第十二話
「・・・。」
起きてまず最初に目に入ってきたものは天井だった。だが、沙柚が泊まっていたところのものではない。よく見ると、昨日怪我をした右足に濡れた手ぬぐいが巻かれていて誰かに助けられたのだと気づく。
取り敢えず、此処はどこなのかを知ろうと思い上半身を起こす。
「ーーっ!?」
昨日はかなりやられたようだ。あざなんかになるかもしれないな・・・と思う。
いつまでも居るのは申し訳ないなと思い、挨拶だけしてから帰ろうと、布団を片付けようとした時だった。
?「何をしている」
「!!」
驚きのあまり、片付けようと持っていた布団を落とした。そこに居たのは、間違いない。・・・岡田以蔵。
岡「何をしている と聞いているのだが」
若干苛立ちを含んだ声で聞かれ、ハッとする。紙と筆を取り出して、『布団を片付けようと』と書く。その紙を見せると、彼はあっけに取られたような顔をした。
何に驚いているかは知らないが、もう1枚紙を取り出し、『私と戦ってください』と書き、見せると彼はまた眉をひそめた。
そしてため息をつき、先ほど彼女が落としてぐちゃぐちゃになってしまった布団をまた敷き直し始めた。
「?」
一体彼は何をしているのだろう。よくわからないまま見ていると、綺麗になった布団をかるくたたく彼。
岡「・・・寝ろ。」
・・・なぜそうなった。さっき私は『寝たい』だなんて書いただろうか?
書いてない。寝たいの“ね”のじ字も書いてない。
岡「傷があるだろう、その状態では止めておけ。戦うとしても治ってからだ。」
沙柚は岡田以蔵のことを冷徹非情の人・・・いや、人ではない化け物か何かだと思っていたため、相当拍子抜けをした。
岡「何だ・・・。」
岡田以蔵とは案外いい奴なんだなと思い、彼が言ったように布団に横になった。
かなり疲れていたようだ。




