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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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裏切られた想い



グロリアとハツユキが来て一週間。 

二人は魔道具に相当惹かれたらしく、ブルガーの講義に毎日参加してる。

余程楽しいのか、私にも毎日のように質問しにくるくらいには真剣だし、彫りは浅いとはいえ二人共腕は悪くない。

できたものを嬉しそうに見せてくれた姿は子供のように無邪気で可愛らしかった。


うちの子達とも仲良くなって、城の中でイキイキしてるのは見ていて微笑ましい。

一番嬉しいのは私への恐怖心が無くなったように見えるところだろうか。いつまでもビクビクされてると悲しくなるし…。



本来の目的でもある精霊について学ぶという事にも意欲的で、私も時間を空けては精霊について話してあげていたのだけど、ナギも真剣な二人を見て直接話をしてくれるようになった。

おかげで城の中庭にある庭園では、午後のおやつ時になると毎日お茶をしながらナギとグロリア、ハツユキが話してるのを見かける。もう私が世話を焼く必要もないくらい。

スピネルも時々参加してくれてるからよっぽどだろう。あの子はエルフが嫌いなハズなのに。


メイドのステイとフキも城のメイドたちと仲良くしてるし、ノアからも特に問題があるとかの報告もない。

主であるグロリア、ハツユキの世話だけでなく城の手伝いまでしてくれているとか…。給金を増やしてあげてもいいくらいだろう。

時々街にもグロリア達と遊びに行ってて、私にお土産だとお菓子を買ってきてくれたこともあったっけ。

最近は私が少し忙しいから…。また街にも顔を出したいのに。


まあ、その為には早く戦後処理を済ませないと。 (…!)

「ママ、そろそろ国境に囚人が到着するの」

「ありがと、ティー。じゃあ私が現地に行って用意した島へ送り届けないとね」

「うん。でもねー、なんか反省してる感じがしないの」

「エルフ達がってことよね?魔法も使えなくなったのに態度を改めないの?」

「うん。一時的な物とでも思ってるみたい。移送してる兵士への態度も悪すぎて、揉め事も起こすからみんなイライラしてる」

はぁ…。未亜の祖父母だからって気を回した結果がこれか。ネヴァー王に合わせる顔がなくなるわね…。


「ノア、ミナさんとシュージさんを呼んで」

「はい。すぐに連れてきますね」 

未亜の両親は城で特に何をするでもなくのんびりしてて、時々未亜と一緒にいるところも見かけるし、仲良くしてるように見えたけど…。 (未亜はね、料理したり城の仕事してるよ)

うん、それはよく知ってるよ。 私と城のキッチンに立ったりもしてるから。一緒に新しい料理も考えてくれたし。 (未亜の両親は本当になーんもしてないの)

うん? 私が何もお願い事もしてないからね。

だって島へ行くんだからその準備してるでしょ?島で使う為に渡した魔道具の扱い方の確認とか、渡したお金で必要なものを買い揃えたりとか。 (いやー?)

え…何もしてないの? (何かしてるのって見かけないけど。グロリア達のが色々してるくらい)

それも知ってるよ。うちの子達のところへ顔を出して、色々なことにチャレンジしてるよね。


シエルがペールブルーで販売するための服を作ってて、リアとティア、未亜も手伝ってるし、私も魔装化したりしてる。グロリア達も興味を示して裁縫にもチャレンジしてた。 (あまり向かなかったけどね)

それは仕方がないね。


チョコ達や、ユウキとスピネルはレウィをつれて街へ見回りに行ったり、軍と一緒に訓練や安全確保のための魔獣狩りに参加したりしてくれてるし…。 (そこは見学はくらい)

王女だから荒事は難しいでしょう。


リズとティーだってよくあの子達と一緒にいるよね? (うん! 遊んでくれるからリズもなついてる)

だよね。リズからも聞いてる。

メイドをしているステイとフキは、ノアと城のことまでやってくれてるし。 (お城のメイドさんとも仲良し。あの人達と違うの)


えーっとつまり、未亜の両親はなにか問題があるの?私の知らないところで何か… (昼間は街へデート。他は城の中でのんびりいちゃいちゃしてるって聞いたの)

これから忙しくなるし、それくらいはいいよ。今は休暇みたいなものだと思えば。準備さえちゃんとしてくれてて、役目を忘れてないのならね。 (んーあの二人に任せて大丈夫なの?)

島には精霊もいるから。特に光精霊のソラティオが厳しく見てくれるから大丈夫よ。 (バツ与えられて終わりそう)

エルフ達が?流石にそうなったらもう庇えなくなるよ。態度を改めないのなら救いようがないもの。 (うむ)

ティー、未亜を先に呼んできてもらえる? (あーい。ママの部屋に居てもらえばいい?)

