表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソラモヨウ  作者: SIN
51/88

51本

 バイト中の事、入り口のベルが鳴っていないのに人が入ってきたように見える時は幻覚だ。

 そもそも入り口すら開けずにスッと店内に入って来られる人間はいないのだから、幻覚で間違いない。

 しかし、会計を終えたお客さんが出て行く時に、すれ違いざまに入って来るように見える絶妙なタイミングの時がある。

 「いらっしゃいませ」

 と声をかければ、先輩がちょっと可笑しな顔をするので、それで幻覚であると気が付き、言い間違えた事にしてスグに「ありがとうございましたー」と声を出すのだが、そんな事が続くと流石に変に思われてしまい、

 「時々言い間違えるんなんで?」

 と、先輩に尋ねられた。

 そこで初めて幻覚が見える事を打ち明け、

 「今も入り口の所に作業着の人が立ってるで」

 と。

 「それ幽霊ちゃうん!?」

 俺には霊感が全くないので、幽霊が見えるなんて事はありえない。

 「違う違う、幻覚」

 見える物は虫系が多いし、なんなら何か分からない白い玉だったり、黒い玉だったりもするし、ちゃんとした人間が見える事の方が珍しい。

 バイト先に限れば人間目撃数の方が圧倒的に多いが。

 こうして俺を霊能力者と思い込んだ先輩だったのだが、その翌日だったか、開店前の準備で窓拭きをしている時。

 「おぉ」

 かなり凄い幻覚が見えたので思わず声が漏れた所へ、

 「なに?どした?」

 と、先輩。

 幽霊が見えたとでも思っていそうだったので、

 「そこにライオンが座ってる」

 見えたままの光景を告げた。

 「ライオン!?」

 「ライオンは流石に幽霊じゃなくて幻覚やろ?」

 「確かに……」

 こうして俺は先輩に、霊能力者ではなくて幻覚が見えているだけという事を信じてもらえたのでしたとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