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西暦2900年代の地球  作者: 李孟耶辰
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第一部-謎の黒幕出現

時は29世紀の地球。宇宙船の操縦は、AIによって行われパイロットは不要な世界。大富豪は宇宙船みたいな乗り物で月観光していた。まだ宇宙服が必要不可欠だった。でもそれは大富豪にとってステータスになっていた。

そして、西暦2869年12月24日に宇宙服を着用しなくても酸素が少ない場所まで行ける画期的な薬が発明された。それは酸素カプセルだ。服用すれば身体表面に酸素の膜が現れる。然し酸素が少ない場所のみに効く。一旦地球に戻ると重力の影響でその効力が無くなる。服用場所は無重力のみ。再度身体表面に酸素の膜を出したい場合は、無重力の場所にて、もう一度酸素カプセルを服用しなければならないが宇宙服を着用するよりかは短時間で済むから便利だ。因みに、この薬を発明したのは製薬業界の重鎮である大富豪だ。

その翌年、ある業界の重鎮の大富豪は、月を居住エリアにしようと考えるようになった。謂わば大富豪の別荘地にするようだ。更には、月観光に来た大富豪が宿泊するホテルも計画していた。

大富豪は宇宙船を製造した科学者に大量の賄賂を渡しある物体を製造して欲しいと依頼した。

科学者も月には生命体が存在しないと思っていたからだ。

更に1年後の西暦2870年に科学者はある物体を製造し月に送ることした。

しかしその物体が月の環境を壊していく事とは地球人は知る由もなかった。

更に影響は環境だけでなく、生命体まで及び始めた。

実は月には生命体が存在していた。

何故地球人は見えないのか。

それは月の生命体特有の体質だからだ。


月の民がある物体の影響で荒廃化した月面から地球に向かおうとしている。何故月の民は地球に向かわねばならないのか。何故、月が荒廃化したのか説明するには今から100年前に遡るしかない。


時は西暦2870年。場所は地球。

アナウンサー「科学者、今のお気持ちは如何ですか?」と流れた。

「はい。ついにこの日が来ました。今までは宇宙船でしたけど漸くある物体を発射する時が来ました。」と嬉し涙を流した。

アナウンサー「ある物体とは何でしょうか?」と目線を送った。

「はい。コロニーです。」と目線を送り笑った。

アナウンサー「良かったですね。では地球の皆様、早速、発射してみましょう。管制塔の皆様お願い致します。」と流れた。

「カウントダウンが始まりました。5、4、3、2、1。」と秒読みアナウンスが流れた。

「コロニー数十基が発射致します。」と管制塔内に流れた。

発射台から物凄い音と物凄い煙が周辺に響き渡った。


場所は月の道。西暦2870年。100年前は地球と同じ暦。月の民は居住区エリアで何時ものように暮らしていた。しかしそんなある日、平穏な暮らしが一変する出来事が起きた。


「あれは、何の音だ。ゴォーゴォーゴォーと聞こえるぞ」と民Aは驚いた。

「本当だわ。物凄い音ね。それに丸い輪郭がうっすら見えるわ」と民Bは目を細めながら月の空を見上げた。

「本当だ。丸い輪郭がうっすら見えるぞ。」と民Aは見上げながら指を指した。

「おぎゃおぎゃおぎゃ…」と赤ん坊は物凄い音を聞いて泣いた。

「うわぁ、びっくりした。でも凄い音だから泣くのは当たり前か」と赤ん坊の泣き声に驚き民Aはその顔を覗き込んだ。

「よしよし。びっくりしたね」と民Bは慌てて抱いた。

赤ん坊は民Bに抱かれて泣き止んだ。

民Aは、泣き止んだ赤ん坊を見て安心した。

家族は、丸い輪郭が何なのか不明のまま月の道を歩いて我が家に帰った。

「テレビでも見るか」と民Aはテレビの電源を入れた。

「先程お伝えしましたが、上空を通過した物体は、地球から放たれたコロニーと判明致しました。コロニーを発見しても近付かないようお願い致します。専門家が調査致します。」と流れた。

「お~い。さっき見た丸い輪郭はコロニーらしいぞ。」と民Aは叫んだ。

「あら。今までは宇宙船だったのにね」と民Bは驚いた。

「どうやら地球人の科学者がコロニーと言うやつを発明したらしい」と民Aは呟いた。

「あらま大変。と言う事は地球人が増えるのかしら」と民Bは叫んだ。

家族は落胆しながらも何時も通りの生活を楽しんだ。


数週間後、更にコロニー数十基が地球から月めがけて発射された模様だ。そのコロニーが月面に着地し放置されている。その影響で月面が今まで以上に凸凹になりかけている。まだ、地球人は居らずコロニーは無人のようだ。


月の民がコロニーの様子を見ようと

「コロニーを良く見たら何か書いてるぞ。」と数十基の内、一番大きいコロニーに近づいて民Eに叫んだ。

「オッケー。今そっちに行くわ。」と民Dに近付きながら叫んだ。

コロニーの場所に近づいた民Eは

「う~ん。何て書いてるかわからんな。民Dわかるか?」と目線を送った。

「う~ん。僕にもわからんわ」と首を傾げた。

お手上げ状態の為、民D、Eは同時に

「民F、ちょっと来てください。」と振り返り叫んだ。

「何だよ。俺は休憩しているんだぞ。」と民Fは不満な顔をしながら椅子から立った。

「休憩している所、すいません」と民Dは恐縮しながら頭を下げた。

「本当にすいません」と民Eも頭を下げた。

「いいよ、いいよ。俺を呼ぶと言う事は地球の言語だろ?」と民Fは、どや顔した。

「そうなんですよ。地球言語は難しくて」と民Dは嘆き、更に「俺も地球言語は、ちんぷんかんぷん何でわからんのですわ」と民Eは呟いた。

「俺は学校で、地球言語学を専攻したし、それに宇宙船で此処に来た地球人が、月の道に捨ててあった数有る中から選んだ関西弁っていう本を読破したし」と民Fは自信満々の顔になった。

『それで、話し方が月の言葉ではないのか』と周りの民は頷きながら心中思った。

コロニーを一回りして「これはどうやら地球の西暦らしいぞ。月にはこんな暦が無いからわからん筈さ。」と民Fは笑った。

「なんて書いてます?」と民Dは聞いた。

「ちょっと待ってください。メモしますから。」と民Eは鞄から取り出した。

民Eがメモを鞄から取り出すのを民Fは見た。

書いてある文字を指しながら「A.D.2870の読み方は分かるな」と民Fは民D、Eに聞いた。

地球言語学を少し学んだから、多少は理解出来るため民D、Eは頷いた。

「え~と、これはな。西暦2870年と書かれており地球の暦らしい。恐らくコロニーを飛ばした年だろう。」と民Fは推測した。

民Eは民Fの内容をメモした。

民Dは内容に驚いて思わず拍手した。

民Fは実は地球言語学を専攻していたので地球の言葉は容易いのだ。


「この内容をどうします?民E」と民Dは聞いた。

「やっぱり彼処ですか?民F」と民Eは聞いた。


「彼処しかないだろう。地球言語研究所しかないだろう。民D、E」と民Fは叫んだ。

「早速、地球言語研究所に向かうぞ」と民Fは走った。

「待ってくださいよ」と民Eは追いかけた。 

「ハァハァハァハァ」と民Dは走った。

「ほら、もう少しで着くぞ。頑張れ」と民Fは励ました。

「ハァハァ、ハァハァ。」と民Eは息を切らしながらも追い付いた。

「ハァハァ、ハァハァ、ハァハァ」と民Dは息を切らしつつも追い付いた。

「お前ら、だらしないぞ。ちょっとの距離なのに息を切らすなんて」と馬鹿にした。

「だって最近走ってないんで」と民Eは息が正常に戻り落ち着いた。

「ハァハァハァハァハァハァ」と民Dはまだ息を切らしている。

「ほれ、これでも飲め。」と民Fは民Dにドリンクを差し出した。

「何のドリンクですか?」と民Eは民Fに聞いた。

「勿論、月の岩を溶かしたドリンクだよ」と民Fは笑った。

「ゴクンゴクンゴクン」と民Dは旨そうに飲み干した。

「ありがとうございます。民F、おいしかったです。元気になりました。では、行きましょう」と民Dは元気を取り戻した。

「何を言っとるか。もう、着いてるぞ。」と民Fは叫んだ。

「え~、いつの間に着いたんですか」と民D、Eは同時に叫んだ。

「しっかりしろ。お前ら歩きながらドリンクを飲み干したじゃないか」と民Fは叫んだ。

「確かに止まった記憶ないもんなぁ~」と民Dは呟いた。

「しっかりして下さい。民D」と民Eと叫んだ。

「よし、入るぞ。」と民Fは地球言語研究所の扉を開けた。続けて民D、Eの順番で入った。

「お帰りなさいませ。民F。」と民Gはお辞儀した。

「おう。今、帰ってきた。民G」と民Fは手を挙げた。

「お帰り。民E。民D」と民Gは手を振った。

「只今、戻りました。」と民D、Eは民Gに向かってお辞儀した。

「何か分かりました?民F」と民Gは聞いた。

「おう。わかったぜ。」と民Eはメモを渡した。

「地球の西暦なんですね。」と民Gは読んだ。

「そうなんだよ」と民Fは頷いた。

「コロニーは、どうするつもりですか?民F」と民Dは聞いた。

「もう少し様子を見ようと思う。きっと、地球人はコロニーに来るだろう」と民Fは推測した。

地球言語研究所は、地球人が来るまでコロニーを放置する事をある場所に連絡した。


「地球言語研究所からコロニーは地球人が来るまで放置すると言う連絡が入ったのでその通り放置致します。宜しいですね。民の皆さん。」と民Hは集会場を見渡した。

集会場に来た民達は「おう。」と歓声を挙げ、その中の民Iが「コロニーを地球人が何時まで放置するか月の暦を作成して待とうではないか。なぁ皆。」と提案し、皆を見渡した。

その提案に皆は「賛成」と手を挙げた。

「では、皆さん、月の暦をどんなのにしたいですか?」と民Hは尋ねた。

「月の暦を省略して月暦はどうでしょうか?皆。」と民Iは皆を見渡した。

その提案に皆は「賛成」と手を挙げた。

「では、今から、月専用の暦を月暦に致します。そしてこの日から月暦元年と致します。」と民Hは集会場を見渡した。

続けて「民I提案ありがとうございます。」と民Hは民Iに向かってお辞儀した。

すると集会場が拍手喝采の渦になった。


時は西暦2875年。場所は、とある研究所

「あの事は、月に行く彼奴らには喋って無いか?」とモニターに映る地球政府高官を見詰めた科学者。

「勿論です。然しコロニーが上手く月面に着地するかどうか実験台に使うとは。然し了承するのに5年もって長いですね」と頷いた。

「本当に手こずったわ」と頷き

『本当は地球全域が彼奴のホテルで埋め尽くされ、更に関西弁ってわからない言語までホテル内に流用するって話まで浮上してくるしさ。地球言語は英語で充分だよ。で本当は対策に5年の月日を使った話は秘密にせねば』と頷いた。

「高官、あの件宜しくお願い致します」とお辞儀した。

「あ~分かってる。月に科学研究所を設置し君を所長にする話やろ」と頷いた。

「有り難う御座います。その代わり月を統治する際の代表は、貴方に推薦しますから」と笑った。

「おー、頼む」と頷き、

『然し行くって言ってくれたわ。まぁ家族を説得するのに時間が掛かるわなぁ。それに科学研究所さえ造って置けば月は俺のものだ』と高官が高笑いした。

「どうしましたか?急に高笑いして」と首を傾げ

『コロニーが無事に月面着陸した暁には私が筆頭の科学研究所を月に造ってくれるって言う約束を高官と大富豪が了承してくれたから安心やわ』と科学者が笑った。 

「何でもないわ。それにお前も急に笑って気味悪いぞ」と頷いた。

「まあ、ちょっとね」と頷いた。

「お互いの野望を叶える為には大富豪を利用せねばなぁ」

「全くその通りです」

互いに高笑いしモニターを切った高官と科学者。

月歴元年から5年後、専用船が月にあるコロニー付近で着地し、船内から地球人が三人降りてきた。

ある業界の重鎮の地球人がコロニーを見て

「やっと、着いたか。長旅でクタクタや。」と地球人Aが疲れた顔をした。

「あら私は、あっと言う間やったわ。ええやんか。私達が第一号なんやから。」と地球人Bは高笑いした。

「まあな」とコロニーを見詰めた地球人A。

「漸くあの計画が上手く行くわね」と笑った地球人B。

「まあな、あの科学者を騙してコロニーを作らしたし」と笑った地球人A。

「そうね。あの科学者、コロニーを造りたくて仕方が無い感じやったし。でも賄賂は、高くついたわ」と苦笑した地球人B。

「そう言うなよ。コロニー製造費らしいしさ。其れはさておき、地球全域にホテルを造り、残すは月だけやから」

「絶対に、あの件を守ってね」

「分かってる。此処に呼ぶのは俺達と同じく関西のみやったなあ」

「お願いよ」

「その前に訳を教えてや」

「だって内の家系、日本語しか話しては成らぬって決まりやし、それに話しやすいのが関西弁やもん」

「やもんってお前、地球言語は英語やし。あっ分かったぞ」と頭をポリポリ掻いた。

「そうなのよ、それで此処に」と苦笑した。

「成る程」と感心し

『よー了承してくれたわ。その代わり月に建てるホテル内の言語は関西弁にする約束させられたしさ。それに地球政府の高官と科学者の互いの野望に賛同したら政府からは旅費は貰えるし科学者はコロニーを第一号として使用出来るからホンマ良かったわ』と大富豪は高笑いした。

地球人Bが高笑いに驚き

「急に高笑いしたら驚くやんか」

「スマンスマン」とお辞儀した。

「パパ、ママ、何してるのよ、早く中に入ろうや」と地球人Cがはしゃいで数十基の内、一番大きいコロニーの前まで走った。

「はーい」と地球人A、Bは後を追った。

どうやら地球人A、B、Cは、家族のようだ。身形からするとかなりのお金持ちのようだ。

地球人のお金持ちの家族は、地球言語研究所の人が調査したコロニーの中に入った。

ある業界の重鎮とはホテル業界の重鎮だった。月にホテルを作ろうと思い逸早くコロニーに来たのだ。それも一番大きいコロニーをホテルに変えるためだ。


その5年後の月暦10年。

月に地球人が増えていった影響でコロニーの重さがますます重たくなり始めた。更に月面に亀裂が発生する最悪の事態にまで陥った。コロニーから出る生活排水の影響が酷くなり始めた。この生活排水は月には存在しない物質が含有されている。その物質が月面や月内部まで浸透していく羽目になる。やがて荒廃化が加速していき月面に住めなくなり、月下に追いやられてしまった民達は不満を募らせていくのだ。その中で月の民は、もう月は地球の物と考えるのはよそうと思い始めた月の民は、独自の呼び方を考える事にした。

「一番大きいコロニーをホテルにして地球人を呼ぶなんてもう我慢の限界だ。我々だけの呼び方を考えようではないか」と民Hは怒り口調で集会場を見渡した。

「そうだ。そうだ。考えようぜ」と民Iは叫んだ。

「何か、いいアイデアはないのか。」と集会場に居た民が叫んだ。

「そうだ。そうだ。ないのか。」と違う民も叫んだ。

「あの、地球では、月の事をmoonと呼んでいるらしい。だから、その反対から呼んではどうだろうか」と民Fは提案した。

「それは、いいアイデアだ」と民Iが叫んだ。

「では民F、反対から読んでみてくれないか。」と叫んだ。

「はい。ノームと読みます。」と民Fは読んだ。

「では、月を総称してノームと呼びましょう。民Fありがとうございます。」とお辞儀した。

「では、月暦もノーム暦と呼びましょう」と民Hは皆の顔を見渡した。

「あの、それとノームの住人の呼び方も考えてるんですけど良いでしょうか?」と民Fは民Hの顔を見ながら椅子から立ち上がった。

「ほ~。いいですなぁ。でその呼び方とは?」と民Hは視線を送った。

「地球では、住人の事をPeopleと言っています。それを捩って、ノームの住人をeleppoエレッポって言うのはどうですかね。皆様」と集会場を見渡した。

「エレッポ。いいですなぁ。皆様」と民Hは笑った。

「これから、ノームの住人をエレッポと呼びましょう。民Fありがとうございます」と民Hとお辞儀した。

集会場が拍手喝采になった。

月をノームと呼ぶようにした。エレッポの容姿はトヤトエーレメ()だ。エレッポの数え方は(たい)と呼ぶ。他の生命体からもその容姿を見る事が出来無い。エレッポ同士なら見える。何故なら光学迷彩に近い特性を持っているからだ。エレッポは300年生きられるのだ。

地球人から出る生活排水を浴びたあるエレッポに凄い能力が生じ始めた。

西暦2880年の地球

『大富豪が月に行ってから五年か。連絡有れば管制塔から俺に来る筈やけど。ところで大富豪から管制塔に居る管制官に関西弁を話すようにって行く前に言われてそうしたけどさ。一向に連絡無いやんか。って俺まで変なしゃべり方するようになってしまった』と高官が地球政府直轄の管制塔内部が映し出されているモニターを見詰めた。

『私がコロニーを造ってかれこれ五年経過か。何時に成ったら月に行けるのかな。高官から一向に連絡が無いなぁ』と科学者が月を見上げた。

場所はホテルコロニー

『此処に来てもう五年か。月に来る観光客も増え始めたな』と大富豪はホテル周辺を見渡し頷いた。

時はノーム暦20年。此処はノーム下。地球人が出す生活排水の影響で多数のエレッポが犠牲になり残されたエレッポが此処で暮らしている。

そんなある日、1体のエレッポが現れた。

「俺の名は、ウォン・フルモと申す。どうやら、俺は月が荒廃化していく最中で産まれたエレッポらしい。当時は赤ん坊だったらしい。両親(民A.B)の話では最初に物体が来たときノームの道を散歩していたらしいんだ。詳しい話は聞いてないけどさ。その親も地球人が出す生活排水の影響で20年前に亡くなったんだ。地球人に恨みがある最大のエレッポが俺さ。家族は地球人のせいで亡くなったんだ。地球人が大嫌いさ。」とウォンは涙を流した。

一呼吸し「今日はその地球人がどんな生活をしているか気になりノーム上に来たのさ。俺にはある能力がある。それは浮遊だ。因みに浮遊が使えるのは俺だけさ。更に精神を操れる能力も持っているぜ。特に不満を抱いている精神なら容易いぜ。精神を操れるのは多分俺だけさ。」とウォンは浮遊した。 

そう、ノームの道に居たあの時の民Cの赤ん坊がウォンなのだ。生活排水を浴びたのは彼だけなのだ。

「おい嘘だろ。これがノームの現状か」と浮遊したウォンはノーム上の現状を見て落胆した。そこには。地球人が何百人とコロニーの前に居た。

「どうせ月には誰も居ないんだ。好き放題しようぜ」

「そうだそうだ」と地球人の声が聞こえ更に

「此処に来る際、関西弁を覚えさえすれば旅費が安くなるし、更に永住権を取得すると旅費が只らしいぜ」

「マジか」と高笑いしながらゴミを掘る行為を目にした。

ウォンが見たノーム上の現状は、ゴミと地球人だらけのノームだった。もはやそこはノームでなく地球人が住む地球の様相だった。

ふとウォンは初めて精神を操った事を思い出していた。

「それは今から20年前。地球人がまだそんなに居なかった頃だ。そんなある日、ふとノーム下にある壁をよじ登って遊んでたのさ。そうするとだなぁ、何か上から液体が垂れてきたのさ。その液体がなんと俺の体を包み込んだのさ。中に入った俺は身動き出来なくて息苦しくなり気絶した。目を開けたとき俺を包み込んでた液体はなかった。俺は呆気に取られてその場に固まったのさ。『フルモご飯よ』と母親が呼んだから、俺は『わかった』って返事をし、ご飯を食べた。因みに、ご飯は、ノームの岩を砕いたやつさ。そして、その夜、ふと力を入れた。そうすると浮遊したんだぜ。驚いたわ。そして、気が付いたらノーム上に居たぜ。そして、目の前の現状に驚いたぜ。何故かって。それは、地球人が地球人を殺しているからさ。殺った方は何か不満を抱いていたから、じっとそいつを見てたらそいつの精神を操る事が出来たんだぜ。これもまた驚いたぜ。相手をじっと見ると精神を操る事が出来るってわかったぜ。因みに、俺が精神を少し操った地球人は気絶したままだった。後の事は知らん。そのままノーム下に戻った。そしたらよ、更に驚いたんだ。目の前に家族が全員亡くなっている光景が映ったからさ。勿論悲しかったぜ。死因は不明さ。それから地球人を嫌いになった。それから20年間は相手をじっと見てないから精神を操る事が出きるかはわからんけど、どうやら、エレッポ相手だと出来ないらしい。」とウォンは昔の事を思い出しながらノーム下に帰って行った。

「帰っても、家族は居ないんだ。寂しいなぁ」と淋しげに帰ると

「何言ってるんだ、俺が居るではないか、ウォンよ」と出迎えた。

「シルネム。そうだよね。いつまでもくよくよしてたら、亡くなった家族やノーム達に申し訳無いよな。」とシルネムの顔を見て気分が明るくなった。

「そうだよ。憎いのは地球人だぁ」と悔しい顔をした。

「俺もお前と同じくノームが荒廃化していく最中で産まれたエレッポなんだぜ。地球人が出す生活排水の影響で20年前に両親が亡くなったんだぜ。お前と同じ地球人に恨みがある最大のエレッポなんだよ。お前と同じく地球人が大の嫌いなんだよ。同じ境遇なんだから、くよくよするな」とウォンを元気付けるため自分の生い立ちを語った。