そうね。執務室での会話は聞こえるから。未亜には親がどんな仕事を任されるか知る権利があると思うからね。 (だね)

役目が始まればしばらく離れ離れになるから、ちゃんとお別れもさせてあげたい。


ティーは直ぐに未亜を呼んできてくれて、説明をした上で私の私室で待っててもらう。

ちゃんと役目を覚えててくれればいいけど、ちょっと不安になってきたな。 (ユウキもあんまり好きくないみたい)

言ってたね。“姉ちゃんも気をつけておいたほうがいい”とか言われたから。

実際、始めこそ私の事を竜魔王様と呼んでたけど、いつの間にか呼ばなくなったからね。 (無礼を働いたからとは何だったのか…)

堅苦しいよりはいいのだけど、態度の豹変にこっちが戸惑ったくらいかな。 (一度ビシッと!)

うーん…。別にそこまでする必要あるかな。 



「マスター。二人をお連れしました」

「入って」

ノアに連れられて部屋に来たミナさんとシュージさん。

「何か用かしら?今から街へ遊びに行こうかと思っていたのだけど…」

「こっちにも予定があるんだから手短に頼む」

えぇ……。 (やっぱりびしっと言わないとだめなの)

かもしれないね…。役目があるんだし。


ふぅ…。しっかり本来の役目を思い出してもらわないと。

「二人はどうしてこの城に滞在しているのか自覚しているか?」

「えっ…」

「エルフの囚人がそろそろ国境へ到着する。魔法を使えなくなったのにも関わらず、反省の色が一切見えないらしい。そちらの氏族は一体どうなっている?」

「わ、私に聞かれても…」

「二人は今から囚人と島へ行って、エルフ達が改心するよう働きかけるという役目があるのを忘れてはいないな?」

「え、ええ。 どうしたの?アスカちゃん。そんな怖い雰囲気ださないでよ」

「今は竜魔王アスラとして話しているからだ。役目を忘れているのではないかと思ってな。確かに城では自由にしていていいとは言った。準備費用も渡したが、毎日遊び呆けていて役目に向けて準備をしてきたのか?」

「何をしていれば満足だったのよ!? ハッキリ言いなさいよ!」

「それくらい各々自分で考えるべきだろう。子供じゃないんだからな。一から十まで説明しなくては何もできないのか?」

「…っ! いくら未亜と恋人になったからって! それなら私達に対しても相応の態度があるんじゃなくて?あの子の親なのよ、私達は! 口のきき方に気をつけなさい! 別れさせたっていいのよ?」

「確かに恋人の親へ…と言うのなら相応の態度があるだろうが…」

「だったら!」

「お姉ちゃん、もういいよ…」

部屋から出てきちゃったか。こんな会話になるなんて…ごめんね、未亜。


「未亜? 未亜からもこの子に言ってやって! 生意気なのよ!」

「……ごめんなさい、お姉ちゃん」

未亜はミナさんを無視して、私へ深々と頭を下げてきた。

「未亜の責任ではないから謝らなくていいよ」

「でも!」

「どちらにしろ二人には直ぐに城を立ってもらうからね。今のうちに別れを済ませておくといい」

「もう話すことはないよ…。ここにいてもなんの役にも立たないくせにお姉ちゃんにあんな態度をする人達と話すことなんてもう何もないから」

「未亜!?」

未亜、本当にそれでいいの? (この態度を見たら…)


「二人は直ぐに出発の準備をしてきてくれ。しばらくは城へ帰れないからな、忘れ物のないように」

「え、また直ぐにこっちに連れてきてくれるんじゃないの!?」

「報告の為に呼び戻すとは言ったが…」

「お姉ちゃん、私はもう会いたくないから。お仕事の報告だけ聞いてください」

「それでいいの?未亜…」

「うん。親というのなら、私にはナツハお義母さんとユウヤお義父さんがいるからね」

「わかったよ」

未亜はそれだけ言うと執務室から出ていった。



「報告だけならもう城へ呼び戻す必要もないな。城に私物を何も置いていかないように。早く仕度してこい!」

「「………」」

二人はなんとも言えない顔をして執務室を出ていった。


未亜に聞かせたのは失敗だったな…。

でもまさかあそこまでの態度をされるとは思わなかったし。

確かに未亜の親だから私も相応の態度があるのかもしれないけど…。それ以前に重要な役目を請け負ったはずよね? (ママのお陰で全部にカタがついて、捕まっても減刑されたのに)

別にそれを恩に着せるつもりはないけどね。私が勝手にやったことだし。 (恩を仇で返すってやつだー)

役目さえ果たしてくれればそれでいいのよ。魔道具についても説明して渡してあるし、ちゃんと扱えるはず…。 さすがにそれは覚えてるよね…? (うーん…あの感じだとあやしいもんだ)

嘘でしょ…。


「エノテラ、ロアールに囚人の引き取りに行くから、何人か部下も連れて行く準備をするように伝えてもらえる?」

「はい。 竜魔王様、やはり勇者などあの程度なのですね…」

「皆がそうではないから一括にはしない方がいいよ」

そのくくりにされたら私達だってあの程度になってしまう…。流石にそれは悲しすぎるから。

「はい…。未亜様のご両親だからと黙っていましたが、竜魔王様へのあの態度は許せるものではありません!」

「ありがとね、エノテラ。怒ってたのに黙っててくれて」

「あの場で口を挟むような無礼なことはしません…」

さすがエノテラ。 (無礼な不意打ちするやつとは違うの)

そうね…。








 



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