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ソラモヨウ  作者: SIN
19/88

19片

 バイトが休みだった俺は、お昼頃からノンビリとパソコン前に座っていた。

 そこで見かけたのは、スーパーブルーブラッドムーンと言う、何かの呪文みたいな長い名前の付いた月食の情報だった。

 月が大きく見えるスーパームーンと、1ヶ月の間に満月が2回来る事を言うブルームーンと、月食のブラッドムーンの3つが重なった満月は、日本では実に36年ぶりなのだとか。

 これは、早速言わなければならない!と、メールを送った。

 もちろん相手は毛むくじゃらで、本文は「仕事終わり来て」だ。36年ぶりの凄い月を見る為なので「一緒に空を見上げよう」とは誘わない。

 何故なら、強力な雨男である毛むくじゃらに、空を見る為に集まる。なんて意識させたら高確率で曇るからだ。

 コンコン。

 夜の9時ちょっと前、部屋の窓をノックする音が聞こえたので窓を開け、空を確認してみた。するとそこには見事な月。

 部屋の中から観察出来る事を確認した後、毛むくじゃらを部屋に招き入れたのだが、上着を脱ぎながら毛むくじゃらが言った。

 「なんやっけ、スーパー月食やろ?」

 と……。

 空を見上げる会だと、気付かれていたのだ。

 それでもその時点では綺麗に月が見えていたし、僅かではあったが既に月は欠け始めていた。

 その記念にと写真を1枚撮ってツイッターにあげて、10分毎に写真を撮って月食の様子を記録しようと思ったのだが……肉眼ではしっかりと欠け始めている月が、写真では満月に写るという不思議な現象が起きた。

 「肉眼って凄いんやなぁ」

 「そやなぁ」

 そんな事を言い合った10分後。

 窓を開けて見上げた空には、薄っすらとした雲。それでも僅かに月が見えたものの、写真を撮っても何も映らなくなった。

 ここからが月食本番だというのに、だ。

 その無念を再びツイッターにあげる。

 そこから更に10分後、空は分厚い雲に覆われ、月が何処にあるのかさえ分からなくなってしまった。

 やはり、空を見上げると意識させたら駄目だったらしい……。とは言え、久しぶりにノンビリとした時間を共有出来たのだから、それで良い。

 「ちょっとでも見れて良かったなぁ」

 「そやなぁ」

 こうして毛むくじゃらはチョコ菓子を1箱食べてから帰宅準備を始めた。

 見送るために外に出て、見上げた空は……やっぱり物凄い曇り空でしたとさ。

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