「そういえば、お前も俺と同じ境遇だったの忘れてたわ。あまりにもノーム上の現状を見て忘れてたわ。」と苦笑した。

「そんなにノーム上の現状酷いのか?」と驚いた。

「あぁ~コロニーに住む地球人だらけさ。それにノーム面にはゴミだらけさ。」と肩を落とした。

「うわぁ、酷いなぁ。地球人だらけって何人居るんだ?」と落胆した。

「ざっとみて百人以上だ」と呟いた。

「すげぇなぁ。それは酷いなぁ。でもよお前は浮遊や精神を操る事が出きるからいいやん。俺はその能力が出来ない。」と暗い顔をした。

「そんな暗い顔をするなぁ。お前の事は俺が守ってやる。絶対。」と固く決心した。

「それより俺をたまにウォン・フルモって呼ぶけど、ウォンでいいぞ」

「それならばお前もたまにシルネム・スルプっ呼ぶけどシルネムって呼べよ」

お互いに頷いた。

「じゃぁウォン。一寸良いかぁ」

「なんだ?シルネム

「俺にもあるんだ。」と下を向いた。

「何があるんだ?」と下を向いたままの相手を見た。

「何がって能力があるんだ」と顔を上げた。

「どんな能力なんだ?」と顔を上げた相手を見た。

「それは、疲労感がある相手をじっと見ると行動が操る事が出来る能力なんだ。」

「なんで今まで隠してた」

「能力を使うとコントロール出来無くなっちまうんだ」

「その能力に気が付いたのいつ頃なんだ?」

「今から20年前に地球人が出す生活排水を浴びて気分転換にノーム上に行ったんだよ」

ウォンは頷いた。

「ふとフラフラ歩く地球人をじっと見てたらよ、行動を操る事が出来たんだよ」

「その地球人はどうなったんだ?」

「気絶したままだったから怖くてノーム下に帰った。それ以来使ってない」と下を向いた。

「そっか。でもよ俺は精神を操る事が出来る。そしてお前は行動を操る事が出来るってわかったからいいやん。」と笑った

「そうだよなぁ」と笑った。

「シルネムよ、これからも宜しくなぁ」とお辞儀をした。

「此方こそ宜しくなぁ、ウォンよ」とお辞儀した。

「あぁ。それにお前だけじゃない。他に何体居るからわからんけども他のエレッポも俺が守ってやる~」と目の前の壁を叩いた。

「落ち着け。今はノームの壁は崩れやすくなってるんだ。お前の気持ちはよくわかったからさ。ウォンよ。絶対に居るさ。何体もなぁ」とシルネムはウォンの肩を叩いた。

「あぁ。そうだなあ。きっと居るさ」とウォンは呟いた。

更にウォンとシルネムは固い友情が芽生えたのだ 

西暦2891年、場所は、とある研究所

「科学者、話が有る一寸良いか?」と高官がモニターの電源を入れ連絡した。

「はい。何でしょうか?高官」とお辞儀した。

「月に研究所を造るって言う話は白紙にしてくれないか?」と深々とお辞儀した。

「高官頭をお挙げください。理由をお聞かせください」

高官は頭を挙げ

「長官から連絡が入り、ここ最近地球の環境がおかしいから月を統治するって言う話が白紙になった」

「月にコロニーを飛ばす前に比べたら海水の温度上昇や海面上昇、更に波の引き潮・満ち潮が無くなり始めているってテレビで拝見しました」

「原因は何と言ってた?」

「地球温暖化が急加速したって言ってました」

「表向きはそう言われているらしい」

「違うんですか?」と驚いた科学者。

「絶対、他言無用だぞ?」

「はい。」と頷き、真剣な顔つきに成った科学者。

「実はコロニーが原因らしい。おまけに月が荒廃化してるらしい」

「えっコロニーが月面に着陸したのが原因って事ですか」と驚いた科学者

高官は無言のまま頷いた

「コロニーが原因で」を足が震えが止まらない科学者

「あくまでも推測だぞ」とモニター越しであるが慰めた高官

「ありがとうございます」と涙を拭い

「でその話何処から入手したんです?」

「それは国家機密に当たる内容だから言えない」と苦笑した高官

「そうですよね。確かに研究所の件が白紙に成るのも納得です」

「俺も」と苦笑した高官

「その話は大富豪には?」とモニターを見詰めた。

「知らないって言うか月に居てるから把握済みかも」

「確かに」

「ではお互い頑張ろう」と頷き、モニターを切った二人。

場所はホテルコロニー

『ここ数年観光客が来ないから関西弁廃止したら来るようになるのかな。で、最近月面が凸凹に成り始めたんだよね。コロニーだけ追加発注しとくか。まあ、目出度い時にするか』と周辺を見渡した大富豪。

ノーム暦21年から地球人が新たに来る事はなくノームの現状は変わらぬまま70年が経過したが、ホテルコロニーでは、様々な出来事が起きていた。因みに内部の暦は西暦だ。  

西暦2916年に曾孫が産まれ、家族一同喜んだ。その時、家族には知らせず勝手に追加発注する事にした大富豪。その際、百基なので数年か数十年かかると製造元に言われたがそれでも構わんと大富豪が了承した。

西暦2929年のある日、不慮の事故により大富豪79才、妻84才で死去すると言う出来事が有り、子夫婦57才、孫夫婦35才、曾孫13才は大いに悲しみ喪に服した。

西暦2930年

「高祖父が追加発注したコロニーが到着しました」と大富豪の曾孫が両親に視線を送った。

「おーやっと来たわね。父が追加発注した物」と大富豪の娘が頷いた。

「そうじゃな」と娘の夫が視線を送った。

「あのじいじぃめ、要らん事して亡くなって、もう」と大富豪の孫が怒った。

「これこれ、私の父に対して何ですか、その口調は」と大富豪の娘が孫に視線を送った。

「だって観光客が来るかどうか不明なのに発注するなんて」と孫が口を尖らせた。

「確かに、お義父様の生きている時は閑古鳥が鳴いてばかりでしたね。」と娘の夫が頷いた。

「お前さんはお黙り」と夫に視線を送り、夫は気を付けの体勢に成った。

「私が怒っているのは、お祖父さんに向かって、あのじいじいめって言ったことです」と娘が頬を膨らました。

「そうですよ、お義母様の仰有る通り失礼よ」と妻が頷いた。

「お袋、御免」と謝罪した孫。

「はいよ。」と娘が手を挙げた。

「その内、新に観光客が来るわよ」と妻が視線を送った。

「そうだな」と夫が笑り、

曾孫は無言のまま頷き、娘夫婦と孫の妻が呆れ顔をした。

「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、ママそんな呆れ顔したらパパが可哀想よ」と孫に視線を送った。

「おー慰めてくれるか」と孫が曾孫に視線送った。

『うちの家族は曾祖父母中心やから困るわ』と腕組みしながら頷いた曾孫。

「あら、強い味方が居て良かったわね、貴方」と孫の妻が笑った。

大富豪の娘夫婦が

「全く、そうじゃな」と高笑いした。

「もう、止めてください」と照れた孫。

「そうね」と孫の妻が笑った。

大富豪の娘夫婦がお互い見詰めながら苦笑した。

西暦2938年に玄孫が産まれ、家族一同喜んだ。

西暦2943年に不慮の事故により大富豪の子夫婦共に71才で死去すると言う出来事が有り、家族は大いに悲しみ喪に服した。

西暦2959年に不慮の事故により大富豪の孫夫婦共65才で死去すると言う出来事が有り、家族は大いに悲しみ喪に服したが、その翌年に曾孫夫婦と玄孫はホテル業務を再開した。

ノーム暦90年に突如、コロニーの数百基が新たに来た。更に其処に来る地球人が増え始め、エレッポの犠牲者が増え始めた。

場所はホテルコロニー

西暦2965年、曾孫夫婦49歳、玄孫27歳

「高祖父母、曾祖父母、祖父母の三代続けて不慮の事故っていうのもおかしいって思うんだけど」と玄孫が両親に疑問を投げ掛けた。 

「確かにね」と玄孫のお袋が頷いた。

「未だ原因不明だしね」と玄孫の親父が頷いた。

「ひょっとしたら、月面の凸凹と関係有るのかな?」と首を傾げた玄孫。

「確かに、有りそうね」とお袋が頷いた。

「そうだよね、月面の岩がボロく成り始めたしね、ここ最近」と親父が頷いた。

「一回地球政府に問い合わせする?」と玄孫が連絡帳が入っているタブレットを手に持った。

「もう少し先でも」とお袋が頷いた。

「そうだなぁ」と親父が頷いた。

玄孫がタブレットを机に置いた。

ノーム暦99年の地球言語研究所。

「多数のエレッポが犠牲になりましたね」と所長(民F)に視線を送った。

「そうだな。」と所長はコロニー研究員(民D)に視線を送った。

「多数のコロニーが月に来ましたね。」とコロニー研究員はノーム研究員(民E)に視線を送った。

「生存しているエレッポは何体居ると思いますか?」とノーム研究員は副所長(民G)に視線を送った。

「そうね。何体かはわからないわよ。でも居て欲しいわ」と所長に視線を送った。

「そうだなぁ」と所長は呟いた。

ノーム研究員とコロニー研究員は所長と副所長の話を聞いて頷いた。

地球言語研究所所内はエレッポの生き残りを願うばかりの雰囲気になった。


場所はノーム居住区全域管理委員会本部(以下:管理委員会)が設置されている集会場。

「もう、これ以上コロニーや地球人がノームに来るのは限界です。その影響で集会場に来ているエレッポが多数犠牲になりました。民Jと民Kも居なくなるし」と会長(民H)の顔を見ながら落胆した。。

「そう言うなぁ。絶対、生存しているエレッポがいている筈さ。確かに民Jと民Kの姿見ないね」と副会長(民I)の顔を見ながら心配した。

「そう願いたいけど、現実は甘くないんですよ。」と会長の顔を見ながら机に手を置いた。

「まあ、我々だけなのかなぁ」と副会長の顔を見ながら手を置いた。

「そう言う事です」と会長の顔を見ながら腕を組んだ。

管理委員会集会場の中は重苦しくなった。

「でも、何時ものように集会場に来るようにアナウンスする。今度は、何時ものように来たいエレッポではなく緊急アナウンスをする。」と緊張した顔をしながら副会長に視線を送った。

「まあ、確かに生き残りが居て欲しいですよ、私だって。若し仮に生き残りが居てそのエレッポも他に生き残りが居ないと思っているかも知れないですもんね」と悔しい顔をしながら会長に視線を送った。

「そう言う事だ。では緊急アナウンスを流すぞ。」と副会長の顔を見ながら緊急管理室に向かう為椅子から立ち上がった。

「お願い致します」と副会長は椅子から立ち上がりお辞儀した。

「全エレッポに告ぐ。今回の件で生き残りのエレッポが居たら直ちに管理委員会本部である集会場に来てくれ」と緊急管理室に向かった会長はアナウンスした。会長が流したアナウンスは地球人には聞こえない。

会長の音声だけではなく「緊急通報。緊急通報。直ちに集会場に全エレッポ集合。これは緊急通報」と自動アナウンスも流した。その自動アナウンスも地球人には聞こえない。

更に(ピーピーピー)とサイレンがノーム全域に響き渡るように流した。そのサイレンもまた地球人には聞こえていない。

集会場に戻った会長は副会長の顔を見ながら椅子に座った。

この緊急アナウンスやサイレンを聞いたウォンとシルネムの二体と地球言語研究所所員の四体は果たして集会場に来るのだろうか。


場所は地球言語研究所。その内部に管理委員会会長がアナウンスした内容や自動アナウンスが流れサイレンも響き渡った。

「集会場で、なんかあったのか」と所長がアナウンスやサイレンに驚きながら呟いた。

「ちょっと待って、所長。それより私達以外にも生き残りが居てるわよ」と副所長は集会場から出るアナウンスやサイレンに驚きながらも安心した。

「あっ。そう言えばそうだね。あのサイレンは、確か管理委員会会長しか出来無い筈やな。」と所長が叫んだ。

「そうですよ。所長」と所長に視線を送った。

「それじゃ、集会場に行ってみっか」と所員に視線を送った。

「では、早速集会場に行きましょうよ。所長、副所長。」とコロニー研究員は二体に視線を送った。

「そうですよ。きっと生き残りが集会場に集まってるんですよ」とノーム研究員は安堵した。

「そうだなぁ。みんな」と所長は三体の顔を見ながら椅子から立ち上がった。

副所長、コロニー研究員、ノーム研究員の三体は同時に椅子から立ち上がった。

そして、地球言語研究所のノーム四体は集会場に向かう為、扉をあけた。


場所はノーム下。

「おい。なんか聞こえて来ないか?ウォン」

「そうだなぁシルネム、何か集会場で起きたのかな」

「いや、アナウンスしているのは恐らく、管理委員会会長みたいだぞ。他に、生き残りが居たんだよ。ウォン」

「そう言えばそうだなぁ。自動アナウンスらしき声も聞こえるし、サイレンも聞こえるなぁ。シルネム」と顔を見ながら立ち上がった。

「そうだよ。サイレンは会長しか鳴らせないし、これで会長は生き残って居る事がわかったではないか。ウォン」と顔を見上げながら立ち上がった。

「俺の肩に掴まれ」と肩に指差した。

「どうする気だ」とウォンに近付いた。

「一旦、ノーム上に浮遊し集会場に向かう」と振り向いた。

「それなら早く行けるなぁ」とウォンの肩に掴まった。

ウォン、シルネムの二体は、集会場に向かう為ノーム上へと浮遊し始めた。


場所は地球言語研究所扉付近

「集会場に行った事が無いから行き方分かりません」とコロニー研究員が呟いた。

「僕も分かりません」とノーム研究員が呟いた。

「あたしも分からないわ」と副所長も呟いた。

「なんやお前ら集会場に行った事無いんか。仕方ないなぁ」と苦笑した。

副所長、コロニー研究員、ノーム研究員は少しムッとしたが表情には出さなかった。

「集会場はこっちの方角や」と所長は集会場のある方角へと指を指した。

所長が指した方角を見た副所長は

「あらほんまや。建物が見えるわ。近くに有ったんやな」と呟いた。

「何処に有るんです?」とコロニー研究員が目を細めた。

「コロニー研究員、そっちではなく。こっちだ。」と所長は違う方角を見ていたコロニー研究員を注意した。

「すいません。正しい方角を見ますね」と正しい方角を見た。

「有ったか?」と叫んだ。

「所長、ありました。」と呟いた。

「ノーム研究員は場所わかるか?」と聞いた。

「はい。わかります」と呟いた。

「ほな。行くでぇ」と所長は叫びながら集会場のある方角へと走った。

「待ってよ。所長」と副所長は走った。

コロニー研究員とノーム研究員は無言のまま二体の後に付いていった。


ノーム下からノーム上へと浮遊した二体の姿が現れ

「シルネム大丈夫か?」と聞いた。

「大丈夫だ。ウォンよ、もう少し速度を上げても構わへんで」と叫んだ。

「よし。速度を上げるわ。しっかり掴まれ」と叫んだ。

「わかった。ウォン」と肩を強く掴んだ。

そうすると浮遊している二体の速度が先程よりも速くなった。


地球言語研究所所員は走って集会場まで向かっている。

「ハアハア、所長。待ってください。ハアハア」とノーム研究員は息を切らしていた。

「ハアハアハア、所長。待ってください。ハアハアハア」とコロニー研究員も息を切らしていた。

「確かに、所長。速いですよ」と副所長は息は切らしていないがヘトヘトだった。

「ったく。お前らだらしない。ほら目の前が集会場だぞ。例のドリンクあげるから元気出せよ」と岩を溶かしたドリンクをエレッポ三体に手渡した。

副所長、コロニー研究員、ノーム研究員は所長から貰ったドリンクを飲み

「ゴクンゴクンゴクン。所長、ありがとうございます」とコロニー研究員はドリンクをいち早く飲み干した

「ゴクンゴクンゴクン。所長、元気が出ました。」とノーム研究員は元気を取り戻した。

「ゴクンゴクンゴクンゴクン。所長、美味しかったわ。ところで何処から持って来たのよ」と副所長は飲み干すと同時に聞いた。

「それはあの岩を溶かして持って来た」

「所長、そんな事出来るんですか?」と副所長が目を丸くした。

「あぁ、出来るさ。俺の持つ能力を使えばな」と所長はどや顔をした。

「所長が持つ能力?」と副所長が更に目を丸くした。

「実は俺、精神を集中すると硬いものをドロドロに溶かす事が出来る能力がある」と打ち明けた。

「凄いじゃないですか。なんで今まで隠してたんですか?」とノーム研究員が呟いた。

「そうですよ。」とコロニー研究員は叫んだ。

「別に隠してた訳ではないが、その能力を使うとかなりの体力を使うからさ」と所員に視線を送った。

「いつ頃、その能力が使えるようになったの?所長」と副所長に視線を送った。

「それはノーム暦元年に初めてコロニーを見に行ったのは覚えてるよな?」とコロニー研究員とノーム研究員に視線を送った。

コロニー研究員とノーム研究員は頷いた。

「そのコロニーを触った後に体に違和感を覚えたんだ。でその後お前らにドリンクをあげたのは覚えてるよな?」と二体の研究員に視線を送った。

二体の研究員は頷いた。

「実は能力を使ったんだ。一足先に走って精神を集中してたら月の岩がドロドロになったんだ。容器は持ってたからそこに入れてお前らにあげたんよ」と頷いた。

「そうだったんですね。でも凄いです」と副所長が呟いた。

コロニー研究員、ノーム研究員は頷いた。

「一度使うと暫く使えないらしい」と呟いた。

「そうだったんですね」とコロニー研究員は頷いた。

「なるほどです」とノーム研究員も呟いた。

「だから、今回、使えるかどうか一足早く走って見たんだね。所長」と副所長に視線を送った。

「その通り」と呟いた。

「まぁ、何はともあれ所長が能力を使えるのがわかったし良いよね?あんたら」と副所長は二体の研究員を睨んだ。

副所長に睨まれた二体の研究員は「はい」と同時に気を付けした。

「よし。気を取り直して集会場に行きますか」と所長は呟いた。

「所長、しっかりしてください。もう着いてますよ」と副所長は叫んだ。

所長は知らず知らず集会場に来ていた。

副所長は苦笑した。

二体の研究員は黙ったままだった。

「よし。集会場の中に入るぞ。」と気を取り直して集会場の方へ顔を向けた。

そして副所長、コロニー研究員、ノーム研究員の順番で中に入った。


場所は集会場

「会長生き残りのエレッポは来ますかね?」

「絶対に来てほしい」と暗い顔をした。

「副会長、ちょっと聞いてくれるか?」

「会長何ですか?」

「実はある能力が使えるんだ」

「ある能力?」

「それは精神を集中すると軟らかい物をカチカチに凍らす事が出来る能力だ」

「凄いじゃないですか。」と驚いた。

「あぁ~」と顔を下に向けた。

「いつ頃その能力に気づいたんですか?」

「それは地球言語研究所の所長が集会場に来て握手してから俺の体に違和感が生じたんだ。」

副会長は頷いた。

「その明くる日に精神を集中してたら水が凍ってしまったんだよ」と更に暗い顔をした。

「そうだったんですね」と副会長は呟いた。

「会長さんも能力が使えるんですね」と呟いた。

会長と副会長は声のする方へ顔を向けた。

そうすると

「地球言語研究所の皆さんではないですか?ご無事で何よりです」と副会長は視線を送った。

「ご無沙汰しております。会長さん」とお辞儀をした。

「会長さんも所長と一緒で精神を集中すると硬いものをドロドロに溶かす事が出来るんですか?」とコロニー研究員が視線を送った。

「いや私は、その逆で精神を集中すると軟らかい物をカチカチに凍らす事が出来る能力だ。」とコロニー研究員に視線を送った。

「会長さんそうだったんですね」と副所長が頷いた。

「あぁ。だけど所長さんと握手しただけで能力が使えるとはな」と笑った。

副会長、所員らは無言のまま頷いた。

「まあ、何はともあれ地球言語研究所の所長さんと管理委員会会長さんが能力を使用出来ると判明したから良いよね」と副所長が頷いた。

副所長の発言にその場にいた所長、コロニー研究員、ノーム研究員と会長、副会長の五体のエレッポが笑みを浮かべた。


速度を速めたウォンとシルネムは真下に集会場が見えたので

「シルネム。集会場が見えたから降りるぞ」と速度を緩めた。

「あぁ、わかった」と呟いた。

そして、集会場の屋上に辿り着いたウォンとシルネムは集会場の中に入り

「初めて、ウォン・フルモと申し上げます。以後ウォンと呼んで下さい」とお辞儀した。

「初めて、シルネム・スルプと存じ上げます。以後シルネムと呼んで下さい」とお辞儀した。

お辞儀した二体のエレッポは同時に顔を上げると其処には笑っている六体のエレッポが居た。

会長が二体のエレッポに気づき 

「二体とも初めまして。よくぞ生き残って下さった」と涙を流した。

「ところで二体ともなんか能力は使えるの?」と聞いた。

「はい、私は浮遊と不満を抱いている相手をじっと見ると精神を操る事が出来ます」とウォンは会長に視線を送った。

会長は頷き

「そちらさんは?」と聞いた。

「はい私は、浮遊は出来ませんが疲労感がある相手をじっと見ると行動が操る事が出来ます」とシルネムは会長に視線を送った。

会長は頷き椅子に座った。

副所長は椅子から立ち上がり

「と言う事は、ウォンさんは浮遊と不満を抱いている相手をじっと見ると精神を操る事が出来、シルネムさんは疲労感がある相手をじっと見ると行動が操る事が出来、地球言語研究所所長さんは、精神を集中すると硬いものをドロドロに溶かす事が出来、管理委員会会長さんは、精神を集中すると軟らかい物をカチカチに凍らす事が出来ると言う事かしらね」と掲示板に書いたが、

「あのぉ~不満を抱いている相手をじっと見ると精神を操る事が出来る能力を格好いい名前にしたらどうかな?」と所長が書いた内容を見詰めた。

「どんな感じが良いのですか?」と会長が振り向いた。

「はい。相手をじっと見るを凝視、精神を操る事を精神操縦、そして能力を法として見てはどうかな?」と所長が提案した。

「まとめると凝視精神操縦法って事ね」と会長が修正した。

所長が頷いた。

「すると相手をじっと見ると行動が操る事が出来る能力は、凝視行動操縦法ですね?」と会長がその下に書いた。

「はい。そうです」と所長が頷いた。

「あら、良いわね。さっき私が書いたのより格好いいわ」と副所長が感心した。

「あのぉ、凝視精神操縦法も良いけど、簡単に言えないかな。所長さん」とウォンが手を挙げた。

「そうですね。ウォンさんのを簡単に言うには」と所長は地球言語辞書を開き、

「イビルチャって言うのはどうかな?」と掲示板に書いた。

「イビルチャ。確かに素早く言えますね。ありがとうございます」とウォンはお辞儀した。

「あのぉ、凝視行動操縦法も簡単に出来ないですか?所長さん」とシルネムが手を挙げた。

「待ってくださいね」と所長が辞書を再度開き、

「ヴォヘイバーってのはどうでしょう?」とその下に書いた。

「ヴォヘイバー。簡単に言える。ありがとうございます」とシルネムはお辞儀した。

他のエレッポは感心したのか頷いた。

「あのぉ~私の能力もお願い出来ますか?所長さん」と会長が手を挙げた。

「はい。勿論です。確か、凍らす能力ですね?」と所長が視線を送った。

会長は無言のまま頷いた。

所長は辞書を開き、

「では、凍らす能力を凍結法にしてレギフェターってのはどうでしょうか?」と先程書いた内容の下に書き、会長に視線を送った。

「凍結法も素晴らしくレギフェターも気に入った」と会長は感心した。

続けて所長は辞書を見詰めながら、

「う~ん。折角だから私の溶かす能力もしますね」と呟き、

「オー有った。熔解法にしてレトムにする」と所長が更にその下に書いた。

「良いわ良いわ。熔解法もレトムも」と副所長たが拍手した。

こうしてエレッポ四体が操れる能力の愛称が決まった。

「やっぱり、所長さんは素晴らしいお方ですな。」と副会長か腕組みしながら視線を送った。

ノーム研究員、コロニー研究員も何度も頷いた。

他のエレッポも感心したのか何度も頷いた。

「いやいや、地球の言語に詳しいだけですよ」と照れ笑いした。

「またまた御謙遜を」と副所長は視線を送った。

他のエレッポは無言のまま頷いた。

所長は頭をポリポリ掻きながら所員に視線を送った。

逸早く所長の視線を感じたノーム研究員は

「会長さん他のエレッポは?」と話題を変えた。

「来たのは君らだけだよ」とノーム研究員に視線を送った。

「ひょっとしたらもう生き残っているエレッポはいないのかしら?」と副所長は落胆した。

「そうかも」と所長も落胆した。

集会場にいるエレッポが落胆した。

「まぁ、何はともあれ、ここに来た四体が能力が使えると言う事で」と副会長が呟いた。

「何か地球人に復讐出来ないものかなぁ」とノーム研究員が呟いた。

「地球人に復讐する話しは後程するとして、取り敢えずウォンさん、シルネムさん、所長さん、会長さんのエレッポ四体が能力を使えると判明したから良いじゃないのよ」と副所長が手を挙げた。

