45 番外編1
(1ヶ月後の土曜日午前中)
「一週間ぶりにやって参りました!」
ルーさんのお屋敷。
今日は土曜日、朝御飯を食べたあと、すぐに寝たのだ。
いつもなら14:00頃から寝るのに。
息子は、金曜日から出張していて帰りは日曜日の昼頃らしいのでお家に居ても暇だからね。
「まだ9:00前ですよ!ふふふ」
部屋を出ると意外にもマーサが待っていた。
行動が読まれているだと!?
「リリー様、今回はお早いですね。何かございましたか?」
あ、読まれてた訳じゃないみたい。
「息子がお仕事で居ないので早く来ました」
「ミューゼェニア様はまだお勉強時間なので、キッチンにでも行かれますか?」
「はい!そのつもりで来ました」
「では、参りましょう」
マーサは楽しそうに笑いながら先導してくれた。
キッチンに顔をだし挨拶した。
「料理長さん こんにちはー!」
「お!リリーちゃん!・・・あ、俺、今日は休みにするわ!」
クックの突然の休暇宣言に一同唖然。
「いやいやいや、皆さん困惑されていますよ?」
「大丈夫!俺、基本働きすぎで、休め休めって言われてるし」
「そうなんですか?」
一同が黙り混む。
まあ、そちらで話がつくなら私が口出すことでもないし。
クックは途中だった物を手早く片付けると、サブダイニングにいるから何か有ったら呼びに来てくれ、と言ってキッチンから出てきた。
予告通りサブダイニングで話すことになった。
マーサがお茶を入れてくれた。
いつも美味しい。
「久しぶりだな。今回はいつまでいるんだ?」
「予定的には明日の昼まで大丈夫なんですが、何度か戻ってという感じです」
「大変そうだな」
「いえ、むしろ戻る度、何か調べてこられますよ」
「そりゃ便利だな!」
「考えたんですが、私は文字が読めませんので、絵か写真を用意してもらえれば、知っている料理がわかると思うんです。画像は無いですか?」
「画像か。・・・写真つきレシピ持ってきてくれ!」
隠れて覗いていたらしい料理人に声をかけていた。
殆どがどこかで食べたことのある料理か、見たことがある料理だった。
およその作り方か、主な材料を答えるとクックが唸りだした。
一覧を見るに、ここ30~40年くらいに日本で流行った物は載っていないように思えた。
とりあえず、いちご大福と、カスタードクリーム入りスポンジケーキを教えておいた。
カスターとか、ほっぺとか呼ばれているあれだ。
あと、エンガデイーナをフロランタン風に仕上げたお菓子
料理のほうは、和風スパゲティを数種類、豆腐ハンバーグ、おろしハンバーグ、キャベツで作る回鍋肉、を説明しておいた。
どれも和風アレンジ料理だ。
ナポリタンと、フワフワパンケーキも思い出したけど私が苦手なので内緒の方向で。
試作品を食べたくないからね。
「昼、食べていくよな?」
「良いんですか?」
「今日は、ボロネーゼだ」
「ミートソース!」
「ん?」
「挽き肉とトマトソースのパスタですよね?厳密には違うらしいんですが、家庭で作ると一緒みたいなもので」
「何でも作るんだなぁ」
「そうでもないですよ。卵かけご飯とかも好きですし」
「卵かけご飯?」
「私のいる国では卵の衛生と安全が確立しているので、鶏卵を生で食べることができます。ご飯に生卵と醤油をかけるだけですが、美味しいです。」
「衛生と安全か・・・」
サルモネラ菌は怖いから中毒は嫌だよね。
話しているうちに平打ち麺のボロネーゼと、カプレーゼと、琥珀色のジュースが並んだ。
「これも知ってるんだろ?」
ん?何か拗ねてる?
「えーと、トマトとモッツァレラとバジルと塩と黒胡椒と一番搾りのオリーブオイルだと思います」
「まあ、そうだよな」
今度は笑っていた。
あれ?良いのかな?
なら、さっさと食べてしまおう。
「いただきます!」
「それ、前も言っていたな。良いな」
「ふふふ、食べ物と作ってくれた人に対しての礼儀です」
「そうか」
クックは微笑んでから食べ始めた。
自分で作る、なんちゃってと違って、本格的で美味しかった。
ジュースは白ブドウだった。
「あー、リリーちゃん!」
ミューが入り口で少し怒っている。
ちょうど食べ終わったところだけど、ミューは、これからなのではないだろうか?
「もうたべちゃったの?」
「お嬢様、ごめんなさい。リリーちゃんは返します」
クックからミューに私が返却された!?
「お茶飲みながらミューちゃんのお昼御飯に付き合いますよ」
「ほんとー?」
「今日は夕方までいる予定ですミューちゃんのお昼寝時間に、ちょっとだけ帰ります」
「わかったー」
本当に賢い子だなぁ。
メインダイニングに移動し、着席する。
「リリー、今日は早いね。何かあったのかい?」
「こんにちは!家族が出張で家に居ないので来ました!」
ルーは安心するように笑って
「好きなだけゆっくりすると良いよ」
「はーい!ありがとうございます」
ルーさんの許可も貰ったので、色々しよう!
エリーがお茶を入れてくれた。
飲んだことの無い味だった。
何だろう?紅茶ベースのハーブブレンドかな?
とても美味しい。
ミューはトマトソースのパスタを上手に食べていた。
たぶん、地球の3歳児には無理だ・・・
今更ながらミューの凄さを思い知る。
良く見たら、ミューのカプレーゼは、チェリーモッツァレラとミニトマトのようだった。
あれは大人でも食べやすそう。
今度、家で作ろうっと。
ミューが食べ終わる頃、小さめのジェラートが出された。
ミューと私の分だけ。
もしかして、ルーさんの分だったんじゃないかなぁ?
「リリーの分だよ」
「え?」
「リリー、ジェラートが2つだから心配したのでしょう?」
「はい」
「昨日のおやつで食べたから大丈夫だよ」
「そうなの?ミューちゃん」
「そーだよー」
「ありがとうございます」
「るーちゃん きのうもいらないって」
「え」
ミューの暴露に苦笑いのルー。
ルーはジェラートがお好きではないらしい。
美味しいのにねー。
その後エリーと相談して14:00頃又来ることになった。
まだ12:40位なので急いで帰って、向こうのご飯を食べなければ。
こちらで食べなくても平気みたいだけど、現実世界で食べないのはお腹が空くようで、ご飯のために戻るのだ。
部屋に戻るとマーサが待っていた。
「リリー様、これからお戻りですか?」
「はい、14:00頃、又来る予定です」
「行ってらっしゃいませ」
「行ってきます」
寝室のドアを開けたままベッドに横になった。




