107.メスティの実力
めっちゃ久しぶり。。。
もうアミミを子供と侮る者はいなかった。
あの大男がどんなランクかは知らないが、それでも腰くらいまでしかない身長の少女に蹴り飛ばされたのだ。それで警戒しない方が間抜けというもの。
集中的に攻撃されるわけではないが、嫌らしくちくちくと距離を置いての攻撃が繰り返される。
おそらく精神を疲弊させるためだろう。
どれだけ強者といえど心が伴わなければ実力を発揮することは叶わない。
対人戦においては周囲の人間の方がアミミより間違いなく巧者だ。
アミミも攻撃を避けつつ別の冒険者を盾に使うなど極力疲労を蓄積せずに立ち回る。特訓の成果が発揮されているようだ。
そうこうする内に、舞台上の冒険者は10人程度にまで減っていた。
「おおーっと。第8ブロックはまさかの侍ガールがいい動きだ。彼女がここまで戦えるなど誰が予想しただろうか。もちろん俺は予想していたぜ!」
ルールの解説に周囲からブーイングが飛び交う。そんな訳ねーだろなどの罵詈雑言。
ルールはある意味愛されキャラなのである。
それはさておきアミミを侮った発言をした男に俺は不可視の空弾をお見舞いしておく。
どこか遠くでギャンと悲鳴が聞こえた。
ただ中にはアミミを応援する声もちらほら見受けられた。
その声援に少しだけ嬉しくなったのは秘密である。
「さて他のブロックはどうなっているかな……と、こりゃ俺もおったまげだ。『トライカンタ』ヘクス。出場してくれただけでも奇跡みたいな話だが、この乱戦の中舞台で本を読みながらのティータイムと洒落込んでいるぞー! その間に周りの連中は広がり続ける雷の壁にばったばったと返り討ちだぁ!!」
ヘクスが紹介され皆の注目が一気に第3ブロックに集まる。と同時に会場から女性たちの黄色い声が上がった。
恐らくヘクスのファンだろう。
桃色のショートカット、眼鏡に浅めの帽子。キルト地の様なゆったりとした民族衣装風の衣服に身を包み、女性的な風貌をしたヘクスは男性に人気かと思いきや、意外にも女性人気の方が強かったりする。
もちろん男性からの支持も熱い。
一部紳士は彼女の口から発せられる冷たい言葉をご褒美と崇めたりしているとかしていないとか。
そんなヘクスを見ていると、俺の視線に気付いたのかこちらに向けてウィンクをする。
すると勘違いした周囲の観客たちがあらん限り声を張り上げ声援を送っていた。一瞬で周囲を虜にするとは恐ろしい。
肝心の戦況はと言うと、残った冒険者たちはヘクスの張った雷撃の壁を突破できないようで、壁がジリジリと広がるにつれ安全圏が少なくなっていく。
決着がつくのも時間の問題だろう。
ここは問題ないとして、俺は第5ブロックへと視線を向けた。
「ふむ。あの娘……あの歳にして器が完成しつつあるのう」
「こっちとしては頭の痛い話だけどな」
第5ブロックの残りは3名。
タイミングよくルールの解説がとんでくる。
「さぁ第5ブロックは残り3人。最初に決着がつきそうだぞ。残ったのは先日Aランクに上がったばかりの新進気鋭、ノーマン・カザトフ。大剣を操り豪快な剣技で他を圧倒する選手だ。もうひとりは魔法の大家、グレゴール家の次女サーシャ・グレゴール。この冒険者がすごいで特集されたこともあり、月刊冒険者でも巻頭グラビアを飾ったことがある美姫だ。ランクはBだが器用な立ち回りを見せ3人の内のひとりに残っているぞ。得意魔法は氷魔法。そして初出場の謎の少女、メスティ・ランド。常に眠そうな目をしていておじさんちょっとキュンとしちゃう。東方の人間ではないが紛れもなく侍。半数以上を彼女ひとりで打ち倒し、冴え渡る剣技で並み居る古豪も撃破してきた文句なしの実力者だ。個人的に俺はメスティがイチオシだ。あの気だるげな瞳で罵倒されたい!」