「では、エレッポ四体の能力と愛称を改めてまとめますね。ウォンさん:浮遊と凝視精神操縦法(イビルチャ)、シルネムさん:凝視行動操縦法(ヴォヘイバー)、管理委員会会長さん:凍結法(レギフェター)、私:熔解法(レトム)と言うのはどうですか?」と所長は掲示板に書きながら三体のエレッポに聞いた。

「レギフェターは俺だ」と呟いた。

「ヴォヘイバーは俺です」と椅子から立ち上がった。

「イビルチャは僕だね」と机に手を置いた。

「レトムは私だ」と呟いた。

「ところで浮遊する時ってどんな感じでするんですか?」と会長が視線を送った。

「はい。気合いって言うか、ふと力を入れると出来るんですよ」とウォンは会長に視線を送った。

「成る程。凄いね」と会長は感心した。

「さてウォンさんの浮遊ですが短いからそのままでいいよね?」と所長は見渡した。

「誰も居ないですね。そう言う事だから浮遊はそのままね。ウォンさん」と視線を送った。

ウォンは頷いた。

「ところで、先程ノーム研究員が地球に復讐したいと仰ったけれどやってみますか?」とウォンが急に椅子から立ち上がった。

「ウォン、急に椅子から立ち上がるから驚いたぞ。確かに俺達の親を殺したのは地球人だけど全員が悪いわけではないぞ」とシルネムは頷いた。

「シルネムそれはわかってる」とウォンは呟いた。

「でも、ノームが多数犠牲になったから地球人に復讐したい気持ちはあるわ」と副所長が拳を握り締めた。

「私もあります。復讐しましょう」とコロニー研究員が呟いた。

「やるからにはとことん懲らしめましょう」とノーム研究員は机に手を置いた。

「そうだね、ノームがあんな風に風変わりしたし」と副会長は机を叩いた。

「副会長の言う通りだ。」と会長が机に手を置いた。

「そうですね。地球の環境や大陸、海洋を変えて見せましょう」と所長が椅子から立ち上がり掲示板に向かった。

「どのように変えるの?」と副所長は掲示板を見た。

「それは、地球の大陸を水没させたり、砂漠化させたり、新たに島を作ったりして懲らしめましょう」と掲示板に地球の地図を書いた。

「それが地球の地図だね。海が多いわね」と副所長は地図を見て驚いた。

「海が多い星なんだよ」と掲示板を見た。

「所長、やっぱり地球人を殺すの?」

「いや、地球人は殺さない。殺したとこでエレッポは戻らない。地球人が苦しむ光景をみたい。」と掲示板を叩いた。

「では皆さん、全員で行きませんか?」と会長が見渡した。

「それは能力が操れないエレッポも?」と副会長が視線を送った。

「能力が操れなくても地球人には見えないから好都合だよ?」と会長は椅子から立ち上がった。

「ああそうですね」と副会長は笑った。

「ではウォンさんは浮遊とイビルチャ担当。シルネムさんはヴォヘイバー担当。管理委員会会長さんはレギフェター担当。地球言語研究所所長さんは地球言語翻訳とレトム担当。これでどうですか?皆さん」と副会長は掲示板に向かい書いた。

会長、所長、ウォン、シルネムは頷いた。

「皆さんが頷いたところで今度は、私と副所長、コロニー研究員、ノーム研究員の役割ですがどうしましょうか?」と見渡した。

「あの、地球まで行くのはやっぱり専用船ですか?」とコロニー研究員が手を挙げた。

「そうなりますかね」と副会長は頷いた。

「では、その船の設計図は私にやらしてくれませんか?地球のコロニーを見て作り方は把握済ですから」と副会長に視線を送った。

「では専用船設計図はコロニー研究員に任せます」と掲示板に書いた。

「あの地球内でもノームが生活出来るように船内の環境を工夫する担当は私にやらしてくれませんか?」とノーム研究員が手を挙げた。

「ノーム研究員だけでは大変そうやから副会長の私も協力しましょう」と掲示板に書いた。

「副会長さん、ご協力ありがとうございます」とお辞儀した。副会長は頷いた。

副会長は掲示板を見て、まだ副所長が残っているのを見て視線を副所長の方へ向けた。

「残すは私だけね。」と副所長は下を向いた。

「副所長は何が得意ですか?」

「そうねぇ。地球言語は喋れないけど聞いた事は書けます」と視線を送った。

「それでは地球内の地球人が発言する内容を聞いて書くのを担当するのはどうでしょうか?」と副所長の顔を見ながら掲示板に書いた。

「わかったわ。最終的に所長に見せるのね?」と副会長に視線を送った。副会長は頷いた。

こうして地球に行く為の計画が練られた。


「所長、地球言語辞書をちょっと借りていいですか?」と所長が座っている場所まで行った。

「地球の言語を今のうちに勉強するのか?」と副所長の顔を見上げた。

副所長は頷きながら所長から地球言語辞書を手に取り「ありがとうございます。」とお辞儀し椅子に座り勉強を開始した。


「ちょっと宜しいでしょうか?所長」と椅子から立ち上がった。

「どうした?」とコロニー研究員の顔を見上げた。

「専用船の設計図を書こうと思いましてどんな形状は宜しいでしょうか?」と所長が座っている横の椅子に座った。

「そうだなぁ、形状ね。何がいいかな」と机に手を置いた。

「はい。そうなんですよ」と机に手を置いた。

「コロニー研究員は何か考えてるの?」

「はい。我々の容姿であるトヤトエーレメにしようかなと思っていま

「そうだなぁ、トヤトエーレメね。他に案が無いからそれに決定で宜しく」とコロニー研究員の肩に手を置いた。

「はい。了解致しました。形状はトヤトエーレメにします。」と椅子から立ち上がりお辞儀した。

「それと材質ですがどうしたら宜しいでしょうか?」と所長に視線を送った。

「うーん、材質ね。」と顔に手を置いた。

「やっぱり地球内でも大丈夫な材質の方が良いですよね、所長」と椅子に座った。

「そうだよね、大丈夫な材質は何かないかな。うーん。」と机に手を置いた。 

「あっノーム下の岩とノーム上の岩を混ぜて造るのはどうでしょうか?」と机に手を置いた。

「なるほど、良い案だ」と誉めた。

「あっコロニー研究員。ちょっと待った」とコロニー研究員は椅子から立ち上がろうとするのを止めた。

「はい。何でしょうか?所長」

「材質は決まったがどうやってつくるの?」

「所長、そこなんですよ。問題は」と机に手を置いた。

「ノーム下の岩とノーム上の岩を一旦、私の能力のレトムでどろどろして、会長さんの能力のレギフェターにて固め船体を造るのは?」

「それ、良い案ですね。」と所長の案を褒め称えた。

「では、早速設計図に取り掛かりますね」と椅子から立ち上がり自分の席にて専用船の設計図を書き始める。

「コロニー研究員。書いたら言ってね。皆にみせるから」と叫んだ。

「はい。」とお辞儀した。


ノーム研究員は副会長と一緒に船内にて最適な環境作りのために何が必要か検討している。

「船内環境はどうする?ノーム研究員。」

「そうですね。船内環境の事はコロニー研究員の設計図を見てからにしましょう。副会長さん。」

「そうだなぁ。ところで、専用船の燃料は地球人が出す生活排水を使用するのでどうかな?」

「良いですね。副会長さん」と誉めた。

「次は待機場所は空中にする?」

「その方が良いですね。ところで、酸素レベルはどうします?」

「そうだなぁ。それは地球に詳しい所長さんに聞かないと。所長さ~~ん。」と叫んだ。

「はい。何でしょうか?副会長さん。」と振り向き二体の場所に向かった。

「船内の酸素レベルはどうします?所長さん。」

「そうだなぁ。地球辞書によると我々が住んでるいる此処(ノーム)の酸素割合は43%になっているよ。副会長さん。」

「では船内酸素レベルは45%に調整しましょう」と副会長は二体に視線を送った。

「そうですね」とノーム研究員は頷いた。

「そうだなぁ。」と所長は頷いた。

「ところで専用船の形状は決まったんですか所長」とノーム研究員は視線を送った。

「専用船の形状に関してはコロニー研究員が今、設計図を書いているよ。出来たら見せるね」と二体の顔を見ながら自分の席に戻った。

副会長とノーム研究員は無言でお辞儀した。


自分の席に戻ろうとしたが

「ところで副所長、勉強捗ってる?」と副所長の顔を覗いた。

「うわぁ、驚いたじゃないの所長」とビンタした。

「痛いなぁ、ビンタする事無いやん」と頬を擦った。

「急に覗く所長が悪いやん」と尻を向けた。

「ごめんやて、悪気がなかったから許してや」とお辞儀した。

「なんてね。所長が来るの知ってました」と振り向いた。

「もぉ、驚かすなや」

「悪い悪い。気分転換よ」

「気分転換は違うやり方でしてよ」と膨れ顔をしながら視線を送った。

「は~い」と手を挙げた。

副所長は再度、地球言語辞書を開き勉強を再開する。

所長はコロニー研究員の場所へと行き

「コロニー研究員、設計図は書けたかな?」と然り気無く見た。

「はい、もう少しで完成します」と振り向いた。

「そうか、頑張ってや」と肩に手を置いた。

「ありがとうございます」と座りながらお辞儀した。

所長は自分の席に戻り椅子に座った。

「所長、設計図の出来具合はどんな感じですか?」と椅子に座った途端に会長がきた。

「あと少しで完成するみたいです」と机に手を置いた。

「そうか」と頷いた。

「あっ会長さん、専用船の材質にノーム下の岩とノーム上の岩を使用するみたいです。その岩を一旦、私の能力のレトムでどろどろして、会長さんの能力のレギフェターを使い固めて船体を造るのでその時は宜しくお願い致します」と椅子に座りながらお辞儀した。

「了解です。いつでも協力します」と肩に手を置いた。

「ありがとうございます」とお辞儀した。


「所長。専用船の設計図が遂に完成致しました。」と椅子から立ち上がり所長の席へと駆け寄ったコロニー研究員。

「うわぁ、驚いたやんけ」と思わず椅子から立ち上がった。

「すいません。つい興奮しちゃいました。」とお辞儀した。

「まあ、興奮する気持ちも分からんでもないがな」と会長がコロニー研究員の肩に手を置いた。

「ところで、設計図を見してくれ」と手を差し出した。

「はい。これでです」と手渡した。

「どれどれ」と設計図を広げて机に置いた。

「おっ専用船の形状はトヤトエーレメ何だね。コロニー研究員」と会長は視線を送った。

「はい。分かりやすいようにそれにしました。」と会長に視線を送った。

「うんうん。分かりやすい」と会長は頷き、所長も頷いた。

「皆、ちょっと来てくれないか?専用船の設計図が完成したから」と会長が叫んだ。

副会長とノーム研究員がいち早く駆け寄って

「どれどれ。おっ我々の容姿の形状ですね」とノーム研究員はコロニー研究員に視線を送った。

「分かりやすいようにしたよ」とノーム研究員に視線を送った。

「いいやんか。」とノーム研究員の肩に手を置いた副会長。

「ありがとうございます」とお辞儀したコロニー研究員。

「ちょっと見せて頂いて宜しいですか?」と呟いた。

「はい、どうぞウォンさん」と手渡した副会長。

「わぁ、凄いですね。よく書きましたね」と褒め称えた。

「俺にも見せてくれ。ウォン」と手を差し出した。

「これや。シルネム」と手渡した。

「凄いやん。」と褒め称えた。

「ありがとうございます。ウォンさん。シルネムさん。」とお辞儀した。

「よし。これから設計図を見ながら船体造りといきますかな」と会長は呟いた。

「そうですね。これからですね。」と所長も呟いた。

「一寸待ってください。専用船の外壁の材質はどうするんですか」とウォンが所長、会長に視線を送った。

「それは、ノーム下の岩とノーム上の岩を使用するんですよ。ウォンさん」とコロニー研究員がいち早く答えた。

「ありがとうございます。コロニー研究員さん」とお辞儀した。

「ところでどうやって造るんです?」とシルネムがコロニー研究員に視線を送った。

「所長のレトムでどろどろして、会長さんのレギフェターを使い固めます」とコロニー研究員がシルネムに視線を送った。

「わかりました」とお辞儀したシルネム。

「一寸、私にも設計図見せてよ」と副所長が怒りながら立ってた。

「あっ忘れてた。悪い悪い。」とお辞儀した。

「確かに勉強に集中してたけど呼んでくれてもいいやんか」と怒り口調で視線を送った。

「悪かったって。はい、設計図。たっぷり見ていいからさ」と所長が怒りの収まらない副所長に手渡した。

「あら、我々の容姿じゃないのよ。いいやんか。誰が書いたの?」と皆に視線を送った。

「はい。私です」と手を挙げた。

「あら、コロニー研究員が書いたのね。こう言う才能があったのね」と褒め称えた。

「ありがとうございます、副所長様」とお辞儀した。

「あら、副所長様だって。照れるわ」と先程迄の怒りがどっかに行ったみたいにピョンピョン跳ねた。

「ゴホン、あら、失礼。」と正気を取り戻した。

「では、専用船の材質を取りに行きますか」と会長が場の空気を変えた。

皆は頷いた。

こうして、コロニー研究員が書いた設計図を元に専用船を作り始める為、先ずは材質選びを開始し始めるノーム達だ。

「なぁ、シルネム、誰が岩を取ってくるんかな?」

「そりゃ、所長さんか会長さんが誰にするか決めるんちゃうんか、ウォンよ」

「そう言えばそうだなぁ。」と頷いた。

「やっぱり、所長が行くべきよ」と二体に視線を送った。

「その理由は何ですか?副所長さん」とシルネムが視線を送った。

「そりゃレトムが使えるもの」と副所長は机に手を置いた。

「そうですね」とシルネムは頷いた。

「と言う意見ですがどうしますか?所長さん」と副会長は視線を送った。

「そうですね。レトムを使うと便利やけど此処まで運ぶ容器が要りますよ?副会長さん」

「それなら心配するな」と会長が叫んだ。

「それはどう言う意味ですか?会長さん」

「それはある程度ドロドロにして、私がレギフェターを使い固めて運ぼうと思うんやけどどうかな?」と提案した。

「それは、いい案やけど一回一回会長さんが運んでたら時間がかかるよ」と机に手を置いた。

「なら、どうしたらいいねん。所長さん」と視線を送った。

「なら、浮遊が出来るウォンにやってもらうのは?」と手を挙げたシルネム。

「おいおい。シルネムよ。いくら浮遊が出来るからって運べる量は決まってるで」と苦笑した。

「そうやな。あっ所長さんと会長さんは此処(集会場)に残り、浮遊が出来るウォンさんとシルネムさんはノーム下の岩を持って来るってのはどうだろうか?」と副会長が椅子から立った。

