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ソラモヨウ  作者: SIN
22/88

22片

 昔から、毛むくじゃらのご両親にはお世話になっていた。

 未だに“1ヶ月に1回は顔を見せに来い”と言われる程で、行けばご飯をご馳走してくれ、梅酒や梅干などの手土産まで持たせてくれる。

 なので、父の日や母の日には毎年少しばかりのお返しを毛むくじゃらと2人で買う。

 もちろんそれはバレンタイン、ホワイトデーにも実行される。

 去年まではビール6缶セットとちょっとしたおつまみとチョコで済ませていたバレンタインだったが、今年からは高血圧に配慮しなければならない。

 お袋さんは高血圧に効果があるというカカオ70%以上のチョコを常備しており、親父さんはそれを毎日1粒食べているとの事前情報があったので、チョコは即効で贈り物候補から消え、同時にアルコールであるビールも、塩分の多いだろうおつまみも候補から消えた。

 「なににする?」

 2人で買い物に行き、店内をウロウロ歩き回りながら相談して、結局ブラックチョコレートにしようと意見がまとまった。

 しかし、お菓子売り場のチョココーナでお袋さんが買っているようなカカオ70%チョコにするか、それとも普通のブラックチョコにするかで意見が割れた。

 「高血圧に効果的なのはカカオ70%以上のチョコやで」

 と、俺が言えば、

 「ブラックやったらなんでもえぇわ」

 と、毛むくじゃら。

 確かに、70%以上のチョコはお袋さんが常備しているのだから似たようなチョコを選ぶ事もないと毛むくじゃらが選んだチョコをカゴの中に入れ、他にも何かないだろうかと見て回る。

 「これ、えぇんちゃう?」

 声をかけられて行くと、高級と書かれている優しい味の煎餅を見せてきた毛むくじゃら。確かにこれは良いかも知れないが、いいね。と同意する事は出来ない。

 何故なら、

 「割れ、って書いてるやん。アカンアカン」

 高級割れ煎餅。だったのだ。

 「高級やで?割れてるんそんな入ってへんし」

 「そういう問題ちゃうわ。割れって書いてるんを贈り物にしたくない」

 「えぇと思うけどなぁ」

 「良くない。失礼に思われたら嫌や」

 煎餅を前に言い合い、結局平行線のまま他の物を探す事に。

 こうして選び抜かれたのは、毛むくじゃらが“これ名前が可愛い”との理由だけで即決した栄養ドリンクとなった。

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