ウェストポートでの再会
パーティは東の大陸から門を通って西の大陸へとやって来た。
「もう西の大陸に来たんだな!」
「すごいね、あの門!!」
「てことはさ、また今度東の大陸に戻る時って、ここ通れば一瞬なんじゃない?」
キャメリアの言ったことにみんなもワクワクする。
「本当だ!それなら渡航費も時間も節約できるな!!」
「すごいね!これ!!もう一回開けてみようよ!!」
そう言って3人が門を再度開けると、その先には海が広がっていた。
3人で佇む。
「・・・あれ?もしかして一方通行?」
「そうなの?」とキャメリアが傾げる。
「でも、あの時きしめんが戻って来てなかった?」
2人して「そうなの!?」と聞き返す。
当時敵の攻撃で気絶していたので、今更ながら知る自分たちの危機に冷や汗をかく。
「そうだよ!!」
「え?どうやって無事にアラビアータに着いたの?」
キャメリアに聞き返されてシャロンの中に悪い考えが過ぎった。
「・・・なんかね、シャロンが魔法でバーンってやって、ドーンってしたの!そしてら相手がごめんなさいって言って、お返しにアラビアータまで連れてってくれたの!!」
そう、悪い考えとはまさに承認欲求のことである。
「すごい!」と言われたいのが目に見えて痛々しい。
「おい、たしかズタボロで泣きながら教会に来たってシスター言ってただろ」
「すぐわかる嘘吐かないの」
冷ややかな目で見られて慌てふためく。
「違うもん!本当だもん!!シャロンすごいんだもん!だって白雪姫もいるし、プリムトンの杖だって持ってるもん!!」
「それ大分後で手に入れたから。エディブルの花園行ってからだろうが!」
「あの頃のシャロンってポンコツ魔導師見習いだったものね」
散々に言われて頬を膨らましながら歩いていく。
「ねぇ、どうやってメリリーシャまで行く?」
「そうだなぁ・・・」とアスタが腕を組んで考える。
この3人の頭からは門が通れなくなった問題はすでに消え去っていた。
パーティの通過後、謎の人物が魔法陣を消して葵とディンブラが通れなくなったがそれは知る由もない。
「とりあえずさ、ウェストポート行ってみる?」
「うーん・・・そうね、知り合いもいることだしね!」
そうしてウェストポートに向かってしばらく歩いてから、シャロンの移動魔法で飛んだ。
「この移動魔法って使えたり使えなかったりするよな」
「うん。ここに魔法陣があって、そこにサインしたら使えるよ!サインしなかったら使えないの」
「じゃあさ、メリリーシャにもあるの?」
キャメリアに聞かれて頷く。
「あるよ!サインしてきた!」
「え!?それじゃあさ、一気に行けるんじゃないのか!?」
2人が前のめりになって聞くので、鼻で笑ったように返す。
「そんな長距離ムリだよ〜!せいぜい町一つ分くらい近づかなくちゃ!」
「そっか、魔法って万能じゃ無いな」
「シャロンが使いこなせてないのよ」
さっきからこの2人は非常に冷ややかである。
「え!?そんな!!」
「さ、行こうか!」
「行くわよ、シャロン!」
「待ってよー!!」と慌ててついて行った。
パーティが向かったのは魔道具展示館。
ここの管理人をしているツルナを訪ねた。
「わ!みんな!久しぶり!!今、閉館したところなの!!みんな家においでよ!!」
到着時には大分陽が傾いていた。
ツルナの家に上がらせてもらう。
お茶とお菓子を出してもらったところ、ありがたそうにみんなガッツいた。
「よっぽどお腹空いてたのね・・・。着いたばかりみたいだけど、今日泊まるところはあるの?」
「いえ!それが全然なくて!!」
「かなり困ってます、私たち!!」
シャロンは涙目で見上げながら腹の虫を鳴らす。
大人なツルナは苦笑いしながら「いいよ、泊まってく?」と聞いてくれた。
「え!?いいの!?」
「ありがとう、ツルナさん!!
「女神様!!」
「大袈裟よ!ご飯の支度するからお風呂先に入っておいで!」
ツルナが立ち上がり、台所へと向かった。
それぞれが湯上がりにホカホカと湯気を立てている。
「気持ちよかった〜!」
「それはよかった!さ、ご飯できたから運んで!!」
食卓に運び、みんなで座って食べる。
「あのおじいさんは?」
「おじいちゃんは実家にいるの!私は展示館の近くで一人暮らししてるの!」
「へぇー!」と返していると、ツルナからアスタに話しかけられた。
「アスタ、みんなと集まれてよかったね!」
アスタは少し顔を赤くしていた。
「あ!そう言えば東の大陸で会ったって!!」
「そうなの!あっちの展示会で出張した時にたまたまね!その時は元気も自信も無さそうに迷った感じがしてたから心配してたのよね・・・」
「あ!ちょっと!ツルナさん!!」
アスタは慌てて止めたが、キャメリアもシャロンもニヤニヤとこちらを見ていた。
また一層アスタが赤くなる。
「へぇ〜!アスタ、そんなに私たちともう一度旅がしたかったんだ〜!」
「プププ!アスタもかわいいとこあるねぇ!」
ムキになって2人に言い返した。
「う、うるせぇ!そっちだって姉がまた行方不明になったり、卒業試験落ちてたりしただろ!!」
「え!?また山茶花さん消えたの!?」
シャロンが目を丸くして聞いて来た。
「あ・・・そ、それは・・・うん。柊さんもメンタルが回復したらまたメリリーシャに向かうって・・・」
バツが悪そうに答える。
ツルナがシャロンに聞いた。
「シャロンは卒業試験はどうなったの?」
「大丈夫!ちゃんと合格したよ!!」
ガッツポーズをして見せると、アスタが横から茶々入れる。
「不正してだけどな」
「もー!!みんなで協力し合って勝ち取るって言ったのアスタでしょ!!」
アスタはそっぽを向いた。
仲が良いのか悪いのかよくわからないパーティなのであった。
ツルナの家に一泊させてもらい、次の日には白雪姫にハンターがプレゼントした指輪を作った職人の元を訪ねた。
「こんにちは!」
「おお!みんな!久しぶりだなぁ!!」
快く迎え入れてくれ、お茶と茶菓子まで出してくれた。
「そういえば、君たちががんばって指輪を渡してくれた薔薇の魔女と穴の魔女、どちらもあの後すぐに魔王軍に魔女狩りにあったようだね・・・」
残念そうにする職人に、パーティも束の間沈黙を持って共感した。
「でもね、おじさん!2人ともすっごく喜んでいたのよ!」
キャメリアに続いてアスタも口を開いた。
「そうそう!白雪姫にすごくお似合いな指輪で喜んでいたよな!!」
シャロンは自身の杖を取り出して見せる。
「これ見て!あのあとシャロンの杖を新しくしたんだ!その時にね、白雪姫の核と出会えて、この杖を作るのに力を貸してくれたの!!この杖の上にある装飾見てみて!!」
そう言って杖の先端を見せると、小さく水晶で作られたバラの指輪があった。
「あ・・・あぁ・・・そうか・・・喜んでくれたのか・・・・ありがとう、本当に・・・ありがとう」
職人は涙を流して、大切そうに杖を抱きしめていた。