「二体とも仲良しやからね」と副所長が二体に視線を送った。

「了解。では、俺がノーム下の岩をノーム上に持って来るわ」とシルネムは椅子から立った。

「よし、シルネムが持って来た岩を浮遊で此処(集会場)に持って来て所長さんに渡すんですね?」と所長に視線を送った。

「で、その岩を私がある程度溶かして、会長さんが固めて船体にすると言う事で宜しい?」とシルネム、ウォン、会長の三体に視線を送った所長。

三体のエレッポは頷いた。

「では行くぞ、ウォン」と扉に向かって走った。

「おい待てや、シルネム」と慌てて跡を追った。

「二体とも阿吽の呼吸の仲やね」と二体の仲を褒め称えた副所長。

シルネムとウォンはノーム下の岩を取りに行った。

「次はノーム上の岩ですが何処から持って来ます?」と会長が皆に視線を送った。

「では、私達に任せてくれませんでしょうか?」と椅子から立った。

会長は声のする方へ振り向いたら

「おっ、コロニー研究員、ノーム研究員。やってくれるか?」と二体に視線を送った。

「はい。ずっと設計図を書いてましたから気分転換に行ってきます」と会長の側まで近寄った。

「私も、コロニー研究員とお供します。私達もある程度阿吽の呼吸の仲やからなぁ」

「はい。ノーム研究員とは、長いお付き合いですから」と肩に手を置いた。

「そうそう。では、行って参ります」と扉に向かって走った。

「では、行って参ります」と跡を追った。

コロニー研究員とノーム研究員はノーム上の岩を取りに行った。

「残すは副所長、副会長だけやね」と会長が視線を送った。

副所長、副会長は頷いた。

「なら副所長、副会長さんは私がドロドロしたやつをトヤトエーレメの形状にしてくれないか?」と二体に視線を送った。

「所長、了解」と肩に手を置いた副所長。

「所長さん。了解」と手を挙げた副会長。

「で、トヤトエーレメの形状にしたやつを私が固めたらいいんやね」 

副会長、所長、副所長は会長に視線を送りながら頷いた。

「では私は表に行き四体が帰って来るのを待ちます」と表に出た所長。

「では、私は待ってる間に地球の言語を勉強するわ」と副所長が席に着いた。

「私は、船内環境を考えますかな」と副会長が席に着いた。

「私は、所長さんの所に行きますかな」と会長は所長の所へ行った。


場所は集会場の表

「おいシルネム。何処のノーム下の岩を持って来る?」

「そうだなぁウォン。何処が良いかな」と腕を組んだ。

「なら俺たちが居た場所の岩を持って来るのはどうだろう」と肩に手を置いた。

「そうだなぁ彼処なら直ぐ行けるしな。よしシルネム、俺の肩に手を置け」

「わかった」とウォンの肩に手を置いた。

「よし浮遊するぞ。」とノーム下の岩を取りに行くため浮遊を開始した。

「やっぱり浮遊は気持ち良いなぁ」とシルネムは呟いた。

「そうだなぁ、おい見ろよ、また地球人がゴミを散らかしてるぞ」とコロニーがある方へ顔を向けた。

「どれどれ」と呟きながらコロニーがある方へ顔を向けたシルネムは

「ひどいなぁ。」と嘆いた。

「ほんまやなぁ。スピードを上げるぞ」と体勢を少し傾けた。

「急いで岩を持って行かないとなぁ、ウォン。おっ少し速くなった。これなら早く着きそうだ」とスピードを増したから少し体勢が崩れた。

「シルネム大丈夫か?少し体勢が崩れたけど」と心配した。

「大丈夫だ俺は。それよりもう少しスピード上げても構わんぞ」と体勢が崩れたのを直した。

「よし。スピードを上げるぞ。しっかり捕まれ」と叫んだ。

「オッケーだ。」と少し強く肩を握った。

「俺たちが居た場所は」と探した。

「うーん。」と唸った。

「あれじゃないか」と目的地の場所を指差したウォン。

「本当だぁ、スピード上げたら早くつくなぁ」と驚いたシルネム。

「よし。降りるぞ」とスピードを緩めたウォン。

「わかった」と頷いた。

ノーム上に降りたウォンとシルネムは

「よし。ノーム下の岩を取りに行くか。」と呟いた。

「頼むぞ、シルネム」とお辞儀した。

「わかった」と穴の開いた場所を降りた。

ウォンはシルネムの背後を見ながら「気を付けろよ」と前屈みになり心配した。

「おぅ、ありがとう」と後ろ向きのまま手を上げた。

シルネムはノーム下の岩を取り行った。

「どの岩にするかな」と辺りを探した。

しばらく探し

「よし。この岩なら大丈夫だぁ」とシルネムの肩幅と同じ岩を持ち上げた。

「ちょっと重いなあ」と軽そうに見えた岩だが少し重みがあり中腰のままノーム上に向かった。

ウォンは中の様子が気になり

「シルネム、岩あったか」と叫んだ。

「ハァハァ。以外と重いぞ、この岩」と息を切らしながらノーム上に向かった。

「よし。俺が持ってやる」と岩を持ち上げた。

「軽そうに持ち上げたなぁ」と驚いた。

「重いぞって言うから重いかと思ったら軽いやん」と苦笑した。

「やるなぁ、ウォン」と誉めた。

「日頃から鍛えてるからなぁ」と高笑いした。

「やなやつ。次の岩を取って来るわ」と怒り口調で背を向けた。

「悪い悪い。」と謝った。

「ハハハハハハハハハ」と突然腹を抱えた。

「シルネム大丈夫か?」と心配した。

「実はなぁ、めちゃめちゃ軽かったんよ」と笑いすぎて目に涙を浮かべた。

「お前なぁ、騙すときと違うぞ、今」と怒り口調で肩に手を置いた。

「悪い悪い。真面目にやるから。許せ」と手を上げた。

「もう、とっくに許してるわ、はよう取り行け」と手を穴の方へ指した。

「ハイハイ、行きますよ、ウォンさんよ」と駆け足で穴の中に入った。

「全くもうシルネムをからかうと面白いなあ」と呟いた。

「何か言ったか」と振り向いた。

「シルネムはかっこいいって呟いたんだ。」と叫んだ。

「ほんまかぁ。何かからかうとか聞こえたぞ」と叫んだ。

「気のせい気のせい」と笑った。

「まあいいわ。お前なら何を言っても許すわ」と顔をウォンに向きながら叫んだ。

「ありがとう。頑張って取って来て下さいませ。シルネム様」と煽てた。

「ハイハイ」と手を振りながら奥に入った。


場所はウォンとシルネムがノーム下の岩を取りに行った後の集会場の表

「何処のノーム上の岩を持ってきます?コロニー研究員」

「そうだなぁ、何処にしようかな」とノーム研究員の顔を見ながら自分の頬に手を置いた。

「溶かしやすい方が良いよね。」とコロニー研究員の肩に手を置いた。

「そりゃ、その方が所長さんはやり易いよ」とノーム研究員の肩に手を置いた。

「だとするとコロニー付近か」と落ち込んだコロニー研究員。

「コロニー研究員、落ち込む気持ちは分からんでもないが今は行かないと」と励ましたノーム研究員。

「だよな。コロニー付近は、軟らかいから直ぐに沈むけど彼処しか無いもんなぁ」とコロニー研究員の顔を見ながらコロニー付近の方へ指を指した。

「そう言う事や。行くぞ。」とコロニー付近に指を指したノーム研究員。

「ヨッシャ、行くかコロニー研究員」とノーム研究員はコロニー付近まで走る体勢をした。

「そうやなぁ。走るか」とコロニー研究員も走る体勢をした。

コロニー研究員、ノーム研究員は走った。


場所はシルネムが穴の奥に入り、ウォンがそれを見ているノーム上

「お~い。シルネムよ。岩あったか」と穴奥まで聞こえるように大きく叫んだ。

「ウォン。一寸待ってくれ。今探してるとこや」と岩を探しながら更に奥に入った。

「分かった」と少し身を乗り出した。

シルネムは更に奥に入り

「おっこれなら、いけるか」と試しに岩を持ち上げ「うん、軽い軽い」と一旦、持ち上げた岩を置いた。再度、持ち運びやすいように岩を抱き抱えるように持ち上げた。

ウォンはシルネムの様子を見ようと少し穴に入り身を乗り出し

「お~い。あったか」と叫んだ。

遠くの方から「あったぞ。ウォン、今、そっちに向かってるから」と反響した。

「俺も、そっちに行くわ」と穴奥まで行った。

「助かるわ」と入り口に向かった。

「おっシルネム。かなりデカイ岩やな」と驚いた。

「あっウォン。」と驚いて思わず持ち上げた岩を落としそうになり

「おい、岩を落とすなよ。粉々になるから」と落ちそうになった岩を支えたウォン。

「ありがとうなあ。ウォン」と頭を下げた。

「気にするな。シルネム」と二体で岩を入り口迄運んだ。

「やっぱり、二体だと早いな」と呟いたシルネム。

「そうやなぁ」と呟いたウォン。

「よしこれで岩が二個になったなぁ」とノーム上に置いた岩を見たシルネム。

「もう一個岩を持ってきて集会場に持って行くか」と穴を見たウォン。

「そうやなぁ。」と首を縦に振ったシルネム。

「今度は二体で行くか。シルネム」

「その方が早く集会場に持って行けるからなぁ。よし、二体で行くか」

「あっ一寸待って、ウォン」と穴の奥に入りかけた足を止め振り返った。

「わぁ、急に止まるなよ。シルネム」と急に足を止めたシルネムの体に当たりそうになったがなんとか避けた。

「俺が穴奥から持ってきた岩を一度、集会場に持って行くんじゃなかったのかい」と体全体をウォンに向けた。

「あっそう言えばそうだなぁ。軽いから一変に持って行けるなぁ。シルネム」と穴奥から持ってきた岩を見詰めた。

シルネムは頷いた。

「ほんじゃ、集会場に持って行くわ」と体全体を岩の方へ向けた。

「お前が集会場に持って行ってる間に俺は穴奥から岩を取るわ」とウォンの後ろ姿を見た。

「宜しくなぁ。」と後ろ向きで手を振り岩の方へ歩いたウォン。

「おう。後は任しとけ」と穴奥に入ったシルネム。


場所はコロニー研究員とノーム研究員の二体がコロニー付近迄走っているノームの道

「ハァハァハァ。コロニーはまだか」と息を切らしながらも走っているコロニー研究員。

「ハァハァハァ。まだまだやぞ。頑張れ」と息を切らし顔は下を向いたままノーム研究員を励ました。

「そうやなぁ。まだまだやな。そっちも頑張れや」と落胆し顔は下を向いたままコロニー研究員を励ました。

周辺には、エレッポ二体の走る音だけが響いているため

「なんか不気味やな」とコロニー研究員に視線を送った。

「ほんまやな」とノーム研究員は頷いた。

「ほら、彼奴ら(地球人)が棲みかにしているコロニーが見えたぞ。走るぞ。」とコロニー研究員がコロニー付近がある方向を指差した。

「走るか。」と最後の力を振り絞りコロニー付近を見つめた。

「あと少しや。」とノーム研究員と励ました。

「コロニー研究員、ありがとうよ。」と頭を下げた。

「漸く着いたなあ。ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」と肩で息をしているノーム研究員。

「ほんまやな。ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」とコロニー研究員も肩で息をしている。

エレッポ二体のコロニー研究員、ノーム研究員は地球人が棲みかにしているコロニー迄辿り着いた。


場所は、ウォン、シルネム、コロニー研究員、ノーム研究員の四体が岩を取りに行った後の集会場の表


「ウォンさんは確か浮遊の能力を使い岩を持って来る筈だから空を見とかないと」と一足先に集会場の外でノームの空を見上げながら独り言を呟いた。

「何をぶつぶつ言いながら空を見上げてるのです?所長さん」と一足遅れて集会場の外で何かを呟きながら空を見上げている所長の顔を覗き込んだ会長。

「わぁ驚くから止めて下さい、会長さん」と空を見上げた視界に会長さんの顔が突如現れたので尻餅を付いた所長。

「尻餅付く程、驚かしてない筈だよ。所長さん。オーバーなリアクションは止めて欲しいよ」と尻餅付いた所長の顔を見下ろした。

「すまんすまん。会長さん。」と立ち上がろうする所長。


場所は穴の開いたノーム面

「よし、この岩を集会場に持っていくか」とウォンは二個の岩を持ち上げるためしゃがみこんだ。

「よいしょ」と二個の岩を抱き抱えるように持ち上げた。

「さて、浮遊開始しますか」と少し精神を統一したウォン。

「いつもより浮遊する速度が遅いなぁ。やっぱり前屈みしながらだとダメか。よし、この体勢のまま集会場に持っていくか」といつもより速度が遅く体勢も前屈みだけどちゃんと浮遊が出来た事に満足感を覚えたウォン。


場所は穴奥にある洞窟

「さてウォンが浮遊したのを見届けたし、ノーム下の岩探し再開するか」とウォンが浮遊するまで見届けたシルネムは穴奥に入った。


場所は、地球人が棲みかにしてるコロニー。 

「やっとコロニーまで、辿り着いたか」と安堵と溜め息が同時に来たコロニー研究員。

「やっとだぁ。」とコロニー研究員と同じく安堵と溜め息が同時来たノーム研究員。

「それにしても、酷い光景だなぁ」とコロニー付近のノームの道を見たコロニー研究員。

「全く、此処がノームとは思えない程変わり果ててしまった」とノームの現状を目の当たりにして落胆したノーム研究員。

「おい落胆してないで、早くノーム上の岩を取ろうぜ」とかなり落胆しているノーム研究員に視線を送った。

「そうだぁ、この恨みは地球内で返すか」と怒り口調と怒り顔でコロニー研究員に視線を送った。

「おい。恐い顔を見せるなあ」とあまりにも鬼の形相化したノーム研究員の顔を見てコロニー研究員は少し後退りした。

「すまんすまん。あまりにも腹立ったもんで」と鬼の形相をしたノーム研究員が普通の顔に戻し謝罪した。

「お前の気持ちは俺も一緒だからな。それより早く取ろうぜ」と言いながらノーム上の岩を指差したコロニー研究員。

「そうだぁ。早速取るか」とコロニー研究員が指差した方へ顔を向けたノーム研究員。

ノーム研究員とコロニー研究員は同時に頷き、指差した方の岩を取りに向かった。

「やっぱりコロニー付近の岩は柔くなってるなぁ」とコロニー研究員は岩の硬さを確認した。

「どれどれ、本当だなあ」とノーム研究員も硬さを確認した。

「岩は柔らかいのはわかったけど重さはどうだろう」と恐る恐る岩を持ち上げたコロニー研究員。

「重い?軽い?」と岩の重さを確認したノーム研究員。

「お前も一寸持ってみ」とノーム研究員に視線を送った。

「重いのか軽いのか言ってくれていいやんか」と顔を膨らませながら持ち上げたノーム研究員。

「どうだ、すげぇ軽いやろ」

「ほんまやな、軽いわ」

「柔らかいし軽いし、これならたくさん集会場へ持って行けるわ」と高笑いしたコロニー研究員。

「そうやなぁ。何なら球形にし転がして行くか」と高笑いしているコロニー研究員に視線を送った。

「おい」と高笑いしていた顔が急に真顔になったコロニー研究員。

「急に真顔になるなよ、恐いやんか」と不安になったノーム研究員。

「いいやんか、それ。グッドアイデア」と腕をノーム研究員の肩に置いた。

「もう驚かすな。グッドアイデアなら笑って言えよ」と腕をコロニー研究員の肩に置いた。

「では岩を球形にしますか」と腕を肩に置いたままノーム研究員に視線を送った。

「そうしますか」と腕を肩に置いたままコロニー研究員に視線を送った。

「なんか照れるからやめよ」と肩に置いた腕を離した。

「そうやな」と肩に置いた腕を離した。

「よし、始めるか」と先ほど持ち上げた岩を見た。

「そうやな」と先ほど持ち上げた岩を見た。

コロニー研究員、ノーム研究員はノーム上の岩を球形にするべく先ほどの岩の場所へと近づいた。

「よし、今は凸凹の岩やけど綺麗な球形にするか」とコロニー研究員は岩を見た。

「そうやな」とノーム研究員も岩を見た。

凸凹の岩を綺麗な球形にし始める二体の研究員。


場所はノーム上空

「集会場に急がね」とノーム下の岩を落ちないように慎重かつ迅速に浮遊し集会場に向かうウォン。


場所は穴奥にある洞窟

「さて、今度はどの岩を取るか」と洞窟の周辺を見渡すシルネム。


場所は副所長の席

「地球言語辞書を見ながらでも発音は、やっぱり難しいわね」と辞書を片手に頭をポリポリ掻いた。


場所は副会長の席

『船内環境はどうしたらいいかな。やっぱり、船内環境を良くするには我々エレッポの吸気成分であるウィ・メリャードンを船内に行き渡るようにするしかなぁ。そして、エレッポの呼気成分であるソイリックンを如何に船外に出すかが悩み所だ。ウィ・メリャードンを船内全域に行き渡らすにはやっぱり発生装置が必要だわなぁ』と設計図を見ながら心中悩んだ。


場所は集会場の表

「誰が最初にノームの岩を持って来ますかな」と立ち上がろうとする所長の顔を見ながら手を差し伸べた会長。

「ありがとうございます会長さん。そうですね。やっぱり浮遊が出来るウォンさんじゃないですかね」と会長の手を握りながら立ち上がった所長。

「やっぱりウォンさんですかね」と立ち上がった所長に視線を送った。

所長は頷きながらお尻を擦り苦笑した。


場所は、地球人が棲みかにしてるコロニー。 

ノーム上の凸凹の岩を綺麗な球形にし始める二体の研究員。

「これくらいかな」と凸凹の岩を綺麗な球形状にしたコロニー研究員。

「そうやな、これくらい綺麗なら転がせるなぁ」とノーム研究員は綺麗な球形状を見た。


場所はノーム上空

「集会場は何処だ」とノーム下の岩を抱き抱えながら集会場をさがすウォン。


場所は穴奥にある洞窟

ノーム上に持っていく岩を見渡すシルネム。


場所は副所長の席

「ちっともわからないわ、もう。やってられないわ」と辞書を閉じ椅子から立った副所長は副会長の席の方へ体を向けた。

「副会長さんは設計図を見て頑張ってるのね」と設計図をにらめっこしてる副会長の様子を見て感心した副所長。

「よし、あたしも頑張るか」と再度地球言語辞書を開き勉強を開始するため体を自分の席の方へ戻し椅子に座った副所長。


場所は副会長の席

『船内の配置や環境設備は皆とやるか』と相変わらず設計図と、にらめっこしながら心中悩む副会長。


場所は集会場の表

「まだ、お尻が痛いのですか、所長さん」と相変わらずお尻を擦っている所長を見た。

「あ~少し痛いけど、大丈夫だぁ」と苦笑しながらノームの空を見上げた。

所長がノームの空を見上げたので、会長も空を見上げた。

「所長さん。空を見ながらウォンが来るのを待っているんですか。」と空を見ながら呟いた。

「会長さん。少し遅くないですか、来るのが」と空を見ながら呟いた。

「そうですね。遅いですね。でも必ず来ますから待ちましょう。」と空を見上げていた顔を所長の方へ向けた。

「そうですね。会長さん。」と所長は空を見続けていた。

空を見上げていた所長の様子を見て会長は再度空を見上げた。


場所は、地球人が棲みかにしてるコロニー。

「一旦、集会場に持って行くか?」とコロニー研究員のに視線を送った

「そうだぁ。でも、どうせ転がして持って行くならもう少しでかくしてからでも良くないか?」と球形にした岩を叩きながらノーム研究員に視線を送った。

「そうだね。転がして持って行くもんね」と空を見ながら頷いたコロニー研究員。

「そうと決まればでかくしようぜ」と周辺の凸凹の岩を探すノーム研究員。

「よし、やるか」とコロニー研究員も周辺の凸凹の岩を探した。


場所はノーム上空

「あっあれは」と遠方に建造物らしき物を発見したウォン。

「かなり遠くだが集会場が見えたぞ」と浮遊の速度上げる体勢にしたウォン。


場所は穴奥にある洞窟

「ノーム上に持って行きやすい岩はどれだろう」と周辺の岩を見渡し呟いたシルネム。


場所は、地球人が棲みかにしてるコロニー。

「適度な凸凹の岩はと」と周辺の岩を探すノーム研究員。

「そうだよね」とノーム研究員が探している辺りを探すコロニー研究員。

「お前なぁ、俺の周辺ばかり探しても意味ないでぇ」とコロニー研究員に呟いた。

「ばれたかな」と舌を出すコロニー研究員。

「俺の反対側を探せ」とノーム研究員が居る場所の正反対に指差した。

「ヘイヘイ、分かりやした。」と渋々ノーム研究員が指差した方へ行くコロニー研究員。


場所は集会場の表

所長と会長は、ノーム上空を見上げていた。

「何かが此方へやって来てませんか?」とノーム上空を見上げていた所長が指差した。

「どれどれ」と目を細目ながら所長が指差したへ方を見た。

「分かりやしたか、会長さん」

「さっぱり解らへんわ。所長さん」

「ほらあそこです」と今度は何かがある方へ腕を伸ばした所長。

会長は無言のまま所長が伸ばした腕の先を見た。

「分かりましたか?会長さん」

「はっきりとは見えないが微かに何かが此方へやって来てますなぁ」と目を細めた。

「でしょ」と所長は頷いた。


場所はノーム上空

浮遊の速度を上げる体勢にしたウォンは岩を落とさないように集会場に向かった。


場所は穴奥にある洞窟

「これにするか」とノーム上に持っていく岩を見付けたシルネム。


場所は副所長の席

無言のまま地球言語辞書を開き勉強をしている副所長。


場所は副会長の席

相変わらず設計図と、にらめっこしながら心中悩む副会長。


場所はノーム上空

「会長さ~ん、所長さ~ん」とウォンは集会場の外にいる会長と所長のエレッポ二体に向かって叫んだ。


場所は集会場の表

会長と所長のエレッポ二体はノーム上空を見上げていた。

「おや、あれは、ウォンさんではないんですか、会長さん」とこちらへ来るウォンの方に顔を向けた。

「どれどれ、あっ本当ですね。ウォンさんですね。おやノーム下の岩を持ってますね。それも二個ですね」とウォンが持っているノーム下の岩の方に向かって指を指した会長。

「そうですね。てっきりノーム下の岩は1個だけだと思ってました。だから時間が掛かったんですね」とウォンが集会場に戻って来るのが遅い理由がわかり頷いた所長。

「そうですね」と会長も頷いた。

「ウォンさ~ん」と手を振りながら叫んだ会長。

「ウォンさ~ん」と手を振りながら叫んだ所長。

場所は集会場近くのノーム上空

ウォンは無言のまま、会長や所長が居ている集会場の表までノーム下の岩を落ちないような体勢を維持しながら接近した。


場所は集会場の表

「ウォンさん、岩が落ちないよう気をつけてください」と会長はウォンが持っている岩が落ちそうな位置にあるのです心配し叫んだ。

「ウォンさん、岩が落ちそうな位置にあります。気をつけてください。」と所長も心配し叫んだ。

会長、所長が叫んだ内容が集会場近くのノーム上空にいるウォンに届いたのか岩を持ち直す光景を見た所長が

「こちらの叫んだ内容が聞こえた見たいですよ、会長さん」と岩を持ち直したウォンさんの光景を見たあとに会長の顔の方を向いた。

「そうですね」と頷いた会長。

集会場近くを浮遊していたウォンが集会場のノーム面に着地し

「お待たせ致しました。会長さん、所長さん。これがノーム下の岩です」と持って来た岩を会長、所長の目の前に置いた。

「お疲れ様です。ウォンさん」とお辞儀した会長。

「お疲れ様です。ウォンさん」とお辞儀した所長。

「会長さん、所長さん頭をあげてくださいよ。まだまだノーム下の岩を持って来ないと行けないんですから」と会長、所長のお辞儀してる頭を見た。

「そうでした」と頭を上げた会長。

「そうですよね」と頭を上げた所長。

ウォンは無言のまま頷いた。


場所は穴奥にある洞窟

「大きさはこれくらいかな」とノーム上に持っていく岩の大きさを見たシルネム。



場所は集会場の表

「大きいわりには軽いね」とウォンが持ってきた岩を持ち上げた会長。

「本当ですか?会長さん」と会長が岩を持ち上げた光景を見て呟いた所長。

「そうなんですよ、会長さん、所長さん。大きいわりには軽いんですよ」とウォンは呟いた。

「どれどれ」と所長はウォンが持って来た岩を持ち上げた。

「本当に軽いね」と見た目よりも軽いのに驚いた所長。

「でしょう、所長さん」と岩を持ち上げた所長を何気に視線を送った会長。

岩を持ち上げた光景を見たウォンは頷いた。



場所は、地球人が棲みかにしてるコロニー。

2方向に分かれて適度な凸凹の岩を探しているノーム研究員とコロニー研究員のエレッポ二体。

「適度な岩は無いかな」と周辺を探しているノーム研究員。

「凸凹のいるは無いかな」と周辺を探しているコロニー研究員。



場所は穴奥にある洞窟

「よし、ノーム上に持って行く岩はこれに決めた」とノーム上に持っていく岩を決めたシルネム。



場所は集会場の表

「会長さん、所長さん。それでは、ノーム下の岩を取りに行ってきます」とウォンは会長、所長の順に顔を見ながら手を振り浮遊した。

会長、所長はウォンが手を振りながら浮遊する光景を見ながら

「ウォンさんは元気ですね、会長さん」と元気に関心した所長。

「そうですなぁ。若いっていいですなぁ」と若さに関心した会長。

会長、所長のエレッポ二体はウォンがあまり休息を取らないまま再度ノーム下の岩を取り行った事に感心し何回もその場で頷き続けた。


場所は穴奥にある洞窟

ノーム上に持っていく岩を決めたシルネムは目の前の岩に手を伸ばし

「ヨイショ」と力を込めた。

「大きさはこれくらいかな」とシルネムはノーム上に持って行きやすい様に肩幅程度の岩を持ち上げた。


場所は集会場の上空辺り

「急いでシルネムの場所へと行かねばならんなぁ。然し今は、何にも無いから速度を上げれるから早く着くぞ」と何にも持っていないので浮遊の速度を上げノーム面の洞窟へと向かうウォン。


場所は集会場の表

「さて、この岩をどうしますかな」と所長の顔を見ながら、岩を叩いた。

「そうですねぇ、もう一度ウォンさんがノーム下の岩を持って来てから中に入れましょうか」と会長の顔を見ながら、集会場の方へと指を指した。

会長は頷いた。


場所は穴奥にある洞窟

「見た目は大きく重そうに見えるけど持って見たら意外と軽いわ」とノーム上に持っていく岩を持ち上げたシルネムは大きさのわりには軽い事に驚いた。


場所は集会場とノーム面の洞窟の丁度中間辺りにある上空

「浮遊の速度を上げたお陰で丁度中間地点まで来れた。あと半分か。最初に集会場に向かうときに目印を見つけといて良かったわ。」と速度を上げながらもノームにある山を中間地点の目印にしていたウォン。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「この岩が丁度いいかな」と適度な岩を見つけたノーム研究員。

「凸凹の岩を丸めるのに丁度良い岩は何れが良いのかな」と左右に顔を振りながら岩を探すコロニー研究員。


場所は集会場の表

「所長さん、一寸座りませんか?ずっと立っていたから疲れました」と会長は疲労感を感じ始めたので足を擦った

「会長さん、そう若くないのですから座っていて下さい。私は立ってウォンさんが来るのを見ていますから。」と会長の身体を心配しながら視線を一瞬送ったあとノーム上空を見上げた。


場所は副所長の席

『それにしてもノーム岩を持ってくるの遅いわね』と地球言語辞書を見ながら心中思った副所長。


場所は副会長の席

相変わらず設計図を見ながら唸っている副会長。


場所は穴奥にある洞窟

「周りの岩にぶつからないようにしなくちゃ。なんせノームの岩石はボロいからな」とシルネムはノーム上に持っていく岩を周辺の岩に当たらないように気を付けながら呟いた。


場所はノーム面の洞窟寄りの上空

「此処からは気を付けて浮遊しなくちゃいけないなぁ。洞窟を行き過ぎたら時間の無駄だから速度を緩めるか。」と洞窟寄りの上空に差し掛かった所で浮遊の速度を緩めようと体勢を変えながら呟いたウォン。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「簡単に引き千切れるぐらいノームの岩はボロくなったもんだわ」と適度な岩を見付けたので肩幅程度に引き千切ったノーム研究員は溜め息を付いた。

