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その25


「で? なんでこんなとこに凛がいるの?」


「えーとそれは……」


「凛ちゃんもここに用事?」


「用事というかなんというか」


「あ! 凛、こんなとこにいたー! どこ行ってたのよ?」


「沙月ーッ! 」


凛はまるで救世主でも見つけたかのように縋り付いた。


「あの子凛ちゃんの友達の今野さんだよね?」


「ああ、昼休みとかよく一緒にいるよな」


凛は急いで友達の所へ駆け寄った。

なんでこいつらコソコソしてるんだ?


「あ、あのさ。私がここに用事あって凛について来てもらったんだ、それにしてもこんなとこで会うなんて本当偶然だね!」


凛はブンブンと首を縦に振った。


「あ、そうだったんだぁ、私達ここで夕飯食べてくつもりだったんだけど凛ちゃん達も一緒に食べてかない?」


「ええと、凛どうする?」


「そ、そうだね、一緒に食べようかなぁ、いいかな?」


「伶奈もいいって言ってるからいいんじゃないか?」


そうして俺達は一緒のテーブルに座った。


「そういえば瑛太君もう決めたの?」


「ああ、カレーにした」


「瑛太またカレー? 好きだねぇ」


「またカレー? どこかで瑛太君カレー食べたの?」


「あ! ううん、瑛太ってカレーばっかりのイメージあったから、それに奈々ちゃんも瑛太がカレー好きだって。あはは」


「奈々ちゃんって?」


「瑛太の妹さんだよ」


「凛ちゃんって瑛太君の家とかに行った事あるの?」


「あ! ちょっとした用事でね? ねぇ瑛太」


「ん? あ、ああ……」


「そうなんだ…… 」


おいおい、頼むから余計な事言うなよ? 俺も人の事言えないけど……


「あれあれー? 凛ちゃんじゃない?」


別な所から声が聞こえ、声の主を見ると…… あれは確か違うクラスの鮎川だっけ? それと鮎川に負けないくらいの美人が2人。


「え? 鈴菜の知り合いなの?」


「うん、同じ学校でさぁ」


「へぇ、結構可愛い子ばっかじゃん。 鈴菜のとこレベル高いねぇ。 あ、私朝日奈あさひな ゆずだよ、鈴菜の友達! こっちのとっても可愛い子は新村にいむら けいちゃん、男の子だからね! てか私の彼です」


「「「「え!?」」」」


新村とやらが男と聞いて一同驚愕した。まぁ制服見たらわかるんだけどな。


「勝手に彼氏扱いすんなよ」



そう言った新村とやらはとてもウザったそうに答えた。 こんな美人に好かれてこの態度とは。でもこれが男とは。 女にしか見えん……


「私達もお隣良いかしら? 良いよね、凛ちゃん」


「あ、どうぞ」


「ああ、そうそう、あんたらに言っとくけど新村君に色目使ったら許さないわよ?」


「「「「え?!」」」」


その場の空気が一瞬で凍った。 ちょっと和気藹々した感じだったのに氷点下になってしまった……

何考えてんだ? この朝日奈って奴は。


「ちょっと柚! そんな事しないってば、みんなごめんねぇ」


「お前何考えてんだよ……」


「えへへ、新村君に悪い虫が寄り付かないようにしてあげたの!」


「寧ろお前が悪い虫なんだけど?」


「あはは、朝日奈さんって変わってるね、瑛太君」


「新村って奴も大変だな」


「やっぱ鈴菜さんの友達って感じするよね」


「凛って結構鮎川と仲良いのか?」


「うーん、たまに話し掛けてくるくらいだけど」


「ねぇねぇ凛ちゃん、そっちの可愛い子ってもしかしてその人の彼女?」


「え!?」


「フフッ、瑛太君私達カップルに思われちゃったね」


「あ、ああ。 そう見えるのかな?」


「鈴菜さん、瑛太の友達だよ」


「ああ、なるほど。 そういう事ね」


「って、私は可愛い子のうちに入ってないの!?」


今野が悲しそうな顔をして呟いた。


「沙月だって十分可愛いよ? ね、瑛太?」


「ああ、そうだな」


こいつらが異常にレベルが高いだけあって今野だってそう悪くはないけど俺もこんな奴らに囲まれると場違いな気がしてならない……


チラッと新村を見ると表情が死んでいる、早く帰りたいと思っている顔だ。 対する朝日奈はそんな新村にまったく動じずアピールしまくっている。


あっちはあっちでカオス状態だ。

そうこうしているうちに俺のカレーが来たので食べ始める。


ってそんなに俺がカレー食うとこ見つめるなよ、伶奈と凛はずっと俺を見ているから食べ辛くてしょうがない……


「瑛太、食べないの?」


「瑛太君、もしかしてそれ美味しくない?」


「いやいや、あんたら2人が見てるから食べ辛いんでしょ?」


おお、今野ナイスツッコミ。


「凛ちゃんもこのカレー食べたかったの?」


「え? あ、うん。 美味しそうだなって思っただけ」


「あ、私のも来た」


伶奈が頼んだのはBLTサンドだった。


「わぁ、結構大きい。 瑛太君少し食べる?」


伶奈はかじって良いよと言わんばかりに差し出してきた。

マジ? いいの? と思いながら少し頬張った。


てかなんか凛の視線が痛い…… なんか瞳の奥で炎が舞い上がってるような目で見られると余計に食べ辛い。


「こら! 凛!」


今野に言われ凛がハッとした顔をしていた。


「あ! 凛ちゃんも食べたかった? 」


「ううん、私は今あんまりお腹空いてないから……」


「さっき美味しそうだなってカレー見てたのに?」


「う、うん。 見てたらお腹いっぱいになってきた」


「凛ちゃん! ファイトだよ!」


隣から何故か鈴菜がエールを送っていた。


「あ! そうそう、私しばらく学校休むからさ!」


「え? 鈴菜さんどうかしたの?」


「ストーカー対策でちょっと柚の家にお世話になる事になったからさ。 私と柚一人暮らしだから丁度いいの」


ああ、そういや凛もこの間ストーカーがどうのこうのって言ってたもんな。

そうして俺はさっさと残りのカレーを食べた。


「私も後で瑛太君の家に行ってみたいな」


「「え?」」


その呟きに俺と凛が反応した。




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