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豪快な《調停者》

 

「お待ち下さい」


 あと少しで国の外。門の前で立ちふさがる人物がいたのだった


「なんじゃ?近衛隊長がなんのようじゃ?」


「陛下、一体どこへいかれるですか?」


「決まっておろう。(わらわ)の楽園じゃ」


「意味がわかりません。取り敢えず城へお戻り下さい」


 そう女王を制したのはミーンだった


 エルフのミーン。物凄いマッチョ。それもそのはずで国最強の戦士で近衛隊長。詳しい事情を知らないが取り敢えずは女王の行動に止めに入り改めて城で話を聞くつもりだったようなのだ


 しかし女王は一切従うつもりはなくむしろ敵視してるようだった。そして


「仕方がありません。力ずくでも連れ戻します」


「んっ?そなたに出来ると思っているのか?」


「無理は承知」


「よかろう。ならば久々に相手してやろう」


 すると女王はやっとオレを下ろしてくれた。そしてミーンと女王は対峙した。ミーンは女王をかなり警戒していた。体格的にはミーンが有利のはずなのに。そして気づいた


(そうか…魔法……)


 そうだ。エルフと言えば魔法。魔法と言えばエルフ。おそらく女王は相当の魔法使いなのだとオレは思った。そして不謹慎だとは思ったが少しドキドキしてしまった


 国最強の戦士が警戒する魔法使い。果たしてどのように魔法を使い戦うのか思わず想像してしまった。きっと凄まじい戦いになるだろうと


「なんじゃ?来ないのか?ならばこちらから行くぞ」


 ミーンがなかなか攻めてこない事にしびれを切らしたらしく女王は一気にミーンとの距離を詰めた


 そして


 ワン、ツーと殴った


 続けて蹴りをくり出す。ミーンはなんとかガードしたが少しバランスを崩し、そこを女王は大振りの右ストレートを繰り出した


 ミーンはそれすらガードしたのだがミーンの巨体があっさり吹っ飛ばされ城壁へと激突。壁にヒビが入り物凄い音がしてそのままミーンは倒れた。女王は姿勢を正すと不適に笑った


(は?いやいや…魔法は?ねぇ魔法は?)


 オレは混乱した。魔法を使うと思っていたのに超肉弾戦。しかも見た感じ女王がめっちゃ優勢。体格的にはミーンが有利のはずなのに。その事にオレはショックを受けた


 一体どれ程の魔法を使うのかと期待していたのに、エルフが肉弾戦って


「さすがは調()()()。お強い」


 ミーンは起き上がりながしゃべっていた、そして起きあがると今度はミーンの方から仕掛けたが女王は軽々と防ぎ、避けた。そして二人の戦いが始まった


 ジョブ《調停者》

 あらゆる揉め事を納める職業でその語りには誰でも従ってしまうという。しかしそれでも従わない者には強制的に従わせる。つまり武力行使。この職業はどんな相手でも勝ってしまうという、いわばチート過ぎる職業なのだ


 そしてこの職業にはある問題があった。それは周囲の者を温厚な性格にしてしまうのだ。これはこの世界の神様が悪の調整がめんどくさいからと、ならばずっと平和ならいいじゃんと、作ったらしい


 しかし温厚、つまり競争心とか向上心とかも抑制してしまうのだと。それでは不味いのかと思ったが向上心がないならこの世界は緩やかに退化してゆくゆくは滅亡してしまうらしい


 そして気づいたときにはすでに遅く、現に魔物とかは弱くなってしまったのだ。慌ててどうにかしようとしたがどうにもならず女王が死ぬのを待って改めてジョブを調整しようとしたのだが相手はエルフ。長命なのだ


 そこでオレに白羽の矢がたったわけだ。オレと魂の契りを交わせてこの世界から調停者を無くそうと


 そんなことを神様には言われたことを思いだしながら戦いを見ていたのだが


 うん。無理。誰も勝てないな……


 女王は圧倒的だった。あの体格差でなぜ戦えると思ってしまうほど一方的だった。女王は華奢ではないがわりと細身。まー出ているところは出ているがそれは戦いに関係ないところだが


 今はお互いの手を掴み力くべをしていたのだがミーンが必死に押しているのに対して女王は笑顔が出そうなぐらい余裕。すると唐突にミーンが手を引いた。すると前に倒れそうになる女王。そこにミーンはひざ蹴りをしてあごにヒット。たまらずのけぞる女王


 しかしゆっくり姿勢を正すと涼しい顔をしていたのである


「ふふっ。その程度か?」


 えーと、どこの魔王様?