「よしあの岩にするか」とコロニー研究員は漸く丁度良い岩を見付けたので近付く為急ぎ足で近付いた。


場所は集会場の表

「所長さん、大丈夫ですか?疲れていませんか?」とずっと立っている所長の後ろ姿を見ながら心配した会長。

「会長さん。大丈夫ですよ。少し疲れてはいるけれど座る程度では無いです」と所長はノーム上空を見上げながら呟いた。

「では私は座りながら上空を見上げるね」と会長は座りながらノームの上空を見上げた。


場所は副会長の席

『それにしてもノームの岩を持ってくるの遅いなぁ』と心中、設計図を見ながら背伸びをした副会長。


場所は副所長の席

「一寸休憩するかぁ」と副所長は地球言語辞書は開いたまま背伸びをした。


場所は背伸びをした後の副所長の席

『よし再開するかぁ。然し書きづらいわね。おまけにガリガリと音がして、ちと五月蝿いわ。でも、ノームの岩がボロくなる前に作ったから頑丈だわ。』と地球言語辞書を片手にノームの岩を薄く平らにした状態の物にノームの岩を細長く先端を尖らした物で地球の言語を書き始めたが五月蝿い音がするので少し苛つきながら心中思った副所長。


場所は背伸びをした後の副会長の席

『さっきからガリガリと音がすると思ったら副所長があれを使って地球の言語を書き写しているのか。仕方ないなぁ』と副会長は音のする方へ立ち上がり音の正体を確認しながら心中思った。

確認後は設計図を再度見始めようと自分の席に戻った副会長。


場所は集会場の表

「さてそろそろ立ちますかな」と会長は今まで座って居た場所から立ち上がり所長の所へ駆け寄り

「そう早くには戻って来ないでしょう」とノーム上空を見上げている所長に叫んだ。

「それもそうですね。先程行ったばっかりですもんね。

って会長さん、てっきり座って喋っているのかと思ってました。

もう立っていて大丈夫何ですか?」とノーム上空を見上げていた所長は、急に話し声が聞こえたので声のする方へ顔を向け驚きながら叫んだ。

「悪い悪い、驚かすつもりはなかった。大丈夫ですよ。思いっきり休憩出来ましたから」と驚いている所長に謝罪した。

「別に謝る必要はないんです。今まで無音状態の空間で急に声がしたんで驚いただけです」と謝罪した会長を慰めた所長。

「それもそうですな」と高笑いした会長。

所長は「はい」と頷いた。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「引き千切った岩を球形状にした岩まで持って行くか」と肩幅程度に引き千切った岩を球形状にした岩まで持って行くノーム研究員。

「よし肩幅程度に引き千切るか。よいしょっと」とコロニー研究員は目の前の岩を肩幅程度に引き千切る為、前屈みになり力を入れた。


場所はノーム面の洞窟寄りの上空

「よしこの辺まで来たなぁ。ならば洞窟を探すためノーム面に近付くか」と浮遊の速度を緩めた体勢から洞窟を見逃さない様にする為、頭をノーム面に向けたウォン。


場所は穴奥にある洞窟

「よいしょっと。よいしょっと」とノーム下の岩をノーム上に持って行くため周辺の岩に気を付けながら運ぶシルネム。


場所はノーム面の上空

「だいぶ、ノーム面に接近したから体勢を平行にするかぁ。」と頭をノーム面に向けていたウォンはノーム面に近付いた為、体勢を変えた。


場所は穴奥にある洞窟

「よしノーム上に出れる穴が見えてきたぞ。頑張るか。然しかなり奥に入ってたんだなぁ。無我夢中で岩を探してたもんなぁ。」とシルネムはノーム上に、出れる穴から入り込んでいる微かな明かりを遠方では有るが見つけたので、もうひと踏ん張りを決意した。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「よし、一先ず持って来た岩を球形状にした岩の横に置くかぁ。あっそう言えばコロニー研究員は何処におる?」と先程引き千切った岩を球形状にした岩の横に置きながらコロニー研究員の姿を見渡したノーム研究員。

「よしこれくらいの大きさでいいかなぁ。よいしょっと」とコロニー研究員は前屈みの体勢を維持したままノーム上の岩を引き千切った。

「お~やるやんか、彼奴も。でも、少しでかくないかぁ。落とすなよぉ」と前屈みの体勢を維持したままノーム上の岩を引き千切った光景を見たノーム研究員は思わず感心しつつも、あまりにもでかい岩なので心配した。


場所は副所長の席

『一寸このガリガリの五月蝿いねぇ。副会長さんも五月蝿く感じているに違いないわ。でも五月蝿いって文句言って来ないわねぇ。我慢しているのかしらぁ。よし聞いてみよう』と副所長は地球言語辞書を閉じて副会長の居る席の方へ顔を向けて

「副会長さ~~ん。ガリガリの音、五月蝿くありませんか?」と叫んだ。

場所は副会長の席

『よし設計図を見るか。さっぱりわからんけど』と自分の席に戻った副会長は設計図を見ながら心中思ってたら

「副会長さ~~ん。ガリガリの音、五月蝿くありませんか?」と副所長の声が聞こえたので副所長の居る席の方へ顔を向けて、

「ガリガリの音は、確かに五月蝿いけど地球の言語を勉強している副所長さんの為なら我慢しますよ。私に気を使わずに勉強していて下さい。」と席を立ちながら副所長が居る席へと駆け寄った副会長。

「ありがとうございます。副会長さん。処で船内環境は思い付きましたか?」と自分の席へと駆け寄ってきたので少し驚いた副所長。

「はい。一応思い付きました。私の案ですけど聞いてくれますか?副所長さん」

「はい。聞きます。」

『やったー。此で休憩が出来るわぁ』と心中、喜んだ副所長。

にやけた表情を何気に見た副会長は

「どうしたんですか?にやけた顔をして」と副所長が座っている席の横に座った。

「私も乗るトヤトエーレメの形状をした宇宙船の船内環境が気になってねぇ。然もその船内環境を副会長さんがお考えになって下さった案ですから楽しみ何ですよぉ。」と誤魔化した副所長。

「そうですねぇ。」と狼狽える副所長の態度が気になりつつも頷いた。

「ほら、副会長さんがお考えになった案を聞かせて下さい。」

「では話しますねぇ。先ずエレッポの吸気成分であるウィ・メリャードンを船内に行き渡るようにするんです。」と副所長に視線を送った。

副所長は頷いた。

「そして、エレッポの呼気成分であるソイリックンを如何に船外に出すかが現在悩んでいるんです。」

「そうですねぇ。ソイリックンが船内に充満したら大変ですものねぇ。換気が必要ねぇ。」と机に手を置いた副所長。

「はい。呼気成分を放出するには換気扇を使います。そして吸気成分であるウィ・メリャードンを船内全域に行き渡らすにはやっぱり発生装置が必要かと思うんですよ」

「成る程ねぇ。素晴らしいわぁ。副会長さん。要はソイリックン放出装置、ウィ・メリャードン発生装置を船内の何処に装着するかで悩んでいるんですねぇ。」

「その通りなんです。なかなか良い案が出てこなくて」と下を向いた副会長。

「それなら皆で話し合うってのはどうでしょうか?。皆も乗る宇宙船ですから。ねぇ、副会長さん。此処までお考えになったんですから皆も文句言わないわよ。寧ろ感謝しますよ。」と下を向いた副会長の肩を叩いた副所長。

「そうですよね。感謝ですよね」と下を向いた副会長は笑った。

副会長の笑った顔を見て副所長も笑みが零れた。


場所は集会場の表

「処で先程から聞こえていたガリガリの音がしなくなりましたね。であの音の正体は何なんですかね、所長さん」と会長は中から聞こえていた音の正体が何なのか気になっていた。

「あれはですね、会長さんも使われたと思いますよ」と所長は会長の顔を見ながら一呼吸置き、会長が頷いたのを確認後

「あのガリガリの音はノームの岩を薄く平らにした状態の物にノームの岩を細長く先端を尖らした物ですよ。たぶん副所長が地球の言語を書き写しているのかと思われます。そして、しなくなったのは恐らく休憩中か副会長の設計図を見ていると私は思います。」と視線を会長から集会所の扉に移した。

「あ~あれですね。あれはかなりの音がしますね。だけど何故あれを使うんですかねぇ。」と集会所の扉に視線を移した所長を見詰めた。

「たぶん、宇宙船に乗って居るときに見るためでしょう。どの大きさかは見ていないのでわからないですけど、あのガリガリの音からすると持ち運ぶには大きいでしょうねぇ。まあ宇宙船には色んな機械類も搭載する予定です。エレッポ達が使っているあれに入れるためですかね。会長さん」

「成る程ねぇ。我々が使っているあれですか?私は苦手ですよ、あれ」と苦笑した。

「会長さんは苦手な筈ですよ。私も苦手ですから。あれを完璧に使いこなすのは内の研究所員で副所長のみですから。確かに副所長は地球の言語は喋れないけどあれを使って船内に映してくれる筈ですよ」と視線を送った。

「えっ、所長さんも苦手なんですか?てっきり得意なのかと思った。」と所長の顔を見ながら驚いた。

「確かに少しはあれを使う事は出来るかも知れないけど副所長の方が上手なんですよ。会長さん」

「何も無い空間から画面を出すのはやはり私みたいな年齢だと難しいからね、所長さん」

「確かに難しいですよね。それにね、会長さん。画面を出すには有る機械も使いこなさないと難しいんですよ。」

「そうなんですか?ひょっとしたら地球言語でパソコンみたいな機械ですか」と会長は驚いた。

「はい。良くご存知で。何故知っているのですか?」と所長は驚いた。

「はい。実は昔、地球の色んな機械類のドキュメンタリー番組をテレビで見たんです。多数在る機械類にパソコンと言う機械を上手く使っているのを見たんですよ。エレッポが使うのと似ていると思ったんですよ、所長さん」と身振り手振りしながら視線を送った。

「凄いですね会長さん。まさにそうなんですよ。そのパソコンに似ている機械を宇宙船に搭載しようかなって思いましてね」と所長は感動した。

「いいですねぇ。そのパソコンに似ている機械を副所長さんは完璧に使いこなすんですか?」

「そうなんですよ。完璧に使いこなすんです」と何度も頷いた所長。

「素晴らしい」と会長は拍手しながら頷いた。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「球形状にした岩の所までこのままの体勢を維持出来るかなぁ。いや出来ない。そうだぁ。一旦ノーム面に置こう」と引き千切った岩を一先ずノーム面に置いたコロニー研究員。

「おいおい。そのまま球形状にした岩の所まで持って来るのか。一旦ノーム面に置けよ。よし置いたなぁ。感心感心」とノーム研究員はコロニー研究員が引き千切った岩をノーム面に置いた光景を見ながら何度も頷いた。


場所はノーム面の上空

「よし、此処から気を付けて浮遊するか。洞窟は何処だ。」と気を付けて浮遊し洞窟を探すウォン。


場所は穴奥にある洞窟

「よし、だいぶ穴が大きく見えてきたぞ。もうひと踏ん張りだ。よいしょっとよいしょっと」とシルネムはノーム面に開いた穴が大きく見えたのでもうひと踏ん張りをしようと力を下半身に入れた。



場所は副所長の席

「よし、自分の席に戻るとするか」と副会長は自分の席の方へ顔を向けた。

「そうですね。私も地球の言語の勉強を再開するわぁ」と地球言語辞書を開いた副所長。

「頑張って下さい。副所長さん。ガリガリの音は気にしないで下さいね。皆が帰って来たとき設計図を見てないと怪しまれるから見ながら船内環境を考えている振りしてますから。」と副所長の顔を見ながら椅子から立ち上がり自分の席に向かった副会長。

「はい。頑張ります。ガリガリの音思い切りさせるからねぇ。副会長さんも頑張って下さいねぇ。」と叫んだ副所長。

副会長が後ろ向きで無言のまま手を挙げながら自分の席に戻って椅子に座るのを確認後、地球言語辞書を見ながら勉強を再開した。


場所は副会長の席

「よし、やるか」と椅子に座った途端呟いた。


場所は集会場の表

「然し、ノームから見る地球は美しいのにその中の民達は、何で醜いのですかね、所長さん」と会長は、ふと地球を見ながら呟いた。

「全くです。でも会長さん、ノームに来た民達だけかも知れませんよ。醜い心があるのは」と所長は地球を見ながら呟いた。

「それはどう言う事ですか?所長さん。」と地球を見ていた会長は視線を送った。

「それはノームに来た達は貪欲な心の持ち主ですから。特にお金に関しては」と所長は地球を見ながら怒った。

「と言う事はノームに居る地球の民達は金持ちって事かなぁ」と会長は怒っている所長を見詰めた。

「勿論です。貪欲の心が無ければ此処に来ませんよ」と所長は視線を地球から会長の顔に視線をやった。

「それもそうですな。」と会長は頷いた。

所長は無言のまま頷いた。


場所はノーム面の上空

「あっ、微かに洞窟らしい穴が見えてきたぞ。少し急ぐか」とウォンは洞窟を発見したので浮遊の速度を上げた。


場所は穴奥にある洞窟

「やっとノーム上に上がれる穴まで来たかぁ」とシルネムはノーム面に開いた穴近くまで辿り着いたので少しホッとした。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「よし、今度は一気に球形状にした岩の所まで持って行くぞ」とコロニー研究員はノーム面に置いた岩を持ち上げた。

「よし、今度はしっかり持ち上げたなぁ。彼奴」とノーム研究員はコロニー研究員がノーム面に置いた岩をしっかり持ち上げたのを見て頷いた。


場所は副所長の席

地球言語辞書を見ながら勉強を再開した副所長は集会所全域に響き渡るかのようにガリガリの音を無言のままさせていた。


場所は副会長の席

『今度は表まで響き渡るかのようにガリガリの音をさせているなぁ。』と心中、設計図を無言のまま見ている副会長。


場所は副所長の席

『あれ、あれほど難しく思っていた地球の言語が単語と言った短い熟語ならだいぶ解るように成ったわぁ。』と心中、地球言語辞書をペラペラ捲りながらガリガリの音をさせていた副所長。


場所は副会長の席

『お~、だいぶガリガリの音がテンポ良く成ってきたじゃないかぁ。副所長。』と心中、設計図を眺めながら頷いた副会長

場所は集会場の表

「おっ、又ガリガリの音が中から聞こえてきましたねぇ。所長さん」と会長は視線を送った。

「そう言えば聞こえてきましたねぇ。会長さん。」と会長の顔を見ながら頷いた。

「それも今度はテンポ良くガリガリの音がしますねぇ。かなりの音ですけど、ハハハ」と会長は所長の顔を見ながら高笑いした。

「テンポ良く成ってきたと言う事は地球の言語がある程度解るように成ってきたんじゃないかなぁ」と所長は会長の高笑いした顔を見ながら頷いた。

「そうなんですか、所長さん」と会長は高笑いを止め目に浮かべていた涙を拭いながら頷いた。

「はい。研究所でもたまにガリガリの音をさせていましたから、その時はノームの状況を書き写していましたけどねぇ」と所長は視線を会長の顔から集会所の扉にやった。

「ほぉー、副所長さんは勉強熱心ですなぁ」と会長は視線を集会所の扉にやった所長に視線を送った。

「そうなんですよ」と所長は視線を集会所の扉から会長の顔にやった。

「感心感心」と会長は何度も頷いた。

所長は無言のまま腕組みをした。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「よいしょよいしょ、あと少しだなぁ。」とコロニー研究員は球形状にした岩までの距離を見た。

「あともう少しだぁ。頑張れ、コロニー研究員。」とノーム研究員はコロニー研究員が球形状にした岩までやって来る距離がもう少しに成ったので思わず叫んだ。

「おー、ありがとうございます。ノーム研究員。頑張るわぁ。」とコロニー研究員はノーム研究員の声援に思わず返答した。

コロニー研究員はノーム研究員の声援の御掛けで何とか球形状にした岩まで持ってくる事が出来たのでノーム面に置いて

「ノーム研究員の掛け声の御掛けで早く持ってこれたわぁ。」とノーム研究員の顔を見ながら御辞儀したコロニー研究員。

「そんな事より早くあれに引っ付けようぜぇ」とノーム研究員は赤面しながらコロニー研究員が持ってきた岩を左手で叩きながら球形状にした岩の方へ右手で指した。

「ハイハイ分かりましたよノーム研究員さん。」と赤面しているノーム研究員の顔を見ながら持ってきた岩を球形状にした岩に引っ付けようと前屈みになったコロニー研究員。

「俺の持ってきた岩に先ず引っ付けようぜ」

「そうやな。」とコロニー研究員は視線を球形状にした岩からノーム研究員が持ってきたであろう岩にやった。

コロニー研究員は右半分を、ノーム研究員は左半分の岩を持ち上げて、コロニー研究員が運んで来た岩を球形状にした岩からノーム研究員が持って来たであろう岩の場所まで持って行く事にしたエレッポ二体は無言のまま運ぶ事にした。

「よし、俺が持ってきた場所まで来たぞ、一旦ノーム面に置こうかコロニー研究員」とノーム研究員は叫び

「よし、分かった。ノーム研究員。」とコロニー研究員は返答した。

エレッポ二体はノーム研究員が持ってきた岩の場所まで運んだので一旦ノーム面に置いた。


場所はノーム面の上空

「よし、かなり洞窟が大きく見えてきたぞ。」とウォンは浮遊の速度を上げた御掛けで近くまで接近出来たので少し安堵した。


場所は穴奥にある洞窟

「穴がだいぶ大きく見えてきたぞ」とシルネムはノーム上に上がれる穴が段々大きく成るに連れて運ぶ速度が増した。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「よし、此で、ノーム面に有るのは少し離れているけど球形状にした岩と目の前に在るお前が引き千切った岩と俺が引き千切った岩の三個だなぁ。先ず二体が引き千切った岩を引っ付けようかぁ。」とノーム研究員は球形状にした岩、コロニー研究員が引き千切った岩、そして自分自身で引き千切った岩の順番に指を指した。

「ノーム研究員が引き千切った岩、でかいですねぇ」とコロニー研究員はノーム研究員が引き千切った岩を見ながら驚いた。

「ハッハッハッハ、そうだろう、そうだろう。」と高笑いしながら自分自身で引き千切った岩を叩いたノーム研究員。

「流石先輩です」とコロニー研究員はノーム研究員の顔を見ながら拍手した。

「たまに先輩って言うけれど研究所に入所した時期は同じだろうが。全く」とノーム研究員は照れ笑いした。

「あっそう言えばそうですねぇ」と視線を送ったコロニー研究員。

「そんな事よりもお前と俺が引き千切った岩を引っ付けるぞ」とノーム研究員は目の前に在る岩を指差しながら呟いた。

「はい。ノーム研究員」とコロニー研究員は思わず御礼をした。

「よし、引っ付けるぞ」とノーム研究員は自分自身で引き千切った岩を見た。

「はい、引っ付けましょう」とコロニー研究員は自分自身で引き千切った岩を見た。

それぞれが引き千切った岩を引っ付けるため少し岩を持ち上げてお互いの顔を見ながら

「行きますよ。ノーム研究員」とコロニー研究員は視線を送った。

「おう」とノーム研究員はコロニー研究員の掛け声に返答した。

「上手く合体出来ましたね」と引っ付けた岩を見たコロニー研究員。

「まぁ、形は凸凹だけどなぁ。」とノーム研究員引っ付けた岩を見ながら呟いた。

「凸凹の状態で球形状にした岩まで持っていくんですか?」とコロニー研究員は球形状にした岩を見ながら引っ付けた岩を叩いた。

「そうだなぁ。此も球形状にするか。そして彼処まで転がすかぁ。」と視線は球形状にやりつつも手は引っ付けた岩の上に置いたままのノーム研究員。

コロニー研究員は無言のまま頷いた。


場所はノーム面の上空

「やっと洞窟を見付けたぞ。速度を緩めるかぁ。」とウォンは洞窟を見付けたので浮遊の速度を落とした。


場所は穴奥にある洞窟

「よし一旦、休憩にするかぁ。」とシルネムはノーム上に上がれる穴が目の前に在るので一旦ノーム下の岩を置き、

「ふぅ、岩自体はそんなに重くないけれど形が凸凹だから持ちにくかったわぁ」と穴奥から持って来た岩を見詰めながら手足をブラブラさせた。


場所は集会場の表

「処で、副所長さんが勉強してる地球の言語って難しいんですか?」と会長は腕組みをしている所長に視線を送った。

「まぁ難しいと言えば難しいですね。会長さん」と所長は腕組みをしながら視線を送った。

「やっぱり、難しいんですかぁ。」と会長は頷いた。

「要所要所で覚えたら簡単ですよ、会長さん」

「そうですね。」と会長は呟いた。


場所は副所長の席

『このガリガリの音、ひょっとしたら表に居る会長さんや所長に迄聞こえているかもねぇ。』と心中、ガリガリの音をさせながら勉強している副所長。

場所は副会長の席

『このガリガリの音、集会所の表に居る所長さんや会長が聞いていたりして。そんな訳無いか。』と心中、設計図を見ながらニヤリした副会長。


場所はノーム面の上空

「よし、洞窟を発見したから浮遊止めるか。通り過ぎるとアカンからノーム面を歩くか」とウォンは洞窟を見失わないように浮遊からノーム面を歩く事にした。


場所は穴奥にある洞窟

「よし、休憩終わり。下に置いた岩を持ち上げてノーム面に置くか」とシルネムは洞窟の下に置いた岩を前屈みになり、

「よいしょっと」と叫びながら持ち上げてノーム上に上がれる穴に向かった。



場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「よし、此を球形状にするか。」とノーム研究員は先程、二体が引っ付けた岩を凸凹から綺麗な球形状にする為、コロニー研究員に叫んだ。

「そうですね。転がしやすい様に綺麗な球形状にしましょう」とコロニー研究員は凸凹の岩を見た。

「さぁ始めるぞ」とノーム研究員は凸凹の岩をポンポンと叩きながら叫んだ。

「はい」とコロニー研究員は頷きながらポンポンと凸凹の岩を叩いた。

エレッポ二体が居る周辺に凸凹の岩を叩くポンポンの音が響いている。


場所は副所長の席

『此を如何に専用船に運ぼうかしらぁ。』と副所長はノームの岩を薄く平らにした状態の物に地球の言語を書き写しながら心中想った。


場所は副会長の席

『副所長さんはノームの岩を薄く平らにした状態の物をどうする気かな。然も少しでかいし』と副会長は設計図を見ながら心中想った。


場所は集会場の表

「処で副会長さんがお考えになっている船内環境は捗っていると思われますか?会長さん」と所長は腕組みを止めて見詰めた。

「そうですね。副会長なら捗っていると信じたい。」と頑張っては視線を送った。

「信じたいと言う事は捗っていないと思われているのですか?」と所長は驚いた。

「はい。何故なら副所長さんが出すガリガリの音で集中していないと思う」と会長は苦笑した。

「私もそう思います。あっ、決して副会長さんが怠けているとは思っていませんからね。会長さん」と所長は慌てた。

「所長さん、そんなに慌てなくても良いですよ。実は怠けていると思っていますから私。あの副会長の性格は私が良く知っているんだからね。」と会長は慌てている所長の姿を見ながら笑った。