多分に個人的嗜好が含まれたルールの発言に賛否分かれる観客の声。いや、なんで賛否分かれるんだ。
実況というよりもはやエコ贔屓ですらあるが、本人はなんら気にしていないようだ。
あんなのでもAランク上位とは世も末である。
「さぁ戦端を切ったのは意外にもサーシャ。周囲に冷気の波動を放った。相手の動きを鈍らせているうちに大技で叩く寸法か」
だが動きを見ただけでどんな魔法を使ったか的確に判断できる眼力はルールの実力を物語っている。
こんなふざけたやつでも紛れも無い強者なのだ。
舞台上ではサーシャの魔法で動きが鈍ったと思われた2人だったが、それはひとりだけだった。
何故かメスティはその影響下にないらしく、問題なく動いている。
焦ったサーシャは空中に氷弾を生成するとメスティめがけて打ち出した。しかし急造の氷は力が乗らないのかあっさりと砕かれる。
次弾を生成する間も無く詰め寄られたサーシャは峰打ちを受け、なす術なく倒された。
「おおっと。最初に倒れたのはサーシャだ。そして残るはノーマンとメスティのみだ」
残ったのはノーマンとメスティ。だがノーマンは余裕の表情だ。
相手は自分よりも体格の劣る子供。それも少女だ。
確かに目を見張る剣技はあれども、体力と経験では間違いなくノーマンが上だろう。
何より先にサーシャを倒した事で、ノーマンはすっかりと自由の身になってしまった。
そんなノーマンは狙う順番を間違えたなと内心ほくそ笑みながら、しかし態度には表さない。そして慢心もしない。
ただひとつ、ノーマンにとって誤算だったのはーー
ノーマンが一足で距離を詰め大剣を横薙ぎに振るう。
当たれば間違い無くひとたまりもない攻撃。しかしその攻撃はメスティに当たらない。
ひらりと舞い躱わすと大剣の腹で跳躍、ノーマンの背後へと回る。が、ノーマンも伊達に経験は積んでいない。
剣を振るった勢いそのままに背後へと攻撃を繰り出す。
メスティは体を低くして避けると刀の峰でノーマンの腹部を叩いた。しかし大きな音を立てるだけで肝心の攻撃は鎧に阻まれる。
これ幸いと、ノーマンは大剣を振り下ろす。大剣が地面を抉り取り周囲に床の破片をばら撒いた。
直前で身を引いたメスティだったが、鋭利な武器となった破片への対処に一瞬意識を割かれる。
その隙をついてノーマンが剣に闘気を込め追撃。
『大断頭』
再びの振り下ろし。
一見隙の多い単純な振り下ろしだが、実態はそう簡単なものではない。
剣に籠った闘気は尋常ではなく、掠るだけで意識を刈り取られかねない一撃。
それを至近で、しかも体の小さなメスティにとっては致命の一撃と呼べる。
ノーマンは勝利を確信しながら、威力ののった一撃が床を先ほど以上に粉々にする。
衝撃が周囲に波及し観客の何人かが悲鳴を上げた。つられて他の部隊で戦う面々も意識を向ける。
濛々と立ち込める砂埃が晴れるが、そこにメスティの姿は既になかった。
どうやったのか、攻撃圏外まで逃れたメスティは、決して斬撃の及ばぬ距離で刀を構える。
慌てて追撃に備えて構え直すノーマンだったが、メスティは構わず抜刀。
『七間抜刀』
小さな呟き。その言葉を聞き取れた者は、この場に誰もいない。
ただ引き起こされた事象は、誰の目にも明らかだった。
突然ノーマンが血しぶきを上げながらその場に倒れる。そのままぴくりとも動かなくなった。
「「…………」」
会場中の誰もが息を飲んだ。目の前で起こったことに理解が追い付かない。
何が起こったのか分からないが、それでもはっきりしていることはただ一つ。
