第二十二話
・・・その人は突然現れた。
丁度その日は岡田さんが買うものがあるというから私もついて行った。最近は宿に篭りがちだったのできっと良い気分転換になるだろうと思い、歩いていたわけなのだが、いきなり岡田さんの肩を掴んだ1人の男。反射で岡田さんは刀を抜く。
「おぉっと!相変わらずじゃのう。以蔵?」
刀を抜かれたにも関わらず、ものすごくにこやかな笑顔をした男がそこには立っていたのだ。
***
「わしは坂本っちゅうんじゃ。よろしく」
とりあえず宿に戻ってきた私達は先ほどの男と話を始めた。気さくな男で、岡田さんとは正反対だなと思う。紙に『沙柚といいます。こちらこそよろしくお願いします』と書いて渡す。
「こいつは言葉が話せない。故あって行動を共にしー」
おそらく している と言いたかったのだろう、岡田さんの言葉は言う前に遮られる。
「へぇ〜。沙柚ちゃんいうんか。よろしくなぁー」
「おい坂本。話を聞け」
「聞いちょる聞いちょる」
「お前はー!」
岡田さんが負けていることに驚く。たとえ口論になったとしても、岡田さんが軽くにらめば大抵の奴は固まる。それ程恐ろしいのだが、この男はそんな事どうでも良いようにへらへらと笑っているだけだ。
「そうじゃ!沙柚ちゃんと以蔵はどういう関係なんかのう?」
いきなりの発言!?しかも内容!!
「なっ!?ど・・・どういう意味だ!!」
おの岡田さんが噛んでいる!?私はそっちの方が気になる。
「どういうって・・・言われても、あの以蔵と一緒に行動している奴が居るだけで不思議なのに、それが女子ときた。これは何かある!と思うのが普通じゃと思うんのはわしだけか?」
うーんと唸り始めた坂本さんに一体何なんだと思う。ころころと変わって面白い。
「はぁ!?!?」
いきなり岡田さんが叫んだ。普段は・・・というか、岡田さんが大声を出したところを私は見た事がない。
私だけではなく、目の前に座っていた坂本さんまでもが肩をビクッとゆらした。
「どうしたんじゃ。お前が大声出すなんて珍しい事もあるんじゃのう」
「先ほど坂本、お前何といった?」
「ただ、お前が大声を出すのが珍しいと・・・」
「その前だ!」
「?以蔵と女子が一緒に・・・」
固まった、岡田さん。どうしたのだろうか?心配で堪らない私であった。




