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ソラモヨウ  作者: SIN
47/88

47流

 夕食後のまったりとした時間。

 食器の片付けをしている俺の後ろで、毛むくじゃらと1代目が他愛もない話しをしている。

 「木場さんってMですかね?」

 急に名前を呼ばれた。

 しかもどんな会話内容だ?

 「Sっぽくない?」

 毛むくじゃらまでそんな事を言うもんだから、俺は食器洗いを途中放棄してソファーに向かう。

 「どっちでもない!」

 コレだけを言う為に態々ソファーまで歩かなくても良かった気がしなくもないが、ちゃんと普通って事は伝えなければならないと思った。

 「人間は絶対にどっちかなんですよ!」

 なにその論理!?

 それに、人をマゾだのサドだの言う前に、自分達はどっちなんだよ。

 「あー、俺どっちやろ?」

 そして毛むくじゃらは何故か興味津々である。

 「1つ心理テスト知ってますけど、やってみます?」

 こうして俺達はサドかマゾかを知るための心理テストをする事になった。

 「1問目。遭難して漂流して無人島に流れ着きました、さて、そこはどんな島ですか?」

 1問目と言う事は、質問はいくつかあるようだ。

 「因みに、1代目はなんて答えたん?」

 ニヤニヤとしている毛むくじゃらが言うと、1代目は少し考えてから俺達の前にそれぞれメモ用紙を置き、ペンを置いた。

 口で言わずに書けって事か。確かに誰かの答えを聞いてしまったら、それに合わせた答えを言ってしまうだろう。そうなればちゃんとした心理テストの結果は出ない。

 なので俺は1問目の答えを「無人島に見せかけたロケ地」と書いた。しかし、俺の答えを見ていた1代目は、

 「それ、後々の質問にも響くので却下です」

 と。

 仕方ないのでまた少し考え「有人島まで数メートルの島」と書いて、また、

 「それ、遭難も漂流もしてないじゃないですか!」

 とのツッコミを受けた。

 どうしようかと隣を見ると、サッとメモを手で隠す毛むくじゃら。1発目の答えでクリアできたのか……なんて書いたのだろう?

 無難な事を書けば良いのだろうと俺は「ジャングル」と書いた。

 「はーい、2問目。その無人島には1種類だけ動物が住んでいました。それはなに?」

 1種類だけ動物が?だったらそれは人間でも良いんじゃないか?いや、無人島だと言う設定は守らなければ……言い方を変えて猿人類とかどうだろう?

 いやいや、ここでも無難な答えを言った方が良い。島はジャングルになっているんだから、ワニとかその辺で良さそうだ。

 「第3問!食料はどうやって調達しますか?」

 食料……ジャングルなのだから木の実とか、果実とかは豊富にありそうだし、ワニも美味しいと聞くから食料には困らなそうかな。

 「うわ~……じゃあ最後の問題です!無人島から脱出しようとしています、どうやって脱出しますか?」

 うわ~って、どうした!?

 却下されてないんだから間違ってない筈なんだけど……。それより、最後の質問だ。脱出方法、脱出方法……ヘリ?

 「終わり?」

 メモを手で隠したまま毛むくじゃらが言い、1代目はフゥと天井を見ながら一息入れて

 「お二人ともドSです」

 と、解説もなくいきなり結果だけを告げた。

 結果が出たのだからと言う事で毛むくじゃらの答えを見ると「プライベートビーチみたいな所」「友人」「フルーツ」「クルーザー」だった。何故1度も却下が出てないのか不思議だ……しかも、1種類だけいる動物、友人て!なにこの金持ちが連休に遊びに行きました的な無人島ライフは!

 にしても、これがどうしてサドという事になるんだ?しかも俺の答えはもう少しは無人島っぽいのに、やっぱりサドって判断だし……。

 「1代目は?」

 と、毛むくじゃらは尋ね、それぞれ「ジャングル」「狼」「開拓」「海岸にSOS」と言う答えを聞き出した。

 同じ質問内容だと言うのに、こうも見事に答えが違うなんて、ちょっと面白い。

 「辛い、怖いってのを想像した人がマゾで、楽しいとかそっち系がサドです」

 なるほどね、じゃあ毛むくじゃらはかなりの勢いでサドになる訳か。けど、俺の答えはそんなに楽しげでもないような……あ、最初はロケ地とか言ってたわ。

 逆に、辛そうな1代目はマゾって事になるのか。

 「ドMやったんやなぁ~」

 しみじみと感想を言う毛むくじゃらに対し1代目は、

 「叩かれても嬉しくないですからね!」

 と、力いっぱい抗議してくるので、俺達は俺達で

 「叩いて気持ち良くならんからな!?」

 と、力いっぱい抗議しておいた。

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