19 ミューのこと
「今日の予定はどうされますか?」
部屋に戻ったマーサに聞かれた。
私は何をするべきかと考えていると
「私、本日昼から明後日の午前中まで休暇に入ります。よろしければ昼食をご一緒しましてから下がります。代わりはヨーコがつとめます」
「はい。わかりました。あ、お昼ご飯は一緒に食べたいです」
「かしこまりました」
するとドアをノックする音が聞こえてきた。
「はい。どうぞ」
ドアを開けて入ってきたのは、昨日沢山の服の箱を届けてくれた人だった。
「失礼します。ヨーコと申します。昼からよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
ヨーコは表情なくそれだけ言うと下がっていった。
「えーと、挨拶に来たのかな?」
「そうみたいですね・・・まったく・・・」
マーサが何やら呟いたが聞き取れなかった。
「もしかして、嫌われていたりするのかしら・・・私」
「それはありません!あれはおそらく緊張か、照れか、そんなところです」
「それなら・・・大丈夫かな・・・」
マーサが焦ったように言うのでむしろ驚いてしまった。
ヨーコはマーサやエリーが休みの時に代理で入る人員で、主に3人でシフトを組んでいるらしい。
本来マーサもミューの担当で、部屋担当ではないが、色々調整などをしているのだとか。
「私のせいで、ミューちゃんや皆さんにご迷惑をおかけしているのですね。ごめんなさい」
「いえいえ、違います、そうではありません。そもそも私はミューゼェニア様の前にはほとんど出ないのです。亡くなったお母様を思い出し・・・あ!」
マーサは黙ってしまった。
言ってはいけないことだったのかもしれない。
「聞いちゃダメなことだったなら聞かなかったことにします」
「申し訳ありません・・・」
「1つだけ教えてください。この件は、私が知ってはいけないのか、私が誰かに聞くことがあったらいけないという意味のなか」
「本来、ご家族以外には亡くなったことをはっきりとは知らせません。直接聞かれたら家族のかたから話す場合もありますが、使用人や知人が他人に話して良い内容ではないのです」
「そうなのですね。ありがとうございます。よくわかりました」
「ミューゼェニア様には、遠出されているとお話ししてございます」
「え、親子なのに?あ、幼いから?」
「はい、実際に遠出中の事故で・・・」
「自分の世界観だと理解が難しいですが、そういうものだと思うことにします」
「ありがとうございます」
そうかとは思っていたけど、ミューちゃんのお母様は故人なのか。
「ルーさんとミューちゃんの関係性は聞いても大丈夫ですか?」
「はい。叔父と姪、お姉様のお子さんを引き取られました。2週間ほど前です」
なるほど、部屋が子供らしくないのも、急遽子供部屋になったからなのか。
そうすると、今朝のあれは、娘と弟を宜しく的な何かだったのだろうか。
色々考えていると
「少しはずします」
そう言ってマーサは退室した。
あ、結局 何するか決まってない!




