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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
勇往邁進
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17/110

キャンドルとシンデレラの館

葵とディンブラはアラビアータの町に来ていた。

葵はパーティの情報にあった白雪姫とハンターの発言から、魔女が何か白いプルチネッラの情報を持っているのではないかと考えた。

そして、かつて葵が魔女狩りをした館へと足を運ぶ。

鬱蒼うっそうとした森を歩いていくと、立派なレンガ造りの館が現れた。

「ここだ!」

「立派だね・・・」

不気味なくらい静かな場所に誰かがいたという痕跡すら感じない。

「ここで合ってる?なんだかすごく物静かで不気味だな・・・」

「ここで合ってはいるが、たぶん俺が魔女狩りをした後を魔王軍の誰かが掃除したんだろ。ずっと俺の名前をうめきながら呼んでたらしくて、不気味だと近隣の町村から苦情が出たんだ」

ディンブラが呆れる。

「あのね、どうせ君のことだから“殺してないからいいだろ”とかそんなところだろ?魔女のことを生きながらにして死ぬような倒し方でもして呻いていたんじゃないの?」

何故か図星のディンブラの発言に葵が嫌そうな顔をする。

「だって、こっちだって命かかってるんだぞ?相手は化け物級なんだ!どんな手段を使っても倒さないとこっちがやられるんだからな!!それに部下も捕まっていたし・・・」

「そういう時に大抵の人が選ぶのは即死なの!末永く苦しめようだなんてなかなか残酷なこと選ぶね」

軽蔑したような視線を向けられるので背を向けてさっさと館の取手に手をかけた。

扉を開けるとまた一段と静かになった。

さらに少しひんやりとしている。

まるで使われなくなってかなりの年月が経ったかのようだ。

ディンブラはその無機質で生気を感じさせない館の様子に息を呑み、冷や汗を垂らした。

扉をくぐるとまずは広間があった。

2階への階段があるこの広間は吹き抜けになっている。

多少の焦げた臭いが鼻をかすめつつ、2階へと上がる葵について行った。

階段を上がるにつれてどんどん焦げた臭いが濃くなる。

2階の奥へと進んで行くと、廊下の前で葵が立ち止まった。

「ここだ」

葵の肩越しに廊下を見たが、何もない。

唯一の違和感といえば焦げたような異質な臭いが一層増したくらいだ。

「何も無いね・・・」

見渡していると、葵が口を開いた。

「ここで俺はかつて蝋燭の魔女キャンドルと、灰の魔女シンデレラを討伐したんだ。魔女は死ぬ前に核に残る生前の記憶が見えると聞いたが、何か欠片でもいいから無いだろうか?」

「核ってさ、前に僕がかいこと間違えて白雪姫の核を捕まえたことがあるんだけど、どんな姿をした核なの?」

その質問にまた表情を歪めて返した。

「そ、それが・・・見てないんだ」

「見てない?」

ディンブラも葵の返答に不可解な表情を向ける。

「魔女ってさ、心臓があればどれだけ切り刻まれようが必ずそこに集まって復活するんだ。だから・・・キャンドルの心臓の隣にシンデレラの燃える心臓を置いて・・・集まろうとする細胞を一生溶かし合う・・・みたいな」

「エグいことするね、君。・・・でもさ、それは心臓だよね?核は?」

また一段とまずいといった顔をする。

「核は人で言う脳の部分なんだが・・・その・・・」

「何?ハッキリ言ってよ!」

歯切れの悪い葵にディンブラが少しイラつく。

「首を落として頚椎けいついから電撃を流して脳死させたんだ・・・だから使い物にならなかったって・・・」

どんどん声が小さくなっていく。

それも当然だろう。

またディンブラに軽蔑の視線を向けられていたのだから。

「葵くんってさ、四天王で一番残酷なんじゃないの?」

「と、とにかく!白いプルチネッラの情報を探すぞ!!それが目当てだろ!?俺のことなんかどうでもいいんだよ!!」

無理に進行していく葵にため息を一つ吐いて後をついていった。

周辺の部屋に入って物色するが、これといった物は見当たらない。

「無いね・・・」

「さすが魔王軍だな。綺麗に現場復帰されてるよ」

見渡すが、本当にここで戦闘があったのか?と疑いたくなるようなほど綺麗になっている。

「感心してる場合じゃないよ」と呆れて廊下に出た。

葵は廊下にある調度品に目が行った。

立派な木製の台の上に大きな花瓶が置かれている。

花瓶は磁器でできており、艶のある白地に鮮やかな花々の絵が描かれている。

そしてデザインとして口の辺りと、底付近と取手に金を施してもいた。

それを手に取りしばらく眺めた後、物が動く感覚を感じ、中をのぞいた。

「これ、何か入ってる」

しかし暗くて何も見えなかったので、ひっくり返してみると中から透明な虫のはねと小動物の足が現れた。

「何だ?」

「あ、これ・・・はちの翅と・・・ねずみとか齧歯類げっしるいの足?」

目を凝らして暗い中、一生懸命見ようとするディンブラに振り返る。

「鼠の足なんてわかるのか?」

「うん、キャンディが飼ってる爬虫類でエサとしてあげてるのを何度も見たことあるよ」

そのことに納得し、何度か頷く。

再度その二つに視線を戻して手に取ると、急に葵とディンブラの目の前の景色が変わった。

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