「ノ、ノノノ、ノーマン倒れたぁ!! メスティの勝利だ!!!」
それが果たして勝利と呼べるのか。
本来なら上がるはずの歓声は一つも上がらず、会場全体を静寂が包む。
自身の勝利が確定したためか、メスティはそのまま刀を納めると舞台を後にする。
控室に向かう道中、ゲンショウがよくやったとばかりにメスティを出迎えていた。
頭を撫でられたメスティの表情は柔らかく、年相応の幼さを見せる。
ゲンショウは一瞬こちらに視線を向けたが、直ぐに逸らすとそのまま控室へ続く通路へと姿を消した。
「挑発のつもりかのう」
「だろうな。よほどアミミのことが欲しいらしい」
「まったく、ロリジジイか」
「いや、その言い方はちょっと別の意味になりそうな……」
「? まあしかし、さっきのあれは……」
会場中がまだ呆けている中、ルヴィアがチラリと俺へと視線を向ける。彼女の言いたいことは分かる。
「彼我一刀と同種の技だろうな。斬撃をノーマンの鎧を通した上で、しかも致命傷は避けた上で炸裂させた。あの年齢で、信じられない技巧だ」
「これはアミミやばいんじゃないかの?」
うん。俺もそう思う。
思った以上にメスティの実力が高い。
あと1年鍛えればアミミもその高みへたどり着けるだろうが、明日の決勝に間に合うかと言われれば、正直難しい。
決してアミミが弱いわけではない。だからこそ、裏技のような飛躍的に強くなる手管が存在しないのだ。
それこそ反則的だがとんでもない装備を身に着け戦いに臨むとか。
だがそんなことを言ってもアミミは納得しないだろう。勝つために手段を選ばないなど侍の矜持に悖る。
そもそもの問題、そんな装備があるのかという話だが。
「だがアミミも随分腕を上げたではないか。あの乱戦で自身の損耗を抑えて立ち回っておる。この分なら明日の本戦は万全の状態で臨めるのではないかのう」
「まあ……な」
視線の先には他の冒険者を盾にしながら巧みに攻撃をいなすアミミの姿。
そしてアミミを含む残り人数が3人となった時、アミミが動き出す。
相手は女剣士。
日に焼けた健康的な褐色の肌に、ビキニアーマーという際どい服装。
アマゾネス風の女剣士はアミミ目掛けロングソードで突きを繰り出す。
よく見ると剣の周囲で闘気が渦巻いている。おそらく衝撃波を発生させる類の技だろう。
当たれば怪我では済まない一撃。だがその一撃をアミミは前進しながら刀の腹で衝撃波ごと受け流す。
目の前の光景にアマゾネスの表情は驚愕に染まった。一気に距離を詰められ焦りからか、思わず背後へステップを踏む。
だがそれも手の内。アミミがさらに距離を詰めると考えたのか、もう片方の手を背後へと回し小型のナイフを取り出していた。
不測の事態でも次の一手に繋げる。それだけでも歴戦の強者とわかる動きだ。
だがその目論見は外れ、アミミがその場に静止する。
アマゾネスはその行動に眉を顰めるが、すぐにその理由に気づいた。何か強烈な熱気が伝わってくる。
側面に目を向けると、まさにアマゾネス目掛け火球が襲いかかったのだ。
「第8ブロックも動きあり。おおーっと。女戦士カミュ、迫る火球に大ピンチだ!」
タイミングよく飛んでくるルールの実況。
舞台上ではそれをやった魔法使いが僅かに顔を顰める。2人を巻き込んで漁夫の利を掻っ攫うつもりだったのだろう。
だがアミミが直前で止まった事で攻撃の範囲から外れてしまった。
既に至近に迫った火球をアマゾネスことカミュは剣で防ごうとするが、防いだそばから火球が爆発し勢いに飲まれて場外へ弾き出された。
魔法使いはすぐさま狙いをアミミに切り替えるが、2人巻き込めると思っていた故の油断か、反応が一瞬遅れた。
