暇が与えられた。

 ハワードは当初、最低二週間は療養が必要だと言ったが、ユリの「早く職務に戻った方が、気が紛れる」という理由で短縮された。


 ユリは自室の窓辺にいた。風が庭の木の葉を揺さぶっている。

 あの岬で、私はこの島を空爆しようとした、戦闘機を大勢撃ち落とした。

 結果的に、戦闘機に搭乗していた人を殺めることになる。

 それを思い出した時、私は自分がした行為に嫌悪や罪悪感を感じ、押し潰されそうになっていた。

 でもデイジーは、ジュリアさんは、協会のみんなは、私がしたことを責めなかった。

 それどころか、島を守った立派な行為だと言ってくれた。私を赦してくれた。こんな私を——。

 ユリは、花火大会でデイジーがくれたヘアピンを握りしめた。

 ——デイジー、早くあなたと話がしたいよ。

 徐々に短くなる、秋の陽射しは瞬く間に暮れていき、やがて夜のとばりが世界を闇で覆い尽くす。

 微かにドアをノックする音が聞こえた。

 ユリがドアを開けると、金糸の髪をたなびかせた端麗たんれいな女性が立っていた。

「ジュリアさん、こんばんは。今日はポニーテールじゃ無いんですね」

「うん。ユリ、調子はどうかな?もし良かったら、ちょっと付き合って欲しい所があるんだ」

「喜んで」とユリは頷いた。



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