 そんな感じの女王。服装はほとんど乱れておらず汚れてすらいなかった。一方ミーンはすでにボロボロ。息もあらげていた


 なおも続けられた戦い。必死で女王の攻撃を防いでいるミーン。ついにはミーンが腰にあった剣すら抜き放たれたのだったが女王は剣を白刃取り。軽々手を捻ると意図も容易く折ったのである


(どこの武神だよ……)


 これにはさすがのミーンも驚いていると、そのまま女王に蹴り飛ばされてまたしてもぶっ飛んだ。その後も一方的な女王


 しかもなんとかミーンがカウンターを決めるがまるできいていなかったのだ。もろにくらっても涼しい顔の女王


 そしてもう何度目かとなる女王の右ストレート。吹っ飛ばされて壁に激突するミーン。しかし今回はうまく起き上がれずにいた。さすがにダメージが溜まりすぎたようだ


「ふんっ。それでは(わらわ)は行かしてもらうぞ」


 余裕たっぷりの女王


(いっやー!?また問題児が妻に……)


 オレもあんな戦いを見せられてさすがに腰が引けた。マジでどうしようかと思っていたら


「へ、陛下、せめてどなたか後継者を残して下さい」


 ミーンの掠れるような声。しかしオレにとっては救いの言葉だった


「そ、そうだよね…女王が急にいなくなると困るよね…それならしょうがない……いやー残念残念」


 しかしそれを聞いて不適に笑う女王


「そうか…ならば代わりの者を連れてくるとしよう。お前達。夫を城で丁重にもてなせ。(わらわ)はこのままあやつを連れに行く」


 それだけ言うと颯爽と駆け出しいなくなる女王。残されたオレはいつの間にか兵士やら大臣に取り囲まれていた。そしてミーンだが。女王がいなくなると何事もなかったように起き上がったのだ


「さて、タケルさん。お城に行きましょうか」


「えっ?ミーン、怪我は?」


「あれくらい大丈夫ですよ。勝てない相手に本気など出しません。はなから勝てないんですから」


 そして思惑を話してもらった


 戦って勝てないなら上手く誘導するつもりだったようだ。どうやらミーン達は女王が結婚出来なくて不憫でならなかったようでオレとの結婚には反対するつもりはなかったようだ


 しかしいなくなられるのは困ると。なんせ国政に関わるのだ。一大事である。だが代わりには当てがあるのだが自分達ではその人物を説得することが出来ないとも考えていたようだ


 なので女王自ら連れてきてもらおうと。女王ならその人物を説得出来るかは分からないが連れてくることは出来るのだと


 ここまで話してくれて納得はしたが


「つまりうまいこと厄介な人物をどうにか出来ると?」


「そ、そんなことはない。陛下には幸せになっていただきたいだけだ」


 悪癖のある女王を押し付けられたような気分になってしまった


 その後、なんとか逃げ出そうとしたのだが厳重な警備により逃げ出せずじまい。結局女王が帰ってきたのは2日後でその間監禁されたような気分になってしまった


 ちなみにその間色んな人たちが代わる代わる女王の良さについてそれぞれ語ってきた。特に皆女王の美貌とスタイルを絶賛していたが……


 それだけだった………


 他は?と尋ねるとそれとなく話を濁されてしまった。そして全員が是非よろしくお願いしますと懇願してきたのだった


 以前神様にオレは女性に言い寄られる魂だと言われたが出来ればもう少しまともな女性に言い寄られたいと他の人に言ったら怒られそうな不満を持ってしまった


 あとユズキだが……


 オレとは違い国賓待遇を受けていてめっちゃ良い思いをしたようだった。それについてはオレが素直に受け入れれば国賓待遇してくれたとあとで聞かされた



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