「そうなんですか?」と所長は驚いた。

「はい。」と会長は笑いながら頷いた。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

エレッポ二体は無言のまま凸凹の岩を叩き、周辺にポンポンの音が先程より大きく響いている。


場所は副会長の席

「パックチョン、パックチョン」と設計図を見ていると突然クシャミが数回で出て

『誰かが噂しているのかな』と心中、集会所全域に響き渡った音に驚きながらも設計図を無言のまま見ていた副会長。


場所は副所長の席

『うわぁ、驚いたなぁ。副会長さんのクシャミ初めて聞いたわ。』と心中、副所長は文字がクシャミの音で

『うわぁ、変に成ったわぁ。』と少し苛ついたが

「クシャミしましたけど大丈夫でしょうか?」と副会長さんの席の方へ顔を向けた副所長。

「はい、大丈夫ですよ。たぶん、会長が良からぬ噂を所長さんにしているのでしょうな」と副会長は設計図を見ていたが副所長の声が聞こえたので席の方へ顔を向けた。

「良からぬ噂ですか?」と副所長はノームの岩を細長く先端を尖らした物を持ったまま副会長の姿を見た。

「はい、どうせ船内環境の内容を考えないで怠けているとか所長さんに言っている筈だよ。あの会長は」

「そんな事無いのにね」と副所長は頷いた。

「ありがとう。私が真剣に考えたのを知っているのは副所長さんだけですから。」と副会長は頷いた。

「私が証言しますからね。会長さんや所長がもし怠けていたって言ったら」と副所長は頷いた。

「副所長さんありがとうございます。処で地球の言語の勉強は捗っていますか?」と副会長は御辞儀した。

「はい、捗っていますよ。それでは勉強を再開しますね」と副所長は副会長の席の方へ顔を向けていたのを自分の席の方へ顔を向き直し勉強を再開した。

「副所長さん勉強頑張って下さいね」と副会長は副所長が後ろ向きに成った姿を見ながら叫んだ。

副所長は無言のままノームの岩を細長く先端を尖らした物を持ったまま腕を上げた。その後勉強を再開した。


場所はノーム面

「洞窟は何処かな。確か上空を浮遊している時は近くに感じたけど遠いなぁ」とウォンはノーム面を歩きながら洞窟がなかなか見つからない事に少し不安を感じたので

「おーいシルネム、居てるかぁ~」とノーム面を歩きながら叫んだ。

場所は穴奥にある洞窟

「彼奴は、もう来てるかなぁ。ひょっとしたら洞窟近くで今か今か待ち草臥れて居るに違いない。よし、急いでノーム上に上がろう。」とシルネムはウォンがノーム上に居てると思い急いで洞窟を出ようとした時、

「おーい、シルネム、居てるかぁ~」と洞窟の外から聞き覚えの在る声がしたので岩をその場に置き

「おーいウォン、此処に居てるぞ。今直ぐ上がるから一寸待ってろ」と叫んだ。


場所はノーム面

「おーいウォン、此処に居てるぞ。今直ぐ上がるから一寸待ってろ」とウォンは近くから聞き覚えの在る声がしたのでその方向へ駆け寄った。

場所は穴奥にある洞窟

「足音が聞こえてきたぞ。ひょっとしたら彼奴か」とシルネムは洞窟から顔を出した。

場所はノーム面

「急に顔を出すなよ。シルネム驚くやんか」とウォンは思わず尻餅を付いた。

「尻餅を付くくらい驚かんでもいいやんか」とシルネムはウォンが尻餅を付いたので思わず笑った。

「笑うな」とウォンは突っ込んだ。

「すまんすまん。」とシルネムは謝った。

「其よりも岩はどないした」とウォンはシルネムがノーム下の岩を持ってない事に気付いた。

「御前の声が聞こえたから中に置いてきたわ。取ってくるわ」とシルネムは先程岩を置いた場所まで戻り岩を取りに行った。

「俺の声が聞こえたからって岩を置く事無いやろ。全く」とウォンは苦笑した。

「いや。懐かしい声が聞こえたからついねぇ。」とシルネムは岩を持ったまま頷いた。

「懐かしい声ってお前。少しの時間しか離れていないやろうに。って其よりも早くその岩を置けよ」とウォンはシルネムがノーム下の岩を持ったままの状態なのでノーム面に置くよう様に促した。

「そう言えばそうだな」とシルネムはノーム下の岩をノーム面に置きながら呟いた。

「全く、お前は。」とウォンは照れ笑いした。

「お疲れさんウォン」とシルネムは敬礼した。

「其の台詞は俺が言うやつやんか。お疲れさんシルネム」とウォンは敬礼した。

二体のエレッポは敬礼を崩し高笑いした。


場所は集会場の表

「ひょっとしたら今頃、副会長さんは、くしゃみをしているかも知れないですねぇ会長さん」

「そうかも知れんねぇ所長さん」と会長は意味深の笑みを浮かべた。

「会長さん、その意味深の笑み一寸怖いですよ」と所長は会長の意味深の笑みを見て少し不気味さを感じた。

「すまんすまん。所長さん。処で副会長が怠けているって先程言ったけどあれは冗談なんだよ」と会長は意味深の笑みから真面目な顔をし見詰めた。

「と言いますと、本当は真面目って事でしょうか?」と所長は真面目な顔に成った会長の表情を見詰めた。

「はい、真面目過ぎて面白くない程ですよ」と会長は所長の顔を見ながら苦笑した。

「でも真面目の方が良い時もありますよ」と所長は会長の肩に手を置いた。

「それもそうですね」と会長は高笑いした。

「会長さん、ひょっとしたら専用船の船内環境は一段落したのかも知れないですよ」と所長は高笑いしている会長の表情を見詰めた。

「其は有り得るかも知れない。副会長ならもうとっくに終わってる筈だよ」と会長は所長の顔を見ながら笑った。

「其は凄いですねぇ」と所長は会長の顔を見ながら拍手した。

「いや、私に拍手されても困りますよ、所長さん」と会長は所長の拍手に照れ笑いした。

「いやいや、副会長さんを選任されたのは会長さんですよ。」と所長は会長の顔を見ながら肩に手を置いた。

「そうだよね、ハハハ」と会長は腹を抱えて笑った。

『そんなに笑うか』と心中、会長が腹を抱えて笑っている光景を見ながら苦笑した所長。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「よし、だいぶ綺麗な球形状に成ったなぁ」とノーム研究員は凸凹の岩だったのがポンポンと叩いたお陰で綺麗に成った岩を見た。

「そうですね。でももう少し綺麗な球形状にしてもいいくらいですね。ノーム研究員」とコロニー研究員は視線を送った。

ノーム研究員は無言のまま頷いた。


場所は洞窟近くのノーム面

「処でお前が穴奥から持ってきた岩でかいなぁ。重たくなかったか?」とウォンは高笑いを止めてシルネムが穴奥から持ってきた岩を叩きながら驚いた。

「でかいわりには重くないけれど形が凸凹だから持ち難かったわぁ」とシルネムも高笑いを止めて穴奥から持ってきた岩を見ながら苦笑した、

「そう言えば歪な形しよるわ」とウォンは岩を満遍なく見渡した。

「そうやろ、ホンマ持ってくるの大変やってんで」とシルネムはウォンが岩を満遍なく見渡してる姿を見ながら呟いた。

「ホンマ、お疲れ様や~」とウォンはシルネムの肩に手を置きながら労った。

「ありがとう」とシルネムはウォンの労いの言葉に感謝しながら目に涙を浮かべた。

「おいおい、泣かんでも良いやんか」とウォンはシルネムが目に涙を浮かべている姿を見て頭をポリポリ掻いた。

「いやぁ。すまんすまん。勝手に涙が溢れたんだよ」とシルネムは頭をポリポリ掻いているウォンの顔を見ながら謝った。

「別に謝らんでも良いけどなぁ。」とウォンは呟いた。

「それもそうやなぁ」とシルネムは呟いた。


場所は副会長の席

副所長が再度ガリガリの音をさせながら勉強を再開したので

『よし、真剣にソイリックン放出装置、ウィ・メリャードン発生装置を船内の何処にするかを考えるかぁ。副所長さんも真剣に勉強してるみたいやから』と心中、設計図を眺めた副会長。 


場所は副所長の席

『何時に成ったら皆戻ってくるのかしらぁー。早くノームの岩をトヤトエーレメの形状にしたいわ』と心中、ガリガリの音をさせた副所長。


場所は集会場の表

「会長さん、笑い過ぎですよ」と所長は余りにも笑い転げている会長の姿を見て驚いた。

「いや、すまんすまん。」と会長は所長の一言で笑い転げるのを止め起き上がり腹を抱えた。

「そんなに目に涙を浮かべるほど可笑しかったですか?会長さん」と所長は会長の顔を見ながら呆れた。

「はい、あの副会長の良さを一番把握しているのは自分だって事を忘れていた自分が可笑しく思えてね」と会長は所長の顔を見ながら苦笑した。

「そうなんですか」と所長は頷いた。

会長は無言のまま頷きながら涙を手で拭った。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニー

「だいぶ、綺麗な球形状に成ったんじゃないのかなぁ。コロニー研究員」とノーム研究員は先程より最も綺麗な球形状に成った岩を触りながら感動した。

「そうですねぇ。此だと集会所迄、転がして行けるねぇ。ノーム研究員」とコロニー研究員も綺麗な球形状に成った岩を触りながら見詰めた。

「ホンマやねぇ。簡単に行けるわぁ。其じゃ集会所迄行きますか。コロニー研究員」とノーム研究員は視線を送った

「そうですねぇ。転がしますかぁ」とコロニー研究員は視線を送った。

二体のエレッポは綺麗な球形状に成った岩を転がし始めた。


場所は洞窟近くのノーム面

「此のままの状態で集会所に持って行くか」とウォンは凸凹の岩を見ながら呟いた。

「そうやなぁ。浮遊出来ない俺は持ち難かったけど、浮遊出来るお前なら持ち易いのと違うか?」とシルネムは凸凹の岩を見ているウォンに視線を送った。

「まぁ、言われて見たら凸凹の方が落ちないで済むからなぁ。よし、此のままの状態で持って行くかぁ。」とウォンは凸凹の岩の状態で持って行く事にした。

「そうやろぉ、一回俺も集会所に行こうか?其とも、もう一回岩を取って来ようか?どうする?ウォン」とシルネムは視線を送った。

「そうやなぁ。岩は沢山有った方が良いからなぁ。もう一個で計4個になるなぁ。」とウォンは岩を見詰めながら呟いた。

「よし、岩を取って来るわぁ。お前は一足早く集会所に行ってくれぇ。後からノーム面を歩いて行くからぁ」とシルネムは洞窟に視線をやりながら呟いた。

「歩いて行くからってお前、滅茶苦茶時間食うやんか。俺は浮遊出来るから良いけどもさ、お前は浮遊出来ないんやでぇ。全く」とウォンは洞窟に視線をやっているシルネムの顔を見ながら呟いた。

「でもよぉ、此のまま俺が岩を取りに行っている間、お前が暇やんかぁ」とシルネムは洞窟に視線をやっていたのをウォンの方へ向けながら呟いた。

「よし、解った。今度は俺が岩を取りに行くわぁ。お前は少し休め。集会所に一旦行ったらやる事一杯有るからさぁ。」とウォンは洞窟に近付きながらも視線はシルネムに送った。

「解った。休まさせて貰うわってお前、俺も行くぞぉ」とシルネムは洞窟に近付きながら呟いた。

「二体で行くかぁ。其なら早く済ませれるからなぁ」とウォン呟いた。

「そうやでぇ。早く中に入ろうぜぇ」とシルネムは洞窟の中に入りながら呟いた。

「おい、待てよぉ」とウォンはシルネムが先に洞窟に入ろうとする光景を見ながら呟き後を追った。



場所は集会場の表

「処でウォンさんとシルネムさん、そして、二体の研究員遅いですねぇ。所長さん」

「ウォンさんとシルネムさんの二体のエレッポは、ノーム下の岩をあと二個持って来る筈ですよ。」と所長は視線を送った。

「何故そんな事が分かるの?所長さん」と会長は首を傾げた。

「其は、もう既に二個の岩が此処に有り、あと二個で程好い大きさに成ると思うんですよ。専用船の形が」と所長は集会所の扉付近に置いてある二個の岩に視線をやった。

「そうですねぇ。程好い大きさになりますねぇ」と会長も集会所の扉付近に置いてある二個の岩に視線をやった。

「はい。其よりも内の二体の研究員は何をしているのやら」と所長は二個の岩に視線をやりながら呟いた。

「恐らく途轍もない大きさのノーム上の岩を持って来たりして」と会長は視線を二個の岩から所長にやった。

「其なら良いんやけど。まあ、ノーム上の岩は軟らかいから岩同士が引っ付け易いし一旦、球形状にしたら崩れ難いから転がして持って来るかも」と所長は視線を二個の岩から会長にやった。

「きっと其ですよ。」と会長は所長の肩に行き成り手を置いた。

「会長さん、きっと其ですよって球形状にし転がして持って来るって事ですか?」と所長は会長が行き成り肩に手を置いたので驚きながらも会長の肩に手を置いた。

「そうそう。」と会長は頷きながら所長の肩に手を置くのを止めた。

「そう信じたい」と所長は苦笑しながら会長の肩に手を置くのを止めた。

「自分の部下を信じ待ちましょう」と会長は腕組みした。

「そうですねぇ」と所長も腕組みした。

会長と所長のエレッポ二体は、ノーム下の岩をウォンとシルネムがあと二個、そしてノーム上の岩をノーム研究員とコロニー研究員が、球形状にし転がして集会所に持って来るのを腕組みしながら待つ事にした。


場所は副会長の席

『吸気成分発生装置、呼気成分放出装置の二つを何処にするかが問題だぁ』と心中、設計図を指差して

『うーん。うーん。』と唸った副会長。


場所は副所長の席

『だいぶ地球の言語が埋まって来たわねぇ。其に、此もだいぶ縮んだわねぇ。』と心中、ノームの岩を薄く平らにした状態の物が何時の間にか地球の言語で一杯に成ったのを見て驚き、更にノームの岩を細長く先端を尖らした物が、何時の間にか縮んだのを見て更に驚いて思わず目を丸くした副所長。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニーを少し離れたノーム面

「コロニー研究員、気を付けて転がせよ。」とノーム研究員は自分より遥かに上回る大きさの岩を見たので思わず足が止まった。

「はい。気を付けます。然しノーム研究員、少し大きくし過ぎたんじゃないですか?」とコロニー研究員は自分より遥かに上回る大きさの岩を見たので驚き思わず足が止まった。

「確かに俺たちより遥かに上回る大きさの岩やけど、専用船の船体にしないといけないから此くらいが丁度良いかも知れんぞ。ほれ転がすぞ」とノーム研究員は岩を再び転がしながら呟いた。

「はい。確かにそうですねぇ。船体にしないといけないんですもんね。」とコロニー研究員は岩を再び転がし始めながら呟いた。


場所は洞窟の中

「今度は穴奥まで行かないでこの辺の岩を取るか?」とシルネムは洞窟の中に入った途端、ウォンの顔を見ながら近くの岩を指差した。

「そうやなぁ。この辺の岩にしようか。」とウォンは洞窟に入った途端、急にシルネムが立ち止まり振り返ったので少し驚きながらもその岩に指差した。


場所は集会場の表

「処で所長さん、少し待ち草臥れましたなぁ。」と会長はノームの上空に視線をやった。

「そうですねぇ、会長さん。少し待ち草臥れましたねぇ。」と所長はノームの上空に視線をやった。


場所は副会長の席

『取り敢えず、吸気成分であるウィ・メリャードンを専用船全域に行き渡るようにしたいから吸気成分発生装置からパイプを使って張り巡らすか。そして、エレッポ達が往来する通路や操船室は、呼気成分放出装置を使って呼気成分であるソイリックンをパイプに通し船外に出すかぁ。』と心中、解りやすく設計図に印を付けた副会長。


場所は副所長の席

『地球言語の勉強は此のくらいで良いわねぇ。』と心中、地球言語辞書を閉じた副所長。


場所は洞窟の中

「よし、引き契るか?」とシルネムは目の前の岩に視線をやりながら指差した。

「そうやなぁ。引き契るか。」とウォンはシルネムが指差した岩の方へ駆け寄りその岩に手を差し伸べた。

「引き契る岩の幅はどれくらいにする?」とシルネムは目の前の岩に視線をやりながら自分の肩幅程度に腕を拡げた。

「そうやなぁ。その程度の長さが丁度良いかも知れんぞ」とウォンは肩幅程度に腕を拡げたシルネムの姿を見た。

「よし。それじゃ引き契るぞ、ウォン」とシルネムは視線を送った。

ウォンは無言のまま頷きながらその岩に近付き

「よし。良いぞ。」と中腰に成った。

「よいしょ。」とシルネムも中腰に成り力を入れた。

「って言うか今、引き契った岩ってさっき俺がノーム面に置いた岩と同じ程度やんか」とシルネムは引き契った岩を見詰めながらノーム面の方へ指差した。

「大きさは一緒かも知れんけど、形は今引き契った岩の方が凸凹やぞ。」とウォンは今引き契った岩を見詰めながら指差した。

「そうやなぁ。」とシルネムは呟いた。

「よし。ノーム面に上げるぞ、シルネム」とウォンは視線を送った。

シルネムは無言のまま頷き、岩を持った。

「よし。行くかぁ。」とウォンは岩を持った。

ウォン、シルネムはノーム面に向かって岩を運び始めた。

「やっぱり持ち難いな」とシルネムは余りにも岩が持ち難いので顔が強張った。

「持ち難いかも知れんけど頑張れ」とウォンはシルネムを励ましながら自分自身にも喝を入れた。


場所は地球人が棲みかにしてるコロニーからかなり離れたノーム面

「コロニー研究員、だいぶ地球人が棲みかにしてるコロニーから結構離れたね」とノーム研究員は地球人が棲みかにしてるコロニーに一旦視線をやるため転がしていた岩を止めて振り返り、再度岩に視線をやった。

「はい。そうですねぇ。だいぶ小さく成って来ましたからね。コロニーが」とコロニー研究員は地球人が棲みかにしてるコロニーに一旦視線をやるため転がしていた岩を止めて振り返り、再度岩に視線をやった。

そして再度岩に視線をやったコロニー研究員は

「ノーム研究員、再度岩を転がしますか?」と岩に手を置きながら転がした。

「そうやなぁ。コロニー研究員。」とノーム研究員も岩に手を置きながら転がした。

「今度は脇目も振らず集会所に向かうぞ」とノーム研究員は叫んだ。

「はい。急ぎましょう」とコロニー研究員は叫んだ。

ノーム研究員、コロニー研究員は急ぎ足で集会所に向かった。


場所は副会長の席

『よし、設計図に印を付けたから此で皆も分かるだろう。そう言えばさっきからガリガリの音がしなくなったなぁ。まぁ静かで良いけど』と心中、設計図を見詰めた副会長。


場所は副所長の席

『此で多少の言語は読書読み書きが出来るしね。良いよね。もう勉強は』と心中、今迄書き写した内容を見詰めながら自問自答した副所長。


場所は集会場の表

「処で所長さん、何度見ても地球は美しいですねぇ」と会長はノームの上空に浮かんでいる地球を見詰めた。

「本当ですねぇ。青く澄み切った地球は、綺麗としか言えないですね。」と所長はノームの上空に浮かんでいる地球を見詰めた。

「だけど、ノームに居る地球人は心が汚れ切っていますねぇ」と会長は地球を見詰めながら呟いた。

「全く。同感です」と所長は地球を見詰めながら頷いた。

会長は地球を見詰めながら無言のまま頷いた。


場所は洞窟に近いノーム面

「もう少ししたらノーム上だぞ」とウォンはシルネムの顔を見ながら叫んだ。

「分かった」とシルネムはウォンの顔を見ながら叫んだ。

そしてウォン、シルネムの二体のエレッポはノーム上に出てきて中腰に成り

「やっと、ノーム上だな」とシルネムは岩をノーム面に置いた。

「そうやなぁ」とウォンは岩をノーム面に置いた。

「よし、集会所に持って行くかぁ」とシルネムはノーム面に置かれた二個の岩に視線をやった

「そうやなぁ。会長さん、所長さん待ち草臥れてるぞ。行くかぁ」とウォンはシルネムが穴奥から持って来たノーム下の岩を持上げるため近付いた。

「俺は今持って来た岩を持つわ」とシルネムは今持って来た岩を見詰めた。

「よしお互いに岩を持ったなぁ。さて浮遊の準備するか」とウォンは岩を持ったまま浮遊の準備を開始した。

「よし」とシルネムは中腰に成り岩を持ち上げた。

「よし浮遊の準備終わったからその岩を俺の岩に近付けろ。シルネム」とウォンは浮遊の体勢を取りながら頷いた。

「分かった」とシルネムはウォンの顔を見ながら近付いた。

「よし。浮遊開始するぞ。急いで集会所に行くからしっかり岩を掴んどけよ。」とウォンはシルネムの顔を見ながら叫んだ。

「分かってるよ。全速力で構わんからなぁ。」とシルネムは岩を落とさないようにしっかり岩を掴んだ。

ウォンは無言のまま頷いた。

こうして、ウォンとシルネムは急いで集会所に行くため全速力の浮遊を開始し、あっと言う間にノームの空中に浮かんだ。


場所はノーム面

ノーム研究員、コロニー研究員は無我夢中で目的地の集会所迄、無言のまま岩を転がしていた。


場所はノーム面

ノーム研究員、コロニー研究員は無我夢中で目的地の集会所迄、無言のまま岩を転がしていた。

「ん、あの建物は、ひょっとしたら集会所かなぁ?ノーム研究員」とコロニー研究員は、遠方ながらも見えた建物に視線をやり転がしていた岩を止めた。

「あっ、ほんまや。無我夢中で岩を転がしていたらあっと言う間に見えたなぁ。」とノーム研究員は微かに見えた集会所を見詰め転がしていた岩を止めた。


場所はノーム上空

「大丈夫か?」とウォンはシルネムに視線をやりながら叫んだ。

「大丈夫やで。岩は落とさないようにしっかり掴んでるからぁ。俺の事は気にせずに浮遊してくれぇ。集会所に近付いたらちゃんと教えるからぁ。」とシルネムはウォンに視線をやりながら叫んだ。

