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第二話

本日はクリスマス!

……なんの予定もないので、短編を夕方に投稿しようかと思います。

「やっぱりキースも襲われたんだね」

「ああ。もしかすると、西の地を襲っている謎の軍勢も関係あるやもしれん。それにクロ。お前のところにも来る可能性が高いだろうな、気をつけるがいい」

「そうだな。これは、また何かよからぬことが起きそうだな」


 俺に続きキースまでもが襲撃を受けた。

 キースの場合は、初めから狙われていたのだが。俺は、たまたまそいつらに遭遇しただけで、別に狙われていたわけじゃない。


 だが、共通点はある。

 相手は同じ、この世界を魔王の代わりに侵略せんとしていること。俺が出会ったルコザは南の地を、キースが出会ったバルザルという奴は東の地を。

 大方、脅威だった魔王達が活動しなくなったからチャンスだと思ったのだろう。


「そうだな。さて、霊児よ。話はこれぐらいにして、一狩り行こうではないか?」


 普通にこれぐらいにしていい話ではないのだが、ずいっとゲーム機を突き出してくるキース。

 と、そこへ、聞きつけたクロが自分のゲーム機を持って、さらに突きつけてきた。


「私も」

「ならば、魔王三人で狩りに行こうではないか!!」

「いいけどさ。これが終わったら、あっちの世界に行くぞ? いいな?」

「もちろんだ」

「うん」


 それを聞いた俺はよし、と頷きゲーム機を手に取りスリープモードを解除し、三人で協力プレイを開始した。


「やったー!! やっと出てきたよ! レリル!」

「やりましたね!! それでは、さっそく倒しましょう!」


 どうやら、エルジェ達のほうは目的のレアモンスターがやっとエンカウントしたようだ。

 じゃあ俺は、レア素材を狙いにモンスターを狩りに行きますか。




・・・・・・




「どうしたんだ? ルヴィア。急に呼び出したりして」

「ごめんなさいね、霊児君。でも、どーしても! この衣装を着させたエルるん達の撮影会をしたかったの!」


 こっちの世界にきたと思えば、ルヴィアに急に呼び出され、俺達は今ルヴィア城に居る。

 どうやら、またエルジェ達の撮影会をしたいらしいのだ。

 手には、この間買ってきた【熱血武装ダイフェニックス】のヒロインの衣装と、その他の衣装が大量にあった。

 あれを全部? これは、時間がかかりそうだな。


「また撮影会をするの?」


 大歓迎とばかりに笑顔のエルジェだが、レリルはげっそりとした顔をしている。


「またですか……」

「私は、別に気にしてない」


 そして、クロは早く衣装に着替えたいと言う目をしていた。あれだけ欲しがっていたもんな。

 俺はまあ、早めに頼むぞと言って、部屋を後にした。

 ちなみに、キースはまたメイド達と一緒に遊んでいる。

 俺もそっちの参加しようかなと、城を歩いていると。


「霊児様。ここにいらっしゃいましたか」

「どうしたんだ?」


 廊下で鉢合わせたメイド長を勤めるマエリナが俺に話しかけてきた。テンション高めな主人とは非対称な冷静沈着な完璧メイドという雰囲気がバリバリと伝わってくる。

 束ねているお下げの色が白銀と黒のツートンカラーな髪の毛が特徴的で、ルヴィアやリーさんに負けない巨乳っぷり。

 いったい何の用事なんだろうか?


