8 異世界再び
ここはルーの屋敷だと思う。
心残りがあったために1度だけ帰ったのか、ミューに会えないことを残念と思ったから戻ったのか、いつでも行き来が出来るのか、次起きた時はどっちの世界だろう?
それに、どう考えても今この時、夢じゃないよなぁ。
顔を洗いにバスルームに行くと、鏡の向こうの美少女がこっちを見る。
なんというか、美少女過ぎて落ち着かない。
そういえば、折り紙を持っては来られなかった。
というか、今度こそ戻ることができるのだろうか?
コンコンとドアがノックされる。
急いでペンダントを首からかけた。
「リリー様、お目覚めですか?」
「はい、起きています。どうぞ」
ドアが開きマーサが入ってきた。
「おはようございます。」
「あの、今は何時ですか?私はどの位寝ていたのでしょうか?」
「昨晩、お休みのお声がけのあと、そのまま寝ていらしたと聞いています。今はまだ6時前です」
「そうですか、ありがとうございます」
私の睡眠時間は大丈夫なのだろうか。
そういえば、時計の概念も同じのようだ。
「お食事はどうされますか?すぐに召し上がりますか?他の方をお待ちになりますか?」
「皆さんと一緒、もしくは面倒をかけない感じでお願いします」
「ふふふ。面倒なんてありません。でも、お食事は皆さんと一緒としてもお茶をお持ちしますね」
「はい。ありがとうございます」
マーサは一旦退室し、すっきり味のお茶を持ってきた。
「なんだか、目が覚めてスッキリした気がします」
「お気に召されたようで良かったです。朝食は七時半頃です。その頃お迎えに上がります」
「はい。お願いします」
マーサが退室し、一人になった。
とりあえず、昨日着ていたワンピースを着てティーテーブルの椅子に座った。
いろいろ考えてみたものの、録に情報の無い状態で考えても無駄 という結論になった。
私、駄目すぎる。
「リリー様、お食事のご用意が整いました。」
「はい。ありがとうございます」
ドアを開けマーサとダイニングに来た。
今日は、ルーとミューと私の三人で食べるらしい。
私の疑問が伝わったのか、
「食事はみんな自分の都合の良い時間に食べるんだよ」
「え、そうなんですか?」
「昨晩はマーサとハヤトが同じ時間になったけど、大体3回くらい有る時間の中で人数を調整しているみたいだよ」
「こ、効率的なんですね・・・」
「僕とミューはいつもこの時間だから、僕に話すことがある人は、この時間に食べたりするよ」
「な、なるほど」
なんだかアルバイトをしていた頃を思い出した。
シフトの関係で、昼食は最初組だったのに夕食は最後組で、時間が開きすぎて お腹空いたと呻いていた同僚を。
席につくとバターロールとボイルウインナーとオムレツとサラダとコップにミルクが並べられた。
THE朝食という感じた。
「いただきまーす」
私のいただきますに、ふと笑ったルーは
「パンと飲み物は好きなものを選べるよ」
ルーとミューを見ると、ルーはクロワッサンで、ミューはジュースを飲んでいる。
「そうなんですね。私はこのままいただきます」
後からマーサに聞いたところ、
朝食は6:30、 7:00、7:30、
昼食は11:30、12:00、12:30、
夕食は 18:00、19:00、20:00で、
夜食は申告制。
朝食と昼食は45分間くらい、夕食は1時間くらい、を想定しているそうだ。
本来、昼食は60分間で、夕食は90分間くらいなのだが、みんな働き者で暇なのがうずうずしてしまうらしく、おやつに15分使い、仕事を早くあがるという事で調整しているらしい。
自由な職場なのだな。
ルーとミューは大体 7:30、12:00、19:00に食べているらしい。
あと15:00におやつが有り、食べたい人は全員食べて良いそうだ。
なんて至れり尽くせり。
あ、もしかして、起きてすぐ食べるか聞かれたのは、その時間に食べる人が居たからなのか。
なるほど。
THE朝食を食べ終えるとルーに聞かれた。
「リリーはこれからどうする?しばらくはお客さんで良いよ。今のうちに見たい所とか行きたい所とか、欲しい物とか探すと良いよ。」
「あ、それなら、この世界の事を教えてくれる人に会いたいです。この世界で生きて行くための資金を稼ぎたいです。取り合えず服が欲しいので」
「知識はマーサとハヤトにいろいろ聞くと良いよ。服はプレゼントするから足りない分をマーサと相談すると良いよ」
「ありがとうございます」