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ソラモヨウ  作者: SIN
30/88

30流

 長い時間一緒にいると、その人とだけ通じる言葉が出来たりする。

 熟年夫婦で言う「アレ」だけで会話が成立するような感覚に近いのかも知れない。

 もちろん、俺と毛むくじゃらの間にもそういうのが地味に沢山ある。分かりやすいので言えば「おかこもそ」「おかいも」「おかいものにっころがし」「おかここここここここ」だ。これら全て「おかえり」という意味である。言われた方は「ただこもそ」「ただいも」「ただいものにっころがし」「こここここここ」と返事をする。最後の「こここここここ」は2人して言うので止める人がいなければ結構な時間続いてしまう。

 うん、アフォだ。

 ある日の事、帰ってきた毛むくじゃらに、少し省略して声をかけた。

 「いもー」

 と。

 すると毛むくじゃらは始めて耳にする筈の挨拶に戸惑う事もなく、

 「いもー」

 と返してきた。

 困惑したのは1代目で、すぐさま尋ねてきた。

 「いも?」

 非常に単刀直入に尋ねられ、出来るだけ丁寧に説明した。

 「おかえりーの、いも」

 と、俺。

 「ただいまーの、いも」

 と、毛むくじゃら。

 するとまた1代目が言うのだ。

 「……いも?」

 ちょっと申し訳なさそうに。

 「おかえりーがおかいもーになって、いもに進化してん」

 「退化やろ」

 こうして「いも」の意味を知った1代目を前に、俺達は再び声を掛け合った。

 「まめー」

 「まめー」

 と。

 「まめ!?」

 因みに「まめ」とは「おつかれ」の事で、「おつかれー」から「おつまめー」になって、最後「まめ」に退化したという……うん、アフォだ。

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