55橋
毛むくじゃらと1代目から「やらんでいい!」と総ツッコミをいれられた……。
時は酷暑真っ只中である8月中旬で、俺は少し味の可笑しくなったお茶が入った蓋付きタンブラーを手にしていた。
少し味は可笑しくなっているが、匂いはまぁまぁ普通で、飲んでみてもまだギリギリ飲める感じのお茶。
出来たてのお茶が少し傷み、そして飲めなくもない位のギリギリになり、そして腐る。その“ギリギリ”と“腐る”の違いは何なのか。この間には何があるのか。ギリギリの期間は一体どれ位あるのか。
と、こんな小学生の自由研究みたいな疑問が頭に浮かんでしまったのだ。
なので氷を入れたタンブラーに出来立てのお茶をたっぷりと入れ、一定時間毎に一口飲む。という事をしていた。
初めの6時間程は氷もまだ残っていたので、お茶は冷たくておいしい。
10時間程経ってもお茶は冷たいままで、もちろんおいしい。
1日経ったお茶も常温よりも冷たく、特に味に可笑しさもなくおいしい。
そして2日目のお昼の事……少しばかりの酸味を感じるように。それでもグイッと飲む分には気にならない程度で、ギリギリ飲める範囲。
そこから3時間程度で今度は臭いが気になる程強くなってきた。とは言ってもザ、腐敗臭!という感じではなくて、爽やかではない柑橘系のような臭い。一瞬レモン?となった後で徐々に麦茶の臭いに戻る感じ。飲んでみると、若干のとろみがあるものの味はまだギリギリ飲める範囲内。
中身が少なくなってきたのでここから少し時間を開けて、夕方。
臭いは相変わらず爽やかではない柑橘系が一瞬した後、麦茶の香りに戻ったのだが、飲んでみると少しばかり状態は進んでいて、とろみが増した事と、後味に少々嫌な酸味がある事が追加されていた。
まだギリギリ飲める範囲ではある……かな?
そこから1時間後、飲んだ瞬間に感じる酸味と、後味にも残る酸味。
これはアウトだろうか?いや、でも飲もうと思えば飲めるような?
更に1時間後、酸味の他にもなにか嫌な味を感じるように。ガラスのコップに移して見ると若干濁っていたのでここをアウトとし、タングラーを洗って実験終了。
麦茶は保温性の高いタンブラーに入れたとしても2日以内に飲みきった方が良い。
そう実験の結果が出たので、俺はそれを毛むくじゃらと1代目に発表し、今後の意気込みで締めくくった。
「麦茶は腐りやすいから2日やけど、水の場合はどうなのかも調べてみようと思う!」
と。
そして冒頭の出来事になる。