剣士相手にそれは致命の隙。アミミに対しては言わずもがなである。
あっさりと距離を詰められ峰打ちを喰らった魔法使いは、そのまま舞台の上で力尽きた。
「こちらも大番狂せ! いや、俺は最初から予想していたぜ。勝利の女神が微笑みかけたのは、異国からの訪問者、なんとちびっこ侍ガールだぁ!!!!」
「うっせールール引っ込んでろ!」「バカルール!」「適当な解説すんじゃねー!」
今度は分かりやすく歓声が巻き起こった。それに混じってルールへの文句も多数聞こえるが、気にしないことにしよう。
確かにアミミは快勝と言っても良い出来だっただろう。事実明日への余力を十分残した状態で締めくくれた。
だがそれはメスティも同様。体力も気力も目立った消耗は見られなかった。
後は明日1日をかけての本戦で、どのような組み合わせになるか。組み合わせ次第ではアミミに勝ち筋が出てくるかもしれない。
もちろんアミミにとっても連戦は厳しい上、相手は今日以上の猛者達だ。
メスティと当たる前に何があるかもわからない。
勝ち目は限りなく低い。だが俺はアミミを勝たせてやりたい。
勝負云々ではなくアミミの先生として、出来るだけのことはやってやろう。
そうして予選はつつがなく進み、本戦進出者が出揃った。
「本戦進出おめでとー!」
パチパチと拍手が起こる。
テーブルを囲むのはアルティスにゲロ、カス、そしてルヴィア。
お誕生日席と呼べる上座にはヘクスが座らされていた。
ヘクスは相変わらずの澄ました表情だが、どことなく嬉しそうな雰囲気を纏わせていた。
祝われることに慣れていないのかもしれない。
ちなみにルヴィアのことは予選が終わった段階でトールから皆に紹介済みである。
アルティスなんかは一方的に知っていた(月刊冒険者にて)ので、目が飛び出しそうな勢いであったが。
最初は酷く挙動不審だったものの、ルヴィアの性格がさっぱりしているのもあってすっかり緊張も解けていた。
「それにしてもヘクスもアミミも凄かったわね」
「あちきらは直ぐに負けて早々に見物してたでやんすからね」
「ガスガスガス」
「うるさいわよ!」
ゲロの言葉にアルティスが文句を言う。
アルティスたちは揃って同じブロックになったものの、開始数分で場外負けとなっていた。
とは言え例の槍使いがいたため、アルティスの安全を考慮しゲロとカスが早々に退場に持って行ったと言うのが真相である。
皆が歓談する中メイド服を着た女性が料理を持って近づいてくる。器用に両手両腕にお皿を乗せ、安定した姿勢でテーブルまで来ると、そのまま料理を置いた。
色とりどりの野菜が乗ったサラダや香ばしさと照りが食欲をそそる鶏の丸焼き、湯気の立つ白パンにこちらの世界ではあまり見かけないカルパッチョ風の生魚の切り身。
一行はオリオールで刺身を食べたので抵抗はないが、ルヴィアだけそれを見て眉間に皺を寄せていた。
「喧嘩は程々にですよぉ。せっかく調理場を借りてご飯を作ったんですからぁ、冷めないうちに食べてくださいぃ」
「ありがと、エリカ」
「ほわぁぁぁぁ! アルティス様からのお褒めの言葉ぁ、今すぐ昇天してしまいそうですぅ」
「勝手に昇天してなさい」
エリカは体をくねくねさせ気持ち悪く身悶える。
直後にアルティスから冷たくあしらわれたものの、気にした様子はなさそうだった。
「ふむ。この鳥はイケるのう」
「あらぁ。ありがとうございますぅ」
早速並べられた料理に手をつけるルヴィア。
もちろん礼儀正しく祈りを捧げる者もいるが、往々にして冒険者は自由人が多い。マナーなんてあってないようなものだ。
ヘクスも簡易的な祈りを捧げると目の前の料理に手をつける。
