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フリマアプリを本格的に始めていた俺は、その傍らで先輩が出品して売れた物の梱包などを手伝っていた。
それは今から2か月ほど前の事なので、新型コロナウイルスと名を聞く事もなかった時だ。
先輩がしているフリマアプリと俺がしているフリマアプリは種類が違い、匿名配送の値段も微妙に違っていて、重たい物は先輩の所で、軽い物は俺の所でといった風にしていたので、2人で2つの場所を共同管理!みたいなテンションだった。
その日、1つの商品に対して1件のメッセージが届いた。
差出人は以前にも先輩の所から商品を購入してくれた人で、少し値下げてくれませんか?とかなんとか。
先輩は快く承諾したのだが、先に購入ボタンを押したのは全く別の人だった。
いくら先にやり取りをしていたとしても、購入ボタンを押した者に購入権があるので、先輩は仕方なく。といった風に購入者とのやり取りを始めた。
その横で俺はプチプチ片手に梱包作業。
売れた商品はパソコンのマザー。
SSDのHDDとCPU、CPUクーラー、メモリ付きで、HDDにはOSもインストール済み。
なので確実に、完璧に動く品だったのだが、細かい所までの動作確認はしていないからとジャンク扱いとした商品だ。
とは言っても、ちゃんとOSをインストール出来ているのだから問題はないし、ジャンクなので結構なお手頃価格設定!
で、もちろんジャンクなので返品不可と表記済み。
こうしてその日のうちに発送し、数日後。
受け取り評価の前に届いたのは購入者からの「動かないので返品したい」とのメッセージだった。
確実に動く物を売ったし、その証拠画像もあるので先輩は「メモリやCPUを変えずに電源を入れてください」とか「CPUクーラーがずれたり外れたりしていませんか?」とか、まぁ色んな可能性を伝えたのだが、即レスで「動かない」の一点張り。
「絶対試してへんやろ!1回全部やってみろやぁ~」
と項垂れる俺を尻目に、先輩は淡々と運営に報告。
匿名配送の場合は補償があるので運営に報告するとちゃんと補償してくれるのだ。
もちろん、発送時トラブルにのみ対応となっている。
そして運営は購入者と出品者とのやり取りを全て見ているらしいので、下手な喧嘩腰は良くないのだとか。
しかし購入者は、アプリ画面の右下にガッツリと表示されている”マイページ”の場所が分からないだの”商品取引中の問い合わせ”が1番上にあるのに分からないだのと言い、その度に先輩から細かく説明を受けていた。
で、結局言うのだ。
「ちょっと分からないのでキャンセルしてください」
キャンセルになると、動く物を売ったのに代金は入ってこず、壊れた物を着払いで引き取る事になるので、こちらに得は一切ない。
そもそもジャンクで、返品不可だと明記したうえでの取引だったはずだ。
ここで「分かりました」とキャンセルしてしまうと、運営は手出し不可能になるので、例え語気強めに出られてもキャンセルして取引を終えてはいけない。
数日後、運営から下されたのは補償対象になる。との嬉しい知らせと、本人確認をしてくれ。との要請だった。
本人確認?と促されたURLに飛んでみると、フリマアプリとは別のアプリのログイン画面?登録画面?だった。
「え?これ登録したくないんやけど?」
と首を傾げながらもなにやら操作をする先輩は、不意にスマホから顔を上げてタバコに火をつけた。
なにかあったのだろうか?と尋ねれば、登録するのに必須科目になっている口座入力だが、そこに先輩の銀行名がないそうだ。
で「対象銀行名がない方はこちら」から飛んだ先にはパスポートか免許書での登録ができる。との事で、マイナンバーカードでの本人確認はできません。と。
「無理やん!」
先輩は購入者に怒る事はないが、運営には怒る。
それに俺だって運営のこのやり方は汚いと思った。
フリマアプリでの補償に、他アプリへの登録が必要になる意味が分からない。
ので、結構色々調べて出てきた答えは、フリマアプリ内のマイページにある個人情報編集だ。
個人情報を編集すると、それを証明するために本人確認画面が出て来る。そこではマイナンバーカードでの登録が可能なので、わざわざ対象銀行で口座を開設しに行かなければならない。なんてことをしなくて良いのではないか?と考えたのだ。
特に編集する項目はなくても編集画面をクリック。すると小難しい言葉で本人確認が必要になるよ!みたいな注意書きが赤文字で出て来るが、それを無視して編集。
どこも編集しないまま編集を終了させると、画面に現れたのは本人確認画面!
「いけるかも!?」
「いけるかも!」
と、マイナンバーカードの画像を撮影して送信ポチーン!
後日、本人確認ができた事と、商品代金が補償された事を示したメッセージが届いた。
やったね!




