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ソラモヨウ  作者: SIN
87/88

87面

 ストレスの多い日々を過ごしながら、胃痙攣に怯えて禁酒を続ける最近の事。

 ストレス発散をしないと駄目だと考えたので、久しぶりに不要不急の外出、散歩に出かけてみた。

 仕事が来るかもしれない時間だと「来ているかも知れない」と、それはそれでストレスになってしまうので、完全に仕事が来ない夜の10時以降。

 夜ならば大抵の店は閉まっているし、必要以上に人間が出歩いている訳でもないので、コロナの事を考えれば丁度良い時間帯だと思う。

 日頃の運動不足解消も兼ね、徒歩。

 こうして歩き始めてしばらく、何処へ向かおう?と十字路に立ってみると、車除けの上に手袋の左手だけがぽつんと置かれているのが見えた。

 右手は何処にあるのだろうか?どこか別の場所に落ちているんじゃないか?

 リーン♪リーン♪ギギギギギ……リーン♪

 右手を探してみようかな?そう考えた時、鈴虫と機械音の中間あたりの、何とも不思議な音が聞こえた。

 何故だか、音の聞こえてくる方向に向かおうと思いつき歩き出す。

 分かれ道が来るたびに音が聞こえてくるので、何処かで音が鳴っている訳ではないのだろうと思いながらも、不思議に思う事もなく歩き続ける。

 リリリリーン♪

 1駅分くらい歩いていくと、機械音のようなギシギシとした音がなくなり、より鈴虫っぽい高い音になった。

 少し大きな公園の横、鈴虫の音は公園の奥から聞こえてきたので、公園の中に入ろうとして足が止まる。

 バイクが3台停まっているのだ。

 これは、人がいそうだな……しかも若い人間だ。最悪、ヤンチャなタイプの人間かもしれない。

 リリリリリリーン♪リリリーン♪

 奥からは綺麗な鈴虫っぽい声と、なにやらボソボソと話している若い声が3人分。

 1駅ほど歩いたけど、散歩とするには少々遠くまで来過ぎたのかも知れない。

 ギギギギィ、ギシギシ、リリリーン。

 回れ右をして帰ろうとした時、ズット聞こえてこなかった機械音のような音がして、徐々に「何の音なのだろうか?」と頭に浮かびだした。

 しかし、そんな疑問もヤンチャな若者3人の間を通り抜けてまで追及はしたくない。

 密になるし。

 後ろに音を聞きながら帰路についていくと、フツリと音が止み、その代わりにポーーーと、低い音の耳鳴りが数秒、そして

 「カァー、カァー、カァー」

 「ギャーギャッギャッギャ」

 「カァコー、カァーコォー」

 3回カラスの鳴き声が聞こえた。

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