祝言じゃぁぁぁぁ!!!!!
「すみません。現在女王様との面会は半年待ちです」
門番の言葉に絶望した
現在王宮前に来て女王との面会を希望したのだが申し訳なさそうに門番に告げられいよいよ困ってしまった。会うだけで半年待ち。さらにはそこから口説くので一体いつまでここにいなければならないのか
初日で資金もかなり減りなんとか神様と連絡を取らなければと考えてしまった
それもこれもユズキのせいだ……
そんな感じでユズキを見たのだがニッコリ笑顔…
(いや、お前現状わかってる?)
ユズキの相変わらずのお気楽ぶりにいよいよ困ってしまったのだが、おもむろにユズキが門番に近づいていき
「いいんですか?この方は立候補しに来たんですよ?」
「なっにぃぃぃぃぃ!!!!!」
ユズキの一言で急に門番が大声をあげ驚いていた。そして慌てた様子でそのままちょっとだけ待ってくれと言うと大急ぎで城内へと走っていった
まったく何が起きたのかわからなかったが相変わらずの笑顔のユズキ。なんとか説明してもらおうとしたが何を聞いてもニコニコしているだけだった
しばらくしたら城内から慌ただしい音がして、そしてなんだか偉そうな人が何人かやって来て
「そなたかぁぁ!?」
「えぇ、こちらの方ですよ♪」
ユズキが質問に答えそのまま対応した。オレは訳もわからずおいてけぼり。あれよあれよと城内のなかへつれていかれ気がつけば謁見の間まで通されていた
そして一応しきたりだからと片ヒザつきでうつむかされていた。そして作法を一通り教えてもらった
「陛下がお声をかけるまで申し訳ありませんが今しばらくそのままでいてください」
なんだか低姿勢の偉そうな人。そして説明が終わるとそのまま慌ててどこかへ行ってしまった。一体何がおきたんだろうとチラッと周りを見ると慌ただしく、さらには兵士は異様に緊張していた。ますます訳がわからない
そして
「陛下の御出座~」
鐘の音とともに正面の玉座に人の気配した。そして
「妾がこの国の女王。シルエルシェ=ルート=ブリガナンである。その方、面をあげ名のうてみよ」
「タケルと申します。陛下に御目通り出来て光栄です」
緊張しながらもなんとか教えてもらった作法を言え、そして顔を上げて女王を見た瞬間オレは固まった
女王は美しすぎた。はっきり言って美の女神と言われてもおかしくなかった。いや美の女神そのものだった
整った顔、長いまつげ、燐とした瞳、後ろでまとめられた長い金髪、肌はまるで絹のように白く、派手なドレス姿だったがそれすら掠れるぐらい美しかった
あまりの事に見とれてしまった。すると
「ふむ。そなたも妾に見とれたか…それならば」
満足げな様子でどこか嬉しそうな顔になるとおもむろに立ち上がる女王。そして手を伸ばし勢いよく宣言した
「祝言じゃぁぁぁ!!!今日!!!妾はこの者と結婚するぞぉぉぉぉ!!!」
「うぉぉぉぉ!!!!!!」
女王の宣言に呼応するよに兵士達の雄叫び。大臣らしい偉そうな人々は全員泣き崩れて喜んでいた。謁見の間は一瞬であり得ないほど騒ぎになってしまったのだ
(はぁぁぁ!?ちょっ!?一体何が????)
完全においてけぼりで訳がわからない。確かに神様の依頼で女王を口説きにきたけれどもあまりにもあっさり……というか向こうから結婚するぞとか何がおきたか誰か説明してほしかった
そんなオレを含めかなり落ち着きのない人々で埋め尽くされた謁見の間で唯一平常心でいた人物が声を出した
「お待ち下しい陛下。こちらのタケルさんもその事に異存はないと思いますけどやはり一度じっくり話をされてからでも遅くありませんか?」
「むっ?なんだ、そなたは?」
「私はタケルさんと旅をしている者でユズキと申します。タケルさんも陛下にとても好意を持っておりますけど、やはりお互いもっと知ってからでも遅くないと思いますけど?」
「何が言いたいのだ?」
「異議があるとかではないんですよ。ただ1度、ゆっくり落ち着いてお話をされてはいかがではないですか?そうですね……陛下のお部屋とか……」
その瞬間、一同は凍りついた。言葉通り身動き一つしなく声すら上げなかった。なかには絶望しきった顔をしている者もいた
(えーと?なにがおきた???)