「分かったぁ。浮遊に集中するわぁ。」とウォンは全速力の浮遊体勢を取りながら叫んだ。

「オー。」とシルネムはウォンが全速力の浮遊体勢を取ったので岩が崩れない程度の力を入れた。

ウォンとシルネムは全速力の浮遊体勢を取りながら集会所に向かった。


場所はノーム面

「よし、急ぐぞ。」とノーム研究員はコロニー研究員の顔を見ながら再度岩を転がした。

「そうですねぇ。」とコロニー研究員はノーム研究員の顔を見ながら再度岩を転がした。


場所はノーム上空

ウォンは無言のまま全速力で浮遊し

「シルネム、集会所は見えたかぁ?」と叫んだ。

「いや、まだ見えて来ないわ。ん、あの建物はもしかして」とシルネムは遠方に微かな建物が見えて来たので目を細めた。

「集会所か?」とウォンは叫んだ。

「たぶん集会所や、この辺の建物って言ったら其しかない無いから」とシルネムは叫んだ。

「そうやなぁ。この方角に見える建物は集会所や」とウォンは叫んだ。

「そうやなぁ」とシルネムは叫んだ。

「行き過ぎたらあかんから速度緩めるわ」とウォンは全速力の浮遊体勢から通常の浮遊体勢に変えながら叫んだ。

「分かった。」とシルネムは叫んだ。

ウォンとシルネムは遠方に微かな建物を集会所と思い向かった。


場所は集会所寄りのノーム面

「ほらだいぶ集会所がはっきり見えてきたぞ。頑張れ」とノーム研究員はコロニー研究員の顔を見ながら叫んだ。

「あっほんまや。無我夢中で岩を転がしていたからあっと言う間に集会所ですねぇ」とコロニー研究員はノーム研究員の顔を見ながら叫んだ。

「そうやなぁ。もう人踏ん張りやで」とノーム研究員が叫んだ。

「はい」とコロニー研究員は頷いた。


場所は集会所寄りのノーム上空

「あっ、ウォン。ストップ。やっぱりさっき見た建物は集会所やで。」とシルネムは集会所をはっきり見えたので叫んだ。

「よし着いたか。では降りるぞ。」とウォンは集会所を見ながら浮遊体勢を崩しノーム面に降りる体勢を取った。

「結構早かったなぁ」とシルネムは叫んだ。

「やっぱり全速力の浮遊は速いわ」とウォンは叫んだ。

ウォンとシルネムは集会所を発見したのでノーム面に降りる体勢を取った。


場所は集会場の表

「あっ会長さん。ウォンとシルネムが帰って来ましたよ。」とノーム上空を見上げていた所長が指差した。

「本当ですねぇ。所長さん」とノーム上空を見上げていた会長が指差した。

「あっ、エレッポが此方に向かってくる。ひょっとしたら内の所員かなぁ」と今度は所員はノーム上空から遠方ながらも微かに見えたエレッポに視線をやった。

「きっとそうですよ、所長さん。此方に向かってくるエレッポって言ったらコノーム研究員、コロニー研究員しか居ませんよ。然しでかい岩を転がしていますね。遠方ながらもはっきり見えるよ」と会長は此方に向かってくるエレッポに指差した。

「あっ本当ですね。あの大きさだとかなり大きい専用船が造れますね。

」と所長は此方に向かってくるエレッポに指差した。

会長は無言のまま頷いた。


場所は副会長の席

『余りにも待ち草臥れたからエレッポの呼気成分・ソイリックン放出装置、エレッポの吸気成分・ウィ・メリャードン発生装置の設計図を書いたわ。』と心中、設計図を見詰めた副会長。


場所は副所長の席

『それにしても、エレッポ四体戻ってくるの遅いわねぇ、全くもう』と苛ついた副所長。


場所は集会場の表

ウォンとシルネムが集会所近くのノーム面に降りようとしているので会長が

「ウォンさ~ん、シルネムさ~ん、此方ですよ」と手を振りながら叫んだ。

「あっ会長さんが呼んでる。ウォン急いでノーム面に降りるぞ」とシルネムは叫んだ。

「ほんまや急ごう。シルネム」とウォンは呟いた。

「今は呼ばない方が良いですよ。会長さん」と所長はウォンとシルネムが岩同士引っ付けてノーム面に降りようしている光景を見ながら呟いた。

「そうですねぇ、ウォンさんとシルネムさんが完全にノーム面に降りるまで待ちましょうか?」と会長はその光景を見詰めた。

所長は無言のまま頷いた。

ウォンとシルネムは集会所近くのノーム面に降り

「会長さん、所長さん遅くなりましてすいません」とウォンは会長と所長の顔を見ながらお辞儀し、続けてシルネムが

「会長さん、所長さん遅くなりましてすいません」と会長と所長の顔を見ながらお辞儀した。

「いやいや。これ又でかいノーム下の岩を持ってきてくれました。感心感心」と会長はウォンとシルネムの顔を見ながら持って来た二個の岩を見詰めた。

「そうですよ。ウォンとシルネムさん、お疲れ様です」と所長はウォンとシルネムにお辞儀した。

「それよりも、ノーム研究員さんとコロニー研究員さんはお戻りになられましたか?会長さん」とシルネムは視線を送った。

「いや、此処にはまだ戻っていないけど、ほら彼処に居る」と会長は此方に向かってくるエレッポ二体に指差した。

「私が浮遊してノーム上の岩を持って来ましょうか?」とウォンが会長と所長に視線を送った。

「いや、此方に向かってくるエレッポ二体が我々の名前を呼ぶまで行く必要無し」と所長は呟いた。


場所は集会所近くのノーム面

「ほら皆さんが集まっているぞ。」とノーム研究員はコロニー研究員の顔を見ながら叫んだ。

「ほんまや、急ぎましょう。それにしても途中で、岩を一個にして良かったですね」とコロニー研究員はノーム研究員の顔を見ながら叫んだ。

「ほんまや。」とノーム研究員は頷いた。

「会長さ~ん、所長さ~ん、ウォンさ~ん、シルネムさ~ん。」とコロニー研究員は岩を転がしながら集会所の表に居るエレッポ四体の名前を呼んだ。

「ほら、岩から手を離すな」とノーム研究員はコロニー研究員がエレッポ四体の名前を叫ぶとき岩から手を微かに離したのを見て注意した。

「ごめんなさい」とコロニー研究員は会釈し岩に手を置いた。

ノーム研究員、コロニー研究員は急いで集会所に向かった。


場所は集会所の表

「皆さんの名前が聞こえましたよ」と会長さんが呟いた。

「やっぱり此方に向かってくるエレッポ二体の正体はノーム研究員、コロニー研究員だったか」と所長は呟いた。

ウォンとシルネムは苦笑した。

「皆さん御待たせ致しました」とノーム研究員が叫んだ。

「遅くなりましてすいません」とコロニー研究員はお辞儀した。

「うわぁ。でかい岩を持って来たんですね」とウォンはノーム研究員、コロニー研究員が持って来た岩を見て驚いた。

「凄い」とシルネムは驚いた。

会長と所長は無言のまま驚いた。

「いやいやウォンさんとシルネムさんが持って来た岩の方が凄いですよ。ノーム下の岩を四個何てなぁ。コロニー研究員」とノーム研究員はコロニー研究員の顔を見ながらウォン・とシルネムが持って来たノーム下の岩を指差した。

「本当ですよ」とコロニー研究員は感心した。

「此で、皆さんが揃いましたのでもう一度ご確認しますね。ウォンさんとシルネムさんが持って来た岩は四個。ノーム研究員さんとコロニー研究員さんが持って来た岩は一個ながらも遥かに大きいので感心しました。」と会長はエレッポ四体が持って来た岩を見詰めた。

「お前ら凄いなぁ」と所長はノーム研究員、コロニー研究員に視線を送った。

ノーム研究員、コロニー研究員は無言のままお辞儀した。

ノーム下の岩を持って来たウォンとシルネム、ノーム上の岩を持って来たノーム研究員とコロニー研究員のエレッポ四体は無事に集会所に着いた。

「では、一旦中に入りましょうか?きっと、副会長さんと副所長さんが待ち草臥れてますよ」とウォンは会長、所長、ノーム研究員、コロニー研究員、シルネムの顔を見ながら扉に指差した。

会長、所長、ノーム研究員、コロニー研究員、シルネムは無言のまま頷き、ウォンが視線を送った順に中に入った。


場所は副所長の席

『表が五月蝿いわね』と心中、席を立ち副会長の席へと向かった副所長。


場所は副会長の席

『やけに表が騒がしいなぁ』と心中、副会長が席を立った瞬間に副所長が此方に向かってくるので

「副所長さん、やけに表が騒がしいですねぇ」と副所長の顔を見ながら呟いた。

「ほんまやねぇ。五月蝿いわねぇ」と副所長は副会長の席へと向かいながら呟いた。

「それよりも副会長さん、この二つの印はなぁーに?」と副所長は副会長が手で押さえていた設計図を指差した。

「此はね、我々エレッポ等の吸気成分であるウィ・メリャードンを専用船全域に行き渡るようにしたいから吸気成分発生装置からパイプを使って張り巡らし、そしてエレッポ達が往来する通路や操船室は、呼気成分放出装置を使って呼気成分であるソイリックンをパイプに通し船外に出すんです。で、他の皆さんが解りやすいように設計図に印を付けたんですよ。」と副会長は副所長に印をした箇所を指でなぞった。

「凄いね」と副所長は拍手しながら

「で、此はなぁーに?」と指差した。

「此はね、エレッポの呼気成分・ソイリックン放出装置とエレッポの吸気成分・ウィ・メリャードン発生装置の設計図ですよ。」と副会長は二つの装置の設計図を指差した。

「素晴らしいです」と副所長は無言のまま拍手しながら頷いた。

「本当に素晴らしい部下を持ったなぁ。」と会長は副会長の説明を無言のまま後ろで、感心しながら聞いていた。

「あっ会長さん居たんですか?って、皆さんも居たんですね」と副会長は後ろから会長の声が聞こえたので振り向いたら皆が居たので驚いた。

「居ましたよ。って言うより副所長さんと目が合ったんですよ。ね、副所長さん」と会長は視線を副会長から副所長にやった。

「はい。副会長さんごめんなさい。」と副所長は副会長にお辞儀した。

「いやいや、謝る必要ないですよ。寧ろ後から説明する手間が省けたんですからね。会長さん」と副会長は副所長から視線を会長にやった。

会長は無言のまま頷いた。

「やっぱり副会長さんは素晴らしいですね」と所長が驚いた。

「いやいや、所長さん。照れますよ」と副会長は照れ笑いした。

「本当ですねぇ」とコロニー研究員は感心した。

「コロニー研究員さんが解りやすい設計図を書いてくれたからですよ」と副会長は頷いた。

コロニー研究員は無言のままお辞儀した。

「副会長さん、手間を取らせてすいません。本来なら私もやらねばならないのに」とノーム研究員は申し訳なさそうに副会長の顔を見ながらお辞儀した。

「いやいやノーム研究員さんは気にしないでくださいよ。貴方は岩を持って来たのですから」と副会長はノーム研究員の肩に手を置いた。

ノーム研究員は無言のままお辞儀した。

「副会長さん、素晴らしい。そこまでお考えになるとは」とシルネムは目を丸くした。

「本当に素晴らしいの他に言葉が見当たらないです」とウォンは設計図を見ながら感心した。

「二体ともありがとうね」と副会長はシルネム、ウォンの順にお辞儀した。

「では皆さんが船内環境を聞いた処で、此れからの作業を確認しますね。先ずはシルネムさんとウォンさんが持って来たノーム下の岩、ノーム研究員さんとコロニー研究員さんが持って来たノーム上の岩を所長さんの能力であるレトムを使い一旦柔らかくし、ノーム上の岩とノーム下の岩を引っ付ける。そして私の能力であるレギフェターで固くし、トヤトエーレメの形状にした専用船を造るって事で良いですね?」と会長が説明した。

副会長、所長、副所長、コロニー研究員、ノーム研究員、シルネム、ウォンは会長に視線を送りながら頷いた。

「で、所長さんと私以外の六体は、トヤトエーレメにするのを手伝うって事で、良いですね」と会長は六体に視線を送った。

エレッポ六体は頷いた。

「頑張りましょう。会長さん」と所長は視線を送った。

会長は無言のまま頷いた。

「では、専用船を造るには相当なエネルギー源が要るから暫しの休息を取りましょう」と会長は椅子に座り、他のエレッポ七体も椅子に座った。


場所は集会所の中

「あの、会長さん、一寸宜しいでしょうか?」と所長は自分の席から会長の席へと駆け寄りお辞儀した。

「何でしょうか?、所長さん」会長は自分の席へと近付いた所長を見上げた。

「はい。専用船は中で造るのでしょうか?表で造るのでしょうか?」と所長は視線を送った。

「やっぱり表の方がやり易いし、ノーム上の岩は私が思っていた依りかは遥かに大きいので中には入りきらないでしょう、たぶん。」と会長は頷いた。

「やはり、表ですよね。」と所長は頷いた。

「皆にもそう伝えときましょうか?」と所長は視線を送った。

「いやたぶん、皆も感付いている筈だよ。」と会長は頷いた。

「そうですねぇ。では自分の席に戻ります」と所長は会長の顔を見ながら頷き自分の席へと向かった。

「作業開始の合図は私が出すから。」と会長は所長の後ろ姿を見ながら叫んだ。

「了解です」と所長は振り返り会長の顔を見ながらお辞儀した。

「会長、一寸宜しいでしょうか?」と副会長は会長の席へと駆け寄りお辞儀した。

「作業開始の合図は私が出すから。」と会長は自分の席へと近付いた副会長に視線を送った。

「会長、その作業の件でお話があります。」

「はい。聞きましょう」

「ありがとうございます。」とお辞儀し

「専用船を造る外装と専用船に取り付ける二つの装置や専用船船内に張り巡らすパイプなどの部品を造る内装に分けてみてはどうでしょうか?」と副会長は恐る恐る視線を送った。

「二つの装置と言うと先程聞いたエレッポの呼気成分ソイリックン放出装置とエレッポの吸気成分ウィ・メリャードン発生装置の事かね?」と副会長に視線を送り二つの設計図を見詰めた。

「はい。」と頷いた。

「そして内装作業と言うと吸気成分発生装置から船内全域にパイプを張り巡らす作業、そして呼気成分放出装置から船外に出す為のパイプを造る作業の事かね?」と会長は視線を送った。

「はい。まさにその通りです」と副会長は視線を送りお辞儀した。

「流石副会長、良く言ってくれた。実はさっき君の説明を聞いた時に、外装と内装に分けても良いのではないかと思ってたんだよ」と椅子から立ち上がり副会長の肩に手を置いた会長。

「そうなんですか。良かったです」と副会長は安堵した。

「で内装の指揮は君に任せる。」と会長は副会長の手を握った。

「良いんですか?会長」と副会長は呟いた。

「良いも悪いも二つの装置の設計図を書いたのは君だよ。」と会長は視線を送った。

「確かにそうですねぇ。分かりました。内装の指揮は私が引き受けます。」と副会長は視線を送りお辞儀した。

「で外装の作業の指揮は私が執るから」と会長は頷いた。

「了解です。」と副会長は敬礼した。

会長は無言のまま頷き、席に座った。

副会長は敬礼を崩し自分の席へと戻り座った。

「皆、休息を取っているところ悪いが、先程副会長から専用船を造る外装チームと専用船内に配置する部品等を造る内装チームに分けてみてはと言う案が出されたけれどどうだろうか?反対のエレッポは手を挙げて」と会長が叫んだ。

するとエレッポ七体は会長の方へと視線は送ったが、手は挙げなかった。

会長は「皆、賛成だね。副会長良かったね。」と叫び

「はい。」と副会長は叫んだ。

「内装チームと外装チームの振り分けはどうするのですか?」と所長が手を挙げて叫んだ。

「それは、外装チームには私と所長さん、シルネムさん、ウォンさんで、内装チームは副会長、副所長さん、ノーム研究員さん、コロニー研究員さんにと考えているけれどどうだろう?」と会長は椅子から立ち上がり掲示板に書いた。

エレッポ七体はその内容を見て頷いた。

会長は「外装チームに指揮は私が、内装チームの指揮は副会長が執るから宜しくお願いします」とお辞儀し、

「では早速作業始めますか?外装チームは集会所の表でお願いします。内装チームはそのまま中でお願いします」と叫んだ。

皆は頷いた。

「では外装チームの皆、表に行きましょうか?」とエレッポ三体に視線を送った。

所長、シルネム、ウォンは無言のまま椅子から立ち上がり表へと向かった。

「副会長、後は頼んだぞ」と会長は表に向かいながら副会長に向けて叫んだ。

こうして、外装チームは表に行った。

副会長は無言のまま頷き、

「では内装チームの皆宜しく」とエレッポ三体に視線を送りお辞儀した。

副所長、ノーム研究員、コロニー研究員は無言のまま副会長の席へと向かった。

「お願い致します」とコロニー研究員がお辞儀した。

「何なりとお申し付けください」とノーム研究員がお辞儀した。

「副会長さん宜しく」とお辞儀した。

「皆、宜しく」とお辞儀し、

「早速で悪いが無線機等の機械類、多数のパイプと吸気成分発生装置と呼気成分放出装置を造りたいと思います。」と専用船の設計図、二つの装置の設計図を内装チームに見せ、皆は頷いた。

こうして、内装チームは作業を開始した。

集会所の表へと行った外装チームは、

「皆、宜しく。勝手に分けてごめんね」と会長はお辞儀した。

「会長さんそんな事無いですよ、此で専用船が早く完成出来ますから」と所長は頷いた。

会長は「ありがとう」とお辞儀した。

シルネム、ウォンは無言のまま頷いた。

「では遥かに大きいノーム上の岩周辺で作業始めますか?」と会長はノーム上の岩を指差した。

「そうですねぇ。一番大きいからね」と所長は頷いた。

「では、私が浮遊し、ノーム下の岩を運びます。」とウォンはノーム上の岩を見ながらノーム下の岩に指差した。

会長、所長は無言のまま頷き、ノーム上の岩へと向かった。

「俺も持っていくわ。ウォン」とシルネムはノーム下の岩を指差した。

「オー、頼むわ」とウォンは少し離れた箇所に置いてあるノーム下の岩へと浮遊しながら向い、ノーム上の岩へと向かった。

シルネムは無言のまま集会所の扉付近に有った岩を持ち上げ、ノーム上の岩へと向かった。

「皆さん持って来ました。」とウォンは浮遊を止め二個のノーム下の岩をノーム上の岩近辺のノーム面に置いた。

「オー俺も持って来たぞ」とシルネムは二個のノーム下の岩をノーム上の岩近辺のノーム面に置いた。

「此でノーム上、ノーム下の岩が揃いましたね」と会長が岩を見詰め

「先ずはノーム下の岩を四個から一個にするべく柔らかくしましょうか?」と叫んだ。

他の外装チームは頷いた。

「では、精神統一しますね」と所長はレトムの準備を開始した。

「私も精神統一しますね」と会長はレギフェターの準備を開始した。

「ではお願いします。所長さん、会長さん」とシルネム、ウォンは頷きながら、ノーム下の岩を持ち上げた。

レトムの準備を終えた所長はノーム下の岩目掛けて腕を伸ばした。

すると腕から赤い光が発生。その光を浴びたノーム下の岩がみるみる柔らかくなった。シルネム、ウォンは残りの三個のノーム下の岩を持ったまま柔らかくなった岩に近付き、柔らかくなったノーム下の岩目掛けて投げた。すると柔らかくなった岩がみるみる大きくなり、一つになった。

今度はその岩を固くするため、会長が腕を伸ばした。

すると腕から青い光が発生。その光を浴びた岩がみるみる固くなり始め

「会長さん、そのくらいでいいですよ。」とレトムを終えた所長が叫び、会長はレギフェターを止め、頷いた。

「ノーム上の岩と同じくらいになりましたね」とシルネムは一つになった岩を見詰め、ウォンはその岩を見詰めながら頷いた。

「会長さんお疲れさまです」と所長がお辞儀した。

「やっぱり疲れますね。」と会長は呟いた。


場所は集会所の中

内装チームは無線機等の機械類、多数のパイプと吸気成分発生装置と呼気成分放出装置を造る始めている。

「副会長さん、パイプはこんな感じで良いのかな?」と副所長は副会長に見せた。

「上出来上出来」と副会長は褒め称えた。

「副会長さんありがとうございますってもう無線機等の機械類完成したんですか?」と副所長は副会長があっと言う間に機械類を完成したので驚いた。

「私は能力が使えないけれど無線機や装置と言った機械類を造るのは早いんです。」と副会長は呟き、副所長は拍手し、

「ノーム研究員、コロニー研究員がやる作業が無いじゃないですか?副会長さん」と副所長は呟いた。

ノーム研究員、コロニー研究員は頷いた。

「大丈夫ですよ、この部品等を専用船に配置する作業をやって貰うから、設計図を見てね」と副会長はノーム研究員、コロニー研究員に視線を送った。

「はい。」とノーム研究員、コロニー研究員は頷き、副所長は無言のまま頷いた。

内装チームの副会長は二つの装置、無線機と言った機械類の部品等をあっと言う間に完成させた。そしてパイプ造りの作業をしている副所長は、ノーム研究員とコロニー研究員に作業を依頼し、数分後は設計図に書かれた個数より多く完成し、

「皆さんありがとうございます。残すは専用船に配置するだけです。然し皆さんも部品等を完成させるの早いんですね。」と副会長は感心した。

「部品等を造るのは得意ですから」と副所長は頷き、

「ノーム研究員、コロニー研究員の二体は、一度見たら決して忘れないと言う特技を持っているんですよ、ねぇ。」と副所長はノーム研究員、コロニー研究員に視線を送った。

会長は、驚きながらも無言のまま頷き、

ノーム研究員、コロニー研究員も頷いた。

場所は集会所の表

先程所長のレトム、会長のレギフェターを使いノーム下の岩を四個から一個にした物をノーム上の岩に近付けた。

「では、ノーム上の岩とノーム下の岩をくっ付けてトヤトエーレメの形状にしますか?皆さん」と会長はノーム上の岩と一個にしたノーム下の岩を指差し、外装チームは頷いた。

「レトムの準備が出来たら腕を挙げるから」と所長はシルネム、ウォンに視線を送った。

シルネム、ウォンは頷いた。

そして所長はレトムの準備、会長はレギフェターの準備をするため精神統一を開始した。シルネムはノーム上の岩へと、ウォンはノーム下の岩へと無言のまま駆け寄り、所長の合図を待った。

