41 上 下 突っ込みと念
うぇい
「さっきコタツ、素気無く振ってたよねっ!
麗子さん、落ち込んでたよねっ!
何で2人ともさっきのことが無かったかのように仲良く座ってるのっ!?」
俺の従兄弟が全力でツッコミを入れてきているが、思う。
全く、やかましい奴だ。前から微妙にうぜぇ時が有るが今回は特にうぜぇ。と口には出さないが心で思っておく。どうせ言ったって、馬の耳に念仏くらいにしかならないし。
「やかましいですわね」
って、えっ、この人(麗子)が平然と言い切りやがった。
ちょっとビックリしてしまう。
ビックリして、俺は勿論キンタも無言と成る。
勿論それぞれ見ている人への感情は違う。
コタツは、スゲーなキンタに対して、今までの女子たちはキンタに甘い台詞しか吐いていなかったのにこんな女もいるんだという感動がある。
キンタは、好きな人から言われた心を抉る会心一撃に絶望的にそんなに僕の事嫌い的に弱った声犬みたいに麗子を見ている。・・・・男からこの光景を見るとただただ、気持ち悪いという感想しかもてねーなー。
麗子に関しては、キンタ丸無視で俺に「そんな見つめられたら、照れてしまいますわ」と頬を染めて顔を隠してしまう姿が何だかアザト可愛いと思っているおれ自身がもう駄目かもしれないと悟ってしまう。
俺は彼女に好意を持ってしまったらしい・・・・・。本当にもう、駄目らしい・・・・・。
俺の右肩にグイグイ押し込んでくる女は頭をコテと傾け俺に引っ付き幸せそうな表情をしている。
もう、成るように成れ。と俺は左隣の棚に掛けてあったパイロット用ヘルメットを見てふと思い出し、それを取る。
良く映画でヘリコプターの中で普通に会話しているシーンが良くあると思う。
だが、実は普通に会話できるという認識は間違いなのである。
輸送ヘリや偵察ヘリでも同様なんだが、航空機と違って、機体を軽くして防音措置もせず、エンジンと機体内がブチ抜かれてる事が多い。特にCH-47JAとか47Aとかの輸送ヘリ。
というか、戦争用兵器が重くて飛べないとか移動が遅いとか、燃料食いすぎるとか、何? 馬鹿なの!?!? になる。
結果、エンジンがむき出しになり、エンジン音が機体内に爆音をお届けすることになる。
機体内で通常のお喋りが出来なくなる仕様である。(大声を出さなければならない)
でだ、そこで活躍するのがパイロット用ヘルメットだ。
一つは事故を起こした時に頭を守る防護になる。二つ、爆音から鼓膜を守る耳栓代わりになる。三つ、無線が着いている為大声を出さず通常の声音でお喋りが可能になる。
俺はヘルメットを2つ取り隣のキンタの親戚に声をかける。
「えーと・・・・き、麒麟さん・・・・」
「麗子でいいですわ」
「いや・・・・・・(そこまで仲良くはねーし)」
「麗子と及びください。龍様」
彼女は華の咲いたような笑顔で名前を読んでくださいとお願いしてくる。
「・・・・・・・・・」
無言で如何しようと考えている俺に何か圧がある笑顔で微笑んでくる。
正直にいうと押しが強いな~。と思いました。ですが、
「・・・・・れ、麗子・・・さん・・・・で、勘弁」
何故か敗北した気になるが、彼女は小声で「しょうがありませんね」と嬉しそうに微笑んでいる。
「で、いかがなさいましたか?」
「ああ・・・ヘリってエンジンかけるとすげぇ、五月蝿ぇんだ。本来は耳栓とかあればいいんだけどないから変わりに、後、たまに乱気流で揺らされて、ヘリの備え付けの部品に頭を強かに打つこともあるんだ。
少し窮屈だけどしといた方がいい。」
「物知りなのですね、龍様は」
ニコニコして嬉しそうに話す。
こう接せられると調子が狂ってしまう。
調子が狂って、少し間を空けてしまっていると、降板のほうからズカズカと足音鳴らしてコタツがやってきて、俺の持っていたヘルメットを奪う。
「ぼ、僕だってそのぐらいは知っているさっ! 付け方は・・・・・あれ? これどうやってつけるんだ?」
何か俺に対抗心を燃やしたアホ・・・・コタツがヘルメットの付け方で混乱している。
それもそうだ。バックルを嵌める式のメットではないのだ。
俺はふと彼女が、麗子さんがあいつをどう見ているのか見ようとして横をちら見仕様と視線を逸らす。
そこにあった表情は絶対零度の真顔。
そして、この顔に見覚えは俺には多くある。
コタツとお喋りしている通常の女子達が俺の見るときの顔である。
正直、慣れたが、立場変わってこれを見ると何だか寒気がしてきて恐ろしい。
知っているか、コタツ? お前、ゴミを見る目で見られているぞ!? 天然、主人公体質で見えていないのかも知れないが、あえて言おう。
[ 気・づ・け・!!!!! ]
麗子さんには失礼かもしれないが、俺はもう一度思ったことを、念を込めて放つ。
[ お前が普段気付かず、俺が浴びてる不快感を り・か・い・し・ろ!!!!]
「あの、龍様・・・」
「!」
俺は念を送るのに意識を取られて、麗子さんに声を掛けられたことに驚いてしまった。
その驚いた事に麗子さんが、少し申し訳なさそうにそれでいて、困ったようにこちらを見ていた。
「ああ、すまない。意識がアホに向っていた。」と、思っている事を素直に言って詫びると、俺の言った言葉にクスクスと朗らかに笑い、今日何度目かになる心への打撃を頂いた。
「な、何でしょうか?」
「いいえ、龍様、可愛らしいですわね❤」
「・・・男に可愛いは、やめて欲しい・・です」
俺は意表を付かれて、せめて言葉を紡いで見た。
でも、彼女は嬉しそうに愛おしそうにクスクスと笑っていた。




