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ソラモヨウ  作者: SIN
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40片

 毛むくじゃらの外耳炎が完治する少し前、俺は「小説家になろう」で知り合った方に教えていただいたNLP・神経言語プログラミングを試していた。

 菓子パンを食べながらご満悦の毛むくじゃらの真正面に座り、

 「食べ終わったらでえぇから、ちょっと試したい事がある」

 と。

 「今でもえぇよ。なに?」

 改札口を思い浮かべるだけで気分が悪くなる程のトラウマを克服しようとの試み、何かを食べながら受けるべきではない。

 「食べ終わったら言う」

 「なに?言うてみ」

 その間にもムシャムシャと菓子パンを口に運ぶから、俺はらくがき帳を取り出して長方形を書き、その長方形の中に小さめの正方形を4つ。横線と縦線を加えて、長方形の枠の底辺の小さな丸を5つ書き加え……簡単に言うと、物凄くデフォルメした電車を描き、その横につり革を描いた。

 ピタリと毛むくじゃらの手が止まる。

 食べ終わってから話しかければ良かったと後悔しつつ、このままじゃあ菓子パンどころではないだろう。とNLP・神経言語プログラミングを急遽始めてみる事にした。

 「1番辛かった時の事思い出して」

 「……うん」

 「改札口?電車待ってる?乗ってる?」

 「乗ってる。シートがアカン」

 そう言いながらボンヤリと一点を見つめる毛むくじゃらは、見る限り気分悪そうにしていた。

 なので急いで進める。

 「その苦しんでる自分を客観的に見てみて。うわー気分悪そうな人おるわーって」

 「……ん」

 「見えた?」

 「ん」

 「じゃあ次はそれを白黒にして。セピアでも何でもえぇから、カラーではなくして」

 「ん」

 「その光景に枠をつけてみて。テレビみたいな」

 「ん」

 「出来てる?」

 「ん」

 「じゃあ、そのテレビを徐々に小さくしていって」

 「……ん」

 「もっちゃ小さくして」

 「出来た」

 「……じゃあ、その小さいテレビを砕いて。バッキバキのメッキメキに」

 「ん」

 「……どう?」

 「なにが?」

 「電車や!」

 「あー、うん。なんか大丈夫そう」

 そう言って毛むくじゃらは菓子パンを頬張るから、本当に大丈夫なのだろうか?と、電車の絵とつり革の絵を手に持ち、

 「ガタンゴトーン、ガタンゴトーン」

 とか言いながら左右に動かしてみたが、笑われただけで終わってしまった。

 こうして昨日、俺のグラボが急に壊れた。

 モニターが真っ暗で何も映さなくなったので、モニターかグラボか電源か。まずはグラボを取り外してマザーに直接繋げてみると問題なくパソコンが付いた。

 そんな訳で今日、毛むくじゃらを連れて地下鉄で日本橋までグラボを見に行く事にしたのだった。

 駅までの移動中、特に何の反応もない。

 切符を買う時も無反応、改札を抜けても大丈夫で、やってきた電車を目の当たりにしても特に何の反応もなかった。

 「大丈夫かも」

 と、嬉しそうな毛むくじゃら。

 結果、毛むくじゃらは目的地に着いて、色々店を見て回って、電車に乗って帰宅するまで元気だった。

 「電車のイメージテストみたいなやったの、覚えてる?」

 「覚えてるで。あれなかったら多分無理やったわ」

 NLP・神経言語プログラミングをしている最中、余りにも薄い反応だったので本当に効果があるのだろうか?と不安に思っていたが、その効果は絶大で、たった1度イメージしただけで克服と相成ったようだ。


 毛むくじゃらの容態を心配してくださった方、NLP・神経言語プログラミングを教えてくださった方、ありがとうございます!

 当人物凄く元気で、電車を降りてスグに空腹を訴える程の余裕っぷりでした。

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