もう完全に考える事が出来なくなってしまったオレ。唯一出来たことは女王を見ることだけだったが女王はなぜか引きつったような表情をしていた
「ほ、ほほー妾の部屋か……しかしな……いくらなんでも婚前に部屋にいれるのはいささかふしだらではないのか?」
「そう…ですか……でしたらこのお話はなかった事になるかも知れませんよ?」
「ちょっ!!なぜそうなる!?」
「タケルさんもきっと陛下の事をもっと知りたいはずですから」
「しかしの……」
「大丈夫ですよ。タケルさんなら」
なんだか具合が悪そうな女王とニッコリ笑顔のユズキ。そんな二人が見見つめあっていた。すると何かに気づく女王
「もしやそなた………」
「私と陛下はとても仲良くなれると思いますよ」
その瞬間。二人はなにかで通じた。そして女王は覚悟を決めたようで、ついて参れと自分の部屋へと案内を始めた。それを見つめる兵士と大臣達は慌てふためいていた
女王の部屋は完全にプライベートスペースだったらしく、さらにはその奥には寝室があるらしく、それなら確かに婚前に入るのはあまり相応しくないと思ったが真意はどうやら違うような雰囲気だった
そして部屋の前まで来たところでオレとユズキを見る女王。少しひきつった表情をしていたのはたぶん気のせいだろう
そのまま扉に手をかけて
開かれる扉
その奥には………
ダンジョンがあった
違った
ただの汚い部屋だった
「やっぱりイヤァァァァ!!!見ないでくれぇぇぇ!!!!」
急にしゃがみこみ泣きじゃくり始めた女王。その姿はまるで幼い少女のようだった
そして泣きながら説明してくれた。どうやら女王は極端に片付けが……というか知らない間に部屋を汚してしまうらしかった
(ユズキと一緒だな…)
そしてあまりにもひどくて最近では……というかかなり前から使用人が片付けてくれなくなってしまって荒れ放題になってしまったようだ
さっき二人が通じたのはお互い片付けベタというか事だったのだ
そしてこの悪癖のせいで何度も求婚してきた男に逃げられたのだと。正確には部屋に訪れた者があまりの事に逃げ出しそのまま求婚を取り下げてしまうようだ
(あぁ…街で聞いた男が求婚を取り下げた理由はこれか……)
そんな訳でまた逃げられるのではと思ったようだった。しかもこの悪癖。貴族の間では知れ渡っているようでもう何十年も求婚すらなかったというのだ
そんな訳であらたに現れたオレとはさっさと結婚してしまおうとした訳だったのだ。でなければ一生結婚出来ないと考えたようなのだ
もう呆れるしかなかったのだか
気にくわなかった
イラだった
頭にきた
キレた………
「お前らちょっと手伝え」
「えっ?」「はっ?」
キョトンとする二人。しかしそんなのは無視
そこからオレは鬼へとなった。二人して何か言ってくるが一切無視。むしろもうこき使って部屋を掃除した。そばをただ通りがかったメイドから執事まで巻き込んで徹底的に掃除をした
途中何人かが休みましょう、とかふざけた事を言ってきたがオレは罵声とともに、休みたかったらさっさと終わられせばいいだろ、と一切妥協しなかった
全員に指示を出しながらスキルでゴミと判断された物は問答無用でスキル《ゴミ粉砕》で跡形もなく処分した。途中女王が止めに入ったが、そんなんだから片付かないんだよ!?と一喝した
一喝したさいなぜか嬉しそうにほほを染めていたが気になどしていられなかった
それは夜通し行われ何人かは疲れきって途中で寝てしまったがオレはそんな腑抜けではなかったので夜通し掃除をした
だてに問題児5人の世話をしていなかったからな。おまけにこの部屋とまではいかないがユズキの部屋も相当なのだから
そして外が明るくなってきたぐらいにとうとうその時がきた
「終わった……」
今やすっかり変わった女王の部屋。チリ一つない部屋。まさに女王の部屋に相応しいぐらい綺麗になったのである。ついでだったので同じように汚かった寝室のほうも掃除をしておいた
「これが…妾の部屋か?」
女王もあまりの事に驚いていた。オレとしても頑張ったと思う。すると女王はこちらを見ると手をつかんできて
「なー頼む。妾と結婚してくれぬか?」
懇願するような表情で心の底から求めるような美の女神から求婚
これにはさすがに断れる自信が……
いやいや、面倒事を自ら抱え込もうとするなよオレ!?
たった今苦労した掃除をこれからずっとやらなければならないと思い直したのである。しかし、実際問題どう断ろうかと悩んでしまった。神様には悪いとは思ったが今回だけは勘弁してもらおうと考えたのだ
なのでそれらしい断りをしたのだった。つまり実は自分にはすでに妻が2人いてさらには別に3人の女性と生活していると、さらにはその5人の生活の世話をしているのだと。正確にはシュリを含めれば6人なのだがこの際些細な違い
うんうん。重婚。出来ないよね♪
「なんじゃ…妾は3人目の妻か…しかし仕方がないかの……」
(えっ?断んないの???)
なんと女王。承諾。これには予想外。しかもいまさらやっぱりダメとか言い出せずらくなってしまった
ならばと最後の手段。魂の契りについて話をした
オレの妻になるには魂の契りを交わさなければならずそれは未来永劫、オレを愛し続けなければならいのと、さらにはそのためには1度死んで別の世界?というか取得空間に行かなければならないと
こんな訳も分からない条件を突きつければ流石に諦めるだろうとオレは考えていた
しかしだ
「未来永劫……夫婦に………」
逆に女王はほほに手を当て顔を赤くして嬉しそうにしたのである。むしろ願ったりかなったりといった雰囲気だった
失敗したーーー!?!?
(この人ずっと結婚出来なかった訳だからむしろそんなずっと夫婦になれるとか話せば喜ぶのは当たり前だーー!?)
自分の甘い考えにもう諦めるしかなかったが
「よし。では今すぐにでもその楽園に向かおう!!」
いきなり詰め寄ってくると女王はおもむろにオレを軽々肩に担ぎ上げると窓から外に飛び出したのである
「なぁぁぁぁぁぁ!!!!」
こだまするオレの絶叫。そのまま何メートルも落下して綺麗に着地する女王。そのあとは何事もなかったようにあり得ない速度で疾走し始めたのである
「これが愛の逃避行というやつじゃなぁぁぁ!!!!」
朝っぱらから大声を上げて街の中を男を担いでいる女王。そのまま門へ国を出ていこうとする姿があったのである




