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生徒会長の犬、転生する(前編)

初めまして! スランプ気味になってきたので暇潰しに書き始めた作品です! 他の作品とは違って少しだけ緩めに書く予定です! どうぞ! よろしくお願いします!

「おっはよー! お兄ちゃん!」

「……朝っぱらから、うるさい奴だな」


 バーンと大きな音を立てて扉が開いた。

 そこから現れて飛び付いてきたのは制服を着ている女の子、恥ずかしながら馬鹿妹だ。馬鹿と付けるのも当然だろう。だって、今は六時四十分……人によってはまだ寝ている時間だ。そんな時間に大声を出すなんて近所迷惑も甚だしい。まぁ、何が狙いで来ているのかは流石に分かっているけどさ。


「キャッ……お兄ちゃんのエッチ!」

「普段から覗き見している癖に何を言っているんだ」


 来るのは決まって、制服に着替える時間だ。

 下着まで替えないおかげでギリ見られても良い範囲だとは思うが……健全な状態とも言えないだろう。かと言って、ルーティーンを崩すというのも面倒だからしたくない。ただでさえ、ストレスばかりの毎日だというのに家ですら癒されないというのは嫌だしね。


「母さんには言うからな。また、唯が壁に穴空けたってさ」

「空けてないもん! 空けたのはお兄ちゃんだもん!」

「……あちゃあ、裏側……傷付いているなぁ。こりゃあ、小遣い三ヶ月カットコースかな」

「おや、用事を思い出したような気が……」


 はぁ……逃げてもバレるって言うのにさ。

 まぁ、いっか。別に着替え中を突撃されても失うのは、扉の耐久値と取っ手で傷付く俺の部屋の壁くらいだ。何度もやられているせいで少しだけ禿げているけど……さすがに俺に矛先が向く訳が無い、と思いたい。まぁ、大声が聞こえてきたあたり階段を思いっ切り走っておりたんだろう、本当にざまぁだな。


 とりあえず、唯が来たって事は朝食の時間だ。

 二枚のベーコンの上に目玉焼きが一つ、それとトーストが二枚……そこにコーヒーがあれば最高だろう。この香りからして……今日は和食みたいだから気分には合っていないなぁ。


「あら、おはよう。洋平」

「ああ、おはよう」

「何、その顔……文句でもあるのかしら」


 おっと、顔に出ていたのかもしれない。

 このままでは朝食を取られてしまう可能性すらある。別に新しく作ればいい、だなんて、母親相手に言える訳が無い。最悪は食事が出なくなって材料も小遣いすらも無くされてしまう。……ええい、ここは犠牲になってくれ!


「当たり前だろ。毎日毎日、朝っぱらから覗きに来る変態の相手をするんだからさ。それにまた穴空いていたんだよ」

「ちょっと、お兄ちゃ───!」

「穴……ふぅん、そっか。洋平はゆっくり食べていてね。唯はお母さんと話し合い、分かった?」


 そんな顔をしても遅い、出た言葉は戻せないぞ。

 ポケットから出したハンカチを軽くヒラヒラさせて席に座る。鮭の塩焼きに小さなサラダ、それと味噌汁にご飯、たくあんとは贅沢な朝食だ。ただし、やはり気分には合わない……から、冷蔵庫から市販のアイスコーヒーを取り出しておいた。


「絶望的に合わないな……」


 まぁ、どれをとっても美味しいから良いけど。

 鮭を一欠片、口にしてから白米に手を付ける。静か……とは、母さんの怒声のせいで言えないが幸せな朝だ。テレビで流れるニュースは行方不明、政治絡み、強盗殺人と正反対なものばかりで気分が悪くなるけどアナウンサーが可愛い分だけまだ見てられる。


「ああ! お兄ちゃん! そのアナウンサーさんが好きなんだ!」

「お前も黙っていれば綺麗なのにな」

「もう……私はうるさくても綺麗だし、可愛いよ!」


 その自信はどこから来るのだろうか。

 とはいえ、高校生になってツインテールを貫けるのは大きな目と丸い輪郭のおかげだ。幼い感じがする代わりにとても可愛らしく、人形のように思えてしまう。……まぁ、そんな感情は捨てるべきなんだろうけど。


「ほら、さっさと食べな。遅刻するぞ」

「……うん、そうだね」


 本来なら従兄弟のはず、だったんだ。

 幼い時から一緒に暮らしてきたからこそ、変な感情を抱いてはいけない。それが叔父さんとの約束だったし、兄として守るべき定めのようなものだ。少し強めに唯の頭を撫でてから食器を流しに片付けておく。食器に溜まる水のように、タオルに溜まっていく水のように……最後はきっとどこかへ流し切れるはずだろう。


「お兄ちゃん! 準備出来たよ!」

「ん、行くか」

「行ってらっしゃい。気を付けるのよ」


 いつもの流れ、天気だって驚く程に快晴だ。

 こんな日くらいは学校を休んで遊びにでも行きたいと思ってしまうのは身勝手だろうか。いいや、きっと誰だって似たように感じるはずだ。腕を絡めようとする唯を躱しながら春の陽射しを存分に堪能させてもらう。


「唯ちゃん! おはよ!」

「菜沙ちゃん! おはんよ!」

「おはよ、南さん」

「あ、洋平お兄さんも! おはようございます!」


 南菜沙、唯と同じクラスの女の子だ。

 小学校の時から家に遊びに来ていた分だけ、面識はあるけど下の名前呼びはさすがに憚られてしまう。さすがに二学年上の先輩として最低限のモラルやマナーくらいは守らないと……ってのは、言い訳にもならないか。本当は下の名前で呼んであげたいよ。だけど、そんな事をすれば……。




「あら、金倉洋平。両手に花とは良いご身分ね」

「生徒会……はぁ、静。別にいいだろ」

「まぁ、いいわ。不純異性交友は誉れ高き、細管西高等学校の生徒として許されてはいないわ。特に生徒会書記を担う貴方には、ね」


 朝倉静……口うるさい俺の幼馴染だ。

 本来であれば生徒会役員は互いを役職で呼ぶというのに生徒会長呼びすら許されないとは……本当に面倒くさい女性だな。というか、学年が上がる前までは初期の話すら無かったというのに唐突に任されるあたり、何かしてきたのだろう。


「南菜沙さん、貴方も名誉ある生徒会役員として洋平へ色目を向けるのはやめなさい。あまりに酷ければ校長にも」

「それをした瞬間に辞めるからな」

「……仕方が無いわね。そこまではしないわ」


 才色兼備、文武両道、眉目秀麗……それだけならまだマシだったかもしれない。コイツの悪いところは朝倉家が細管町の古くからの名家である事だろう。そもそも、書記になったのだって高校に圧力でもかけたんだろうしな。校長がすごく申し訳なさそうに言ってきたし。


 それに細管西高に通っているのがおかしいんだ。

 偏差値だけで言えば十は差がある細管東にすら容易に合格出来たというのに、それをせずに一緒に推薦で来た。中学の担任からは「申し訳ないけど推薦で受けて」って逆に頼まれたから……お察しの部分だろう。


「……あら、今日は」

「人前で付けられるか。前に言っただろ。下校中と生徒会室でしか付けないって」

「あるならいいわ」


 はぁ……なら、腕を組んで来るのをやめてくれ。

 不純異性交友がどうのこうのと言う癖に自分は良いとかダブルスタンダードも大概にしてくれ。後ろの二人にどんな顔をしてやればいいのか本当に分からないし、腕を胸の間に挟もうと動かしてくるのは本当に辞めて欲しい。それならまだ唯が相手の方がマシだ。

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