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ソラモヨウ  作者: SIN


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 先輩はフリマアプリで色々と売っていた。

 フリマアプリに興味津々だった俺は、いつか自分で登録が出来るようになったら、絶対にやろうと思っていたし、ソレを先輩にも伝えていて、更には、向いていないから。と止められていた。

 それでも発送準備を手伝い、動作確認も一緒にしていた。

 良く売れたのはタブレットとか、パソコンといった電化製品。

 もちろん動作確認済みだった筈なのだが、どういう訳か受け取り評価をする前に購入者から、動きません。とメッセージが届く事があった。

 そんな時はメッセージでやり取りをして故障箇所を特定しなければならないのだが、それがまだパソコンの事を知っている人なら良いが、知らない人だと、

 「まずケースを開けてみてください」

 の所で躓く。

 メッセージでのやり取りなので、パソコンがどんな状態なのかも確認出来ないし、ケースを開けに行く事も出来ない。

 それでもなんとかやり方を伝えればどうにかなったし、グラボが外れていたとか、HDDが外れていたとかで、ちゃんと動く状態にはなった。

 それはそれでかなり可笑しいのだが。

 俺と先輩は動作確認をして、その状態のままプチプチを2重に包んで梱包し、取り扱い注意のシールを貼り、上下が逆さまにならないよう注意し、慎重にコンビニへ荷物を持っていった。それなのにHDDが外れるなんて、かなり激しい衝撃が加わっている証拠だ。

 実際タブレットの液晶が粉々になっているとの苦情をもらった事もある。

 俺達に非はないし、受け取っただけの購入者にも非はなく、明らかに運送者側の責任だと思われる故障は、フリマアプリの運営に問い合わせると保障がきく。

 販売者と購入者へ商品の代金が支払われるのだ。

 なので、何かあった時は問い合わせる事は常識と言っても良かった筈だ。

 それなのに、それは起きた。

 先輩はこれまでの経験上、販売実績が0人の人とのやり取りはしないようにしていたらしく、ゲーミングパソコンへの入札希望者に対し、初めての方とのやり取りはしません。と、かなりオブラートに包んで伝えて断り、そのゲーミングパソコンを一旦商品リストから外していた。

 そして凡そ半年後に再び売りに出し、そして即売れた。

 最後のチェックとして動作確認をして、ちゃんと動いている証拠の写真を撮り、どんなパーツを積んでいるかの写真も撮り、プチプチを何重にも巻いて梱包して発送した。

 数日後、その人から受け取り評価悪い。が付き、怒涛の如くクレームメッセージが届いた。映らない。から始まり、音が出ない。と続き、不具合だらけで返品したいから住所を教えろ。と。

 メッセージが来ている事に気が付いた時には既に散々暴言を言われた挙句、逃げるな詐欺師。とまで。

 詐欺も何も、動作確認済みで問題がない事を確認して売っている!

 「なんじゃこの返品詐欺師は!」

 粗方住所が聞きたいだけのクレームか、パーツ取りをした後のパソコンを送り返したいだけだろうと思った俺は、思いつく限りの返信内容を書き、先輩に推敲してもらい、そのままデリートされた。

 「ホンマにナチュラルに煽るん止めな?」

 そう微笑む先輩は、映像が映らずスピーカーから音が出ないという事でしょうか?と、結構なオウム返しな返信をした。するとスグに、全てにおいて不具合だらけです。と来て、グラフィックボード接続不可、映像が映らずスピーカー端子緑が接続不可。と、細かい状況が返って来た。

 そして流れるように、返送します。と来て、住所を教えろ。と来て、逃げるな。と連投。

 細かい状況を言ってくる事から、もしかしたらまた搬送中の事故かも知れないと思った先輩は、グラボはちゃんと差さっていますか?スピーカー端子はこちらもちゃんと確認していますので、もう1度確認してください。と。これに対する返事は、

 全て確認したけど駄目だった。今から通報する。というものだった。

 もちろんそれだけでは終わらず、これは詐欺なのでツイッターで拡散する。と続き、詐欺罪として被害届を出した。と続き、更には、16時までには逮捕状が出る。と言ってきた。そして最後に、住所は配達者から聞きだした、もう逃げられないぞ。と。

 酷い脅迫文である。

 逮捕状が出るとまで豪語しているのだ。

 「なんっじゃこいつ!こっちの話も聞かんと言いたい放題!」

 憤りを過ぎて、とんでもない怒りに燃える俺の横で先輩は溜息1つで運営にお問い合わせをしていた。その上で返事を送った。

 只今運営に報告しましたので、返事があるまでは発言を控えてください。と。しかしそれで黙らないのがクレーマーだ。

 後ほど被害届の番号を教える。だの、被害届は受理された。だの、逮捕状を出してもらう。だのと続くは続く。

 そして先輩がもう1度、

 運営からの連絡があるまでお待ちください。と。

 そして少しの間大人しくなったかと思ったら、再び届いたメッセージ。

 もうこの話は止めましょうか、すいませんでした。

 勝手に終わりを告げてきた。

 先輩は返事をする。

 いえいえ、このままではお互い納得いきませんので運営の判断を待ちましょう。こちらは動作確認中の証拠写真や、パソコン内の証拠写真もありますので、必要ならばお出ししますよ。と。

 クレーマーは一気に消沈してしまったのか、もう良いと言い、先輩が取引を“悪い”で終わらせた事に、お前は人間として終わってる。と捨て台詞を残していった。

 しかしこのクレーマーは先輩とのやり取りをしている最中。運営からの返事を待つようにと訴えている間、パソコンを転売していたのだ。

 商品説明には、先ほど詐欺師から買った品物です。グラフィックボードがちゃんと刺さっていないと認識しません。スピーカー端子緑が接続不良。以外は正常です。だった。

 運営からの返事を待てと散々いったのに、これだ。

 不具合だらけとクレームをしてきたくせに、これだ。

 その上、そのクレーマーは先輩の名を名指しで、この悪い評価をつけたやつは詐欺師だから気をつけて!とプロフィールに書く始末。

 自分は立派な脅迫をしてきたくせに先輩を詐欺師扱いしているクレーマーに俺は本当に腹が立っていた。

 それでも先輩は取引を終えてしまった。もしあのクレーマーがある事ない事の虚言で被害届を出して本当に逮捕状を取っていたら?

 証拠になるかは分からないが、こんなやり取りがあったと残っていた方が良い。

 俺は先輩とクレーマーのやり取りを全てスクショし、クレーマーが転売しているパソコンのページと、購入希望者とのやり取りも余す事無くスクショした。するとその中に1人可笑しな事を言っている人物がいた。

 このパソコン、もしかして○○(先輩のHN)って人が売っていた物じゃありませんか?

 見るとそれは初めての方とは取引しない。と先輩に断られていた人物だった。

 半年前に購入を断られたパソコンと販売者の名前を正確に覚えているのも不自然ではあるが、それを何故転売者へのメッセージとして残す必要があったのか?

 それも“詐欺師から購入した”と名前をぼかされている商品に対して、だ。

 なんじゃコイツラ!

 腸が煮えくり返っている俺の隣では、先輩が呆れた風に、

 「なっ?SINちゃんにフリマアプリは向いてないやろ?」

 と笑っていた。

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