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第十一話
またか・・・と思う。
せっかく昨日は見ずにすんだというのに、今日は見なくてはならないらしい。
沙柚は暗闇の中にいた。何もない真っ暗な闇。何もないはずなのに、動く事はできない。見えない鎖で押さえつけられているかのよう。・・・と、ある一点が明るくなる。そこには沙柚が憎んでやまない男が居た。
相変わらず気味の悪い笑顔でこちらを見るのである。そして一歩一歩近づいてくる。その手には一本の刀が握られている。
今すぐ自分の刀で目の前のこいつを斬りたい・・・だが、身体は思ったようには動かない。男は刀を振り上げたまま私に言うのだ。
「人は皆、生まれ死ぬものだ」と。