「はい。実は、霊児様に戦闘訓練のご指導をしてもらいたく馳せ参じました次第です」

「俺が? 別にいいけど。俺、あんまり教えたことないから下手だと思うぞ?」


 元がただの少年だったかからな。ゼルファスの記憶があるとはいえ、基本的に戦闘についての指導などしたことがない。ゲームなんかの指導はできるだろうけどさ。


「大丈夫でございます。ルヴィア様も教えるのがあまりうまくありませんから。慣れっこですので」

「……そういうことなら、下手なりの指導をしてやるよ」

「はい。よろしくお願いします。では、こちらへ」

「ああ」


 ルヴィアは、戦うのがうまい。しかしながら、教えるのは下手。

 よくある天才タイプだ。

 自分ではわかっているが、いざ人に教えるとなると全然理解してもらえない。


 説明下手。

 俺は、ゼルファスの記憶からなんとかメイド達に指導をする。

 冒険者での経験などもプラスして。

 魔王の部下達は、日々の訓練を怠らない。

 いや、それは冒険者も、王国の兵士達も同じだ。


 この世は危険が多い。

 命を守るために、戦えるものは体を鍛え、武器を使いこなし、いつでも戦えるように。

 己を鍛えている。

 俺は、今までゼルファスから受け取った身体能力に頼りすぎていたのかもしれない。これからは、自分ありの体を鍛えなくちゃな。


「あら? 霊字君。私のメイド達の指導をしていてくれたの?」


 訓練をしていると、ルヴィアが現れた。

 撮影会は終わったのかな? 俺の目の前では、訓練用の衣服に着替えたメイド達が木刀を振っている。

 ちなみに、頭のカチューシャはつけたままだ。

 というかずっと気になっていたんだけど。


「まあな。頼まれたんだよ。俺は教えるのが下手だからなぁって言ったんだけど。どこかの主様で慣れっこなんだとよ」


 なんで、体操服なんだろうか。それも下はブルマだし。短パンタイプも居るけど、これってルヴィアの趣味だったり……するんだろうなぁ。

 マエリナも傍で監視するように立っているけど、なぜか体操服に着替えているし。


「どこかの主様って。もうあの子達は」


 嫌み混じりな言葉を言うと、不機嫌そうにメイド達を軽く睨む。

 それでも、あまり怒っているようには見えない。


「そっちは、終わったのか?」

「ええ。もう、最高の写真や映像がまた増えたわ! ぐふ、ぐふふふふ。またコレクションが増えて、お姉さんは幸せよ~!」


 幸せそうに蕩けた顔になるルヴィア。

 俺は、そんなルヴィアを見て苦笑するしかなかった。


「そういえば、ルヴィア」

「なーに?」

「キースが襲われたのは知ってるよな?」

「ええ」

「おそらく、相手は本腰を入れてくるだろう。なにせ、二人もやられたんだからな。おそらく、残っているのは北の地と西の地の二人。だから、狙われるのはクロのところかお前のところだ」


 南、東と来て、残っているのはクロの城がある北の地とルヴィアの城がある西の地。

 おそらくだが、西の地が先に制圧しにかかってくるだろう。

 奴らが目撃されたのは西の地が最初だった。つまり、西の地を先の制圧しようと考えていたのだろう。

 だが、そこで南、東と次々に仲間がやられた。

 それにより、西の制圧に本腰を入れてくる、と俺は考えている。


「わかっているわ。私のところは心配ない。だって、私は最強なのよ?」

「最強ねえ。そう言い切れるお前は、とことんすごいって思うよ」

「ふふ。ありがとう」


 ここには四大魔王最強のルヴィアが居るんだから大丈夫だよな。

 だけど、それでも心配だからな。


「でも、何かあったら頼ってくれ。心配だからな」

「……優しいのね、霊児君は。そうね。その時は、遠慮なく頼っちゃおうかしら」

「おう」

「さあ、先生。教え子が待っていますわよ? ご指導の続き、頑張ってね」


 と、去り際にルヴィアが言う。振り返ると、俺が言っておいた素振りを終えたメイドたちが次の言葉を待っているようで期待の眼差しでこっちを見詰めていた。


「霊児様。メイド達に、次のご指示を」

「……じゃあ、俺と打ち合いとかしてみるか?」


 木刀を持って、提案すると。


「はい! 私がやります!」

「だめよ! 私が先!」

「あなたじゃまだ早いわ。ここはわたくしが」


 まさかこんなにも俺と打ち合いをやりたがるとは思ってもいなかったので、勢いに押されてしまった。だが、そこへマエリナが木刀を天に掲げる。


「皆さん、お静かに。淑女たる者、そうはしゃがないように」


 さすがはメイド長だ。さっきまで子供のように騒いでいたメイド達が一斉に静かになった。これがカリスマってやつなのか。


「まずここは」


 マエリナがやるって言うのか? 


「あたしがやっちゃるぜぇ!!」


 驚愕である。まるで、人格が変わったようにハイテンションになったマエリナ。


《さすがメイド長!!》


 しかしながら、メイド達は全然驚いている様子がなく、今のマエリナのテンションを日常かのように受け入れていた。こ、これが普通なのか? ゼルファスの記憶でもマエリナのことはいつも冷静で、どんな仕事でも完璧にこなす超人という認識だったのだが。


「さあ、霊児様! あたしと殺し合いをしちゃおうぜぇ!!」

「いや、ただの打ち合いのつもりなんだけど」

「メイド達! さっそくフィールドを囲むように整列ぅ!!」

《はい! メイド長!!》


 これはあれかね? マジで殺し合いをしなくちゃならない流れなのかな? 失念していた。彼女達が全員悪魔だってことを。メイドとして、礼儀作法などを習い淑女として仕事をこなしているとはいえ、彼女達は戦闘狂だった頃のルヴィアに仕えていた悪魔達なのだ。


「霊児様ぁ! 早く来てくださいまし!!」

「……死なないように頑張ろう」


 楽しそうに戦いのフィールドで手を振っているハイテンションマエリナと戦うため俺は意を決し足を進めるのだった……。

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