場所は集会所の中

内装チームは殆どの作業を終えて残すは完成した機械類や部品等を専用船に配置するだけとなり

「然し、二体の研究員さんは凄いですね。設計図や場所を一度見たら忘れないと言うのは」と副会長は呟いた。

「副会長さん、凄いよね」と副所長は頷いた。

「副会長さん、副所長さん、私は船舶等の設計図のみですよ」とコロニー研究員は呟いた。

「私はノーム面等の場所のみですよ」とノーム研究員は呟いた。

「それでも凄いよね、副所長さん」と副会長は呟き副所長は無言のまま頷いた。

場所は集会所の表

会長のレギフェターの準備が着々と進み、所長は会長の姿を見ながら自分のレトムの準備を整えていた。そして会長が所長にアイコンタクトを送って来た。会長のレギフェターは何時でも可能となり、所長もレトムが何時でも可能となるように精神統一を開始し僅か数秒後に腕を挙げた。所長は会長と違って若いから短時間の精神統一をしただけで能力が使用出来るのだ。所長が腕を挙げたのでシルネムとウォンはアイコンタクトを送り、それぞれの岩を押した。その光景を無言のまま見詰めていた所長が腕を伸ばし、レトム特有の赤い光を出した。するとノーム上の岩とノーム下の岩との間に熱風が吹き、双方の岩面に当たり柔らかくなり一つに成り始めている。シルネムとウォンは更に強く押した。すると岩がみるみる大きくなりウォンは浮遊を使い、トヤトエーレメの上半身の形作りを開始し、シルネムはノーム面でトヤトエーレメの下半身の形作りを開始した。外装チーム三体の様子を見ている会長は、トヤトエーレメの形が出来上がり次第、レギフェターを使うべく待機している。そして数分後、ある程度のトヤトエーレメの形が完成したので会長は腕を伸ばした。するとレギフェター特有の青い光がトヤトエーレメの形になった岩へと当たり、みるみる固くなり始め所長はレトムを止めた。トヤトエーレメの形作りの作業をする事数時間後には

「やっと完成しましたね」と所長が呟き、会長はレギフェターを止め頷いた。

シルネムとウォンは細かい箇所の形作りをし、数分後には見事なトヤトエーレメの形をした船舶に成り、

「シルネムさんとウォンさん、中抜きまでして下さりありがとうございます」と会長がお辞儀した。

「いえいえ。少し固かったけれどなんとか中抜きしてみました。」とシルネムは視線を送った。

「その通りですよ。会長さん」とウォンは頷いた。

「後は内装チームの機械類、部品等の完成や配置するのみですね。会長さん」と所長は頷いた。

「内装チーム作業はもう既に終了している筈ですよ。副会長は機械類を造るのは早いんです」と会長は頷いた。

「へぇー、そうなんですね会長さん。内の副所長も部品等を造るのは早いんですよ」と所長は驚いた。

会長は無言のまま驚き、シルネムとウォンは余りにも凄すぎるので言葉が出なかった。

集会所の中に居た内装チームの副会長は外装チームの作業の出来具合を見ようと表に行ったら

「うわぁすげぇトヤトエーレメの形をした船舶ある」と驚いた。

「あっ副会長、今呼びに行こうとしていたとこやで」と会長は視線を送った。

「そうなんや、丁度良かったわ。内装チームも残すは配置するのみですから」と副会長は視線を送った。

「そうなんや、では配置作業開始やな。機械類、部品等を持ってきて副会長」と会長は視線を送った。

副会長は無言のまま頷き、再び中に入り

「オーイ皆。外装チームの作業終わったってさ。完成した物を持って来てや~」と大声で叫んだ。

「はーい」と内装チームは叫びながら完成した機械類、部品等を持ち表に出ると

「凄いですね」とコロニー研究員が驚いた。

「お見事です」とノーム研究員が感心した。

「上手く我々の容姿であるトヤトエーレメの形作りをしましたね。」と副所長は何度も頷いた。

こうして内装チームは完成した物を配置するべく完成した船舶に近付き、船舶の周りに居た外装チームも内装チームが持ち出した物を手に取った。

そしてノーム研究員とコロニー研究員は、集会所の中で副会長が書いた設計図を一度見ているので無言のまま船舶内に入り機械類や部品等を配置し、

「皆さん、配置作業は俺達がやりますから休憩して下さいませ」とノーム研究員は外装チームと内装チームの副会長と副所長の順に視線を送った。

「そうです。休憩して下さいませ。」とコロニー研究員は呟いた。

「特に、レギフェターを使用した会長さん、レトムを使用した所長さんはゆっくり休んでください。俺達がやるからなぁ。シルネム」とウォンは会長、所長、シルネムの順に視線を送った。

会長と所長は無言のまま頷きノーム面に腰を下ろし、シルネムも無言のまま頷き、船内に戻った。

「私は手伝うわよ」と副所長は呟いた。

「俺もやるぞ」と副会長は呟いた。

こうして副会長、副所長、ノーム研究員、コロニー研究員、シルネム、ウォンのエレッポ六体は配置作業を開始した。

配置作業を開始する事僅か数分後には設計図通りになり

「エレッポ六体の皆さんありがとうございました。機械類がちゃんと繋がるか否かを確認しますので休んでください」と副会長がお辞儀した。

エレッポ六体は無言のままお辞儀した。

こうして副会長は、機械類がちゃんと繋がるか否かを確認するため操船室に入りエンジンを掛けた。すると集会所周辺にエンジン音が響き渡った。そして副会長は無線機以外の機械類を有りとあらゆる装置の動作確認する事数分間、無事に作動する事が分かり、残すは無線機の動作確認するのみとなり

「適当に電波を発信するか」と呟いた。

確認する事、数秒後に

「此方、ノーム刑務所無線局です。そちらの名は」と無線機から聞こえた。

「此は失礼致しました。私はノーム居住区全域管理委員会副会長で御座います。ノーム刑務所はノームの何処に有るのでしょうか?」と副会長は返答した。

「此は失礼致しました。副会長さんでしたか。実はノームが荒廃化していく最中に、地球とノームの間に在る宇宙空間に避難し移動していたのです。ノーム面に居ておられるエレッポ達が専用船を造り、地球に向かう事もノーム上空から見ておりました。で、地球の大陸の隆起や沈没、海洋の上昇や枯渇、天空の気流変化を起こし地球人を一緒に懲らしめませんか?収監している受刑者達にも協力させるので」と無線機から聞こえた。

「それは有難いんですけど受刑者を表に出して宜しいのですか?」と副会長は返答した。

「それは大丈夫です。表には出しません。其では収監期間が一番長い受刑者を謎の黒幕とし指示を出すって事でどうでしょうか?」と返答した。

「それでお願いします。差し支えなければその罪名と収監期間を教えてくれませんか?」と副会長は返答した。

「はい。大丈夫です。実は地球から発射された衛星を起動変更しノーム面に墜落させた罪、宇宙空間に漂流してる隕石や小惑星をノーム面に落下させエレッポ達を犠牲にした罪の二つです。そして受刑者が刑務所に収監された時からその能力を自ら封印しようと刑務官に依頼し能力が使用出来無いように自らの身体にバリアを張り巡らしているのです。期間は最高刑の100年です。そして、先程謎の黒幕となる受刑者の収監期間は100年です」と無線機から聞こえた。

「長々説明ありがとうございます。あの刑務所の責任者の許可を取らなくて良いのでしょうか?」と副会長は返答した。

「その心配は御無用ですよ。何故ならば私がノーム刑務所総長だから。そしてこれからは謎の黒幕となる受刑者達を地球破滅研究家と呼ぶ事にしませんか?」と無線機から聞こえた。

「刑務所の総長さんでしたか。話がトントン拍子にいく筈だわ。謎の黒幕となる受刑者の呼び名は私達が地球に向かうときにまた宜しくお願いします」と副会長は返答した。

「了解です。また地球に向かうときに私が連絡します。それでは」と無線が切れた。

こうして副会長は無線機の動作確認を終えて、皆にノーム刑務所、最高刑の受刑者が謎の黒幕となる事を伝えようと船外に居るエレッポ七体にその事を伝えたら

「ノーム上空に移動したのか。ノーム面にない筈だ」と会長は呟いたが他のエレッポ達は無言のまま立ちすくしている。

こうしてエレッポ七体はノーム刑務所に収監されている最高刑の受刑者が謎の黒幕となる事を知ったのはノーム暦100年の事であった。


西暦2970年、場所はホテルコロニ。

曾孫夫婦54才、玄孫32才の時、高祖父母、曾祖父母、祖父母の三代続けて不慮の事故っていうのもおかしいと想い、両親『曾孫夫婦』が調査するとコロニーが傾いて更に月の岩がぼろく成っていることが判明し、玄孫が管制塔に連絡する決意を固めた。

「お袋、月の現状を管制塔に連絡したいんだけど?」と玄孫が視線を送った。

「そうね。何か対応策が聞けるかもね」と頷いた。

「そうそう」と玄孫が呟いた。

「あ、管制塔に連絡するのは父親が良いかしらね」と無線機に近付いた玄孫を止めた。

「何で親父が良いの?」と振り向いた。

「それは、父親がホテルコロニー経営者だからよ」

「成る程ね。最初は親父が良いかも知れないね」と頷いた玄孫。

「そうよ」と呟き、

「ねぇ貴方、一回地球政府に連絡して見れば?」と玄孫から夫に視線を送り、夫は無言のまま頷き無線機に近付き、

「此方ホテルコロニー。管制塔応答してください。私は四代目ホテルコロニー経営者です。」と無線を入れた。

「一応、連絡したぞ。」と妻と玄孫に視線を送った。

「あとは返答待ちね」と妻が頷き椅子に座った。

「おう」と夫が呟き椅子に座った。

無線が入電したら自動的にモニターの電源が入るため玄孫は、視線を送ったまま椅子に座った。

時は2970年、場所は地球政府直轄管制塔内

「結構、月の表面が凸凹に成ってきたな」と管制官Aが監視モニターを見詰めた。

「確かに、その影響か地球内の環境が様変わりしたなぁ」と管制官Bが腕組みしながら頷いた。

「全くです。それに噴火や地震も頻繁に発生するし、波の干潮も昔に比べて減少気味だし」と管制官Cが過去のデータファイルを開き、見詰めた。

「おい三人、塔内は関西弁を話す決まりやでぇ。めんどくさいけど昔に決まった法案らしいからなぁ」と管制主任が三人を見渡した。

「すいません」と三人が謝った時、

『此方ホテルコロニー。管制塔応答してください。私は四代目ホテルコロニー経営者です。』と言う内容が無線機から聞こえた。

「はい、此方管制塔。どうされましたか?」と返答しながらモニターを付けると三人が椅子に座った光景を目の当たりにした。

「あ、管制塔の皆さん。お疲れ様です」とモニターに管制官四人が映し出されたので経営者が椅子から立ち上がりお辞儀した。

「堅苦しい挨拶は抜きや。単刀直入に要件を述べよ。因みに私が管制主任だ。」

「管制主任、了解です。実はここ最近、月の岩がボロくなり、表面も段々と凸凹に成ってきてるんですがどう対応策を練ったら良いかわからないんです」と経営者が困り顔し、二人も無言のまま頷いた。

「月の現状は此方でも把握済みですが、地球内でも大変なことが起きているのだ」と管制主任が椅子に座った。

「例えばどんな事が起きているのです?」と経営者が椅子に座った主任を見詰めた。

「噴火、地震が頻繁に発生し、更に波の干潮も減少しているのだ。」

「地球内でそんな事が起きているのですね。」

「そうなんだよ。まぁ対応策は此方で考慮致しますが遅れるかも知れん」と苦笑した主任

「はい、遅れても構いませんので宜しくお願い致します。」と経営者がお辞儀し、二人も無言のままお辞儀した。

「では、此方で対応策を考慮しますのでそれでは」とモニターを切った主任。

モニターが切られたホテルコロニーでは「良かったね」と三人が笑った。

「主任、本当に対応策を考慮するんです?」と管制官Cが視線を送り、二人の管制官も主任に視線を送った。

「一応するわ」と真顔で呟いた。

三人の管制官は「やっぱり」と呟いた。

ノーム暦100年

「皆、何を白けた顔をしているのよ。丁度いい100年で色々聞けて良かったじゃない。それに刑務所総長や受刑者達も味方に付いたのよ。ほら元気お出し」と副所長がエレッポ達を励ました。

「そうだぞ皆、副所長さんの言う通りやで、丁度いい100年で地球に行けるのですよ。」と会長がエレッポの顔を何気に見渡した。

エレッポ達は皆、無言のまま頷き、元気を取り戻したのか笑顔になった。

「その笑顔ですよ。さて、皆さん船内へと入り地球に行きますかなぁ」と会長は呟きながらトヤトエーレメ形の専用船に入り、続けて副会長、所長、副所長、ノーム研究員、コロニー研究員、シルネム、ウォンの順に入った。

「船内の役割はどうしますか、皆さん?」と会長は船内に入ったエレッポ達に視線を送った。

「そうですよね。私が操船しましょ」とコロニー研究員が呟きながら席に座った。

「では、私が無線担当でお願いします。ノーム刑務所とのやり取りを先程したので」と副会長が無線機の前にある席に座った。

「所長さん、副所長さん、ノーム研究員さん、シルネムさん、ウォンさんはどうしますか?」と会長は視線を送った。

「私は何も無い空間から画面を直ぐに出せるように設定しますね」と副所長が呟きながら席に座り設定作業開始した。

「私は副所長の設定作業手伝うわ」と所長が副所長の席へと向かった。

「私は船内の装置類確認担当しますね」とノーム研究員は装置類が置かれている場所へと向かった。

「残すは俺達だな、何をする?」とウォンはシルネムの顔を見ながら腕組みした。

「そうやな。何をするか」とシルネムはウォンの顔を見ながら腕組みした。

「まあシルネムさん、ウォンさんの役割は後にして、コロニー研究員さん、専用船のエンジンを掛けてノーム面から離脱して下さい」と会長はシルネムとウォンに視線を送ったあと操船席に向かって叫んだ。

「会長さん、了解です。」とコロニー研究員は叫びながらエンジンを掛けノーム面から離脱した。すると船内が傾き、

「皆さん気をつけて下さいませ」とコロニー研究員が叫んだ。

エレッポ達は無言のまま頷き周辺にしがみついた。

こうしてトヤトエーレメ形の専用船は地球に向かうべくノーム面から離脱しノーム上空へと上昇した。そして数分後には、ノームと地球の丁度中間地点まで上昇し、トヤトエーレメ形の専用船に乗船したエレッポ八体は有る事に気が付き、

「会長さん、ノーム刑務所が見当たりませんが?」と所長がノーム上空を船内から見渡した。

「多分所長さん、亜空間に入っているんですよ」と会長は視線を送った。

「亜空間ですか??」と所長は何気に視線を送りながら首を傾げた。

「首を傾げても無理も無い。ノーム刑務所が有るのを知っているのは私と副会長のみですから。それに亜空間に入っているのを知っているのは私のみですから」と会長はエレッポ達に視線を送った。

「そうなんですか?副会長さん」と所長は叫んだ。

「あっノーム刑務所の事ですか?所長さん」と副会長は視線を無線機から所長に向けた。

「はい。そうです。」と所長は叫んだ。

「私は刑務所が有る事しか知りませんし、普段は何処に有るのかエレッポ達にも知らされていないんです。」と副会長は所長に視線を送りながら無線機に手を置いた。

「副会長さん。ありがとうございます。詳しくは会長さんに聞きますね」と所長は副会長の顔を見ながらお辞儀した。

副会長は無言のまま手を挙げた。

「所長さん、恐らくもう少ししたら刑務所無線局総長さんから連絡が有るかも。それにノームが荒廃化してない時は、ノーム面の何処かで亜空間に入っていて、決してエレッポ達が見る事が出来ないようにしているんです。今はノーム上空の何処かで亜空間に入っている筈だ」と会長は視線を送った。

「その亜空間に入るのは収監されている受刑者が凶悪だからでしょうか?」と所長は視線を送った。

「いや、収監されている受刑者が持つ能力が強力だからだ」と会長は視線を送った。

「その能力は、やっぱり地球人が出した生活排水を浴びたからですか?」と所長は視線を送った。

「いや、受刑者達が持つ能力は生まれ持った特殊能力で、普段は自らバリアを張り封印しているがそう長くは続かないから亜空間に入る。一旦、入ると能力が使用不可に成るからバリアを解いているんです」と会長は視線を送った。

所長は無言のまま頷き、ふと辺りを見るとエレッポ六体が聞いていて何度も頷いていた。

「会長さん、ノーム刑務所の事、何故そんなにお詳しいのですか?」と副所長は視線を送った。

「それは私が若い頃にノーム刑務所を作ったからですよ。そして亜空間入りを設定したのも私だ。」と会長は視線を送った。

「えー知りませんでした。」と副所長は勿論他のエレッポ達も驚きを隠せずにいた。

「何故総長をおやりにならないのですか?会長さん」と副会長は視線を送った。

「いや、昔は総長をやっていたんだよ。今の総長は私の娘がやっているんだよ。副会長」と会長は視線を送った。

「と言う事は先程、無線機を確認した時に聞いた声は会長さんの娘さんでしたか。通りで私の事を御存知の雰囲気だったんだね。」と副会長は会長に視線を送りながら頷いた。

「実は、亜空間に入っても連絡出来る装置を私が作り、私と娘が持っているんだよ。先程ノーム面にて副会長が無線機の確認の為、船内に入った時に私が娘に連絡したんだよ」と会長がエレッポ七体に視線を送った。

エレッポ七体は、ただただ驚き無言のまま立ちすくしている。

「此方、ノーム刑務所総長です。応答願います。」と無線機から聞こえた。

「副会長、私が出よう」と会長は副会長が無線機の方へ駆け寄ろうとしたので阻止し自ら近付き、

「おう。お前か、もう少ししたら地球だぞ。あれの準備出来たか?」と返答した。

「あれの準備は出来てるわよ。ってもう、総長って呼んでよ。御父様」と無線機から聞こえた。

「お前も、御父様って呼ぶな。会長って呼べ。」と返答した。

「ハイハイ。会長さん。皆にはあれの事は言ってくれたかな?」と無線機から聞こえた。

「私より総長自ら言った方が良いと思い未だだ」と返答し、船内に聞こえるようにスピーカーにした。

「皆さん、総長です。地球内に行っても大丈夫な様にトヤトエーレメ形の専用船にバリアを張らして貰います。ちゃんと呼気成分は放出しますから安心してね。その成分を地球内にばら蒔いて変化を見ようと思います。」と無線機から聞こえた。

船内にいるエレッポ達は拍手喝采の渦になった。

「総長、受刑者達はどんな感じだ?」と返答した。

「亜空間から出ても大丈夫なくらい大人しくウズウズしてるわよ。」と無線機から聞こえた。

「じゃ亜空間解除だな。総長」と返答した。

「ラジャー。会長」と無線機を切った。

すると専用船付近に途轍もないくらいの大きさの船舶が現れ

「皆さん驚いているわね」と無線機から聞こえた。

「当たり前だ。見るのが初めてだから。」と会長はエレッポ達の顔を見ながら返答した。

「処で燃料は何を使用してるの?会長」と無線機から聞こえた。

「専用船の燃料は地球人が出す生活排水を使用し、船内環境はエレッポ達の吸気成分ウィ・メリャードンレベル45%、呼気成分ソイリックンレベル45%に調整してるが何か?」と会長が返答した。

「後の10%は?」と無線機から聞こえた。

「専用船の待機場所は地球内の空中やからバリア用に酸素レベル10%に調整した」と会長が返答した。

「会長さん了解です。そして此方でシミュレーションやった結果言うわね。ソイリックンが地球内に含有すると海水が上昇し、植物が枯れ砂漠化になり、氷が溶けたり水が凍ったり、岩や土がボロくなり隆起しやすくなる。そして土で出来た建造物が崩壊するかも知れない。」と無線機から聞こえた。

「まあ結果は直接見たら良いしね。取敢えずシミュレーションありがとうね。総長」とお返答した。

「そうやね。」と無線機から聞こえた。

船内に居るエレッポ達は会長と総長とのやり取りをただただ驚くばかりで

「お前、何を話してるか分かるか?」とシルネムはウォンの耳に囁いた。

ウォンは首を横に振った。

「皆さんは分かりますか?」とウォンは副会長、所長、副所長、ノーム研究員、コロニー研究員に小声で呟いた。

所長以外のエレッポ達は首を横に振ったが

「まあ、私は総長と会長との会話はある程度理解しました。何故ならば地球言語研究所所長だからね。地球の事は詳しいんです。早い話が、地球の環境を壊すって言うやり取りをしているんです。」とエレッポ七体に小声で呟いた。

エレッポ七体は何度も頷いた。

「では皆さん、専用船にバリアを張りたいと思います。会長さん、亜空間には入りますか?」と無線機から聞こえた。

「そうやな。亜空間に入っても地球の様子を見る事は出来るから入るか。」と会長は返答した。

「では、バリアを張りたいと思いますので此方へ接近して下さいませ」と無線機から聞こえたので、コロニー研究員は操船席へと向かい、自動運転から手動運転に切り替えノーム刑務所に接近した。

「接近したわね。バリア放出するわね」と無線機から聞こえ、専用船に向かって光が照らされた。

「完了よ。此で地球内に入っても大丈夫よ。勿論亜空間も自由に入れるわよ。ね、会長さん」と無線機から聞こえた。

「勿論だ。」と会長は返答した。

トヤトエーレメ形の専用船は船体に黄緑色のバリアが張られ、地球内のあらゆる環境でも船体に損傷が生じ無い。おまけに呼気成分も完全に放出される利点がある。尚且つ亜空間入りもノーム刑務所と同様に入れる様になった。

「あの、亜空間入りの仕方はどうやるんですか?」とコロニー研究員が操船席から叫んだ。

「それは大丈夫よ。私と会長が亜空間出入装置って言うのを持っているから。でも部外者にはその装置を見せれないのよ。コロニー研究員さん」と無線機から聞こえた。

「いえ総長さん、入り方さえ把握出来たら大丈夫ですので。」とコロニー研究員は返答した。

「ありがとうね。ところで会長さん、その装置はご持参かしら?」と無線機から聞こえた。

「勿論、持っている」と返答した。

「皆さん、亜空間に入っても外は見えるから安心してね。」と無線機から聞こえた。

「皆、了解したぞ。ところで総長、ノーム刑務所は何処で待機する予定だ?」と会長は返答した。

「そうね。私らも地球内に行こうかしら。会長さん」と無線機から聞こえた。

「そうか。では、この船を一旦そっちに収納したいのだが可能か?総長」と会長は返答した。

「勿論よ。」と無線機から聞こえた。

こうして専用船はノーム刑務所に一旦収納される事となった。其処で総長は専用船を何処に収納するかを検討し始めた。

思案中、ふとエレッポ達の様子を見てみるとまさに一枚岩のような雰囲気が漂って来るのを感じ取った総長は急いだ。そして、ある場所に収納する事を決意した総長は、会長に「ある場所へと収納する」としか伝えず誘導した。

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