17流
日曜日の午後、ノンビリと過ごしている俺達の元に、携帯片手の1代目がやって来るなり、
「問題」
と声を上げた。
「よっし来い!」
心理テストが来る事を察知した毛むくじゃらが聞く体制を整える。
「行きますよ。嵐の日、バス停には瀕死のおばあさん、親友、自分好みの異性がいます。貴方は車に乗っていますが2人乗りです。誰を乗せますか?」
嵐の日に瀕死のおばあさんがバス停にいる状況が想像しにくい!しかもバス停にバスが来ないのに何故俺は車でそのバス停にいるんだ?1時間に1本しかバスが来ない山奥?にしたっておばあさんがどうしてそんな所に?
「全員運転できるん?」
おばあさんは無理だろ!
「はい」
出来るのか!
「それ瀕死ちゃうやん」
「あ、じゃあおばあさんは無理です」
質問が緩いわ!
「じゃあ~……おばあさんと女かなぁ」
少し考えた毛むくじゃらが答えた。すると何故その2人にしたのか気になったのだろう、
「どうしてです?」
追加質問があった。
「助けるのは女子供からって言うし。俺とSINなら歩いて帰れるやろし」
親友を俺と変換したのか。
「木場さんは?」
答えと、理由を聞いた後からじゃ答え難いが、理由まで聞かれると分かったんだから答えやすくなったような……まぁ良い。
「救急車を呼びます。来たらおばあさんと異性を救急車に乗せるので、答えは親友です」
答えた後、1代目は少し間をおいた。
どうやら相当際どい内容の心理テストだったようだ。
「これは、サイコパス診断です」
サイコパス診断?
いくつかは知っていたが、これは知らなかったので自分の答えが普通なのか分からない。
「それで、俺らサイコパス?」
いやいや、毛むくじゃらの答えでサイコパスなら、世の中全員サイコパスだと思う。
「お二人とも常人です。サイコパスの答えは、親友とおばあさんを車に乗せて、自分は異性を襲う。らしいです。おばあさんを助けたヒーローの称号と、好みの異性を同時に手に入れるという心理なんですって」
確かにその行動は普通じゃない気がしなくもないが、そこ襲う必要があるのだろうか?折角おばあさんを助けたヒーローになっているのだから、女性に対しても紳士に接していれば、今後の展開も見込めそうだと言うのに。しかも嵐の日に襲えるのか?待合室的なものがあるとか?だったら嵐が過ぎるまで4人で談笑だ!あ、お婆さんは瀕死だった。
「え?車の返却の為に連絡先聞いて、後日改めてデートとか考えた俺はサイコパス!?」
サイコパス要素が見当たらんわ!