サラダはドレッシングがかかっており、あっさりしているが確かなコクを感じさせた。葉野菜がシャキシャキで新鮮さを物語っている。
所々に散らされたフライドオニオンも食感にアクセントを加え、またほのかな甘みと風味が口の中いっぱいに広がった。
「ふふふ。やはりエリカくんの料理は絶品だね」
「どうよ。私のエリカはすごいんだから!」
「何でアルティス様が偉そうなんでゲスか」
「ガスガスガス」
「うっさいわね!」
和やかな雰囲気で食事が開始される。
「あ、忘れてましたぁ」
思い出したようにエリカは声を上げると、徐にスカートの中に手を突っ込んだ。
アルティスたちだけでなく周囲で見ていた客もギョッとした顔になる。一部これから始まるかもしれない事に期待を寄せる者もいたが。
ゴソゴソとスカートの中を探るが、幸いスカート丈が長いため大事な部分は露出しないでいた。
一行はほっと安心すると共に、周囲から若干名の落胆の声が聞こえてくる。
「あぁ、ありましたぁ」
そう声を上げて取り出したるは、両手で掴める大きめの鍋。
それをテーブルに置くと、どすんと重さを感じさせる音を上げた。
「熱々のスープですよぉ。召し上がれぇ」
「どっから出してんのよ!?」
「スカートの中ですがぁ?」
「見りゃ分かるわよ! なんでスカートから鍋が出てくるのよ!」
「……たったららったった〜。お鍋ぇ」
「何でもっかい戻して取り出したの!? しかもその音楽何?」
「はぁ。トールさんがいれば四次元スカートぉ、と出来たんですがぁ」
エリカのその言葉に皆首を傾げる。
この場に未来の猫型ロボットを知る人間はひとりもいないのだ。
とは言えエリカも記憶に植え付けられているだけなので、大した感慨がある訳でもない。
「エリカって時々変なこと言うわよね。そう言えば、肝心のトールとアミミはどこ行ったの?」
アルティスが周囲を見回すが2人の姿はどこにもない。
折角のお祝いなのだから、もうひとりの主役であるアミミも参加すると思っていたのだが。
するとルヴィアが肉を片手に口を開く。
「あやつらなら今頃修行だろうの」
「修行って……。決勝は明日なのよ? しかも連戦なのに」
明日は決勝戦。1対1の戦いで、予選を通過した猛者が相手。しかも1日で優勝を決めるため勝てば連戦となる。
当然今日以上に厳しい戦いになってくるだろう。
体調を万全に整えることが最善であり、疲労を残す様な行為は本来あり得ないことだ。
「お主の言いたいことも分かるぞ。だがの、何もしなければ結果は明白。僅かでも勝ち筋を見つけるためには必要なことなのだ」
「アミミ……」
ルヴィアの言葉にアルティスは不安の表情を浮かべる。
彼女にとってアミミは大切な友人だ。勿論負けて欲しくないが、それ以上に無理はしてほしくない。
けれど今の言葉はメスティが無理をしなければ勝てない相手と言うことだ。
そのせめぎ合う感情に思わず言葉が詰まる。
そんな彼女を見て、ルヴィアは自然と顔を綻ばせた。
(あやつもいい仲間を持ったようだの)
心配してくれる仲間がいるというのは冒険者にとって非常に大切だとルヴィアは思っている。
これはエルフである彼女が長い年月をひとりで生きてきた経験から来るものだ。
トールに出会って自分もそう思えるようになった。
そう考えるとどちらが師なのか分からないなと、思わず苦笑してしまう。
「ま、今はあやつらのことを信じるしかあるまいて」
「……うん、そうね。その通りだわ」
「そうと決まれば明日の応援のためにぃ、しっかりとご飯を食べないとですねぇ」
そう言ってスカートの中からもう2、3品料理を取り出すエリカ。
皆ちょっと嫌そうな顔をしたが、それでも料理は美味しかった。




